第1章 安定的な資源確保のための総合的な政策の推進
世界のエネルギー情勢は、この数年ダイナミックに変動しており、資源をめぐる内外の環境は依然として不透明です。どのような状況になったとしても、我が国が資源の安定的な供給確保を図っていけるような状態を構築することは重要な課題となっています。原油価格は、中国などの景気減速感による需要の伸び悩み、米国のシェールオイル増産、主要産油国の高水準での生産等を背景とした供給過剰感から、2016年1月には2003年以来の安値水準まで下落していましたが、世界経済の堅調な成長に伴う需要増大や石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟主要産油国による協調減産等を背景に高水準の石油在庫が減少に転じたこと、中東地域における緊張感の高まり等を受け、2017年7月以降は上昇基調で推移し、2018年1月には3年1か月ぶりに65米ドル/バレル(West Texas Intermediate=WTI、終値ベース)を記録しています。
こうした環境の中、2014年から2016年にかけて44%減少した世界の資源開発投資も、2017年には微増で推移し、特に、中国やインドの国営企業が、自国の急激な資源需要の増加を背景に、近年積極的な資源開発投資を進めています。自国資源に乏しい我が国として、資源の安定的な供給を確保するには、積極的な上流開発投資による海外資源権益の獲得や国内における資源開発を進めていく必要があります。政府としては、資源外交の積極的な展開や独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じたリスクマネー供給、石油・天然ガス、メタンハイドレート、海底熱水鉱床等の本邦周辺海域での開発促進、さらには合理的かつ安定的なLNG調達に向けた取組等、引き続き資源の安定供給確保に向けた総合的な政策を推進しています。