第1節 資源供給国との関係強化と上流進出の促進
1.石油・天然ガスの安定的かつ低廉な確保に向けた取組
石油・天然ガスのほぼ全量を海外からの輸入に頼る我が国にとって、石油・天然ガスの安定的かつ低廉な確保は重要な課題です。さらに、東日本大震災以降、天然ガスをはじめ火力発電のエネルギー源としての化石燃料需要は高い水準で推移しており、その確保の重要性は高まっています。また、我が国は原油輸入の約9割、天然ガス輸入の約2割を中東に依存していることを踏まえればチョークポイントであるホルムズ海峡を通らない輸入先の確保など、供給源の多角化を進めることや中東産油国をはじめとする資源供給国との良好な関係を深化させることが重要です。
<供給源の多角化に向けた取組>
供給源の多角化を進めるという観点から見れば、ロシアは我が国と地理的にも近接し、豊富な石油・天然ガスの埋蔵量を有する、世界でも有数の産油・産ガス国であり、極めて重要な国です。我が国はすでにロシアから石油・天然ガスを輸入しているものの、日本の総輸入量に占める割合はそれぞれ10%以下に留まっており、我が国にとって今後大きなポテンシャルを秘めた国であるといえます。このため、日露両国は、ロシアにおける石油・ガス分野のプロジェクトの進展に向けた取組を進めています。日露首脳会談と併せ、2017年1月、4月及び9月に世耕経済産業大臣は、ノヴァク・エネルギー大臣とともに、「日露エネルギー・イニシアティブ協議会」を開催し、日露の官民で合意した多数の石油・天然ガス関連のプロジェクトの協力が着実に進展していることを確認しました。具体的には、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とイルクーツク石油との東シベリアにおける共同探鉱プロジェクトが、2016年に生産段階に移行し、今年は協力開始から10周年を迎えるなど、日露間のエネルギー分野での協力関係は着実に進展しています。引き続き、さまざまなプロジェクトや協力を実現していくことを通じて、ロシアからの安定的かつ低廉な石油・天然ガス供給が増加していくことが期待されます。
<中東産油国等資源供給国における取組>
我が国で消費される原油の輸入の太宗が中東地域の諸国に依存している現状を踏まえれば、安定供給の確保に向け、中東産油国との友好関係を深化させていくことは重要です。
世界最大の原油輸出国であり、我が国にとっても最大の原油輸入相手国であるサウジアラビアとの間では、2017年3月に安倍総理とサルマン・サウジアラビア国王との首脳会談において合意した「日・サウジ・ビジョン2030」を新たな戦略的パートナーシップの羅針盤として、協力を進めています。2018年1月には世耕経済産業大臣がサウジアラビアを訪問し、サルマン国王への表敬やアル=ファーレフ・エネルギー・産業・鉱物資源大臣、アル=カサビ商業投資大臣との会談を通じて、その着実な進展を確認し、今後さらに協力を広く、深く加速化させることで一致しました。
また、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国にある海上油田は、世界有数の埋蔵量と生産量を誇る巨大油田群であり、我が国企業も多くの石油権益を保有しています。このうち約6割が2018年3月に権益期限を迎えることから、これを引き続き確保していくため、アブダビ首長国に対するハイレベルでの継続的な働きかけや、アブダビ側の関心が高い石油・ガス事業の上中下流における協力、教育・医療・農業等の広範な分野での協力などを行いました。2017年度は、世耕経済産業大臣が2回(2017年10月、2018年1月)、経済産業副大臣が2回(2017年7月、11月)UAEを訪問し、ムハンマド・アブダビ皇太子やアブダッラー外務・協力大臣、ジャーベルUAE国務大臣兼アブダビ国営石油会社(ADNOC)CEOなどの首長家・政府要人と度重なる会談を行い、我が国企業が保有する石油権益の確保を働きかけました。2017年10月の世耕経済産業大臣の訪問の際には、経済産業省、ADNOC、JOGMECとの間で、中下流分野での共同事業実施を含むエネルギー分野での協力に係る協力覚書に署名し、日UAE間の二国間関係の一層の強化を図りました。こうした取組の結果、2018年2月、下部ザクム油田等のアブダビ海上油田について、日本企業が権益を獲得し、引き続き油田の開発・操業等に参画することが、アブダビ政府及びADNOCとの間で合意に至りました。特に、下部ザクム油田の権益獲得は、今後40年間にわたり日本企業がアブダビ首長国の最大級の油田の第一のパートナーとなることを意味するものであり、我が国の石油の安定供給に大きく貢献することが期待されることから、資源外交の大きな成果といえます。
さらに、世界最大のLNG輸出国であり、我が国にとっても第3位のLNG輸入相手国であるカタールも、LNGの安定供給の観点から重要な相手国です。中東地域内での対立などがある中、2017年6月に、アル・サダ エネルギー工業大臣が来日し、世耕経済産業大臣と会談した際には、我が国への安定的なLNG供給を継続する旨のコミットメントがなされています。また、エネルギー分野を含む両国間の経済関係の強化を目的として、2006年に「日カタール合同経済委員会」を設置しており、 2017年10月にその第11回会合が東京で開催されました。我が国からは世耕経済産業大臣、堀井外務大臣政務官が出席し、アル・サダ・エネルギー工業大臣との間で、カタールがLNG生産量を2024年までに1億トンに拡大させる計画について、我が国企業や政府との協力関係をいかに強化していくかについての議論が行われました
中東以外の資源国としては、我が国のLNG輸入量の2割以上を占め、最大のLNG輸入相手国であるオーストラリアも重要な存在です。同国には、ウィートストーンLNGや、日本企業(INPEX)がオペレータとして主導・操業する初の大型プロジェクトであるイクシスLNGがあります。ウィートストーンLNGプロジェクトは、2012年に権益を獲得し、2017年10月に生産が開始されています。同年の11月には我が国に初めてこのプロジェクトで生産されたLNGが輸入されました。また、イクシスLNGプロジェクトには、JOGMECをはじめ国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)による金融支援を行っています。このプロジェクトでの生産が開始されれば、我が国の天然ガス需要の約7%に相当する年間約570万トンのLNGが日本向けに輸出される予定であり、我が国エネルギーの低廉かつ安定的な供給に大きく貢献するプロジェクトとして期待されています。
その他、中央アジアでも、例えばアゼルバイジャンにおいて、日本企業が権益を保有するACG油田(アゼリ・チラグ・グナシリ油田)について、資源外交や人材育成事業の支援継続等が評価され2017年9月に同国の国営石油企業であるSOCAR(ソカール)との間で25年間の権益延長合意に至っています。
2.石炭の安定供給確保に向けた取組
石炭は、石油や天然ガスとの比較において、利用に当たり温室効果ガスを多く排出する一方供給の安定性や経済性の面で優れるエネルギー資源です。近年、中国やインド、東南アジア諸国を中心とした新興国における輸入量増加により、世界の石炭海上貿易による日本の割合は低下しています。こうしたアジア新興国での石炭需要は、今後も伸びていくことが見込まれており、石炭調達を巡る国際競争は今後より一層激しくなっていくことが予想されます。日本にとって、必要な量の石炭資源を安定的かつ安価に調達することは引き続き重要です。
鉄鋼用原料炭については、我が国の鉄鋼事業者オーストラリアからの輸入を中心に安定的に調達していますが、一方でオーストラリアへの依存度が7割近くまで高まっています。オーストラリアは、高品位炭の埋蔵量、輸送距離、インフラ整備の状況や政策の動向など、いずれの要素を見ても引き続き我が国にとって最も安定した供給国として位置付けられますが、過度な依存状態は将来のリスクになる可能性もあります。例えば、同国における環境問題への国民意識の高まりやストライキなどの動きには注視が必要です。こうした点を踏まえ、オーストラリアからの安定的な供給確保を基本としつつも、供給源の多角化の観点からロシア、モザンビークやコロンビア等からの供給確保を様々な面から支援していく必要があります。
我が国は、JOGMECによる地質構造調査や産炭国における人材育成等の支援措置を通じて我が国企業の探鉱活動の支援を実施しています。また、我が国の石炭ユーザーが必要とする多様な品種を中長期にわたり、安定的に確保していくためには、オーストラリアやインドネシアを始めとする産炭国との継続的な関係の構築が重要であり、資源外交や政策対話等の取組を積極的に実施しています。
<産炭国との関係維持・強化の取組事例>
石炭分野において、日豪両国は重要なパートナーであり、1985年以来、国際エネルギー情勢や両国の石炭政策を含むエネルギー政策等を議論するため日豪エネルギー高級事務レベル協議(HLG)を開催してきました。2017年12月5日には、第36回日豪HLGを開催し、豪州の炭鉱開発の見通し、世界の石炭需給、日本における石炭の重要性等について議論しています。今後も、こうした日豪の関係維持・強化の取り組みを通じて安定的な石炭供給を促進しています。
潜在的な供給先の一つであるロシアとの関係も重要です。2016年11月には日露エネルギー・イニシアティブ協議会を開催し、日露間の石炭プロジェクトについて議論を行いました。2016年12月には、プーチン大統領訪日時に「エリガ石炭コンプレクス発展分野における協力に関する日本国経済産業省とロシア連邦エネルギー省との間の協力覚書」を世耕経済産業大臣とノヴァク・エネルギー大臣間で署名しました。ロシアエリガ炭田について、ロシアから日本へ同炭田の情報を提供し、日本側は同炭田から産出される石炭引取等に関して企業間の協力を促進します。
さらに、モザンビークについては、2012年に日本とモザンビーク共和国の両政府が合意した「石炭産業発展5カ年プラン」の実現のためJOGMECが研修事業を実施しています。2016年10月に本事業を延長する署名交換を行い、2017年度は石炭開発に必要な技術等に関する知識の取得を目的として研修事業を実施しました。
3.レアメタル等の鉱物資源の確保に向けた取組
鉱物資源は、省エネルギー・再生可能エネルギー機器等に必要不可欠な原材料である一方、その供給のほぼ全てを海外に頼っているなど調達面で脆弱性があります。このため、中長期的に我が国企業による投資を促進し、鉱物資源の供給源の多角化・安定供給確保につなげていくことが大切です。我が国にとって重要かつ政治的安定性の高い鉱物資源の供給国や、鉱物資源のポテンシャルは大きいもののインフラや鉱業政策面など投資環境に課題を有する地域との継続的な関係構築に取り組んでいます。
特に、各国において本格普及に向けた取り組みが進められつつある次世代自動車に用いられるリチウムイオン電池や電動モーター用ネオジム磁石の製造には、銅、リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイト、レアアース等の鉱物資源が必要です。今後、次世代自動車の需要増加に伴い、当該資源の安定供給を確保していくことは、我が国の製造産業にとって非常に重要な課題です。
このため、リチウムイオン電池に必要なニッケル、コバルトの主要供給国であるフィリピンについては、2018年1月にフィリピン環境天然資源省高官を日本に招聘し、日本企業が操業する資源開発プロジェクトの安定操業のために、鉱業制度の改善等を要望するとともに、フィリピン鉱業分野への日本企業の投資促進を目的としたセミナーを開催しました。
また、リチウムイオン電池に必要なリチウムの主要産出国の一つであるアルゼンチンについては、2018年2月に官民の合同ミッションを派遣し、現地のリチウム塩湖の投資環境調査を実施するとともに、アルゼンチン政府と共同で鉱業分野への日本企業の投資促進を目的としたセミナーを実施しました。
資源フロンティアであるアフリカ地域との継続的な関係構築については、2013年5月および2015年5月に「日アフリカ資源大臣会合」を開催し、日本とアフリカの資源分野での関係強化を推進しました。2016年8月にケニアで開催されたTICAD Ⅵでは、エネルギー・資源開発を含むインフラ案件のリスクマネー供給の拡大や、次回までの3年間で1,000名の資源分野の人材育成を目標とした新たな取組の実施を表明しました。
また、2018年2月には、南アフリカ共和国で毎年2月に開催される世界最大級の鉱業投資会議「マイニング・インダバ」に大串経済産業大臣政務官が参加し、アフリカ各国閣僚とのバイ会談を行い、協力関係の強化を図りました。
アフリカ諸国との二国間関係の取組について、南アフリカ共和国については、鉱業分野の二国間協力に関する覚書を2017年2月に署名しました。また、マダガスカルについては、2017年2月に井原経済産業大臣政務官が同国を訪問し、ラジャオナリマンピアニナ大統領及びラクトゥアリマナナ財政予算大臣と会談し、我が国へのニッケルの輸入や日本企業等が出資するプロジェクトに悪影響を与えないように働きかけ等を行いました。
以上のように、鉱物資源供給国と我が国との継続的な関係を構築することで、中長期的な鉱物資源の安定供給につながる機会の拡大を目指していきます。
4.資源権益獲得に向けたリスクマネー供給
我が国は、2010年のエネルギー基本計画において、原油・天然ガス及び石炭の自主開発比率(注1)をそれぞれ2030年に40%以上、60%以上、また、銅などの金属鉱物の自給率を2030年に80%以上に引き上げる目標を掲げ、取組を進めています。
2016年度の石油・天然ガス自主開発比率は約27.4%となり、統計開始から最も高い値となっています。石炭自主開発比率は目標の達成に向けて自主開発比率を維持しています。
資源権益の獲得のための投資には、探鉱リスクやカントリーリスク等、さまざまな事業リスクがあり、また、巨額の資金を要しますが、我が国企業は、資源メジャーと呼ばれる海外企業等と比べると大幅に資金力が弱い状況にあります。
特に2014年後半以降の原油価格下落の影響により、資源開発企業の財務状況が悪化し、資源開発投資が抑制されています。このような動きは、将来的なエネルギー需給のひっ迫につながるリスクとなる可能性があります。一方で、近年の資源価格低迷は資源国からの優良な権益を獲得する良い機会にもなり得ると考えられます。このような状況の下、我が国企業による資源権益の獲得を推進するためには、資源外交の推進による相手国との関係強化とともに、資金面での支援がより一層必要となります。そのため、リスクマネー供給機能の強化の一環として、2016年にJOGMEC法を改正(同年11月施行)するとともに、JOGMECの出資及び債務保証支援対象事業の採択等に係る基本方針を策定しました。法改正で拡充された新たな支援メニューの活用も含め、リスクマネー供給を通じた我が国企業の権益獲得支援を推進していきます。
<具体的な主要施策>
(1)石油・天然ガスに係る探鉱出資・資産買収等出資【2017年度当初:550.8億円、2017年度産投:310.0億円】
JOGMECにおいては、我が国資源開発会社等による石油・天然ガスの探鉱・開発や油ガス田の買収等を資金面で支援するため出資を行っています。
(2)石炭及び金属鉱物に係る探鉱出資・債務保証等【2017年度産投:150.0億】
JOGMECにおいては、我が国法人の海外における鉱物資源の探鉱プロジェクト等を資金面で支援するため出資及び債務保証等を行っています。2017年度は我が国企業が参画する南アフリカにおけるクロムプロジェクト等に対し出資等を行いました。
(3)政府系金融機関による資源金融(国際協力銀行(JBIC))【金融】
我が国企業による長期取引契約に基づく資源輸入や、自ら権利を取得して資源開発を行う場合、さらには資源開発に携わる我が国企業の競争力が強化される場合または資源確保と不可分一体となったインフラ整備等、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進する場合に、国際協力銀行は輸入金融や投資金融による支援を行いました。
(4)貿易保険によるリスクテイク(日本貿易保険(NEXI))【金融】
海外における重要な鉱物資源またはエネルギー資源の安定供給に資する案件に関し、海外エスクロー口座への資源引取り代金入金を条件に、日本貿易保険(NEXI)は通常よりも低い保険料率で幅広いリスクをカバーする資源エネルギー総合保険等を通じて、我が国の事業者が行う権益取得・引取等のための投融資に対し支援を行いました。
また、2015年11月に安倍総理より発表された「質の高いインフラパートナーシップのフォローアップ」に基づき、日本貿易保険(NEXI)は貿易保険制度の機能強化を図り、その一環として2017年10月に米ドル建て貿易保険の運用を開始し、2017年11月に第1号案件の引受けを実施しました。これらの措置を通じ、引き続き日本企業が参画する海外での資源開発等のプロジェクトに対する資金調達を円滑化し、我が国企業の活動も支援していきます。
(5)海外投資等損失準備金制度【税制】
海外で行う資源(石油・天然ガス等)の探鉱・開発事業に対する投資等について、事業失敗による損失等に備えるために、投資等を行った内国法人に一定割合の準備金の積立を認め、これを損金に算入することを認める制度であり、平成30年度税制改正において、準備金積立率について一定の見直しを行った上で、適用期限が2020年3月31日まで延長されました。
(6)探鉱準備金・海外探鉱準備金制度及び新鉱床探鉱費・海外新鉱床探鉱費の特別控除制度(減耗控除制度、海外減耗控除)【税制】
鉱業を営んでいる者が、鉱業所得等を探鉱費に充てるための準備金として積み立てた時に損金算入できる制度、及びその準備金を取り崩して実際に新鉱床探鉱費に充てた場合等には特別控除できる制度であり、平成28年度税制改正において、鉱業の実態を踏まえ制度を見直した上、準備金積立ての適用期限が2019年3月31日まで延長されました。
(7)海外地質構造調査等事業【2017年度当初:88.5億円】
探鉱実績が少なく事業リスク等も高い海外のフロンティア地域や、優先的な権益交渉につながり、日本企業参画の促進に資するなど資源外交上有意義な国等において、JOGMECが地質構造の調査を行うことにより、我が国企業の進出を促進しています。2017年度は、2016年度に引き続き、ケニア、セーシェル及びウズベキスタンにおいて地質構造調査を実施するとともに、ロシアにおいても2016年12月の日露首脳会談において合意された共同探査・探鉱プロジェクトについて、新たに地質構造調査を開始しました。
(8)産油・産ガス国開発支援等事業【2017年度当初:34.0億円】
資源国との戦略的かつ重層的な関係を構築するため、資源国のニーズに対応して、人材育成・交流、先端医療、環境対策技術など、日本企業の強みを活かしつつ、幅広い分野での協力事業を実施するとともに、資源国に対する日本からの投資促進等についても支援を行いました。2017年度は、2016年度に引き続き、UAEのアブダビ首長国における我が国先端医療技術の導入支援、日アブダビ教育・交流センター運営等の留学促進事業等のプロジェクトを実施するとともに、日UAE間の企業交流促進事業を新たに実施しました。
(9)海外炭の開発支援事業【2017年度当初:9.5億円】
我が国企業の権益獲得を支援し、自主開発比率の向上を図るため、海外の産炭国において、我が国企業が行う探鉱活動等への支援や炭鉱開発に不可欠なインフラ調査等を実施しました。
(10)産炭国に対する石炭採掘・保安に関する技術移転等事業【2017年度当初:13.5億円】
我が国の優れた炭鉱技術を、採掘条件の悪化が予想される海外産炭国へ移転するため、海外研修生の受入研修事業、我が国炭鉱技術者の海外炭鉱派遣研修事業等を実施しました。
(11)鉱物資源開発の推進のための探査等事業【2017年度当初:20.0億円】
最新の鉱床地質学の成果等を活用し、省エネ機器、再生可能エネルギー関連設備の製造に必要不可欠な銅、白金族等の鉱物資源の基礎的な資源探査等を実施しました。
(12)希少金属資源開発推進基盤整備事業【2017年度当初:4.0億円】
付加価値の高い工業製品や次世代自動車等の生産に必要不可欠なレアメタルの鉱物資源の探査等を委託し、安定供給を図りました。
(13)大型船の受け入れ機能の確保・強化
国土交通省では、国際バルク戦略港湾政策として、大型船が入港できる港湾を拠点的に整備し、企業間連携による大型船を活用した共同輸送を促進するなど、資源・エネルギー等の安定的かつ効率的な海上輸送網の形成に向けた取組を推進しました。
(14)JICAの機能強化【制度】
2015年5月の「質の高いインフラパートナーシップ」、2015年11月に「質の高いインフラパートナーシップのフォローアップ」、2016年5月には、「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」を発表し、抜本的な制度拡充策として、円借款の迅速化、民間企業の投融資奨励、日本の支援の魅力向上など円借款や海外投融資の制度改善を行ってきました。具体的には、円借款については、コンサルタントが行う調査の迅速化を図り、事業実施可能性調査(F/S)開始から着工までの期間を最短1年半に短縮することを決定するとともに、ドル建て借款を創設する等の施策を実施しました。また、国際協力機構(JICA)海外投融資については、融資対象を拡大や、出資比率規制の柔軟な運用・見直しを行うとともに、被援助国のニーズに応じてユーロ建て海外投融資を検討することとしました。2017年10月にはドル建て借款の最初の適用案件であるジャマイカ「エネルギー管理及び効率化計画」に係る交換公文(E/N)の署名が行われました。
(15)銅原料中の不純物低減技術開発事業【 2017年度当初:1.0億円】
銅製錬の安定的な操業を確保するため、操業に影響を与える銅鉱石中のヒ素等の不純物を低減させるプロセスの開発に取り組みました。
- 注1
- 自主開発率=(我が国企業の権益下にある原油・天然ガスの引取量+国内生産量)/(原油天然ガスの輸入量+国内生産量)