ISO 50001とは
ISO 50001は、2011年に発行された、エネルギーパフォーマンスの継続的改善を目指すための体系化されたエネルギーマネジメントシステム(EnMS)の規格です。事業者は改善を目指すエネルギーパフォーマンスを自ら設定して、その継続的な改善に取組みます。ISO 50001では、エネルギー消費原単位、エネルギー効率、エネルギー使用量、エネルギー起源のCO2排出量などをエネルギーパフォーマンスとして設定し、その改善に取り組むことが可能です。ISO 50001は、ISO 14001(環境)、ISO 9001(品質)等の他のマネジメントシステムと同様にPDCAサイクルで構成されています。
- Plan:
組織の状況を理解し、エネルギー方針、エネルギーマネジメントチームを確立し、エネルギーの使用及び使用量の分析に基づき、エネルギーパフォーマンスの改善に向けた行動計画を立案する。 - Do:
必要な資源を準備し、力量の管理、コミュニケーション等を実施し、設計、調達活動を含めて行動計画に基づく運用を行う。 - Check:
エネルギーパフォーマンス及び運用状況の監視・測定、分析・評価を行い、内部監査及びマネジメントレビューを実施する。 - Act:
不適合に対処し、エネルギーパフォーマンス及びエネルギーマネジメントシステムを改善するための処置をとる。
特にISO 50001は、2018年の改正(JISの改正は、2019年)によって、ISO 14001、ISO 9001等と完全に整合した形で再構成されました。これにより、既にISO 14001、ISO 9001等に取り組んでいる組織にとっても、大変に取り組みやすい内容に変更されました。
ISO 50001は、ISO 9001やISO 14001と同様に、第三者による適合性の認証を行うことができる規格となっています。認証を行う審査機関は、客観的な立場から、規格(ISO 50001)に適合したマネジメントシステムが構築・運用され、エネルギーパフォーマンス及びエネルギーマネジメントシステムの継続的改善が実現されていることを審査し、認証基準への適合性を証明します。
ISO 50001に基づくエネルギーマネジメントの実施は、事業者に次のようなメリットをもたらします。
- エネルギーパフォーマンスの改善に向けた体系的なアプローチを導入する。
- エネルギーマネジメントを事業活動と統合化し、エネルギーパフォーマンスの継続的改善を実現する。
- エネルギーパフォーマンスを改善し、関連するエネルギーコストを削減することで、競争力を高める。
- エネルギー関連の温室効果ガス排出量を削減することによって、気候変動緩和の目標に貢献することができる。