南長岡ガス田、直江津LNG基地フィールドワークレポート

南長岡ガス田、直江津LNG基地フィールドワークレポート

2023年11月17日(金)に実施された「新潟フィールドワーク」では、株式会社INPEX(以下、INPEX)の南長岡ガス田及び直江津LNG基地を訪れました。当日は、第1回及び第2回のエネキャリ特別講義に出席した大学生・大学院生40名が参加し、INPEXの社員たちから説明を受けながら、生産現場を見学しました。

日本の資源開発現場の“いま”を知る

今回訪れたINPEXの直江津LNG基地は、海外ガス供給源と国内ガス市場を結ぶ中核施設として、2013年12月から操業を開始しています。ここでは主に、INPEXがオペレーターとしてガス生産を行っている豪州のイクシスLNGプロジェクトと長岡市にある南長岡ガス田の2拠点で生産された天然ガスを受け入れています。

直江津LNG基地

全国から新潟に集結した学生たちは、バスで直江津LNG基地に到着。副所長の本永 晃弘氏と技術グループマネージャーの坂部 貴志氏からINPEXの会社説明をしていただきました。

直江津LNG基地見学風景

INPEXは、日本最大規模の石油・天然ガス開発企業であり、ガス利用者に天然ガスを安定供給するため、同社が所有するガスパイプラインを利用して、1都8県(新潟、長野、群馬、栃木、埼玉、東京、山梨、静岡、富山)の都市ガス事業者や工場などへ天然ガスの販売を行っています。パイプラインの長さは約1,500kmもあり、販売先は96拠点。この長さに驚きを見せる学生たちの声も。

直江津LNG基地概要資料

副所長の本永氏はここでの業務を、「地下何千メートルから石油やガスを上げるスケールの大きな仕事。もしこのガスが途絶えたら社会に与える影響は計り知れない。そういう操業の管理をしているところが、プレッシャーであり、やりがいでもある」と説明してくださいました。

本永晃弘 副所長
本永 晃弘 副所長
見学風景

その後、学生たちは館内にあるミュージアムに移動。パイプラインをモチーフにした円筒型の空間で、ジオラマとプロジェクションマッピングを駆使した迫力ある映像が映し出され、天然ガスを「探す」「掘る」「作る」「運ぶ」「使う」までの各ステップを学びました。

ミュージアム見学風景

質疑応答では、2030年、2050年に向けたカーボンニュートラルに関する質問が多くあがり、技術グループマネージャーの坂部氏らも学生たちの熱意に感銘を受けていた様子。「引き続きフィールドワークでは、五感を使って現場でしか得られないことを感じとってほしい。」とメッセージを伝え、直江津LNG基地での見学は終了しました。

坂部貴志 技術グループマネージャー
坂部 貴志 技術グループマネージャー

いよいよ天然ガスの国内最大拠点・長岡鉱場へ

国内最大拠点・長岡鉱場

学生たちを乗せたバスは、直江津港から1時間ほど走って南長岡の越路原プラントへ。地下4,000~5,000mには、グリーンタフ貯留岩という地層があり、ここに長さ6km、幅3km、厚さ1kmにわたる巨大なガス層があります。このガス層は1979年にINPEXによって発見され、調査を重ねた結果、埋蔵量、生産能力ともに国内最大級であることがわかりました。その後1981年に、生産井の掘削や天然ガスの生産処理施設を建設し、1984年に越路原プラントが稼働、生産を開始。さらに1994年に親沢プラントが完成したことで、国産天然ガスの供給体制は飛躍的に向上しました。現在、24時間365日ノンストップで生産を続けています。

ここで学生たちを迎えてくださったのは、生産課長代理の桐生 光博氏。桐生氏は学生たちに向けて「現場に来て、目にしないと感じられないことが多々ある。日本は資源の乏しい国と言われているが、その中でもこうして長い間天然資源を開発、生産している現場があることを知って欲しい。そこでは、日本人ならではのきめ細やかさと、高いプロ意識を持つ多くのスタッフでプラントを操業していることを知って欲しい。」と伝えました。

桐生光博 生産課長代理
桐生 光博 生産課長代理

学生たちはまずバス内から、南朝日原坑井基地などを見学しました。実際にガスの生産・採収装置などを生で見ることができ、興奮している様子の学生たち。

見学している学生風景

桐生氏はここでの仕事について、「多くの工事や作業で火気を扱ったり高所での作業であったりして危険を伴うため、安定操業が責務の業種。目立った達成感はないが、プラントオペレーターや設備のメンテナンス、安全管理の立ち会い、操業サポートなど、さまざまな役割を持ったスタッフが日々連携して働いている。その全員で、安定生産・安定供給を維持するために、無事故・無災害というひとつのゴールに向かってチームプレーで業務を行うことがやりがいである。」と説明してくださいました。

エネキャリについて

「エネキャリ(ENERGY CAREER ACADEMY)」は、経済産業省 資源エネルギー庁の委託事業です。未来のエネルギー業界を担う大学生・大学院生などを対象に、石油・天然ガスなどのエネルギーを巡る最新動向・政策や、エネルギー業界で働く魅力について幅広く学ぶ機会を提供し、私たちの生活、そして地球の未来を担う次世代のイノベーターの育成を目指して本事業を行っています。