地層処分フォーラム~対話活動のこれからを考える~
結果概要
我が国には、これまでの原子力利用の結果、放射能レベルの高い廃棄物が既に相当量存在しています。この廃棄物は安定した地下深くに処分(地層処分)することが必要ですが、いまだその処分地が決まっていません。
この問題の解決に向け、平成27年5月、処分地選定に向けて、国が科学的により適性が高いと考えられる地域を「科学的有望地」として提示するなど前面に立って取り組む新たな方針を決定しました。この「科学的有望地」は、処分場所としての科学的な適性が高いと考えられる地域を一定の面的拡がりを持って示しつつ、国民や地域の関心と理解を深めることを目指すものであり、長い道のりの最初の一歩と考えています。
今般、この科学的有望地の提示を見据え、その後の対話活動の進め方を考える上で、どのようなことに注意していくべきか、モニター参加者と専門家を交えたパネルディスカッションを中心とした「地層処分フォーラム~対話活動のこれからを考える~」を平成28年3月に開催し、約40人に参加いただきました。
※モニター参加者:一般の方の中から参加者を募集し、御協力いただいた方々
パネルディスカッション概要
パネルディスカッションでは、冒頭、仮に自分の住む地域が科学的有望地に含まれた場合、率直にどう感じるかという質問から始まり、モニター参加者から、
- 岩盤、地面がしっかりしているということが保証されたことは肯定的に受け止められるが、他方、感情的に廃棄物が来るのは嫌だ、関わりたくないとい思ってしまう面もある。
- はなから嫌だと捉えず、どんなメリットがあるのか話しを聞いてみたい。
といった両面の御意見をいただきました。
また、地層処分が長期に亘る事業であることから、時間に関する現象の不確実性からくる不安、経験したことがないということに対する漠然とした不安があるとの意見もありました。
こうした意見も踏まえ、どのような対話活動が今後必要になってくるかという討議に展開し、
- 決して押し付けにならないよう、まずは知って頂くというようなコミュニケーションが重要。
- メリット、デメリット(リスク)の両方をしっかり伝え、平等に判断できる環境をつくることが大事。
- 子ども、孫世代がこの問題に少しでも理解をし始めるきっかけとして、教育現場でもしっかり取り上げることが大事。
- 事業に関わる人や組織に対する信頼問題といったものがこれからの課題。
- 直接対話ができる場をつくっていくことが大切。
等、モニター参加者と専門家間で活発な意見交換がなされました。
- 【コーディネーター】
- 八木 絵香氏(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
- 【パネリスト】
- 木村 浩氏(NPO法人パブリック・アウトリーチ研究企画部研究統括)
吉田 英一氏(名古屋大学博物館教授)
吉田 省子氏(北海道大学大学院農学研究院客員准教授)
モニター参加者4名