Q&A

自己託送に関するQ&A

Q.1 自己託送の要件は何ですか。

A. 自己託送を利用する場合は、以下の1~4の要件全てを満たす必要があります。詳細は『自己託送に係る指針』をご確認ください。

  1. 自家用電気工作物等が非電気事業用電気工作物であること。
  2. 他者から譲渡又は貸与等を受けた非電気事業用電気工作物ではなく、自ら設置した非電気事業用電気工作物を維持し、及び運用していること。
  3. 非電気事業用電気工作物を維持し、及び運用する者と当該非電気事業用電気工作物で発電した電気を供給する地点の需要家との間に密接な関係を有すること。
  4. 電気の最終消費者の需要に対する供給であること。

Q.2 「密接な関係」というのはどういう関係ですか。

A. 『自己託送に係る指針』に記載されている通り、会社法に規定する親会社と子会社の関係や、過半数の役員の派遣がなされている関係、一方の者から他方の者に対して事業に必要かつ当該一方の者以外の第三者への代替が困難な原材料、製品、役務等の提供が長期にわたり継続的に行われていることにより、当該一方の者と当該他方の者の間において社会通念上一つの企業とみなし得る関係等をいいます。

Q.3 自己託送利用者と密接な関係を有する者が維持し、及び運用する非電気事業用電気工作物を用いて、自己託送利用者自身が自己託送を行うことは可能ですか。

A. 自己託送利用者自身が非電気事業用電気工作物を維持し、及び運用していない場合は自己託送を利用できません。自己託送を利用する場合に、密接な関係を有する者が維持し、及び運用する非電気事業用電気工作物を用いて発電した電気も併せて送電することは可能です。ただし、密接な関係を有する者が自ら設置した非電気事業用電気工作物である必要があります。

Q.4 「他者から譲渡又は貸与等を受けた非電気事業用電気工作物」とは、具体的にどのような事例がありますか。

A. 既設の発電設備を他者から購入した場合やリース契約(所有権が移転するリース契約を含む)、エネルギーサービス契約等など、他者が所有・設置等した発電設備を用いる場合などは自己託送が認められません。ただし、請負契約等に基づいて他者に発電設備の設置工事等を依頼した場合に、発電設備の完工に伴って契約に基づいて所有権の移転が行われる場合は除きます。

Q.5 非電気事業用電気工作物の維持管理業務を外部に委託している場合であっても自己託送は認められますか。

A. 維持管理業務を外部に委託していることをもって自己託送の利用は否定されません。ただし、例えば、需要家となる者が、サポート事業者等とエネルギーサービス契約を締結し、需要家が発電設備の維持及び運用を行う根拠を持たないにも関わらず、当該発電設備の維持及び運用を含めた自己託送に要する業務を委託したと主張することをもって名義上発電設備の管理責任者であると申告するような場合は、自己託送はの利用は認められません。

Q.6 「電気の最終消費者の需要に対する供給」とは何か。

A. 自己託送においては、電気の供給を受ける一の需要場所において、実際に電気を使用・消費する者に対する供給である必要があります。例えば、一の需要場所において、受電設備を保有している者から、テナント等の他者に電気を供給(融通)している場合は、当該一の需要場所における電気の最終消費者には当該他者も含まれるため、受電設備の保有者による自己託送は認められません。 ただし、一の需要場所における当該他者全てと間に密接な関係が認められる場合や、関係法令等に基づいて需要場所を適切に整理すること等により密接な関係が認められる者にのみ供給することが明確にできる場合等は自己託送の利用が可能です。(この場合であっても、当該受電設備について他者から譲渡又は貸与等を受けたものである場合は認められません。)

Q.7 「一の需要場所における当該他者全てと間に密接な関係が認められる場合」に例外はあるのか。

A.  一の需要場所内において、専ら自己託送利用者に供される業務等(例えば、当該利用者が占有する建物内において外部の者が出入りできない空間(セキュリティゲートの内側等)において専ら当該利用者が雇用する者等に対して提供することを目的としたサービスや、当該利用者が他者に同サービスの提供を業務委託している場合など)において使用される電気については、現時点では、『自己託送に係る指針』の「3.自己託送における需要について」に規定している「自己託送により電気の供給を受ける一の需要場所において、自己託送を利用しようとする者又は当該者と経済産業省令で定める密接な関係を有する者から他の者に対して電気の融通(一の需要場所内における電気のやり取りをいう。)が行われ、当該他の者が最終的に電気を使用する場合」に該当しないものとしています。

Q.8 電気の最終消費者と一定の特別な関係が認められる場合(フランチャイザーとフランチャイジーの関係等)に、当該二者間での自己託送は認められるか。

A.  密接な関係等の自己託送の要件を満たさない場合は認められません。

Q.9 「自己託送に係る指針」の改正内容(令和6年2月12日改正)は、全ての自己託送に適用されますか。

A.  令和5年12月31日以前に、自己託送利用者が維持運用する非電気事業用電気工作物の接続検討申込み(低圧においては接続に係る契約の申込み。以下同じ。)が完了している場合については、改正前の指針の内容が適用されます。ただし、既存の自己託送に新たに別の非電気事業用電気工作物を追加する場合に、当該非電気事業用電気工作物の接続検討申込みが令和5年12月31日以前に完了していない場合は、改正後の指針の内容が適用されます。また、令和5年12月31日以前に接続検討申込みが完了している発電設備であっても、当該発電設備が非電気事業用電気工作物でない場合(連系済みの発電設備であって小売電気事業の用に供していた場合等)や、自己託送利用者以外の者が維持運用していた場合、自己託送利用者以外の者が接続検討申込みをしていた場合等は改正後の指針の内容が適用されます。

Q.10 地方公共団体と指定管理者(地方自治法第244条の2第3項)の間に密接な関係(電気事業法2条1項5号ロ)は認められますか。

A. 地方公共団体と指定管理者の間においては、電気事業法施行規則及び自己託送に係る指針に規定されている密接な関係に該当しない場合であっても、一般送配電事業者に対し自治体と指定管理者間の契約書と指定管理施設の情報(供給される住所や供給地点特定番号等)が明示されている協定書等を示すことにより、密接な関係を有するものとしています。

Q.11 自己託送を利用する際に特定供給の許可を取得しなければならない場合はどういった場合ですか。

A. 自家用発電設備等を維持し、及び運用する者が自己託送を利用するに当たっては、当該者又は当該者と経済産業省令で定める密接な関係を有する者が、電気事業法第27条の33第1項の規定に基づく特定供給の許可を取得しなければならないケースがあります。

 ケース①

 ケース②

 ケース③


 ケース④

 <参考:特定供給(電気事業法)>
 第二十七条の三十三 電気事業(発電事業を除く。)を営む場合及び次に掲げる場合を除き、電気を供給する事業を営もうとする者は、供給の相手方及び供給する場所ごとに、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
  一 専ら一の建物内又は経済産業省令で定める構内の需要に応じ電気を供給するための発電等用電気工作物により電気を供給するとき。
  二 小売電気事業、一般送配電事業、配電事業、特定送配電事業又は特定卸供給事業の用に供するための電気を供給するとき。

Q.12 一発電所で一部を小売電気事業者等に売電し、一部を自己託送に利用することは可能ですか。

A. 「電気事業の用に供する発電等用電気工作物(発電用の電気工作物及び蓄電用の電気工作物をいう。以下同じ。)以外の発電等用電気工作物(以下「非電気事業用電気工作物」という。)」とは、自家消費や特定供給の用に供することのみを目的として維持し、運用される発電等用電気工作物に限られず、例えば、発電事業者が維持し、及び運用する発電等用電気工作物の7割をその発電事業の用に供している場合であっても、残りの3割の部分に限定して、当該発電等用電気工作物を非電気事業用電気工作物とみなすことができます。

Q.13 組合を設立する場合の自己託送について、組合の具体的な定義・対象は何ですか。

A. 組合とは、民法第667条に規定される組合やその他法人格を有さない組合等を想定しております。 例えば、有限責任事業組合(LLP)は対象となりますが、匿名組合・中小企業等協同組合については、その実態が共同事業体とは言い難い組合形式であることや、自由な脱退規定が中小企業等協同組合法などによって定められているため、省令中の「長期にわたり存続する」とは言い切れないため対象外とみなされます。

Q.14 「長期にわたり存続することが見込まれるもの」の「長期」の基準は何ですか。

A. 個別のケースによって判断されますが、例えば、組合契約において、供給者がすぐに組合を脱退し、供給が途絶えてしまわないような規則を設けること等を確認することとしています。 また、期間についての基準はありませんが、上記Q12において対象外としているような組合形式は脱退について自由規定があるため認められません。

Q.15 組合を設立する場合の自己託送について、「新たに設置する」の定義は何ですか。

A. 組合を設立する場合の自己託送のために新たに設置し、一般送配電事業者の送配電網に接続する非電気事業用電気工作物が対象となります。既に稼働している発電設備やFIT制度による買取期間が満了した発電設備等は対象となりません。系統容量を確保し新たに逆潮流可能となった設備についても、既存設備は対象外となります。

Q.16 組合を設立する場合の自己託送について、複数需要場所(複数者)への自己託送は可能ですか。

A. 一の発電設備から複数の需要設備・者に対して供給を行う場合、電気事業法第27条の33第1項に基づき、特定供給の許可が必要となり、一の需要場所を対象とする自己託送とは別の規律の対象となります。特定供給において、組合型の供給を行う場合には、電気事業法施行規則第45条の24第3号に基づき、自らが維持し、及び運用する電線路を介して電気を供給する必要があります。

Q.17 蓄電用の電気工作物を用いて自己託送を利用することは可能ですか。

A. 蓄電用の電気工作物の維持運用者が自己託送を利用することは可能ですが、当該蓄電用の電気工作物が一般送配電事業者の系統を通じて供給を受けた電気を蓄電している場合は認められません。また、蓄電用の電気工作物が一般送配電事業者の系統を通じて供給を受けた電気を蓄電しない場合であっても、当該蓄電用の電気工作物に電気を供給する発電設備が非電気事業用電気工作物ではない場合は認められません。

Q.18 一般送配電事業者の供給エリアを跨ぐ場合の自己託送は可能ですか。

A. 供給エリアを跨ぐ場合も自己託送は利用可能ですが、2018年10月1日に導入された間接オークションによる取引を行わなければならないため注意が必要です。

最終更新日:2024年5月31日