はじめに
エネルギー資源の大部分を海外に頼る我が国は、限られた燃料資源の有効な利用を図ることが必要です。我が国は石油危機を契機に、1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和54年法律第49号)(以下、「省エネ法」という。)」による規制措置と、予算や税制の支援措置の両面で、徹底した省エネルギー(以下、「省エネ」という。)の取組を推進してきました。こうした官民の努力により、エネルギー消費効率(=最終エネルギー消費/実質GDP)を約4割改善し、世界最高水準の省エネを実現してきました。
引き続き、部門ごとに効果的な方法によって省エネをさらに加速していくことで、より合理的なエネルギー需給構造の実現と温室効果ガスの排出抑制を同時に進めていくことが重要です。2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画においては、2030年のエネルギー需給のあるべき姿として2015年7月に策定された長期エネルギー需給見通しの確実な実現に向けた取組をさらに強化するとともに、2050年を見据えたシナリオを設計しました。長期エネルギー需給見通しにおいて、省エネについては、2013年度実績から2030年度まで年率1.7%の経済成長等によるエネルギー需要の増加を見込みながら、具体的な裏付けのある対策・施策、技術の積み上げに基づく徹底した省エネにより、年間最終エネルギー消費を対策前に比べ原油換算5,030万kl程度削減することを見込んでいます。これは、2013年から2030年度までに、エネルギー消費効率を35%程度改善することに相当し、石油危機後の20年間に我が国が実現した省エネと同程度のエネルギー消費効率の改善が必要となります。我が国のエネルギー消費効率は現在でも世界最高水準にあり、既に相当の努力がなされてきたことを踏まえると、この見通しは野心的なものと言えます。
この見込みを着実に実現し、徹底した省エネと経済成長を両立させるため、業務・家庭・運輸・産業の各部門において、制度と支援措置の両面で、施策を検討及び随時実施してきました。