第5節 化石燃料に関する国際動向等の調査
日本は、化石燃料のほとんどを輸入に依存しています。化石燃料の国際需給及び価格は、産油国や需要国の情勢に大きく左右されるため、日本のエネルギー安全保障を維持するためには、国際原油市場を取り巻く環境の把握が不可欠です。特に近年は、米国のシェールオイル増産や、中東情勢の緊迫化、LNG市場の急速な拡大など、化石燃料の需給環境や国際情勢には大きな変化が訪れています。
また、国際社会においては、2015年に採択されたパリ協定を契機に、二酸化炭素などの温室効果ガス排出低減や、低炭素社会への移行に伴う財務リスクの開示など、各国政府や金融機関は企業に対して、具体的な気候変動対策の実施を求めるようになっています。特に、化石燃料を扱う企業に対する要請は強く、日本の化石燃料を扱う企業も、エネルギーの安定供給と気候変動対策の両立を図っていくことが重要です。
これらの状況を踏まえ、日本のエネルギー安全保障の維持を目的とした調査事業を行いました。
①燃料安定供給対策に関する調査等委託費のうち国際原油市場等を取り巻く環境や市場動向と価格形成に影響を与える諸要因に関する調査
中東、北米、ロシア、中南米等の産油国の国際情勢や金融市場、世界の製油所の競争力を主要なテーマとし、各分野の専門家を招聘して議論を行い、化石燃料の市場動向と価格形成に影響を与える要因について調査・検討しました。
②燃料安定供給対策に関する調査等委託費のうち世界的な石油・天然ガス・石炭関連企業の気候変動対策への投資動向調査
国際的な枠組みにおける気候変動に関わる方針、主要国の政策の方向性等の大局的な分析や、主要な資源・エネルギー事業者や投資家の個別の動き等、資源・エネルギー関連ファイナンスを巡る国際情勢の最新状況について調査し、整理・分析しました。