はじめに

日本のエネルギー政策全体の転換点となった東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から8年が経過しました。

2017年春までに、大熊町・双葉町を除き、すべての居住制限区域、避難指示解除準備区域における避難指示解除がなされるなど、福島の復興・再生は一歩一歩着実な進展を見せています。2017年5月に改正された福島復興再生特別措置法に基づき、特定復興再生拠点区域の計画策定を進めていた全ての町村(双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村)の計画が2018年5月までに認定されました。また、同法に基づき、福島県が福島イノベーション・コースト構想の推進を図るための重点推進計画を策定し、2018年4月に内閣総理大臣がこれを認定しました。このように、帰還環境整備、産業・なりわいの再生に向けた取組が着実に進められています。引き続き、被災地の実態を十分に踏まえ、地元との対話を重視しつつ、施策の具体化を進め、復興に向けた道筋をこれまで以上に明確にしていきます。

本章でははじめに、①東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策に関する取組等として、予防的かつ重層的な汚染水対策の取組の状況や、調査ロボットの投入など徐々に進展しつつある炉内調査をはじめとする廃炉に向けた取組等について記載します。

次に、②原子力被災者への支援について、避難指示解除の状況や、特定復興再生拠点区域の整備、除染の実施状況、福島イノベーション・コースト構想の推進にむけた施策、被災事業者の事業・なりわい再建支援の取組等についてまとめます。

加えて、福島を再生可能エネルギーや未来の水素社会を切り拓く「先駆けの地」として、新たなエネルギー社会を先取りするモデルの創出拠点とする③「福島新エネ社会構想」を紹介します。

そして、本章の最後では、④原子力損害賠償について、この8年間での実績・進展等を確認します。