第1節 原子力をめぐる環境と政策対応
2017年度においては、東日本大震災以降のエネルギー環境の変化を踏まえ、原子力委員会としての中立的・俯瞰的な立場から、今後の原子力利用全体の長期的方向性を示す「原子力利用に関する基本的考え方」(2017年7月閣議尊重決定)を策定しました。「原子力利用に関する基本的考え方」を十分に踏まえ、安全性の確保を大前提に国民の理解と信頼を得られるよう、関係府省庁が連携して取組を進めるとともに、自由化が進展する環境の下で原子力に関する諸課題を克服するための方策について必要な施策を立案し、実施しました。
具体的には、まず事故炉廃炉の確実な実施を確保するため、事故炉の廃炉を行う原子力事業者(事故事業者)に対して、廃炉に必要な資金を原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てることを義務づけること等の措置を講ずることを内容とする「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」の改正が、2017年5月に行われました。
また、近年の原子力利用を取り巻く様々な状況変化や国内外の動向等について、国民の方々への説明責任を果たすことは重要であり、その取組の一環として、2017年9月に7年ぶりに原子力白書を再開しました。
さらに、2018年1月に、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会を、約2年半ぶりに開催し、2018年3月までに5回開催しました。原子力小委員会では、原子力の社会的信頼の獲得に向けて、更なる安全性の向上、防災・事故後対応の強化、核燃料サイクル・バックエンド対策、状況変化に即した立地地域への対応、広報・国民理解活動の強化、安全を担う技術・人材・産業の維持・発展といった、原子力を巡る今後の課題について議論を進めました。
2017年度に行った施策は、以下の各節に記述しているとおりです。