はじめに

日本のエネルギー政策全体の転換点となった東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から7年が経過しました。

2017年春までに、大熊町・双葉町を除き、すべての居住制限区域、避難指示解除準備区域における避難指示解除がなされるなど、福島の復興・再生は一歩一歩着実な進展を見せています。2017年5月には改正福島復興再生特別措置法が成立し、帰還困難区域における特定復興再生拠点の整備、福島相双復興官民合同チーム(官民合同チーム)の体制強化や、福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の推進、風評被害の払拭など、原子力災害からの福島の復興・再生を一層加速していくための制度整備がなされました。

一方で、いまだに続く風評被害をはじめとして、新たな課題も顕在化してきており、引き続き、被災地の実態を十分に踏まえ、地元との対話を重視しつつ、施策の具体化を進め、復興に向けた道筋をこれまで以上に明確にしていきます。

本章でははじめに、①東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策に関する取組等として、予防的かつ重層的な汚染水対策の取組の状況や、調査ロボットの投入など徐々に進展しつつある炉内調査をはじめとする廃炉に向けた取組等について記載します。

次に、②原子力被災者への支援について、避難指示解除の状況や、帰還困難区域の再生に向けた取組、除染の実施状況、福島イノベーション・コースト構想の推進にむけた施策、被災事業者の事業・なりわい再建支援の取組等についてまとめます。加えて、③福島イノベーション・コースト構想の取組を加速し、その成果も活用しながら、福島を再生可能エネルギーや未来の水素社会を切り拓く「先駆けの地」として、新たなエネルギー社会を先取りするモデルの創出拠点とする「福島新エネ社会構想」を紹介します。

また、④原子力損害賠償について、この7年間での実績・進展等を確認します。

そして、本章の最後では、東電改革を踏まえ、2017年に改正された⑤原子力損害賠償・廃炉等支援機構法や東京電力と原子力損害賠償・廃炉等支援機構の策定した新々・総合特別事業計画を概観します。