第1章 安定的な資源確保のための総合的な政策の推進

油価低迷に伴う資源開発投資の抑制による将来にわたっての資源の安定供給リスクなど、資源をめぐる内外の環境は依然として不透明であり、資源の安定的な供給確保を図っていくことが喫緊の課題となっています。中国をはじめとした新興国の景気減速感による需要の伸び悩みや、米国のシェールオイル増産、主要産油国の高水準での生産等を背景とした供給過剰感から、原油価格は2016年1月には2003年来の安値水準まで下落し、2016年秋の石油輸出機構(OPEC)・非OPEC諸国の減産合意を経ても、依然50ドル台/バレルの低位で推移しています。一方で、石炭価格については、2016年末に急騰したものの、その後2017年2月時点では下落基調にあり、銅価格についても、中国経済の先行き不安から4500ドル台/トンの低位で推移しています。

こうした中、資源開発企業の財務状況が悪化しており、世界の資源開発投資が2年連続で減少するなど、資源開発投資を抑制する動きが進んでいます。足下での資源開発投資の抑制は、将来的なエネルギー需給のひっ迫につながるリスクがある一方で、こうした原油価格の低迷は、財政の悪化した産油・産ガス国からの優良な資源権益を獲得する良い機会にもなり得ると考えられます。2016年5月のG7伊勢志摩首脳宣言でも上流開発投資の促進が約束された中、2016年秋の臨時国会にて独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)法が改正され、JOGMECを通じたリスクマネー供給機能をより一層強化することなどを通じて、我が国企業による資源権益の獲得や供給源の多角化など、資源の安定供給確保に向けた総合的な政策を推進しています。