第1節 エネルギー国際協力体制の拡大・進化

世界のエネルギー情勢が大きく変化する中、各国がエネルギー需給構造をより安定化・効率化するためには一国での取組だけでなく、多国間及び二国間のエネルギー協力を戦略的に組み合わせつつ、国際的な協力を拡大することが重要となってきています。

そのため、2014年度においては、多国間の国際エネルギー枠組みを活用し、エネルギーの安定供給確保に向けた取組を進めるとともに、二国間の協力を通じて、アジア各国等との国際協力やエネルギー供給国との関係強化を行いました。

<具体的な主要施策>

1.多国間枠組みを通じた協力

(1)主要消費国における多国間協力

国際エネルギー機関(IEA)における協力

IEAは、1974年11月、第一次石油ショックを契機として、米国の提唱により石油消費国間の協力組織として設立されました。当初は、国際エネルギー計画(IEP)協定に基づく石油の90日備蓄義務及び緊急時対応を始めとするエネルギー問題解決のための国際協力が主な活動内容でしたが、現在では、エネルギー安全保障、環境保全、経済成長(3E)の同時達成という観点から、①低炭素技術の開発促進・省エネ、低炭素技術の開発・普及のための政策提言、低炭素技術R&Dのための技術協力、②国際石油市場、世界エネルギー需給、エネルギー技術等の見通しの策定、公表、③中国、インド、ロシアを含む新興途上国、産油国等との協力の構築、④国別エネルギー政策の審査、勧告の実施など幅広い活動を展開しています。現在の加盟国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国、スロバキア、ポーランド、エストニアの計29か国です。

2014年11月には、「世界エネルギー展望(WEO)2014」発表のために来日した、マリア・ファンデル・フーフェンIEA事務局長と宮沢経済産業大臣が会談し、IEAと我が国との連携や、我が国が取り組むエネルギー政策について、意見交換を行いました。

国際エネルギー機関拠出金【2014年度当初:3.4億円】

「世界エネルギー展望(WEO)」を始めとするエネルギー市場の分析、エネルギー技術ロードマップの策定、低炭素エネルギー技術プラットフォームの構築などを行うと同時に、IEAが知見を有するエネルギー安全保障にかかる緊急時対応審査(ERR)の実施や、これに関連するワークショップの開催等を支援するために、国際エネルギー機関加盟国として拠出を行っています。

国際省エネルギー協力パートナーシップ(IPEEC)における協力

IPEECは、我が国のイニシアチブにより2009年に設立された、参加各国の省エネルギー対策の自主的な取組を支援するための国際協力枠組みです。現在の加盟国は、G8、中国、韓国、ブラジル、メキシコ、インド、オーストラリア、南アフリカ、トルコ、EUであり、IEAに加盟していない中国やインドといった新興国も加盟していることが特徴です。我が国は、省エネルギー制度や先進的なエネルギー管理事例の情報提供を通じて各国との協力関係を築くとともに、特に、産業分野のエネルギー管理を推進するタスクグループである「エネルギー管理行動ネットワーク(EMAK)を中国とともに主導しています。

G7における協力

2014年5月に行われたG7エネルギー大臣会合では、エネルギーの政治的利用へのけん制、エネルギー安全保障の確保、ウクライナ支援等が共同声明に盛り込まれました。我が国の主張により、LNG市場柔軟化に向けて仕向地条項の緩和が明記されるとともに、原子力を含むエネルギー源の多様化、ウクライナへの石炭火力効率化支援等が共同声明に反映されています。

ウクライナ協力については、当該共同声明を受け、2014年8月、茂木経済産業大臣がウクライナを訪問し、プローダン 前エネルギー・石炭産業大臣と会談を行い、ウクライナの老朽石炭火力発電の効率向上やエネルギー政策のマスタープランづくり等、幅広い協力を進めていくことを確認した共同声明を発出しました。

G20における協力

2014年11月に、オーストラリア(ブリスベン)において、首脳会合が開催され、我が国からは安倍総理が出席しました。首脳会合では、強靱なエネルギー市場が経済成長に不可欠であるとの認識の下、エネルギー協力に関するG20原則に合意しました。また、エネルギー効率の改善が、経済成長・エネルギー安全保障等に資するとの観点から、G20省エネルギー行動計画に合意しました。安倍総理からは、石炭火力発電を始めとする火力発電は世界の重要電源であり、途上国への支援を通じて、これを可能な限り高効率化・低炭素化していくこと、世界最先端のクリーンエネルギー技術の普及により、世界のエネルギー効率改善に貢献していくこと、LNGを含む天然ガスが石油と並んで重要なエネルギー源となっている中、柔軟で競争的なガス市場の構築、特に、仕向地条項の緩和の重要性について説明しました。

(2)アジア地域における多国間協力

ASEAN+3・東アジア地域における協力

アジア地域におけるエネルギー需要の急増を踏まえ、アジア規模でのエネルギーの安全保障と持続可能性を確保するため、2004年より、ASEAN+3エネルギー大臣会合(ASEAN、日中韓13か国の代表が出席)、2007年より、EASエネルギー大臣会合(ASEAN、日中韓、豪、印、ニュージーランド、米、露18か国の代表が出席)が開催されています。

2014年9月に、ラオス(ビエンチャン)において第11回ASEAN+3エネルギー大臣会合及び第8回EASエネルギー大臣会合が開催され、山際経済産業副大臣が両会合でそれぞれ副議長、共同議長を務めました。ASEAN+3エネルギー大臣会合では、高効率石炭火力を含むクリーンコール技術の導入推進に向けた協力の強化及び技術移転や公的金融支援継続の必要性、競争的な価格や仕向地条項の緩和を含む柔軟な天然ガス市場の推進の重要性が確認されました。また、我が国が実施する石油備蓄の推進、原子力及び省エネルギー分野の人材育成の成果が歓迎され、引き続き協力活動を推進していくことが合意されました。EASエネルギー大臣会合では、省エネルギー目標と行動計画の策定やエネルギー管理の高度化による省エネルギーの推進などの活動が歓迎されたほか、競争的な天然ガス価格や柔軟、透明かつ持続可能な天然ガス市場の重要性、関心国におけるベースロード電源としての原子力発電の重要性や、高効率石炭火力を含むクリーンコール技術の適用・普及の継続の必要性が認識されました。また、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)による石油備蓄に関する新たな調査研究の開始が合意されました。

東アジア経済統合研究協力拠出金【2014年度当初:3.2億円】

東アジア各国の運輸部門における燃料消費の抑制に向けたロードマップの策定や、東アジア各国の省エネロードマップの策定、バイオ燃料の品質管理手法に係る規格・基準の統一化に関する研究等、我が国の省エネルギー・再生可能エネルギー関連設備等の導入促進を図るための研究・政策提言等を実施するためにERIAに拠出を行いました。

日ASEANにおける協力

日・ASEANエネルギー協議を2000年度から毎年開催し、2014年6月に第15回協議を開催しました。本協議では、日本のエネルギー政策の動向及びASEAN各国のエネルギー需給見通しについて情報交換を行うとともに、省エネルギー協力、エネルギーデータ整備協力、石炭火力発電の役割等について議論を行いました。

また、専門家派遣による作業部会を開催し、ASEAN諸国に対してエネルギー統計技術移転を実施しました。

アジア太平洋経済協力(APEC)における協力

1989年11月にオーストラリア・キャンベラで開催された第1回APEC閣僚会議において、エネルギー問題に対する域内協力の重要性と、これを専門に議論する場を設定することで一致しました。これを受けて、1990年にエネルギー作業部会(EWG)が設立され、さらに1996年には、よりハイレベルなエネルギー政策対話を行うため、シドニーにおいて第1回APECエネルギー大臣会合が開催され、以後ほぼ隔年に開催されています。

これまでのAPECエネルギー大臣会合において我が国が提案し、合意された事項に基づき、①APECメンバーのエネルギー効率向上に向けた取組状況をレビューする「エネルギー効率ピアレビュー」、②低炭素エネルギー供給を促進するための「低炭素エネルギー供給政策ピアレビュー」、③急速な都市化に直面するAPEC地域において、都市レベルで低炭素技術を統合的に導入することを目指す「APEC低炭素モデルタウンプロジェクト」、④石油及びガスの供給途絶時の対応能力の強化を図るための「APEC石油ガス・セキュリティエクササイズ」を着実に実施しました。

(ア) アジア太平洋経済協力拠出金【2014年度当初:1.1億円】

アジア太平洋地域におけるエネルギー効率の向上やエネルギー源の多様化、低炭素技術の開発・普及のため、新興国・途上国を対象とした低炭素化促進プロジェクト(低炭素モデルタウンプロジェクト等)を支援するために、APEC事務局に拠出を行いました。

(イ) アジア太平洋エネルギー研究センター拠出金【2014年度当初:6.6億円】

APECにおける省エネルギー・低炭素化政策の相互審査(ピアレビュー)や「APEC長期エネルギー需給見通し」の作成、エネルギー統計の専門家育成のための研修生受入・専門家派遣、「LNG産消会議」の開催、石油及びガスの供給途絶時におけるAPEC各エコノミーのエネルギー供給状況のシミュレーションと対応能力強化に向けたワークショップ開催のために、アジア太平洋エネルギー研究センターに拠出を行いました。

(3)その他の多国間協力(生産国と消費国の対話等)

国際エネルギーフォーラム(IEF)における対話

IEFは、1991年1月に第1回が開催されて以降、世界の主要産油国・消費国のエネルギー担当大臣とIEA、OPECを始めとする国際機関の代表が2年に1回、一堂に会する重要な「産消対話」の場です。

また、IEFではIEAなどの関係6機関と協力し、石油と天然ガスの統計整備を進めており(国際機関協働データイニシアチブ:JODI<Joint Organizations Data Initiative>)、2005年のJODI-Oi(l 石油の統計データベース)公開に続き、2014年5月にはJODI-Gas(天然ガスの統計データベース)が公開されました。

国際エネルギーフォーラム拠出金【2014年度当初:0.3億円】

約90か国の産油国・消費国の閣僚がエネルギー市場の安定等について議論するIEF閣僚会合の開催支援を行うとともに、国際機関協働データイニシアチブ(JODI)事業を実施するために、国際エネルギーフォーラムに拠出を行いました。

国際機関協働データイニシアチブ(JODI)の整備

エネルギー需給の動向についての正確かつタイムリーな情報が市場に提供されることは、適正な需給バランスの把握等市場の透明性が増して過度の価格乱高下を抑制できると考えられることから、需給ファンダメンタルズに関する情報共有を進めることが重要となります。具体的には国際的な情報インフラを構築するため、IEFが中心となって、UNSD(国連統計局)、APEC、IEA、OPEC等が参画した国際機関協働データイニシアチブ(JODI)という活動を進めてきました。JODIのデータは年々充実しており、一層のデータ拡充に向けて関係機関が協力して取組を続けています。2014年5月にモスクワで開催された閣僚会合では、公式にJODI-Gas(天然ガスの統計データベース)の運用が発表されました。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)における協力

IRENAは、再生可能エネルギーの普及・利用促進を目的として設立された、IEA、IAEAに次ぐ第3のエネルギー分野の国際機関であり、我が国は、2010年7月から正式に加盟しました。事務局はUAEのアブダビに設置されています。IRENAの主な活動は、①加盟国の政策、制度、技術、成功事例の分析・体系化、②他の政府・非政府機関等との協力、③政策助言、④技術移転、⑤人材育成、⑥資金に関する助言、⑦研究ネットワークの展開、⑧国際的技術基準の作成等です。

2015年1月には、IRENAの第5回総会がアブダビで開催され、宮沢経済産業大臣及び中山外務副大臣が共同議長として、アドナン・アミン事務局長の再選手続を含む、議事を進行しました。また、同総会を通じて、日本が先進技術を持つ再生可能エネルギー分野において世界に貢献していく姿勢を示しました。

国際再生可能エネルギー機関分担金【2014年度当初:1.8億円】

IRENAを通じ、我が国単独では十分な成果が見込めない大規模な調査や普及活動を実施することにより、再生可能エネルギーを国際的に普及させるため、同機関の活動・運営費用を、各国分担率に基づき、外務省、農林水産省、経済産業省、環境省の4省共同で分担しました。

国際再生可能エネルギー機関拠出金【2014年度当初:0.5億円】

IRENAが調査や普及活動を実施する際に、我が国に強みのある再生可能エネルギー関連技術を取り上げるよう働きかけ、蓄電池等の我が国技術の海外展開の環境整備や食料供給と競合せずに地域の特性を活かす「日本型バイオマス利活用システム」を広く国際的に普及させるため、分担金に加え、経済産業省と農林水産省から拠出を行いました。

クリーンエネルギー大臣会合

クリーンエネルギー大臣会合(CEM)は、世界の主要23カ国及び地域から構成される、クリーンエネルギーの普及促進を目的とした唯一の国際会合となっております。2014年度も5月に第5回会合が韓国・ソウルで開催され、我が国からは、田中経済産業大臣政務官が出席致しました。

再生可能エネルギー普及のセッションでは、日本の新しいエネルギー計画を説明し、我が国として再生可能エネルギー導入を最大限加速していくことを表明しました。

省エネルギーのセッションでは、我が国がリードする産業別エネルギー効率向上イニシアチブにおける成果をアピールすると共に、産業界での省エネルギーの重要性、特に石炭火力発電の効率改善の重要性を訴えました。

また、民間企業を交えたハイレベル官民ラウンドテーブルでは、日本が誇る大型蓄電池技術と世界に先駆ける実証の取組を、同席した蓄電池メーカーと共にアピールしました。

加えて、我が国としてクリーンエネルギー大臣会合にさらに貢献すべく、新たに女性のクリーンエネルギー研究開発分野への進出促進の為の女性イニシアチブと、クリーンエネルギー由来の電灯等を普及させることにより、アフリカ等最貧国における電化率向上を目指すGlobal LEAPイニシアチブに参加することを表明し、各国の賛同が得られました。

エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ(GSEP)

GSEPは、クリーンエネルギー大臣会合とIPEECの下、官民双方が参加する、最先端の省エネルギー・低炭素技術の発展・普及に関する日米共同イニシアチブとして2010年に設立されました。日本が議長国を務めるセクター別ワーキング・グループ(WG)のうち、電力WGでは、2014年10月にモンゴルでワークショップを開催し、高効率火力発電技術についての情報やこうした技術の導入・普及の促進のための取組に関するベストプラクティスの共有を図るとともに、石炭火力発電所における省エネ診断を実施しました。また、鉄鋼WGでは、2014年9月にフランスで会合を開催し、鉄鋼産業におけるエネルギー管理に関する情報交換等を実施するとともに、今後の具体的な活動内容を示したアクションプランについて合意しました。

多国間枠組を通じた人材育成

APEC域内から研修生を受け入れ、エネルギーデータの収集、統計整備等についての研修を行うとともに、一部に専門家を派遣し、研修内容のフォローアップを行いました。また、ASEAN+3の枠組では、省エネルギーの推進を目指した研修事業の実施及び専門家派遣や、エネルギー統計技術移転事業を実施しました。

証券監督者国際機構(IOSCO)との連携

経済産業省は、商品取引所及び取引所外取引における相場操縦行為等の不公正取引の監視強化や透明性向上のために、証券監督者国際機構(IOSCO)の活動に積極的に参画しています。IOSCOは『商品デリバティブ市場の規制及び監督に関する原則』の実施、取組について調査を行い、2014年9月9日、「『商品デリバティブ市場の規制及び監督に関する原則』の実施状況に関する報告書」を公表しました。またIOSCOは同日付で、「石油価格報告機関に関する原則」の遵守に向けた取組への評価を行った結果を「『石油価格報告機関に関する原則』の実施状況に関する報告書」として公表しました。

商品先物市場監督当局間の協力

経済産業省は、各国の先物監督当局間で行われる会合に定期的に参加するなどして、積極的に情報交換、協力を行っています。その際、米国や欧州を始めとした諸外国の規制内容との調和が図られるよう努めています。

2.二国間協力の推進

(1)先進諸国との協力

日米協力

2014年4月、安倍総理とオバマ大統領は日米首脳会談において、日米エネルギー協力の重要性について再確認しました。さらに、首脳会談において発出された日米共同声明においては、日本から、米国からのLNGの輸出の将来的な見通しを歓迎する旨、米国からは,包括的,平和的かつ安全な原子力の利用及び再生可能エネルギーの導入の加速を含む日本の新しいエネルギー基本計画を歓迎する旨を盛り込みました。また、日米両国は,企業間の協力の促進や民生用原子力の協力の深化によるものを含め,クリーンエネルギーの開発を促進するために共に取り組むことを確認しました。

天然ガス分野については、安倍総理を筆頭とするハイレベルな資源外交の結果、現在、日本企業が関与する全てのLNGプロジェクトについて輸出承認を獲得し、FERC(米国連邦エネルギー規制委員会)の承認も取得しました。

また、2014年11月6日、宮沢経済産業大臣とケネディ駐日米国大使の立ち会いの下、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と米国国立エネルギー技術研究所(NETL)が、メタンハイドレートの日米共同研究に関する覚書に署名しました。

原子力分野では、2014年6月には、東京において、日米二国間委員会の第3回会合を開催し、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策及び廃炉、原子力の損害賠償(原子力損害の補完的補償に関する条約への日本の条約締結表明)、核セキュリティ、緊急事態管理、原子力安全及び規制、民生用原子力の研究開発、確率論的リスク評価(PRA)に関する二国間の協力、等につき有益な意見交換を実施しました。

クリーンエネルギー分野においては、2011年以降、日米クリーンエネルギー政策対話を6回開催し、今後の日米クリーンエネルギー協力の在り方について議論を行ってきました。また、クリーンエネルギー分野の日米官民協力枠組みである、日米再生可能エネルギー等官民ラウンドテーブルについても、これまでに3回開催し、日米両国の企業及び政府関係者が出席し、再生可能エネルギー、省エネルギー及びスマートコミュニティ等の普及拡大に向けた課題等について議論を行っています。

また、昨今の日米エネルギー協力は化石燃料分野や電力システム分野、クリーンエネルギー分野まで幅広く拡大してきていることを踏まえ、上記政策対話の名称を「日米エネルギー政策対話」に改称し、日米間のエネルギー協力を広く議論する場として、今後とも継続開催していくことを、日米間で合意致しました。さらに、2014年12月には、ワシントンにおいて、日米エネルギー戦略対話を初めて開催し、世界のエネルギー問題・輸送問題等のテーマについても議論を行いました。

日加協力

カナダは、西部のブリティッシュコロンビア州でLNGプロジェクトが複数検討されており、日本にとって、地理的な近接性を含め、供給源の多角化を進めていく上で期待している供給元の一つです。

2014年11月に、カナダ天然資源省との間で、第1回政策協議を東京にて開催し、カナダからのLNGの輸入を実現する上での、LNG課税、労働力不足、迅速な許認可手続き等の課題について協議を行いました。さらに、カナダにおける今後の原油生産拡大の見通し、輸出関連インフラの整備状況等について議論しました。

日仏協力

日仏両国は、石油・天然ガスの多くを輸入に依存する点や、今後のエネルギー源の多様化を追求する点等、エネルギー構造、エネルギー政策に多くの共通点が存在します。この観点から、日仏両国では高級事務レベル対話である日仏エネルギー政策対話を設置しており、2014年6月、東京にて第3回会合が開催されました。会合では両国の最新のエネルギー政策についてアップデートすると共に、エネルギー安全保障の強化策について議論を行いました。

原子力分野においては、2011年10月の東京での日仏首脳会談における両国首脳の主導により設置された原子力エネルギーに関する日仏委員会の第4回会合を2014年9月にパリにて開催し、両国の原子力エネルギー及び核燃料サイクルにかかる政策、高速炉協力、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・除染等にかかる協力、原子炉の第三国展開にかかる産業協力、原子力安全規制にかかる二国間の協力等につき、有益な意見交換を行いました。

日英協力

2014年5月、安倍総理が訪英し、キャメロン首相との間で日英首脳会談を実施しました。その際、両首脳は「気候変動とエネルギー協力に関する日英共同声明」を発出し、日英両国は、日英エネルギー対話及び国際会議などを通じ,国際的な気候変動及びエネルギー安全保障に関する問題について引き続き緊密に協力することを確認しました。

7月には第6回日英エネルギー対話をロンドンにて開催し、両国のエネルギー政策、電力システム改革、石油・天然ガス調達戦略、再生可能・省エネルギー政策、さらに多国間枠組みにおける日英協力のあり方について議論を行いました。

10月には、2012年4月に発出された日英両国首相による共同声明に基づき、第3回日英原子力年次対話を東京にて開催し、両国の原子力政策、廃炉及び除染等の東京電力福島第一原子力発電所事故対応、原子力研究開発政策、リスクコミュニケーションを含む広報の在り方等について、有益な意見交換を行いました。

欧州委員会との協力

ウクライナ情勢を契機に、欧州委員会が主導しガスセキュリティ・ストレステストが実施されました。

我が国におけるガスの需給に関する情報提供を行うと共に、①仕向地条項の緩和に向けた努力を続ける、②緊急時にスポット価格の高騰へと繋がる衝動的な購入を防ぐため消費国同士での連携を図る、③日本震災後に取り組んだ省エネの経験を共有するなどの提案を行い、当該内容を踏まえた報告書が2014年10月に欧州委員会より公表されました。

日ウクライナ協力

2014年5月のG7エネルギー大臣会合及び6月のG7サミットにて、ウクライナに対してエネルギー効率の向上を含め、各国がさまざまな形での支援を実施することで一致したことを受けて、同年8月、茂木経済産業大臣がウクライナを訪問しました。訪問中、プローダン 前エネルギー・石炭産業大臣と会談を行い、国際エネルギー情勢やウクライナのエネルギー安全保障の確保に向けた二国間の協力について議論を行いました。

会談後、エネルギー協力に関する共同声明を発出し、日本としてウクライナの老朽化した石炭火力発電の効率向上やエネルギー政策のマスタープランづくりなど、幅広い協力を進めていくことを確認しました。また、石炭エネルギーセンター(JCOAL)とエネルギー・石炭産業省間にてMOUに署名し、JCOALを通じて、石炭火力発電所の効率化に向けた設備診断や技術者交流等を行っていく旨確認しました。

日豪協力

日豪両国は、石炭、LNG、ウラン等の資源エネルギーの分野において重要なパートナーであり、1985年以来、国際エネルギー情勢や両国のエネルギー政策等を議論する二国間対話の場として、日豪エネルギー高級事務レベル協議(HLG)を開催しています。2014年6月には、第35回日豪HLGをブリスベンにて開催し、両国のエネルギー・鉱物資源政策や電力市場改革、エネルギー技術等について意見交換を行いました。

また、2014年11月に東京にて開催されたLNG産消会議にオーストラリア政府のハイレベルが出席し、LNG市場の発展等に向けた議論を行いました。

(2)アジアとの協力

日インド協力

インドは、米中露に次ぐ世界第4位のエネルギー消費国であり、2035年には、エネルギー需要は2010年比で約2.2倍に増加する見込みです。インドのエネルギー資源の安定供給確保とエネルギー効率化の向上は、日本のエネルギー安全保障の上でも重要であり、両国の経済発展にも直結する重要な政策課題になっています。また、インドの電力は、石炭火力発電が約7割を占めており、発電効率の向上や環境対策も重要な課題となっています。

こうした背景を踏まえ、エネルギー分野における両国の協力拡大を図る観点から、2007年の首脳合意を踏まえ、閣僚級の枠組みである「日印エネルギー対話」を立ち上げ、両国閣僚の相互訪問により、2007年以降、計7回の対話を実施しました。

2014年1月には安倍総理が訪印し、シン首相(当時)との会談で、2013年9月に開催された第7回日印エネルギー対話の成果を確認し、日印エネルギーフォーラムの開催、日印再生可能エネルギー等官民ラウンドテーブルの開催、日印LNG協力に関する共同声明、クリーン・コール・テクノロジーに関する協力の進展を歓迎しました。また、両首脳は、持続可能な成長及び環境にやさしい技術の促進のために二国間及び地域での協力を強化する必要性を強調するとともに、JCMに関する協議を継続することに合意しました。

2014年9月にはモディ首相が来日し、安倍総理との会談で、「日印エネルギー対話」を通じて、石油・天然ガス市場、エネルギー効率、再生可能エネルギー、石炭火力発電技術といった分野での協力をさらに強化していく意思を確認しました。エネルギーに関する複数の覚書署名を歓迎しました。また、両首脳は、両国間の民生用原子力協力の重要性を確認し、原子力の平和的利用に関する協力についての協定にかかる交渉の重要な進展を歓迎しました。

また、2014年9月に日印エネルギーフォーラム2014“エキシビション”を開催し、NEDOの主催の下、22社・団体が出展し、日本の優れたエネルギー技術を核とした展示会・商談会を開催しました。

2014年11月には、アンドラプラデシュ州・ナイドゥ首相が来日し、宮沢経済産業大臣立会いのもと、NEDOとアンドラプラデシュ州が、スマートコミュニティ技術をはじめとするエネルギー分野での協力に関する基本協定書(MOU)に署名しました。本MOUに基づき、2015年3月には同州に企業ミッション団を派遣してスマートコミュニティセミナーを開催しました。

日インドネシア協力

インドネシアは、日本にとって有数の天然ガス及び石炭の輸入相手国であり、複数の日本企業が多くの上流開発プロジェクトやLNGプロジェクトに参画しています。

こうした状況を踏まえ、両国のエネルギー協力関係を強化するため、2014年6月にジャカルタで第2回日インドネシアエネルギーフォーラムを開催しました。同フォーラムでは、石油・天然ガス、電力、省エネルギー、再生可能エネルギーなどの分野における、政策、金融制度、個別案件や技術動向等について、官民による情報共有と意見交換を行いました。

さらに、石炭分野においては、我が国炭鉱技術移転のための専門家の派遣を実施し、また、2009年より「石炭政策対話」を実施し、個別具体的な協力案件を醸成してきたところです。また、インドネシアは有望な地熱発電市場であることから、同国の政府関係者向けに、地熱発電分野を中心とした再生可能エネルギーに係る研修事業を行いました。

環境エネルギー協力としては、JCMの下で2014年に4件の方法論を採択し、第1号プロジェクトの登録を行いました。

日ベトナム協力

ベトナムは、石炭、石油・天然ガス、鉱物資源を豊富に保有する資源国であり、日本にとって良質な無煙炭の重要な供給国です。現在、両国間においては、第七次電力マスタープランの実現に向けた協力、日ベトナム共同での石炭地質構造調査、日越石炭政策対話の開催、原子力発電導入、省エネルギー促進のための長期専門家の派遣、受入研修等、多岐の分野にわたる協力関係が進展しています。特に、電力の安定供給の観点から、ベトナムは原子力発電の導入を積極的に検討しており、ベトナムでは、2030年までに10基の原子力発電所の建設が計画されています。

我が国との具体的なエネルギー協力として、原子力分野では、2010年10月の日越首脳会談で我が国が協力パートナーとなることで合意したニントゥアン省原子力発電所第2サイト建設計画について、2014年10月の小渕経済産業大臣(当時)とフック副首相との会談において、引き続き実施に向けて協力していくことが確認されました。

石炭分野では2013年より「日越石炭政策対話」を実施しています。また、国営石炭鉱物工業グループ(VINACOMIN)と共同で地質構造調査や我が国炭鉱技術移転のための専門家の派遣や研修生受入れ、我が国のクリーン・コール・テクノロジーの導入を促進するための派遣・招聘技術交流を実施しました。

環境エネルギー協力については、2015年1月にJCMの第3回合同委員会を開催し、3件の方法論を採択しました。

日ミャンマー協力

ミャンマーは、天然ガスを豊富に保有する資源国であるほか、電力需要が急速に増大すると見込まれています。

我が国は、2014年に、ミャンマーのエネルギー人材育成を支援し両国の関係を強化するため、電力政策や省エネルギーなどエネルギー政策立案のための専門家研修を開催いたしました。

2014年9月には、山際経済産業副大臣がアウン・トゥエネルギー副大臣と会談し、高効率石炭火力をはじめとするクリーンコール技術の導入促進や天然ガス開発など、今後の二国間協力に関する議論を行いました。特に天然ガス開発分野では、2015年2月に日本企業が天然ガスの海上探鉱権益を取得しました。また、ミャンマーの石油下流市場への日本企業の進出可能性に関する現地調査を行うとともに、2015年2月には、宮沢経済産業大臣及び岩井経済産業大臣政務官とゼヤー・アウンエネルギー大臣との会談及び京葉地区の製油所視察等を通じ、二国間協力をさらに推進しました。

日タイ協力

タイでは、2014年8月に暫定政権が成立し、民主的な体制への移行に向けて動き始め、エネルギー政策も見直しが進められています。こうした中、2015年2月、安倍総理がプラユット首相と会談し、日タイ・エネルギー政策対話の創設に向け協力することを確認しました。また、高効率石炭火力発電の推進が、エネルギー安全保障及び温室効果ガス排出の削減に貢献するとの考えを共有し、また、国際的な場においてこの考えを共有することの重要性を強調しました。

日カンボジア協力

石油分野において、鉱業エネルギー省次官を招聘し、我が国のエネルギー・石油備蓄政策等の説明及び国家石油備蓄基地の視察を実施しました。また、スイ・セム鉱業エネルギー大臣から同国の石油備蓄マスタープラン作成について協力要請を受け、同マスタープランに必要なデータの提供、政策提言を行いました。

日モンゴル協力

モンゴルは、石炭やウラン等の鉱物資源の埋蔵が確認されており、今後の資源の供給国として期待されています。我が国企業の資源確保や投資の促進を目的として、2007年に日モンゴル鉱物資源開発官民合同協議会を設置し、2013年5月に第6回鉱物資源開発官民合同協議会をウランバートルで開催し、経済産業省、モンゴル鉱業省の他、両国政府機関、民間企業が出席し、石炭を始めとする鉱物資源開発分野の協力について意見交換を行ったところです。

石炭分野における協力としては、ウランバートルにおける深刻な大気汚染の削減に向けたセミコークスの製造に関する技術的支援、さらに水資源に乏しいモンゴルにおける石炭高付加価値化に向けた乾式選炭技術導入に向けた協力などを実施しています。

日中協力

中国は、世界最大のエネルギー消費国であり、今後も2035年までのエネルギー需要は約3割伸びると見込まれていることから、中国のエネルギー需給の安定は、日本のエネルギー安全保障にとって重要な課題です。また、中国においては、近年、石炭火力発電や自動車等を由来とした大気汚染が大きな問題となっており、その解決策の一つとして、省エネルギー対策に取り組んでいるところです。

こうした状況を踏まえ、2014年12月、日中の官民による省エネ・環境協力のプラットフォームである「第8回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」が約2年半ぶりに開催されました。今次フォーラムには、日本側から高木経済産業副大臣、中国側から解振華国家発展改革委員会副主任及び高燕商務部副部長をはじめ、両国の官民関係者合わせて500名を超える参加者がありました。また、今次フォーラムでは、41件の協力案件が調印され、2006年5月の第1回開催以来の累計での協力案件数は259件となりました。

今回調印された協力案件では、エネルギー管理システムやスマートコミュニティなどが主要な協力分野として定着してきているほか、大気汚染対策等の案件が増加するなど、直面するニーズを的確に反映した新たな協力が進んでいます。さらに、今次フォーラムでは、日中双方の関心のある6つの分野(①エネルギー管理システム・LED、②石炭火力発電、③大気汚染対策、④循環経済、⑤次世代自動車、⑥長期貿易)における政策や技術等に関して実務レベルで意見交換を行う分科会を開催し、具体的なビジネス及び協力の機会の拡大を図りました。

(3)エネルギー供給国等との関係強化

①日サウジアラビア協力

サウジアラビアは、世界有数の産油国かつ日本にとって第1位の原油供給国です。また大きな余剰生産能力を持つことから、国際原油市場の安定にも大きな影響力を有しています。2010年からは石油の共同備蓄事業を開始するなど協力関係を進展させてきました。

また近年、同国はエネルギー消費の急速な伸びが課題となっており、我が国の有する省エネルギーの経験を活かした協力が重要となっています。2007年に立ち上げた投資促進、人材育成、中小企業支援を柱とした日サ産業協力タスクフォースを通じて、エネルギー分野にとどまらない幅広い協力・関係強化を官民一体となって推進しています。

2014年5月には、茂木経済産業大臣が企業を同行し、サウジアラビア(リヤド)を訪問しました。茂木経済産業大臣は、日本・サウジアラビア・ビジネスフォーラムにおいてオープニングスピーチを行い、両国が経済関係をさらに深化させ、重要なパートナーとしてともに発展していく期待を述べました。

フォーラムには、日本から同行した経済ミッションのメンバーを含め日本側130名とサウジアラビア側150名の合計280名が参加しました。また、アブドルアジーズ石油鉱物資源副大臣と会談し、国際的なエネルギー情勢について意見交換を行ったほか、エネルギーのみならず様々な分野における両国の協力をさらに発展させていくことを確認しました。また、サウジアラビアが熱心に取り組もうとしている省エネルギー分野における協力の拡大についても意見交換が行われました。加えて、タウフィーク商工大臣とサウジアラビアの輸出振興における協力強化について議論したほか、ジャーセル経済企画大臣とは、ウクライナ情勢の影響など国際的なエネルギー動向についての意見交換や、サウジアラビアの産業人材育成や中小企業育成などでの協力について議論を行いました。

日UAE協力

アラブ首長国連邦(UAE)は、日本にとって第2位の原油調達国であり、我が国の自主開発原油の約4割が存在する資源国です。我が国との間では、要人の往来が活発に行われており、様々な分野での協力を推進してきました。

2014年5月には、赤羽経済産業副大臣がUAEを訪問し、スウェイディ・アブダビ国営石油会社(ADNOC)総裁及びハルドゥーン・アブダビ執行関係庁長官との間でエネルギー分野等での両国関係強化について意見交換を行いました。

2014年11月には、高木経済産業副大臣がUAEを訪問し、アブダビ国際石油会議(ADIPEC)に出席するとともに、アブダビ政府要人等との会談等を行いました。スウェイディADNOC総裁との会談では、石油権益の獲得延長を働きかけるとともに、石油の安定供給、日アブダビ間の協力関係の強化等について意見交換を行いました。また、ムハンマド・アブダビ皇太子の提案で始まった石油共同備蓄事業の延長拡充に関する覚書の署名を行いました。マズルーイ・エネルギー大臣とは、エネルギーや投資等の分野における日UAE間の協力の強化、国際石油市場の動向、石油の安定供給、省エネルギー及び再生可能エネルギー分野における協力等について意見交換を行いました。

2014年12月には、スウェイディADNOC総裁が来日しました。宮沢経済産業大臣と会談が行われ、石油分野を始め、幅広い協力を継続していくことで一致しました。

また、2015年1月には、宮沢経済産業大臣が国際再生エネルギー機関(IRENA)第5回総会に出席するためにUAEを訪問しました。宮沢経済産業大臣は同総会の議長を務め、日本が先進技術を持つ再生可能エネルギー分野において世界に貢献していく姿勢を示しました。またアブダビ政府要人等との会談を通じて、エネルギーにとどまらない幅広い協力を進めることで一致しました。ハーミド皇太子府長官とは、原油価格の下落の我が国や世界経済への影響などについて意見交換するとともに、日本企業の石油権益の獲得延長を働きかけました。マズルーイ・エネルギー大臣とは、石油や原子力等のエネルギー分野を基礎としつつ、投資、教育や医療を始めとする幅広い分野で協力を一層推進することで一致しました。スウェイディADNOC総裁との会談では、石油権益の獲得延長の働きかけを行い、またクベイシ・アブダビ総裁代行との会談においても、石油権益の獲得延長を働きかけるとともに、教育及び医療分野における協力関係の強化に関する覚書の署名に立ち会いました。

同年4月には、こうした資源外交の大きな成果として、世界屈指の巨大油田であるアブダビ陸上油田について、我が国企業がアジア企業として初めて権益(5%)を獲得しました。

日カタール協力

カタールは、世界第3位の天然ガス埋蔵量を有する資源国であるとともに、日本にとって第3位の原油輸入国、第2位の天然ガス輸入国です。カタールとは、2006年11月に第1回日・カタール合同経済委員会(麻生外務大臣及び甘利経済産業大臣とアティーヤ第二副首相兼エネルギー工業大臣が出席)を開催し、その後毎年委員会を開催して二国間経済関係をさらに幅広く包括的なものにしていくために協議を重ねてきました。

2014年5月には、赤羽経済産業副大臣がカタールを訪問し、アル・サダ・エネルギー工業大臣とアデリ・ガス輸出国フォーラム事務局長とLNGを含むエネルギー政策について意見交換を行いました。

また2014年11月には、経済産業省主催の第3回LNG産消会議出席のため、アル・サダ・エネルギー工業大臣が来日し、LNG市場の発展に向けた議論が行われました。また宮沢経済産業大臣との会談が行われ、LNGの低廉かつ安定的供給について協議しました。さらに、2年ぶりの開催となる第8回日・カタール合同経済委員会が併せて開催され、日本側は、LNG供給源の多角化をはじめとする我が国の取組やLNG市場の変化に触れつつ、競争力のある価格でのLNGの安定供給を要請したのに対し、カタール側は、エネルギーの安定供給を通じた日本のエネルギー安全保障へのコミットメントを確認しました。

2015年2月には、タミーム議長が訪日し、安倍総理と会談を行いました。エネルギー協力を含んだ包括的な共同声明を発出し、二国間経済関係の更なる強化に向けて取り組むことで一致しました。

④日クウェート協力

クウェートは我が国にとって第4位の原油輸入相手国です。原油の安定供給確保のため同国との関係を緊密にすることは非常に重要であり、同国との関係強化を推進しています。

2014年10月には、サビーフ・クウェート計画開発担当大臣が来日し、山際経済産業副大臣と会談しました。原油の安定供給やインフラ事業での協力について協議したほか、更なる分野での協力関係強化に向けて取り組むことで一致しました。2015年3月には、ミシュアル・クウェート直接投資促進庁長官が来日し,クウェートのビジネス環境の整備や日本企業進出支援等について協議を行いました。また、2015年5月には、山際経済産業副大臣が同国を訪問し、オメイル石油大臣と会談を行いました。原油市場や石油の安定供給について意見交換を行いました。

⑤日オマーン協力

オマーンは我が国にとって第8位の原油輸入相手国であり、また、我が国企業が石油開発・生産に参画していることから、同国との間で石油・ガス分野での協力を進めてきています。

2015年5月には、山際経済産業副大臣が同国を訪問し、ルムヒー石油・ガス大臣と会談を行いました。原油の上流開発における関係強化について協議したほか、これまでの友好関係を基にさらに関係を強化していくことで認識が一致しました。

⑥日イラク協力

イラクは世界有数の原油確認埋蔵量を持つ資源国であり、潜在的開発余地が大きく、外資にも石油開発への参入を呼びかけています。

2015年1月、ガドバーン・イラク首相顧問会議議長が来日し、山際経済産業副大臣と会談を行いました。日本企業が関係する電力、石油、水道等の幅広いセクターのインフラ案件への協力等について意見交換を行いました。

⑦日トルコ協力

近年、我が国とトルコの間では、要人の往来が非常に活発に行われており、インフラ案件を始め、様々な分野での協力を推進しています。

2014年7月、茂木経済産業大臣はトルコを訪問し、第2回日トルコ貿易・投資閣僚会合(TRINS:Trade and Investment Summit)を開催、両国の経済投資協力をさらに深化させることで一致しました。シノップ原子力発電所建設計画を始めとする日本企業が参画するインフラプロジェクトの円滑な実施への支援を要請しました。

また2014年1月に続き、同年10月にゼイベキチ経済大臣が来日し、小渕経済産業大臣と会談を行いました。インフラ案件を始め、幅広い分野での協力について意見交換を行ったほか、二国間の更なる経済関係の進展に取り組むことで一致しました。

⑧日露協力

ロシアはサウジアラビアに肩を並べる世界有数の産油国であるとともに、世界第2位の産ガス国でもあります。サハリンにおける石油・天然ガス開発には、我が国企業も参加しています。またエネルギー協力の実現のため、資源エネルギー庁とガスプロムとの間で共同調整委員会を継続しています。2014年8月には、風力発電を活用したマイクログリッド実証事業が開始するなど、再生可能エネルギー分野での協力も進んでいます。

⑨日カザフスタン協力

カザフスタンは、世界第2位のウラン資源埋蔵量を有する資源国であり、カザフスタンから我が国へのウラン供給拡大の潜在性は大きなものがあります。また、ウラン鉱山開発のみならず原子力産業・技術の高度化等広範囲な分野への協力関係拡大を目指しているほか、同国は原始埋蔵量が350億バレルを有する世界有数のカシャガン油田の開発を進めており、日本企業もその開発に参画するなど、石油ガス分野での協力も行っています。このような背景から、我が国は同国との間で官民による協力・関係強化を推進しており、2014年10月に開催された第5回日本カザフスタン経済官民合同協議会(日本側議長:石黒経済産業審議官)においても、エネルギー分野における両国の協力が主要なテーマの1つとして議論されました。

2014年8月には、茂木経済産業大臣がマシモフ首相と面談を行い、原子力分野での協力について話し合われたほか、シュコルニク・エネルギー大臣との会談では、エネルギーの安定供給や原子力分野での協力を強化していくことで合意しました。

また2015年1月には、宮沢経済産業大臣がシュコルニク・エネルギー大臣との会談を行い、石油や原子力等のエネルギー分野での協力を一層進展させていくことで一致しました。

⑩日モザンビーク協力

モザンビークは、優良な原料炭、天然ガス、レアメタル等の天然資源が豊富に埋蔵されており、日本への新たな供給源として期待されています。

2014年1月の安倍総理とゲブーザ大統領との首脳会談で表明された「日モザンビーク天然ガス・石炭発展イニシアティブ」を踏まえ、天然ガスについては、同年7月にモザンビーク共和国において第1回日・モザンビークLNG対話が開催されました。本対話では、我が国のエネルギー事情や同国のLNGプロジェクトの生産開始に必要な法制度の早期整備の重要性について協議を行い、日本へのLNG輸出早期実現に向けて、二国間の協力関係を強化していくことを確認しました。石炭については、人材育成、地質調査、石炭産業育成のためのプラン作成を通じて、モザンビークの石炭開発事業を後押しするとともに、発展基盤の底上げを図っています。

また2014年8月には、ムティッセ共和国運輸通信大臣が来日し、田中経済産業大臣政務官と会談しました。日本への石炭輸出実現にむけて、港湾や鉄道等のインフラについて輸送枠と料金設定に関する要請を行った他、二国間経済関係及び人材育成の協力について、意見交換しました。ムティッセ大臣は滞在中、港湾を視察し、日本の高い技術に関する説明を受けるとともに港湾関係者との意見交換等を行いました。

⑪日メキシコ協力

メキシコは、原油、天然ガス、シェールガス等のエネルギー資源が豊富に埋蔵しています。現在メキシコ政府は、75年以上にわたり国家独占とされていた石油・ガス産業について、外資を含む民間企業に開放するエネルギー改革を進めており、日系企業の上流開発への参画や、日本への新たなエネルギー資源の供給源として期待されています。

2014年7月の安倍総理の中南米歴訪では、日メキシコ首脳会談において、安倍総理より、メキシコの石油増産・シェールガス開発への協力、日本企業の上流開発への参画、メキシコからのLNG供給の可能性やPEMEX(メキシコ石油公社)と日本の官民の連携を促進する旨、表明しました。また、両首脳は、原子力の平和利用における協力のための日・メキシコ原子力協定の交渉の進展を歓迎しました。

また、JOGMECとPEMEXは、河野理事長とロソーヤ総裁が両首脳立会いの下、共同実施MOUに署名しました。今後、非在来型資源に関する研究開発や、メキシコ人技術者への研修事業等を実施することになっています。

さらに、両首脳立会いの下、JCMに係る二国間文書の署名が行われました。

⑫日ブラジル協力

ブラジルは、原油資源が豊富に埋蔵し、アマゾンの豊富な水力発電が得られるため、現在はエネルギー自給率が9割を超えています。しかしながら、経済成長に伴うエネルギー需要の増大により、2035年の一次エネルギーの需要は、2012年の1.7倍に拡大すると予測されています。

安倍総理の中南米歴訪に際する2014年8月の日ブラジル首脳会談において、両首脳は,原子力の安全と二国間の民生原子力協力の重要性に留意し,原子力の平和的利用における協力のための二国間協定交渉の進捗への共通の関心を示しました。

また、省エネルギー・再生可能エネルギー分野では、2014年9月、第1回日・ブラジルスマートコミュニティ作業部会を東京で開催し、我が国企業の現地進出に係る障壁をブラジル側と共有するとともに、日本企業の優れた技術を紹介するなど活発な交流を行っています。