第3節 固定価格買取制度の在り方
固定価格買取制度の適切な運用のための2014年度の取組
2014年度においては、4月から2015年3月末までに986.0万kWの再生可能エネルギー発電設備が運転を開始し、固定価格買取制度開始(2012年7月)以降の累積で1,875.7万kWとなりました。これは固定価格買取制度の開始前と比較して約9割増加しており、固定価格買取制度は再生可能エネルギーの推進の原動力となっています。
【第333-1-1】 2014年度における再生可能エネルギー発電設備の導入状況(2015年3月末時点)
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- バイオマスは、認定時のバイオマス比率を乗じて得た推計値を集計。
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- 各内訳ごとに、四捨五入しているため、合計において一致しない場合があります。
【第333-1-2】 再生可能エネルギーの最大限導入に向けた対応策(概要)
そのような中、太陽光を中心とした再生可能エネルギーの急速な拡大に伴い、一部の電力会社において電力の安定供給が困難となる見通しとなったことから、それらの電力会社は、住宅用太陽光など一部の設備を除き、管内における再生可能エネルギーの接続申込みに対する回答を保留し、再生可能エネルギーの接続可能量の検討を行うことを公表しました。この状況を踏まえ、資源エネルギー庁は、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会及び同小委員会系統ワーキンググループにおいて、各電力会社(北海道電力、東北電力、北陸電力、四国電力、中国電力、九州電力、沖縄電力)について、接続可能量の検証や接続可能量の拡大策の検討等を行い、新たな出力制御ルールの適用及び固定価格買取制度の運用見直し等を行いました。電力系統への接続に制約が生じる中、最大限の再生可能エネルギーの導入(kWhベース)を実現するためには、より実効的かつきめ細かな出力制御ルールを導入することが不可欠です。今後、新たな出力制御ルールに基づき、きめ細かな出力制御を行うことで、「再生可能エネルギーの導入拡大」と「電力の安定供給」の両立を図っていきます。
一方で、固定価格買取制度では、電気事業者が再生可能エネルギー由来の電気の買取に要した費用について、賦課金として電気料金に上乗せする形で国民の皆様に負担していただくことになっています。2014年度においては、賦課金の単価は1kWh当たり0.75円、合計約6,500億円となり、標準家庭(一か月300kWh程度の電力使用量を想定)では、月額約225円の負担となります。このため、国民負担の観点から、法律の規定に従い、コスト低減実績を踏まえた調達価格の見直しを行うなど、常に適切に配慮を行うことが欠かせません。2015年度の調達価格については、2015年2月24日に調達価格等算定委員会で取りまとまった「平成27年度調達価格及び調達期間に関する意見」を尊重する形で、以下の内容で決定されました。
また、2015年度の調達価格等を踏まえ、2015年度の賦課金の単価は1kWh当たり1.58円と決定され、合計で約1兆3,200億円、標準家庭(一か月300kWh程度の電力使用量を想定)では月額約474円の負担となります。
さらに、固定価格買取制度等の再生可能エネルギー源の利用の促進に関する制度について、コスト負担増や系統強化等の課題を含め諸外国の状況等も参考に、再生可能エネルギー源の最大の利用の促進と国民負担の抑制を、最適な形で両立させるような施策の組合せを構築することを軸として、法律に基づき、エネルギー基本計画改定に伴い総合的に検討を進めています。
【第333-1-3】告示された調達価格等(2015年度)