第1節 原子力を巡る環境と政策対応
2015年度は、震災以降、エネルギーの安定供給、エネルギーコストの上昇、CO2排出量の増加という課題に直面してきた我が国のエネルギー政策にとって、原子力に関係した大きな動きが2つありました。一点目は、新規制基準の下で、初めて原発が再稼働をしたことです(2015年8月11日:九州電力川内原発1号機)。
二点目は、2030年度の電源構成に占める原発比率として、20 ~ 22%という見通しが示されたことです。(2015年7月16日:長期エネルギー需給見通し)
他方、2015年度は、このような動きと前後して、①原発依存度の低減、②安全・災害対策、③使用済み燃料対策、④福島復興と廃炉・汚染水対策、といった諸課題について、原子力関係閣僚会議(2015年10月6日、2016年3月11日)、最終処分関係閣僚会議(2015年12月18日)を開催し、政府一体となってこれらの諸課題を解決していくという姿勢を明確にしたところです。
さらに、以下の各節に記述しているとおり、原発の安全性向上や安定な事業環境の確立、高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組や核燃料サイクルの推進、国民・自治体からの信頼回復や国際協力のための施策を行ってきたところです。