なぜ、「再エネが送電線につなげない」事態が起きるのか?再エネの主力電源化に向けて

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再エネを「主力電源」として大量に導入していきたい。そのためには、導入コストを低減させるとともに、自然環境に応じて出力が変動するという特徴に向き合う必要があります。変動する再エネを、送電網などの電力システムに工夫してつなげていくことは、世界共通の課題です。

日本では、「送電線がいっぱいで再エネがつなげない」「再エネの接続を優先すべきでは?」――そういった質問をよくお聞きします。今回は、さまざまな電源を送電線につなぐための「接続」に関するルールと、実際に電気を流す際の「給電」に関するルールの考え方について、2回に分けてお答えします。

Q1.送電線につないでほしい事業者から、「すぐにつなげてもらえない」「送電線の増強を待たなくてはならない」という声を聞きます。いったい、どのようなルールでつないでいるのでしょうか。

送電線につなぐ電源(電気をつくる方法)は、電源の種類にかかわらず先着順です

日本では、系統への接続は、再エネであろうが、火力であろうが、電源種を問わず「先着優先」が原則です。つまり、接続契約の申し込み順に、公平に送電容量を確保していきます。このため、先に計画・建設されている電源は、いまこの瞬間動いていなくても容量を確保しているという状況も発生しています。

それは不公平だと感じる方もおられるかもしれません。しかし、もし、後から申し込みをする電源を優先的に接続して、もともとの電源や、今は動いていないものの先に申し込みをしていた電源を排除することになれば、これらの電源の「事業の予見性」、つまり、発電事業がビジネスとして成り立つかどうかの見込みが立てられなくなってしまいます。

新しく系統への接続希望があった場合には、火力発電や原子力発電だけでなく、太陽光発電や風力発電といった再エネ電源も含めて、すでに送電線の容量を確保している電源が稼動した場合であっても、確実に電気が流せるかどうかを評価することが必要なのです。

Q2.ドイツでは、再エネが優先的につないでもらえると聞きます。再エネを最大限に導入するためには、再エネを他の発電所よりも優先すればよいのではないですか。

ドイツのような、他国と陸続きの国だからこそ、実行可能な方法でもあります

確かに、ドイツでは、再エネの接続申込みがあれば、他の電源を追い抜いて送電線に接続することができる「優先接続ルール」が定められています。

しかし、この結果として、ドイツでは、再エネの変動に応じた調整力として必要な火力発電について、その投資や維持に課題が生じています。また、ドイツの場合、周辺国と陸続きであるため、これらの国への輸出入を大きく増減させることで余った電気を調整できる、いわば他国の調整力を利用できるという利点があります。

たとえば、2015年の統計をみると、フランスからドイツに向けて、年間約120億kWhの電気の流れがあることが分かります。この120億kWhは、日本の一般家庭の約400万軒分の電気の使用量にあたります。この例を見ても、ドイツは周辺国と「持ちつ持たれつ」の関係にあることが分かります。

一方、日本と同じ島国で、他国の調整力に多くを依存することがむずかしい国々ではどうでしょうか?たとえばイギリスやアイルランドを見てみると、再エネの導入が進んでいるものの、日本と同様、優先接続ルールはないのが現状です。

イギリス、アイルランド、ドイツ、日本の優先接続の有無と再エネ比率を比較した表です

Q3.空き容量はどのように計算しているのですか。

事故が起こっても電気が流せるかという観点で計算しています

送電線に空きがあるかどうかを評価するポイントは、「落雷などで断線事故が起こった時、停電が生じる恐れもあるため、仮に1つの回線が切れても、問題なく送電できるようにする」という点です。

このため、送電線が単純な2回線の場合には、1回線が切れても大丈夫なように、最大の送電容量は50%となります。これに対して、一般に再エネの適地ではありませんが、大都市周辺など、3回線以上の送電線がある場合などは、最大70%程度となっているケースもあります。いずれにせよ、送電線の容量は、事故時にも電気が流せるかという観点から評価を行っているのです。

新規の事業者の方々からは、なぜつなげないのかという切実な声をお聞きします。しかし、このような、万が一停電した場合のリスクとのかねあいで、やむをえず、「今はつなげません」と回答をしているのです。

2018年4月からは、より実態に近い計算方法に改めるなど、工夫を進めていきます

ただ、現状、多くの再エネ事業者が接続を待っている状況にあり、国としても、これを課題だととらえています。そこで、必要に応じて送電線の増強をおこなうものの、できるだけ負担を少なく、また、工事完成までの長い期間を待つことなく、「つなげるものからつなぐ」取り組みを進めています。

2018年4月からは、送電線の容量の計算方法を抜本的に見直し、需要に応じて合理的な電源の稼働を評価することで、より実態に近い空き容量の算定をおこない、接続容量の拡大を図ることとしています。

たとえば、これまでは、接続する電源がフルに稼働する前提で計算をおこなってきたため、通常の運用では稼働が見込まれない「石油火力」なども、フル稼働することを前提に計算していました。また、太陽光と風力の最大出力(最大の発電量)も、これまでは、2つの出力を単純に合計して計算してきました。しかし、一般的に、太陽光の最大出力が出るのは春や夏の晴れの日で、風力の最大出力が出るのは冬の荒天の日です。したがって、この2つの電源を単純に合計した量の発電が現実に起きることは、考えにくいといえます。

このように、より実態に近い算定に改めることにより、現在、多くの再エネ事業者が接続を希望している東北北部エリア(青森・秋田・岩手)においては、これまでに比べ、最大で約1.6倍の容量の電源を新たに接続できるようになります。

なお、原子力発電については、天候や時間帯に左右されず安定して一定量の発電ができる「ベースロード電源」として利用される実態を踏まえ、地熱発電などと同様に、定格出力(最大出力)で評価することとしています。どのような電源であっても、今動いていないからといって、その容量分に新しい電源をつないでしまうと、それまで止まっていた電源が動いたときに、新しい電源を止めなくてはいけません。そうすると、新たに事業をしようとするときの予見性が下がり、必要な電源投資がされなくなる懸念があります。したがって、例えば、原子力の出力量を、定格出力を前提として評価することは、今後事業に取り組もうとする再エネ事業者にとっても合理的なことと考えられるのです。

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