福島第一原発事故の処理に向けて ~2018年の取組~

平成31年3月20日


(写真:2018年 夜ノ森の桜並木)

東日本大震災の発生から、2019年3月11日で8年が経過しました。東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)の事故に見舞われた福島の復興に向け、取組を進めていくことは、私たちにとって何よりも重要なことです。

また、事故の教訓を胸に刻みつつ、廃炉・汚染水対策や、被災者への賠償、環境再生に向けた取組についても、しっかりと進めていかなければならないことは言うまでもありません。

今回は、こうした事故処理に向けた取組における最近1年間の動きや、事故への対応に向けた所要資金の見通しについて、ご紹介します。

1.福島第一原発における廃炉・汚染水対策、この1年

福島第一原発では、原子炉内で燃料が溶け固まった「燃料デブリ」は、継続的な注水により、今では安定した状態を維持しています。

事故直後から発生し続けているこの汚染水については、建屋周辺の井戸(サブドレン)での地下水くみ上げや、建屋の周辺を囲むように地下に造成された凍土壁などの対策により、汚染水発生量が大幅に低減するなど、対策の効果が着実に出てきています。

また、「ALPS(アルプス)」と呼ばれる、多核種除去設備(さまざまな種類の原子核を取り除く設備)をはじめとした浄化設備によって汚染水の浄化処理を進めています。この浄化処理された「処理水」(2019年2月現在でタンク貯蔵量は112万トン)の取扱いについては、説明・公聴会(2018年8月開催。経済産業省のページを別ウィンドウで開く「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会」 参照)も行いながら、国の小委員会の場で丁寧に検討を進めています。

(汚染水対策については、「現場で進む、汚染水との戦い~漏らさない・近づけない・取り除く~」 参照)

廃炉に向けては、2019年2月に、2号機で燃料デブリと思われる堆積物への接触調査を行いました。この調査では、格納容器内の堆積物に調査装置を接触させ、その堆積物の硬さなどの情報を取得するとともに、小石状の堆積物を初めてつかんで動かせることを確認するなど、一定の成果が得られました。


(写真:堆積物を真上から撮影。左:接触前、右:接触中)

2.被災者への賠償に向けた取組、この1年

被災者への賠償をおこなう東京電力では、国が認定する経営計画「新々・総合特別事業計画」において、損害賠償を迅速かつ適切に実施するため、「3つの誓い」にコミットしています。

<3つの誓い>
  • ① 最後の1人まで賠償貫徹
  • ② 迅速かつきめ細やかな賠償の徹底
  • ③ 和解仲介案の尊重

国としても、東京電力が福島の事故の責任を最後の最後まで果たすことは、当然の責務であると考えています。そのため、東京電力に対して、この「3つの誓い」に沿った適切な対応をするよう、折に触れて指導しています。

経済産業大臣から東京電力の経営陣に対しても、2017年7月に現在の経営陣が着任した際や、その後の東京電力改革・1F問題委員会の場、また直近では2019年3月の面会時に、「被災者の方々の個別の御事情を丁寧に伺いながら適切な対応をしていただきたい」と直接申し入れています。


(写真:2019年3月 東京電力小早川社長との面会)

また、福島第一原発事故後に制定された原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づき、東京電力に対して賠償のための資金援助を行うなど、被災者に対する賠償が迅速かつ適切に実施されるよう、支援を行なっています。

3.事故処理には今後いくら必要になるの?

このような取り組みには、総額でいくらかかるのでしょうか?

政府では、福島第一原発の廃炉、被害者・企業の方々への賠償、除染・中間貯蔵事業に係る所要資金の見通しとして、21.5兆円(賠償:7.9兆円、除染:4兆円、中間貯蔵:1.6兆円、廃炉:8兆円 )という金額を、2016年12月に示しています。

この数字は、復興加速化の観点から必要となる制度の整備や資金の確保に資するため、お示ししたものです。この際、賠償の支払実績や環境省の試算、有識者ヒアリングの結果など、2016年12月時点における最新の情報を精査した上で算定しています。

当時お示しした際に、賠償・除染・中間貯蔵施設事業の進捗などを踏まえて、適時に見直しを行うこととしておりますが、現時点の支払実績などにかんがみると、当時の状況と大きく変わっていないと考えています。

先日、公益社団法人日本経済研究センターより、「福島第一原発の事故処理費用が最大81兆円になる」主旨の試算が発表されました。当該試算については、以下の点で、国の方針とは異なる独自の仮定に基づいており、または一部には事実誤認があります。

政府の見通しと日経センター試算の相違点をまとめた表
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こうした前提の違いや事実関係の誤りがあるので、国の見通しとして示したものとは異なります。

国としては、事業の進捗や廃炉技術におけるイノベーション、除染の効率化等の状況を踏まえ、適時に見直し等を行いながら、今後とも、福島復興の加速化を進めていきます。

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電力・ガス事業部 電力産業・市場室

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