新エネルギーについて
平成28年度「風力発電のための送電網整備実証事業費補助金」北海道で実施する実証事業(実施事業者:北海道北部風力送電株式会社)の詳細について
平成28年度「風力発電のための送電網整備実証事業費補助金」に関し、北海道北部風力送電株式会社が建設を計画している送電設備に関して、北海道電力株式会社が、北海道北部風力送電株式会社への接続検討申込み及び契約申込みについて受付を開始しました。
北海道北部風力送電株式会社が建設を計画している送電設備は、「平成28年度 風力発電のための送電網整備実証事業費補助金」によるものであり、北海道北部風力送電事業者が行う事業の詳細について以下記載します。
1.風力発電のための送電網整備実証事業の背景・概要
風況が良好で、かつ、大規模な土地の確保が必要である風力発電に適した地域は限定されている。そうした地域では電力需要が少ないことが多く、風力発電の導入拡大の課題となっている。再生可能エネルギーの中ではコストが相対的に安い風力発電の導入拡大を図っていくためには、それらの地域の地域内送電網の強化や技術開発喫緊の課題である。
そのため、風力発電の適地である地域内の送電網の整備・技術課題等の実証を行い、平成28年度は、北海道、青森県、秋田県(※)において、送電線の設計・整備等を行なうこととした。
※ 本事業の対象地域は、平成24年2月、総合資源エネルギー調査会総合部会電力システム改革専門委員会の下に、横山明彦東京大学教授を座長として設置した、「地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会」により、特定風力集中整備地区とされた北海道・東北の一部地域としている。
2.成果目標
平成25年度から10年間を目途に実施する事業であり、本事業を通じて、風力発電の導入拡大に資する送電線整備・運用に関する6件の技術の確立を目指す。
3.北海道北部風力送電事業の概要について
対象地域
北海道北部風力送電が建設を予定している送電網整備エリアに該当すること(稚内恵北開閉所~北海道電力設備(中川町))
実施計画
平成34年度までの実証事業であり、実証項目を実施するためには、平成34年から技術実証を最低1年間行う事が必要。
そのため、平成33年までに事業実施されていること、かつ、本事業の事業実施可能性を確保するためには、風力発電事業も、事業者見込みの出力規模ではなく、出力規模が決定されている必要があり、現段階で環境アセスの方法書の大臣勧告の段階まで達成されている必要がある。
実証項目(案)
- (1)最適制御システム
- 本事業により整備される送電網(以下、「本送電網」)の北海道電力系統への連系容量(以下、「連系容量」)を最大限活用するため、最適制御システムとして下記2つのシステムを構築し実証する。
なお、連系容量は30万kW、連系する発電事業の出力の合計は60万kWを予定している。
また、最適制御システムにより抑制される電力について、発電事業者にその逸失収入は補償されない。- 風力制御所システム
本送電網に連系する発電事業の出力の合計(60万kW)が、連系容量(30万kW)を越えないよう、各発電事業へ出力配分値を指令する。 - 転送遮断システム
北海道電力系統1回線停止時に、本送電網に連系する発電事業の遮断までを瞬時に実施し、北海道電力への連系点における潮流値を抑制する。
- 風力制御所システム
- (2)ダイナミックレーティング
- 送電線の送電容量は電線温度によって変化することが知られているが、一般的な送電線は外部環境要因(外気温度、日射量等)が過酷な状況でも問題無く運用できるように送電容量を設定し、外部環境要因の変化に応じて送電容量を変えていない。そのため、送電線設置場所の外部環境要因の変動に追従した送電容量を算出することで、送電線をより効率的に運用することが可能になるものと考えられる。そこで、本事業では外部環境要因による電線温度変化を随時演算し、送電容量を動的に算出・管理する手法(ダイナミックレーティング)を実証する。
実証項目の実施に風力発電事業側に必要とされる技術要件
- 風力制御所システムより数分単位で更新される出力配分指令値に応じて発電所出口(*1)出力の上限値を変更できること。
*1 発電所出口とは、連系変圧器の系統側から連系点までの範囲の任意の場所とする。
- 連系変圧器は負荷時タップ切替機能を有し、風力制御所システムの指令に応じてタップの変更が可能であること。
- 風力制御所システムの指令に応じて(*2)発電所単位もしくは発電機単位で以下の制御が可能であること
- - 電圧制御
- - 力率・無効電力制御
*2 指令はオンラインで行うが情報授受の方法については別途協議とする。
- 以下の情報をリアルタイムで風力制御所システムに送信できること
- - 発電所出口潮流
- - 発電所出口無効電力
- - 発電所出口電圧
- - 全風車の出力、ナセル風速・風向
- - 各風力発電機について運転可能か否かの状態
- - 連系変圧器のタップ位置
その他、技術実証のために新たに必要な機能、データが明らかになった場合には、送信データ項目等を追加する可能性があるため、協議に応じること。
- 風力発電機が備えることが望ましい要件
- - 高風速カットアウト時の出力急変を緩和する機能
- - 出力変化率を制限する機能
- - 周波数調定率制御
- 以下の情報を提供可能なこと
- - インピーダンスマップ
- - 風力発電機のパワーカーブ
- - 発電機もしくは発電所を制御するシステムの説明資料
その他風力発電事業に必要とされる事項:事業実現可能性
- - 環境アセスの方法書の大臣勧告
- - 採算性
- - その他用地、許認可、地元地域との調整等の進捗状況
お問合せ先
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課