VPP・DRの活用
ネガワット取引
VPP・DRを活用したビジネスとして、既に「ネガワット取引」が始まっています。「ネガワット取引」とは、アグリゲーター等との事前の契約に基づき、電気のピーク需要のタイミングで節電を行う、インセンティブ型の下げDRのことをいいます。
アグリゲーター等と契約により、事業者だけでなく一般家庭の需要家もVPP・DRに参加することができます。また、需要家はこの取組に参加することにより報酬を手にすることも可能です。
アグリゲーター等の役割
アグリゲーター等は、取引の流れをコントロールする、司令塔の役割を果たしています。多くの需要家を束ね、各需要家の状況に応じて指令を出します。
役割 | 概要 |
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束ねる | 様々な需要家のエネルギーリソースを束ね、電力需要をコントロールします。
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依頼する | 需要家ごとの状況に応じて下げDRを依頼します。 需要家の設備や使用状況に合わせて、最適なDRの手法を提案します。
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需要家のメリット
アグリゲーター等からの依頼に基づいて需要を抑制することで、需要家は電力料金の低減に加えて、報酬を得ることもできます。
※ 報酬は、アグリゲーター等と需要家間の契約により決定します。
種類 | 概要 |
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kW報酬 | 下げDRは、契約で決められた時期・時間帯であれば、何時でもDR発動の可能性があるため、需要家は、いつ発動されても対応出来る体制を整えておく必要があります。そのため、実際の発動の有無に関わらず、需要抑制可能な容量(kW)に従って報酬が支払われます。 |
kWh報酬 | 下げDRによって実際に削減された電力量(kWh)に従って報酬が支払われます。 |
- 特定卸供給事業者一覧
2022年4月から特定卸供給事業者(アグリゲーター)制度が開始されました。特定卸供給事業に該当する事業者はこちらをご覧ください。(New!)
- ディマンドリスポンス推進協議会
経済産業省にて行った実証事業に参加した事業者により設立された「ディマンドリスポンス推進協議会」等にお問合せ下さい。 - 「資料ダウンロード」
取引に係る制度や留意事項等については、ERABガイドラインやERABハンドブックなどをご確認ください。
ネガワット取引の類型
ネガワット取引は、目的・用途によって、以下のように区分されています。
類型 | 目的・用途 | |
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類型1 | 小売電気事業者の「計画値同時同量」の達成 | |
類型1 ① | 小売電気事業者が、自社の需要家によって生み出された需要抑制量を調達するもの | |
類型1 ② | 他の小売電気事業者の需要家によって生み出された需要抑制量を調達するもの | |
類型2 | 一般送配電事業者の「調整力」としての活用 |
ネガワット取引における電気・お金の流れ
※ 契約によっては、アグリゲーター等と小売電気事業者は兼務する場合や、複数のアグリゲーター等が連携する場合、複数の類型が併存する場合もあります。
- 計画値同時同量:
需給バランスを保つため、小売電気事業者(または発電契約者)が、30分ごとに需要計画(または発電計画)と需要実績(または発電実績)を一致させるよう調整を行う制度。 - 調整力:
周波数制御・需給バランス調整に必要となる電源のこと。調整力の調達は、供給区域の一般送配電事業者が担っており、多くの電源等への参加機会の公平性確保、調達コストの透明性・適切性の確保の観点から、公募により行われている。 - インバランス:
小売電気事業者等が計画した需要量と実際の需要量の差分のこと。 - 特定卸供給:
小売供給を行う事業を営む者に対する当該小売供給を行う事業の用に供するための電気の供給であって、電気事業の効率的な運営を確保するため特に必要なものとして経済産業省令で定める要件に該当するもの。
VPP・DRに関する市場整備の状況
2017年4月、「ネガワット取引市場」創設により、類型1②によるネガワットは、一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX)での取引が可能となりました。また、一般送配電事業者が公募により行う調整力(下段参照)の調達にも、2017年度分(電源Ⅰ’厳気象対応調整力)より、DRを活用した応札(類型2)が行われています。
※ 調整力電源は、下表のように分類され、公募が行われています(2018年2月時点)。
電源名 | 類型の定義 | |
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電源Ⅰ | 一般送配電事業者があらかじめ確保する調整力 | |
電源Ⅰ-a | 周波数制御・需給バランス調整に活用できる電源等(周波数調整機能を有する電源等) | |
電源Ⅰ-b | 需給バランス調整に活用できる電源等(周波数調整機能を有しない) | |
電源Ⅰ' | 主に猛暑時等需給逼迫時に需給バランス調達に活用できる電源等(周波数調整機能を有しない) | |
電源Ⅱ | 一般送配電事業者からオンラインでの調整ができる電源 | |
電源Ⅲ | 一般送配電事業者からオンラインでの調整ができない電源 |
また、今後は、「需給調整市場」や「容量市場」におけるDRの活用も期待されています。
需給調整市場
一般送配電事業者が個社毎に条件を設定して調整力を募集してきましたが、より効率的な需給運用の実現を目指すため、2021年4月から、エリアを越えた広域的な調整力の調達を行う「需給調整市場」が開設されました。
容量市場
日本全体で充分な供給力を確保するための取組。電源等の容量に価値を認め、容量を提供した事業者に対価を支払うことにより、投資を促進させ、経済的な供給力確保を目指すものです。
今後の市場の検討状況については、こちらをご確認ください。
最終更新日:2023年8月16日