わたしたちのくらしとエネルギー

社会科 2 ( 1 )日本のエネルギー利用

社会科

  • 地 理…世界の諸地域
  • 地 理…世界から見た日本の資源・エネルギー
  • 地 理…日本の諸地域(資源・エネルギーと産業)
  • 歴 史…現代の日本と世界(日本の高度経済成長)

その他の教科

  • 理科3年…科学技術と人間(いろいろなエネルギー)
学習のねらい
  • 日本のエネルギー需給構造は、高度経済成長や石油ショックを経て大きく変化してきたことを理解する。
  • 日本のエネルギー自給率は、諸外国に比べてもとりわけ低く、エネルギー安定供給への取り組みが重要であることを理解する。
  • 日本はさまざまな国からエネルギー資源を輸入していることを理解する。
  • 日本のエネルギーの消費構造は、経済成長とともに電気への需要が高まってきたことを理解する。
指導上のポイント
  • 一次エネルギーを供給するエネルギー資源は、時代とともに変化・多様化している。
  • 日本はエネルギー資源の大部分を輸入に頼っており、エネルギー自給率は6%である。
  • 産業部門は省エネルギーを進めているためエネルギー消費量の割合が減ったが、民生部門や運輸部門は割合が増えている。
  • 発電電力量はGDPに比例する形で伸びてきた。

日本のエネルギー自給の現状

日本のエネルギー自給率の推移

 生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、国内で確保できる比率をエネルギー自給率という。

 日本はかつて国産石炭や水力などの国内天然エネルギー資源を利用していたため、1960年度には約6割の自給率であった。しかし、高度経済成長期以降、エネルギー需要が急増し、石油が大量に輸入されるとともに石炭も輸入中心へと移行した。さらに石油ショック以降に導入された天然ガスや原子力の燃料となるウランについてもほぼ全量が海外から輸入されている。2012年の日本の一次エネルギー自給率は約6.0%である。

 世界各国のエネルギー消費事情は、それぞれの国のエネルギー資源の有無、気候や文化、そして経済発展の度合いなどによってさまざまである。そのため、各国のエネルギー事情やエネルギーに対する立場・考え方は異なっている。日本は世界で5番目に一次エネルギー消費量の高い国であるが、国産のエネルギー資源をほとんど持たないことから自給率が低く、エネルギー政策において安定供給が重要課題となっている。

日本のエネルギー自給率の推移(xls/xlsx形式:41.1KB)

石油の輸入

 石油の主な生産国は中東地域を中心にアメリカ、ロシアなどである。日本では石油ショック以降、中東地域など特定の地域に頼りすぎないよう輸入先の多様化を図り、一度は中東からの輸入依存度が低下した。しかし、中国やインドネシアなどの非中東産油国での国内消費が増加し、1990年以降、再び中東依存度が上昇傾向にある。2013年度の石油輸入先は約8割が中東地域となっている。

※石油の輸送ルートについてはこちらを参照。


天然ガスの輸入

 天然ガスはー162℃前後まで冷却すると液化(液化天然ガス=LNG=Liquefied Natural Gas)する。欧米諸国では気体のままパイプラインで輸送しているが、日本はこの天然ガスの特性を利用し、産出国で液化し、特殊なタンカーで輸入している。

 主な輸入先は日本から地理的に近いアジア・オセアニア地域である。LNGタンカーで片道約1週間かけて運ばれてくる。


石炭の輸入

 日本にも石炭は埋蔵されており、かつては盛んに採掘されていた。1960年代までは国内炭の生産が海外炭の輸入を上回っていたが、次第に安価な海外炭の輸入量が増え、国内の炭鉱も次々と閉山し、現在ではほぼ全量を輸入に頼っている。石炭は世界に広く分布していることから比較的政治情勢の安定している国々から輸入されている。


ウランの輸入

 日本はウランの100%を輸入に頼っており、輸入先はカナダ、カザフスタン、ニジェールなどである。安定供給の観点から長期購入計画を結んで輸入しているが、供給源の多様化が課題となっている。

 日本では民間企業のウラン鉱山開発への参画を促進・支援する取り組みや、資源国との関係維持・強化に当たり首脳閣僚レベルでの人的交流などの積極的な資源外交を図っている。


一次エネルギー供給と最終エネルギー消費

 一次エネルギーから二次エネルギーに変換する際に生じる変換ロスは、発電時が最も多い。例えば、火力発電の熱効率が40%とすると、電気を100作るため250の一次エネルギーが必要となり、150は熱エネルギーとして周辺環境に放出されている。

 一般的に、一次エネルギー供給の約70%が最終エネルギー消費であり、残り30%は各種製品として加工・使用されたものや、電力などのエネルギー変換ロスである。

 日本の一次エネルギー供給に占める電力の比率(電力化率)は、1970年度には26%であったが、2013年度には43%までに増加している。




社会科

  • 地 理…世界の諸地域
  • 地 理…世界から見た日本の資源・エネルギー
  • 地 理…日本の諸地域(資源・エネルギーと産業)
  • 歴 史…現代の日本と世界(日本の高度経済成長)

その他の教科

  • 理科3年…科学技術と人間/いろいろなエネルギー
学習のねらい
  • 海外から輸入された各エネルギー資源は、直接的・間接的にくらしや産業を支えていることを理解する。
  • エネルギー資源には長所と短所があり、特徴に合わせた使い方があることを理解する。
指導上のポイント
  • 海外から輸入されたエネルギー資源は、主に石油化学コンビナートで一次利用され、さまざまな製品に転換・加工されている。
  • それぞれのエネルギー資源は、その特徴に合わせてさまざまな用途に利用されている。

石油

 世界で一番消費されているエネルギー資源である。くらしや社会を支える基幹エネルギーとなっている。発電の燃料や熱源、動力源の他に、化学製品など工業製品としても利用されるなど、幅広い用途を持ち多様な分野で使われている。

 燃焼時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素や硫黄酸化物、窒素酸化物を排出する。


石油の精製

蒸留装置のしくみ

 原油は、350℃の炉の中で熱せられてガスとなり、蒸留装置へ送られる。送られたガスは軽いものは上へ、重いものは下へと分かれ、そこで冷えて液体へと戻り、それぞれの製品へと分かれていく。

 その後、必要に応じて分解や混合などの化学処理が行われ、ガソリンや灯油などの石油製品が製造される。また、硫黄などの不純物もここで取り除く。石油からはさまざまな石油製品が製造されるが、製造することのできる割合は原油の品質により決まっているため、需要に応じて特定の一製品だけを製造することはできない(連産品)。従って、ある一つの製品の生産を調整しようとした場合は、同時に生産される他の製品にも影響を及ぼす。


LPガス

 LPガスは主として油田(石油)、ガス田(天然ガス)から一緒に出てくるもので、それを分離することで生産される。このためその資源量は天然ガス、石油の埋蔵量に依存する。また、LPガスは過去においては油田、ガス田で焼却等の処分がされていたもので、資源の有効利用を図ったエネルギーでもある。天然ガスなどと同じ化石燃料に分類されており、炭素数の異なるプロパンとブタンがある。

 低温、または高圧力で液化するため運搬が容易である。硫黄分がほとんど含まれず、発熱量当たりの二酸化炭素排出量も比較的少ないクリーンなエネルギー資源である。


天然ガス

 石油に比べ資源が世界各地域に分布しており、埋蔵量も豊富である。国内でも僅かながら生産しているが、約96%を輸入に頼っている。石油ショック以降、石油に代わるエネルギーとして積極的に導入を進めている。約3分の2は火力発電の燃料、残りの約3分の1は都市ガスの原料として利用されている。

 天然ガスは化石燃料の中では熱量が高く、液化する際、硫黄分などの不純物を取り除くことができる。

 また、石油や石炭に比べ二酸化炭素の排出が少ないという特徴を持っており、化石燃料の中では比較的クリーンなエネルギー資源である。


石炭

 発電の燃料や熱源、動力源として利用される他に、鉄鋼生産の原料としても用いられている。世界に広く分布し、埋蔵量も豊富で安価な反面、固体のため輸送は不便である。

 石炭は他の化石燃料に比べ発熱量当たりの二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量が多いという課題を抱えている。現在、石炭をガス化して高効率に燃やすなど、石炭利用に伴う環境負荷を低減する技術(クリーン・コール・テクノロジー)の開発や国際協力が進められている。


ウラン

 ウランは発電の燃料としてのみ利用されている。天然ウランには核分裂するウラン235が0.7%しか含まれていない。このため原子力発電の燃料には、このウラン235の比率を3~5%まで高めた低濃縮ウランを使用する。

 エネルギー密度が高く、少量で発電が可能である上、発電に伴って二酸化炭素や大気汚染物質を出さないという利点がある。核分裂によって放射性物質が生じることから、これを閉じ込めるために徹底した安全管理が要求される。