放射性廃棄物について
低レベル放射性廃棄物
放射性廃棄物の区分と発生
高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物を「低レベル放射性廃棄物」と呼びます。低レベル放射性廃棄物は、発生場所や放射能レベルによってさらにいくつかの区分に分けることができます。原子力発電の運転に伴い発生する放射性廃棄物を区分別にまとめると次の表のようになります。
廃棄物の種類 | 廃棄物の例 | 発生源 | |||
---|---|---|---|---|---|
高レベル放射性廃棄物 | ガラス固化体 | 再処理施設 | |||
低レベル放射性廃棄物 | 発電所廃棄物 | 高 ↑ 放射能レベル ↓ 低 |
放射能レベルの比較的高い廃棄物 | 制御棒、炉内構造物 | 原子力発電所 |
放射能レベルの比較的低い廃棄物 | 廃液、フィルター、廃器材、消耗品等を固形化 | ||||
放射能レベルの極めて低い廃棄物 | コンクリート、金属等 | ||||
超ウラン核種を含む放射性廃棄物 | 燃料棒の部品、廃液、フィルター | 再処理施設 MOX燃料加工施設 |
|||
ウラン廃棄物 | 消耗品、スラッジ、廃器材 | ウラン濃縮・燃料加工施設 | |||
クリアランスレベル以下の廃棄物 | 原子力発電所解体廃棄物の大部分 | 上に示した全ての発生源 |
なお、低レベル放射性廃棄物については、発生者責任の原則の下、原子力事業者等が処分場所の確保などの取組を進めることを基本としています。
放射性廃棄物の種類に応じた処分方法
放射性廃棄物の処分方法は、深さや放射性物質の漏出を抑制するためのバリアの違いにより、4つに分類されます。
- トレンチ処分:人工構築物を設けない浅い地中に埋設する処分方法
- ピット処分:コンクリートピットを設けた浅い地中に埋設する処分方法
- 中深度処分:一般的な地下利用に対して十分余裕を持った深度(地下70m以深)に埋設する処分方法
- 地層処分:地下300mより深い地下に埋設する処分方法
放射性廃棄物の区分と処分方法は表のように整理できます。
トレンチ処分
コンクリートや金属など、化学的、物理的に安定な性質の廃棄物のうち放射能レベルの極めて低いものについては、トレンチ処分が行われます。これは、コンクリートピットなどの人工構造物を設置せず、浅地中に埋設処分する方法です。50年程度の管理期間を経た後は、一般的な土地利用が可能になります。
トレンチ処分は、日本原子力研究開発機構(JAEA)の動力試験炉(JPDR)の解体に伴って発生した廃棄物を対象に、同研究所敷地内で試験的に実施されている例があります。
図 日本原子力研究開発機構 廃棄物埋設実地試験
ピット処分
液体廃棄物を濃縮した廃液や放射能レベルの低い使用済樹脂、可燃物を焼却した焼却灰などをセメントなどでドラム缶に固形化したものや、配管やフィルターなど固体状の廃棄物で放射能レベルの比較的低いものは、浅地中にコンクリートピットなどの人工構築物を設置して埋設する方法で処分されます。
放射性物質濃度の減衰に応じて段階的な管理を行うことになっており、放射性物質の漏出を防止するために人工構築物の積極的な補修を行う段階から、漏出状況を監視する段階を経て、最終的には放射性物質の濃度が十分低くなるまで埋設地の掘削を制限するなどの管理を行います。管理が必要な期間として、300~400年が一つの目安とされています。管理期間終了後は、一般的な土地利用が可能になります。
出典:日本原燃(株)パンフレット
日本原燃(株) 低レベル放射性廃棄物埋設センター
原子力発電所の運転に伴い発生した放射能レベルの比較的低い廃棄物については、平成4年より、青森県六ヶ所村にある日本原燃㈱六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターで埋設を開始しています。なお、現在の施設を含めて200リットルドラム缶で約100万本相当を埋設する計画であり、最終的には200リットルドラム缶で約300万本相当の規模にすることも考えられています。
中深度処分
制御棒や炉内構造物など、炉心から生ずる廃棄物は「低レベル放射性廃棄物」のうち「放射能レベルの比較的高い廃棄物」に該当し、地上から深さ70メートル以上の地下に設置された埋設地において処分されることになっています。これは、建造物の基礎や地下鉄、共同溝などの一般的な地下利用に対して十分に余裕をもった深度に、コンクリートでトンネル型やサイロ型の建造物をつくり、廃棄物を埋設処分する方法です。
「低レベル放射性廃棄物」のうち「放射能レベルの比較的高い廃棄物」についても、放射性物質濃度の減衰に応じた段階的な管理が可能であり、数百年の管理期間を経た後には、一般的な土地の利用が可能と考えられています。但し、具体的な管理の内容については現在検討が行われています。
出典:第2回廃炉等に伴う放射性廃棄物の規制に関する検討チーム会合(平成27年2月12日)資料2-18
お問合せ先
資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 放射性廃棄物対策課