グループワークの様子1
大学での講座・ワークショップ

千葉工業大学でのエネルギー政策に関するワークショップ

2025.10.31千葉工業大学

実施概要

千葉工業大学の学生を対象に、資源エネルギー庁から「エネルギー政策の現状と今後の方向性」と題して情報提供を行った。その後、CO2排出量削減をテーマとしたボードゲーム「ブルー・ファウンダーズ」を実施した。

情報提供

「エネルギー政策の今後の方向性について」

(資源エネルギー庁 須山 照子)

安定と成長の両立を目指すエネルギー政策

日本のエネルギー政策は、S(安全性)を大前提に、3E(安定供給、経済効率性、環境適合)のバランスを追求している(S+3Eの大原則)。特にロシアのウクライナ侵攻以降、地政学リスクと資源価格高騰に直面し、エネルギーの安定供給が喫緊の課題となった。エネルギー自給率がG7の中でも圧倒的に低い日本(約15%)は、化石燃料依存度が高く、CO2排出量削減と経済性の両立が求められている。
最新の第七次エネルギー基本計画(2024年2月閣議決定)では、この課題に対応するため、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を推進し、「エネルギー安全保障」と「経済成長」を一体的に進める方針を明確にした。
2040年度の温室効果ガス削減目標73%(2013年度比)を達成するため、電源構成見通しでは再生可能エネルギーを4~5割、原子力を2割程度とする目標を示した。再エネの最大限活用と原子力の最大限活用を両輪とし、CO2を出さない電源の確保の重要性を説いた。同時に、水素・アンモニア混焼やCCS(二酸化炭素回収・貯留)/CCUS(二酸化炭素回収・貯留・利用)、合成燃料(e-fuel、e-メタン)といった革新的技術(イノベーション)への投資を加速し、不確実性の高い未来に対応できる柔軟なエネルギーシステムへの転換を目指す。これは、国民一人ひとりが当事者意識を持つことが不可欠な、国全体の重要課題である。

情報提供の様子1
情報提供の様子2

参加者の声

  • ペロブスカイト型の太陽電池の話が印象に残っている。研究室でペロブスカイト型の太陽電池について調べていることもあり非常に興味がある内容だった。
  • エネルギーについて深く考える良い機会になった。
  • 卒業研究で対象にしようと思っているため、再生可能エネルギー全般が印象に残った。

ボードゲーム
「ブルー・ファウンダーズ」

学生は3グループに分かれ、2050年カーボンニュートラルを達成するためには、どのようなイノベーションへの投資が必要か、体験的に理解するためのボードゲーム「ブルー・ファウンダーズ」を行った。
プレイヤーは投資家として、チームメイトと相談しながら「太陽光・風力発電」「原子力発電」「火力発電」などに投資を行う。開始時に資金が配られ、各プレイヤーが技術に投資を行う。投資額に応じて技術開発が進み、技術レベルが上がる。レベルの向上に伴ってさまざまなイベントが発生し、そのイベントの結果によって資金やCO2排出量が増減するようになっている。イベントの内容は技術レベルが進まないと開示されず、一つの技術に投資を続けるだけでは付随する課題をクリアすることができない。
ラウンドは相談フェーズ、投資フェーズに分かれており、投資フェーズに入るとグループ内の相談が禁止される。学生たちは相談フェーズで戦略を固め、各自の判断で投資先を決めた。
4ラウンド終了時点で「投資資金がマイナスになっていない」、「50個あるCO2カウンターを0にする」という2つの条件を達成することでゲームクリアとなる。

グループワークの様子2
グループワークの様子3
グループワークの様子4
グループワークの様子5

各チーム 終了時の結果

チームA

戦略・方針

「火力発電」、「水素・アンモニア」、「CCUS技術」、「省エネ」などの得意分野を生かした行動を戦略とし、関連性を軸に投資を行った。

結果

CO2削減量13/50

チームAの結果

チームB

戦略・方針

「水素・アンモニア」、「水力・地熱・バイオマス発電(自然安定)」、「太陽光・風力発電(自然変動)」、「CCUS技術」を得意分野とした。関連技術がつながることを信じて環境にやさしいエネルギーに投資を行った。

結果

CO2削減量25/50

チームBの結果

チームC

戦略・方針

「原子力発電」、「デジタル技術」、「CCUS技術」、「蓄電池技術」、「産業・運輸省エネ技術」を得意分野とした。マイナスになる条件を回避するために、なるべく偏りなく投資し、投資したい時に躊躇なく投資できるように意識した。

結果

CO2削減量31/50

チームCの結果

参加者の声

  • 得意分野だけに入れても二酸化炭素を減らすことはできないし資金も無駄に減ってしまい、効率の悪い内容になってしまったので、慎重に考えていくべきだと感じた。
  • 信じることが大事だと思った。しかし、ある程度のバランスを取ることが必要だと感じた。
  • みんなで考えるのが面白かった。
  • グループワークが印象に残った。ブルー・ファウンダーズで投資先を均等にしていったため、後半のイベントを進めることができず、ゲームクリアできなかった。それぞれの投資先で相性を考え、投資先を絞ったほうが良かったのかなと思った。

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