
龍谷大学

龍谷大学の学生を対象に、資源エネルギー庁から「GX実現に向けたエネルギー政策」と題し、エネルギー政策に関する授業を実施した。
講義「GX実現に向けたエネルギー政策」(資源エネルギー庁 須山 照子 氏)
脱炭素社会に向けた暮らしや経済の変革、すなわち、「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」に向けて、本年5月に2本のGX関連法が成立した。GXの取組を脱炭素、エネルギー安定供給、そして経済成長の3つを同時に実現していく。この3つの実現にあたり、国内の企業をいかに成長させ、競争力を高めていくのかという観点が重要な鍵となる。
関西は、素材、部品加工から最先端製品まで、川上から川下までをカバーする幅広い産業集積を有している。そのような強みもいかしながら、カーボンニュートラル実現に向けた様々な取組が行われている。都市ガスの原料となるメタン(CH4)をH2とCO2を反応させ合成する技術、廃食油や廃棄物等などの原料から持続可能な航空燃料(SAF)を製造する技術、石炭火力発電所から排出されるCO2を回収し液化し船舶で輸送する技術、従来のものより多重な安全対策が施されている原子力発電の開発、超軽量で超高効率なペロブスカイト太陽電池の開発など、国・企業・大学・研究機関等が連携をしながら2050年の脱炭素社会に向けて取り組んでいる。
現在、世界各国は、グローバルで数千兆円規模といわれるGX関連投資を呼び込むため、様々な産業政策を展開している。例えば、アメリカでは、気候変動対策を盛り込んだインフレ削減法により、政府が50兆円程度の支援策を打ち出し、EUもネットゼロ産業法案により、重要技術の域内自給率40%超の目標を掲げるなど、積極的な政策を展開している。我が国でも、GX実現に向けた環境整備を行っていく。今後は、10年間で150兆円超のGX関連投資を実現するため、20兆円規模の先行投資支援を行うなど、GXを産業政策と位置付け、取組を具体化していく。GXに向けた取組の成否が、企業・国家の競争力に直結する時代に突入することになる。

参加者の声
G7の中でも食料自給率、エネルギー自給率共に低いことに驚きました。日本は世界にすごく頼っていることを改めて感じました。
S+3Eの話が印象に残った。これからの世界に必要な考え方であり、自分も人ごとではないと感じた。
講義を受ける前は日本のエネルギー政策にしか目を向けられていなかったが、世界各国の電源構成や原子力の利用状況などを知ることで、日本だけの問題ではなく世界各国でエネルギー問題と向き合って行かなければならないと学んだ。
原発事故を経験した国としてそれを無視せずに向き合っていき、脱炭素社会のために運用して行くことが求められる、という内容が印象的だった。危険性や安全性が問われる中でエネルギー問題のために活用することが大切だとわかった。
今までCO2はいかに出さないようにするかだけが重要であると考えていたので、カーボンリサイクルの内容が特に印象に残った。
近畿地方でもカーボンニュートラルに向けた取り組みがたくさんあることが分かったので、自分の住んでいる地域に興味を持って学んでいきたいと思った。
電気料金の中で燃料費に上限があり、超過分は電力会社が負担する制度があることが、講義の中で一番身近な内容に感じられ印象に残った。
自給率や電源構成によって、日本と海外のエネルギー政策はどのように違うのか詳しく知りたい。
ガソリン車の規制が進む中で、どのように電気自動車や燃料電池自動車を普及させるのか気になった。
メタンハイドレートや核融合、海洋発電など、まだ研究途上のエネルギーについて詳しく聞きたい。
原子力について、核廃棄物などの課題や安全性の確保、不安を取り除く取り組みなど、必要な面があるからこそ詳しく聞いてみたい。