どう考える?これからの日本のエネルギー

京都光華女子大学

京都光華女子大学講義の写真 2023年6月29日、7月13日

京都光華女子大学の学生を対象に、6月29日は資源エネルギー庁から「2050年に向けてのエネルギー政策」と題し、エネルギー政策に関する講義を行い、7月13日にはエネルギーについて子どもたちに伝える紙芝居を考えるワークショップを実施した。

講義「2050年に向けてのエネルギー政策」(資源エネルギー庁 須山 照子 氏)

食料品や日用品、ガソリンなど普段目にする商品の値上げが昨年から顕著となっており、今後もその傾向は続くと考えられている。それらの製造・運搬に必要な化石燃料も価格が高騰しており、製品に加え電気料金やガス料金も上昇している。「資源を持たざる国」である日本は化石燃料を輸入に依存しており、今回のウクライナ情勢のように、国際情勢の緊張が高まることによる影響を大きく受けている。

日本の発電の多くを担う火力発電は、石炭・天然ガス・石油などの化石エネルギーを燃料としており、エネルギーの安定供給(Energy Security)を図っていくことが第一であり、なおかつ経済効率性の向上(Economic Efficiency)による国際競争力のあるコストでのエネルギー供給、2050年カーボンニュートラル達成に向けた環境への適合(Environment)を、安全性を大前提として成立させるべく最大限の取組を行うことが必要である。

講義の様子

そのため、安定供給の再構築、脱炭素に向けた社会構造・産業構造の変革、経済成長を同時に実現すべく、グリーントランスフォーメーション(GX)の実行として、今後の10年のロードマップを示す基本方針が閣議決定された。
原子力においては新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設、再生可能エネルギーにおいては、これまでエネルギー面でほとんど未活用であった洋上での風力発電の整備や、建物の壁面等を利用したペロブスカイト太陽電池の開発促進、カーボンリサイクル燃料の開発・導入・普及に向けた取り組みを加速するべく、大規模な官民双方の投資を進めていく。

エネルギーはまさに変革の途にあり、身近なところでも様々な変化やニュースが報じられるところでもあるので、自身の生活にも影響のある自分ごととして捉えてほしい。

ワークショップ「紙芝居を考えよう」

参加学生が9グループに分かれ、紙芝居「エネルギーってなぁに?」の13枚のイラストから6枚選び、班ごとにストーリーを構成するワークショップを行いました。紙芝居を読む対象は未就学児から小学校低学年としました。
各グループではどうすればエネルギーをわかりやすく伝えられるのかを議論しながらイラストを選び、どんな順番で構成し、どんなセリフにするのか様々なアイデアが出されました。
発表では、昔の時代はどのようにエネルギーを獲得していたのか、火だけでなく水を汲むことも大変な仕事であったことや、時代が進んで水車等を使ったことに触れたグループ、現代のエネルギーの使われ方として子どもにも身近な電車・自動車や家庭にある家電製品を上げてイメージを膨らませたグループ、地球温暖化の課題に焦点を当てて原因を探る旅を構成したグループ、発電所から電気が送られていることや、エネルギー資源を海外からの輸入に頼っていることにスポットを当てたグループ、エネルギーの無駄を減らすために子どもたちでもできることとして、使っていない電気を消すことやエアコンの調節などの具体的な省エネを上げたグループなどがありました。
ワークショップを通じて、「エネルギーのスタートはいつからなのかなど、歴史について振り返ることができた。」、「同じ画像を選択していても、グループによって違った表現で説明されていて学びがあった。」、「エネルギーという漠然としたものを、噛み砕いて説明するのはとても難しかった。」などの感想がありました。

ワークショップ全体の様子
紙芝居構成を考える様子
紙芝居発表の様子

参加者の声

脱炭素社会は無理だろうと思っていたが、超軽量・超高効率の太陽光発電や、革新炉などカーボンニュートラルに向けて自分が知らなかった様々な開発が行われていることが特に印象に残っており、実現できるのか期待を持てた。

エネルギーについて考える際、環境性や安全性の問題点ばかりに目を向けていたが、再生可能エネルギーやカーボンリサイクル、今後のエネルギー政策を知ったことで、あらゆる可能性があることを実感することができた。

日本の中小企業が行っているオーガニック製品やゴミのアップサイクルなど身近な取り組みや、一人一人がどのように意識していったらいいのか知りたいと思った。

電力会社が値上げをしたということは知っていたが、なぜ値上げをしたのか、逆に値上げをしなかった電力会社はなぜ値上げをしなかったのかを知ることができた。

エネルギーとはなんなのか、紙芝居で説明しようと思ったが、結局なんなのか自分たちもはっきりわかっていなかったことを自覚することができたことが印象に残りました。

紙芝居は絵を見るだけで、想像しにくい場面もありましたが、みんなで協力し合って作り上げることが出来ました。歴史や未来についても知識がないと詰まってしまう部分もあり、これを機会にもっとエネルギーについて知ろうと思いました。

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