
千葉工業大学


千葉工業大学の学生を対象に、資源エネルギー庁から「脱炭素社会に向けたエネルギー政策」と題し、我が国の現在のエネルギー事情、2050年に向けて脱炭素社会を目指してのエネルギー政策について情報提供を行うとともに、カーボンニュートラルを目指すボードゲーム「ブルーファウンダーズ」を実施した。
講義「2050年に向けてのエネルギー政策」(資源エネルギー庁 須山 照子 氏)
我が国のエネルギー政策の基本はS+3Eであり、安全性の確保を大前提に安定供給の確保、経済効率性の確保、環境問題への対応、これらをバランス良く保つことをエネルギー政策の基本としている。しかしながら、石炭火力については環境問題を抱え、ガス火力についてはウクライナ情勢以降、地政学リスクが露呈し、原子力発電については福島第一原子力発電の事故以降、原子力利用に対する懸念の声が高まり、再生可能エネルギーについては自然リスクや地理的制約があるなど、全てを満たす電源、電力システムを見出せていない状況にある。
同時に2050年までにカーボンニュートラルを実現し、2030年度までに温室効果ガスを46%削減するなど、意欲的かつ野心的な国際公約を掲げている。日本経済の成長と脱炭素化を両立するためには、あらゆる可能性を追求し、使える技術は全て使い、未来への技術を世界に先駆けてアプローチしていくことが基本戦略となる。

本日、行っていただくボードゲームは、太陽光発電、風力発電、それらを補完する蓄電技術、デジタル技術や水素技術、省エネ技術、石炭火力・ガス火力を脱炭素化していくという意味でのCCUSや水素、さらには原子力次世代革新炉など、チーム内でエネルギー関連技術に投資して頂き、各技術のレベルを上げCO2排出量を削減し、脱炭素社会を導きだしていくもの。ゲームストーリーの中で、様々なイベントが待ち受けており、各技術が向上し連携していく中で回避出来るイベントもある。脱炭素社会とは、産業革命以来、化石資源に頼り続けてきた世界構造からの離脱、転換に他ならず、産業構造あるいは社会構造の変革を伴うものである。当該ゲームをとおして、地球温暖化を身近に捉え、エネルギーについて考え、「自分ごと」として行動する機会となって欲しい。
ボードゲーム「ブルー・ファウンダーズ」
参加者は3グループに分かれ、2050年カーボンニュートラルを達成するためにはどのようなイノベーションと投資が必要か、体験的に理解するためのボードゲーム「ブルー・ファウンダーズ~青色の地球を目指して~」を行った。
ゲームではCO2削減に関係する10個の技術に投資を行い、投資によって発生するイベントで、地球が描かれたボード上の50枚すべてのCO2コインを4ターン内で取り除き、100%削減を達成することがゴールとなる。
グループ名は、カーボンニュートラルを目指す2050年に向けてイメージする2文字とした。
<グループ名:WE(私たちでWash Earth)>
削減コイン枚数:26枚(CO2 52%削減)
【技術投資にあたっての戦略・方針】
最初は投資を先行し資金を増やし、増えた資金で、後半にかけてCO2削減に向けたゲーム展開を行った。火力は、脱炭素に向けてはマイナス面が多く感じたため、水素に意識的に技術的投資を行った。
<グループ名:省電>
削減コイン枚数:19枚(CO2 38%削減)
【技術投資にあたっての戦略・方針】
10個のエネルギー関連技術に、満遍なく投資を行ったが、チームとして、関連技術を組み合わせて集中的に照準をあわせて投資を行うと、更にCO2削減に繋がると思った。目先の利益ではなく長期的に見て何がプラスなのかマイナスなのかを考えることが大切だと感じた。
<グループ名:技術>
削減コイン枚数:25枚(CO2 50%削減)
【技術投資にあたっての戦略・方針】
グループ名は、まさしく、技術に挑むことを想定し「技術」と命名。
最初は、環境面を考えて投資を行い、後半は、関連技術の投資を行ったが、資金面と環境面のバランス、両立が難しいと思った。
参加者の声
講義について
G7の国々の電源構成、ドイツが一番再エネの割合が多いと思っていたが、カナダが一番割合が多かったのは意外であった。
カナダは、食料自給率、エネルギー自給率など優れており、水力などの再生可能エネルギーも進んでいたのでガソリン価格や食料費など生活面で日本とどう違うのか関心がある。
日本が意外と再生可能エネルギーの普及が高いとういう点が印象に残った。
コロナやウクライナ情勢、イスラエル情勢にからめての話があり具体的なイメージをつかみながら考えることが出来た。
ペロブスカイト太陽電池、初めて聞く言葉で印象に残った。
カーボンニュートラル達成のため再エネを増やす、化石燃料に頼らない、原子力発電を増やすなど、やることはおおまかにわかりますが、そこで何をすれば良いのか詳しく知りたいと思いました。
ボードゲームについて
資金面に集中しすぎて、環境面について考えられなかった。次回、プレイするならもっと投資に対しチャレンジしていきたい。太陽光、風力発電に集中的に投資したことは正解だと思った。持続可能なエネルギーが大事なんだと思った。
どこに投資をするかバランスが大切だと思いました。それぞれの関連技術に投資することも大切だと思いました。
技術に投資を行えば、なんでもすぐ結果が出るわけではなく、逆に地球温暖化に一時的に悪影響を及ぼしてしまう場合があることも認識できた。様々な技術をかけ合わせることでより良い影響があることなど楽しく学ぶことが出来ました。
ゲームを通してCO2を削減することの難しさを体感することが出来ました。チームメイトとコミュニケーションをとり、楽しみながら学べたことが印象に残りました。CO2を全て削減するためにはどのような手順で進めればよいのか気になりました。