

香川大学
2022年7月14日(木)
香川大学で開講されている教養科目「身の回りの環境問題B」(担当:古川尚幸 経済学部教授)の受講生を対象に、資源エネルギー庁から「エネルギー政策の現状と2050年に向けて」と題し、エネルギー政策に関する授業を実施した。
講義「エネルギー政策の現状と2050年に向けて」(資源エネルギー庁 須山 照子氏)

エネルギー資源のほとんどを海外に頼る日本にとって、昨今のロシア・ウクライナ情勢は多大な影響がでている。石油や天然ガス・石炭などの化石燃料だけでなく、自動車用の排ガス触媒や歯科用の銀歯に使われるパラジウム、冷凍魚介類等、生活に直結するような輸入品についても、供給量の低下や価格高騰が起きている。
電気料金はこの化石燃料の燃料費だけでなく、使用量・再生可能エネルギー導入量・設備費など様々な要素によって左右される。日本の電気料金水準は諸外国よりも割高であり、電力コストを抑制することは家庭だけでなく産業にとっても極めて重要である。
また、既にこの夏は節電が強く要請されているが、電気の安定供給に必要な予備率は最低限でも3%確保する必要があり、再エネや原子力などエネルギー安保や脱炭素の効果の高い電源を最大限活用していく。エネルギーの安定供給に万全を期し、その上で脱炭素の取組を加速させるためにも、各技術のイノベーションはもちろん、政策面からも導入・普及拡大に向けた課題を解決していかなければならない。諸外国においては、エネルギー価格の高騰やウクライナ情勢等を踏まえてエネルギー政策が変化しており、英国やベルギー等では、原子力の新設や既存の原子力の運転延長等を含む方針が公表されている。
加えて、カーボンニュートラルに向けた動きは世界中で活発になっており、企業の国際協力を高めていくことや、市場環境・インフラの整備が不可欠である。
2050年に向けて、これから社会に出ていく自分自身がこの事実に対しどう取り組むのか、ぜひ目の前の問題として考えて欲しい。
参加者の声
ロシア・ウクライナ情勢については、
様々な国がロシアのエネルギーに依存していることに驚いた。
思っていたより自分の日常生活にも関係していた。
ロシア情勢とエネルギーの話が、これほどいろいろな国や企業に関わっているのかと印象に残った。
世界のエネルギー事情については、
電力需給ひっ迫が、アメリカや中国など世界的に起きていたのは意外でした。
1つの国で起こったことが、他の多くの国々に影響が出ていて、つながっていることを改めて感じた。
日本のエネルギー事情については、
日本のエネルギーの自給率が低い。
日本が再生可能エネルギーの導入量が多いことに意外でした。
電力需給ひっ迫の現状を知り、電力不足の深刻化を感じた。
複雑な世界情勢の中で安定供給の難しさを理解する事が出来ました。
2050年カーボンニュートラルについては、
カーボンニュートラルを多くの国が目指しているのが、将来のために一丸となって頑張ってる感じがして印象に残りました。
カーボンニュートラル実現と、その際の社会はどのような変化していくのかもっと詳しい話を聞いてみたいと思いました。
多くの学生から、ロシア・ウクライナ情勢が日本や世界に与える影響について、また、2050年に向けてのカーボンニュートラルによる社会変化、企業の取り組み、脱炭素社会に必要な費用などについて関心が高いとの声が寄せられた。