弘前大学

2019年度 開催報告一覧

どう考える?
これからの日本のエネルギー

弘前大学
青森県 弘前市

2019年5月12日(日)

テーマ 「次世代のエネルギーのありうる未来は?」

概要

燃料電池に関する実験風景
グラフィックレコーディングの講義風景

経済産業省資源エネルギー庁の須山氏による、日本や世界のエネルギーの歴史、現状、そして将来に向けたエネルギーの方向性についての講義を行った。なお、講義の中では、新たなエネルギー源として注目されている水素の特性を紹介する際に、水素と酸素を使って電気を発生させる実験を行うなど、数種類の科学実験を交えながら説明をした。

また、話を可視化することでより理解を深めてもらうための手法「グラフィックレコーディング」がご専門の日高氏((株)TAM)から、その手法を使ったワークショップを行い、実際に2050年を見据えてありうる未来を構築するための議論を行った。

講義(経済産業省 資源エネルギー庁 須山照子氏)

講義内容

戦後日本では、高度経済成長、オイルショック、京都議定書の採択、東日本大震災の4度の転換期を経験し、社会状況に合わせてエネルギー選択を行ってきた。

青森県は「エネルギーのテーマパーク」と呼ばれるほど、多くのエネルギー関連施設がある。その中でも風力発電は日本一の導入量で、現在は再生可能エネルギーとして期待の大きい洋上風力発電にも力を入れている。この他、原子力発電所で一度使用した核燃料を再処理することで、もう一度、エネルギー資源として利用する核燃料サイクルのための施設もあり、県内には発電や再利用などの多様なエネルギー関連施設がある。

青森県の発電施設解説イラスト

エネルギーの安定供給の視点から、エネルギーの自給率を高めることが大切であるが、世界各国のエネルギー自給率の推移と比較しても日本は自給率がかなり低いことがわかる。

安定供給を考える上で、もう一つ大切な視点が、需給と供給バランスである。しかし、日本は欧州のように国際連携による電力輸出入が出来ない環境であり、他の方策を模索する必要がある。

各国のエネルギー自給率の推移のイラスト

講義風景
2030年に向けて、国のエネルギー政策の方向性は、S+3E(Safety + Energy Security、Economic Efficiency、Environment)であり、高効率化した火力発電・再生可能エネルギー・安全を大前提とした原子力発電等のエネルギーベストミックス、徹底した省エネに取り組み、温室効果ガスの削減も欧米に遜色のない取り組みが求められている。
そして約30年後の2050年はどうなるのかを見据えて今後、取り組んでいかなければならない状況である。

グループディスカッション&発表会

テーマ:「2050年の私たちの暮らしはどうなっているの?次世代のエネルギーのありうる未来を描こう!」

講師との意見交換をする受講者
グラフィックレコーディングを用いた議論をする受講者

約30年後の2050年の世界を想像し、「どのようなエネルギーを選択し、どのような将来をつくりあげるのか」をテーマに講義の内容を踏まえて学生たちで議論を行った。あるグループは、未来の社会では、ロボットやAIが普及した社会などを想定し、その中で、エネルギーをどのように確保していくのかということで議論が進められた。

また、ディスカッションの前には、議論やプレゼンテーションを言葉だけでなく絵を描いて伝える方法「グラフィックレコーディング(可視化コミュケーション)」を学び、発表の際にはイラストを取り入れたプレゼンテーション用パネルを作成して、表現を工夫した発表を行った。

発表事例:人口増加によるエネルギー不足
グループ発表をする受講者

30年後は世界的な人口増加により、エネルギー不足がさらに深刻化している。そこで人口が増えることに注目し、発電床のように人間が活動するエネルギーをうまく活用出来ないかと考えた。また、同様に自然で活動している動植物のエネルギーをうまく活用して電気エネルギーに変換出できないかと考えた。その他、化石燃料などの無い日本において、風力は貴重な資源であり、風力の設置場所には限りがあるが、洋上風力には可能性があり、開発していければと思うとの発表があった。
意見交換では、洋上風力を押し進める上で、漁業関係者との合意形成や船の安全運行などの課題を解決していかなければならないことや、日常生活の中で人間の活動しているエネルギーをうまく活用出来れば、人口増加時においても効果的に作用するので、面白い視点であるとの発表があった。
その他の班からは、畜産や農業とバイオマス発電、車の開発とエネルギーに関する発表などがあった。

最後に

最後に、須山氏は以下のようにこの講義を締めくくった。
31年後の2050年は非常に不透明だがあっという間にくる。どのエネルギーや技術が主流になるかは誰にも分からないので、あらゆる選択肢の可能性を追求しつつ、情勢にしなやかに対応しなければならない。今日の5限の講義を通して、色々なことを考え、知見を高める機会もあったと思う。また、新聞やテレビなどのメディアでもエネルギーに関する情報が日々取り上げられているが、そういった情報を目に入れ耳にし、少しでも考えていただく機会になればと思う。

受講者の声

エネルギーを考える上で、コスト面を考えなければいけないことが分かった。絵に描いてディスカッションすることで、今までよりも活発な議論ができた。
青森県の中だけでかなりの発電所があったこと。県内にこんなに発電所があるのに国内で自給率は低いのかと思った。
日本のエネルギー自給率が低いことが印象に残りました。確かに隣国の無い島国で9%程しか自給できていないことは、由々しき事態だと危機感を覚えた。
原子力発電は現状の日本では間違いなく必要な技術だと分かった。今までの自分であれば、原子力発電は危険なものだと見向きもしなかったと思う。原子力は危険なものだという認識を変え、うまく向き合っていくことが私達国民の義務でもあると感じた。
再生可能エネルギーが積極的に使われることで電力自給率が7%から9%まで上昇したという話を聞いて、今まで再生可能エネルギーの発電力は微々たる程度だと思っていた為、実際に日本の電力自給率の向上に貢献しているのに驚いた。

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