第4節 その他制度・予算・税制面等における取組

<具体的な施策>

1.制度

農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律

「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(平成25年法律第81号)」(農山漁村再生可能エネルギー法)を積極的に活用し、農林地等の利用調整を適切に行いつつ、市町村や発電事業者、農林漁業者等の地域の関係者の密接な連携の下、再エネの導入と併せて地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を促進しました。

また、本法律が施行後5年となることから、同法の附則に基づき、2019年7月に基本方針の見直しを行いました。

2.予算事業

(1)太陽光発電

①太陽光発電のコスト低減や信頼性向上等に向けた技術開発事業【2019年度当初:33.5億円】

発電コストのさらなる低減かつゲームチェンジャーとなりうる太陽電池技術(ペロブスカイト太陽電池等)の開発や市場での差別化が可能な太陽電池の開発を行うとともに、主力電源化に向け、長期安定電源化に不可欠な信頼性評価技術、安全確保のための設計・施工技術、低コストリサイクル技術等の開発・調査等を行いました。

②営農型太陽光発電の高収益農業の実証事業【2019年度当初:14.3億円の内数】

太陽電池(ソーラーパネル)下部の農地においても、高い収益性が確保できる営農方法を確立し、その普及を目指すために、実証試験等の取組を支援しました。

(2)風力発電・海洋エネルギー

①風力発電等に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業【2019年度当初:4億円】

環境保全と両立した形で風力発電事業の導入促進を図るため、個別事業に係る環境影響評価に先立つものとして、関係者間で協議しながら、環境保全、事業性、社会的調整に係る情報の重ね合わせを行い、総合的に評価した上で環境保全を優先することが考えられるエリア、風力発電の導入を促進しうるエリア等の設定し活用する取組として風力発電に係るゾーニング実証事業を7の地域で実施しました。また、2016年度から3カ年で実施した風力発電等に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業のレビューを行い、「風力発電に係る地方公共団体によるゾーニングマニュアル」を改訂しました。

②海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用調整に必要な経費について【2019年度当初:3.3億円】

再エネ海域利用法における促進区域4の指定に向けて、既に一定の準備段階に進んでいる区域11区域を整理し、このうち4区域を有望な区域として、促進区域の指定基準への適合性を確認するための海域の状況調査の実施及び促進区域の指定等に関し必要な協議を行うための協議会を開催しました。

③洋上風力発電等のコスト低減に向けた研究開発事業【2019年度当初:73.3億円】

浮体式洋上風力発電の低コスト化を目的とした実証事業では、北九州市沖において3MW風車を搭載したバージ型浮体(実証機)の実証運転を2019年5月に開始し、観測データによる設計検証や効率的な係留方法の技術開発等を行いました。また、浮体式のさらなるコスト低減を実現するため、ガイワイヤ支持やタレットを用いた一点係留による、浮体・タワー・係留システムの軽量化など、先進的な要素技術を用いた浮体式洋上風力発電システムの実現可能性や事業性を評価するフィージビリティ・スタディを行いました。着床式洋上風力発電においては、資本支出に占める割合が高い基礎・施工費に関する実証に先立ち、これらの技術の適用が想定される海域の特性などを踏まえた、低コスト化に資する技術の検討を実施しました。また、風車の稼働率の向上を図るため、故障による停止時間を縮小させるためのAIを活用したメンテナンス技術の検討を実施しました。

④浮体式洋上風力発電の低コスト化・普及促進事業【2018年度当初:30.0億円】※一部繰り越し、2019年度実施。

2013年10月から、国内初の商用スケール(2MW)の実証機の運転を開始し、環境影響、気象・海象への対応、安全性等に関する情報収集等を行いました。この実証試験を通じて、2015年には、高い安全性や信頼性を有する効率的な発電システムの確立に成功し、当該実証の成果として、2016年から国内初の洋上風力発電の商用運転が開始されており、風車周辺に新たな漁場が形成されるなど、副次効果も生じています。

また、2016年度からは、民間による浮体式洋上風力発電事業を促進するため、海域動物や海底地質等を正確かつ効率的に調査・把握する手法及び浮体式洋上風力発電の海域設置等の施工に伴い発生するコストやCO2排出量を低減する手法の開発・実証を進めており、2019年度は、前年度に引き続き、浮体式洋上風力発電の本格的な普及拡大に向け、施工を低炭素化・高効率化するため、洋上施工コストを低減させる浜出船の活用など、施工手法等の確立を目指す取組を行いました。

⑤福島沖での浮体式洋上風力発電システムの実証研究事業【2019年度当初:11億円】

「福島イノベーション・コースト構想」の実現のため、福島沖において、複数の浮体式洋上風車と浮体式洋上変電所による本格的な実証研究を進め、安全性・信頼性・経済性の評価等を行いました。

(3)バイオマス発電

地域で自立したバイオマスエネルギーの活用モデルを確立するための実証事業【2019年度当初:12.5億円】

地域におけるバイオマスエネルギー利用の拡大に資する技術指針及び導入要件を策定するとともに、当該指針等に基づき地域特性を活かしたモデル実証を行うため、間伐材や家畜排せつ物等のバイオマス利用システムの事業性評価(FS)事業に加え、間伐材や竹等の木質系バイオマスや、都市ゴミや牛ふん等の湿潤系バイオマス利用システムの実証事業を実施しました。また、モデル事業の横展開を図るべく、ワークショップを開催しました。

(4)水力発電

①水力発電の導入促進のための事業費補助金【2019年度当初:20.0億円】

水力発電の事業性評価や地域住民等の理解促進、既存発電所の増出力または増電力量を図る更新工事、高効率化やコスト低減に資する発電設備の製作、実証を支援することによって、ベースロード電源である水力発電の事業化、既存発電所出力の増加を推進しました。

②中小水力発電開発費等補助金【2019年度当初:0.1億円】

旧一般電気事業者及び旧卸電気事業者等の行う中小水力開発に対し、建設費の一部を補助することにより、水力の初期発電原価を引き下げ、開発を促進しました。

③中小水力発電事業利子補給金助成事業費補助金【2019年度当初:0.2億円】

地方自治体(公営電気事業者)が水力発電所の建設に際して要した資金の返済利息に関して、利子補給を行いました。

(5)地熱発電・熱利用

①地熱発電の資源量調査・理解促進事業費補助金【2019年度当初:86.5億円】

地熱発電は、天候等の自然条件に左右されず安定的な発電が可能なベースロード電源であり、我が国は世界第3位の地熱資源量(2,347万kW)を有しています。一方で、資源探査に係るリスクやコストが高い、温泉資源との調和を図り地域の理解を得ることが必要といった課題があることから、探査リスクを低減するため、新規の有望地点を開拓するためのポテンシャル調査や事業者が実施する地表調査や掘削調査などの初期調査に対して支援を行うとともに、地域の理解を促進するため、地熱発電に対する正しい知識の共有等を行うための勉強会などの取組に対して支援を行いました。

②地熱資源探査出資等事業

地熱資源の蒸気噴出量を把握するための探査に対する出資や発電に必要な井戸の掘削、発電設備の設置等に対する債務保証を行うことで、地熱資源開発を支援しました。

③地熱発電や地中熱等の導入拡大に向けた技術開発事業【2019年度当初:29.6億円】

地熱発電は、資源探査の段階ではリスクやコストが高く、発電段階では、運転の効率化や出力の安定化といった課題があり、これら課題を解決するため、探査精度と掘削速度を向上する技術開発や、開発・運転を効率化、出力を安定化する技術開発を行いました。また、発電能力が高く開発が期待されている次世代の地熱発電(超臨界地熱発電)に関する詳細事前検討を行いました。

また、地中熱、太陽熱、雪氷熱などの再エネ熱については、我が国の最終エネルギー消費の約半分は熱需要であることから、再エネ熱の効果的な利用により空調や給湯に使われる電力や燃料の消費量を抑制していくことは、エネルギー需給を効率化する上で効果的な取組みとなります。他方、再エネ熱の利用拡大にあたっては、高コスト、担い手となる事業者の不足などの課題があります。このため、本事業では、再エネ熱利用システムの導入拡大に向け、再エネ熱の設計から施工までに関わる事業者の体制を構築し、業界横断的に一貫してコスト低減に資する技術開発に取り組みました。

(6)系統制約克服及び調整力確保への対応

①再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代型の電力制御技術開発事業【2019年度当初:19.7億円】

再エネのさらなる導入拡大を図り、主力電源化を進めるため、ノンファーム型接続、配電系統における潮流の最適制御、直流送電システムの基盤技術について研究開発を支援しました。

②風力発電のための送電網整備実証事業費補助金【2019年度当初:80.0億円】

風力発電の適地において、送電網の整備及び技術的課題の解決を目的とした実証事業を行いました。

③福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための支援事業費補助金【2019年度当初:84.8億円】

阿武隈山地や福島県沿岸部における再エネ導入拡大のための共用送電線の整備及び、当該地域における風力、太陽光等の発電設備やそれに付帯する送電線等の導入を支援するとともに、福島県内の再エネ関連技術について、実用化・事業化のための実証研究を支援しました。

④災害時にも再生可能エネルギーを供給力として稼働可能とするための蓄電池等補助金【2019年度補正:44.0億円】

災害時の安定的な電力供給に向け、①再エネ発電設備への蓄電池の導入支援、②再エネを活用した地域マイクログリッドの構築支援を行いました。

(7)その他

①再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業【2019年度当初:50.0億円】

低炭素社会の実現に資することを目的に、地域における再エネ普及・拡大の妨げとなっている課題への対応の仕組みを備えた取組等について、地方公共団体等に対し、再エネ設備の導入支援等を行いました。

②地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業【2018年度補正210.0億円、2019年度当初:34.0億円】

地域防災計画等に位置づけられた避難施設等に、平時の温室効果ガス排出抑制に加え、災害時にもエネルギー供給等の機能発揮が可能となり、災害時の事業継続性の向上に寄与する再エネ設備等の導入支援等を行いました。

③地域資源活用展開支援事業【2019年度当初:0.5億円】

地方公共団体や農林漁業者の組織する団体等が農山漁村の地域循環資源を再エネ等として活用し、地域の持続可能な発展を目指す取組について、事業計画策定のサポートや関連事業者とのマッチング、相談窓口、情報発信を支援しました。

④民間事業者による分散型エネルギーシステム構築支援事業【2019年度当初:21.0億円】

地域のエネルギー需給の特性に応じた再エネ設備導入やエネルギー管理システム構築など、地域に存在する再エネ等の分散型エネルギーを地域内で効率的に活用する地産地消型エネルギーシステムを構築する事業に対して支援を行いました。

⑤戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発【2019年度当初:48.9億円】

2030年の社会実装を目指し、リチウムイオン蓄電池に代わる革新的な次世代蓄電池やバイオマスから化成品等を製造するホワイトバイオテクノロジー等の世界に先駆けた革新的低炭素化技術をはじめ、低炭素社会の実現に貢献する革新的な技術シーズ及び実用化技術の研究開発を推進しました。

⑥未来社会創造事業(「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域)【2019年度当初:8.5億円】

2050年の社会実装を目指し、エネルギー・環境イノベーション戦略等を踏まえ、低炭素社会の実現に資する、従来技術の延長線上にない革新的エネルギー科学技術の研究開発を推進しました。

⑦新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術開発事業【2019年度当初:19.0億円】

太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス、太陽熱・雪氷熱・未利用熱、燃料電池・蓄電池、エネルギーマネジメントシステム等における中小・ベンチャー企業が有する潜在的技術シーズを発掘し、その開発及び実用化を支援しました。

⑧下水道革新的技術実証事業【2019年度当初:156億円の内数】

下水道事業における再エネ創出技術等の導入を促進するため、ICT活用スマートオペレーションによる省スペース・省エネ型高度処理技術や、小口径管路からの下水熱を利用した融雪技術の実証等を実施しました。

⑨CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業【2019年度当初:65.0億円の内数】

再エネを活用した自立分散型エネルギーシステムの普及のため、デジタルグリッドルータ及び電力融通決済システムの開発・実証や、電気自動車を家庭等に導入した再エネの調整力として活用するいわゆるV2Hの実現を容易にする車載用蓄電池と定置型蓄電池間の双方向充電システムの技術開発を実施しました。また、離島、港湾及び沿岸域等の海洋エネルギーを活用できる次世代型高効率波力発電システムの技術開発・実証を行いました。加えて、大都市域に共通して存在する帯水層の熱利用ポテンシャルを活用した業務用ビル空調向けのオープンループ型地中熱システムの技術開発・実証を実施しました。

⑩公共施設等先進的CO2排出削減対策モデル事業【2019年度当初:26.0億円】

公共施設等に再エネや自営線等を活用した自立・分散型エネルギーシステムを導入するなどした上で、地区を超えたエネルギー需給の最適化を行う実証について補助を行いました。

⑪ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2削減価値創出モデル事業【2019年度当初:30.0億円の内数】

これまで十分に評価または活用されていなかった自家消費される再エネのCO2削減価値について、低コストかつ自由に取引できるシステムを、ブロックチェーン技術を用いて構築し、CO2削減価値が適切に評価される社会へのパラダイムシフトを起こすことで再エネのさらなる普及を目指しています。2019年度は100軒程度の消費者等をモニターとした、本事業の成果の社会実装・商用利用に向けたCO2削減価値のリアルタイム取引の実証を開始しました。

⑫国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費【2019年度当初:3.8億円】

J-クレジット制度の運営に取り組みつつ、同制度を利用した省エネ・再エネ設備の導入を促進するため、同制度でクレジットを創出・活用する企業・自治体等に対して制度利用支援等を実施しました。併せて、同制度におけるクレジット需要を開拓するため、各種制度との連携を図りつつ、クレジット制度利用の推進事業を行いました。

⑬環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進【2019年度当初:667.2億円の内数 ほか、臨時・特別の措置(防災・減災、国土強靱化関係)941.0億円の内数】

地球環境問題が喫緊の課題となっている中、公立学校施設に対して、文部科学省、農林水産省、国土交通省及び環境省が協力して、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備を推進しており、再エネ設備を導入する場合には、費用の一部を補助しました。

⑭エコリース促進事業【2019年度当初:19.0億円の内数】

中小企業等が、再エネ設備等の低炭素機器をリースにより導入する際に、リース料の一部を助成しました。

⑮新エネルギー等の導入促進のための広報等事業【2019年度当初:8.1億円】

再エネの普及の意義やFIT制度の内容について、展示会への出展、パンフレットの作成、WEBサイト等の活用などを通じて発電事業者をはじめとする幅広い層に対する周知徹底を図るとともに、地域密着型の再エネ発電事業の事業化に向け、計画策定支援研修会の開催、必要となる調査・協議等に関する助言及び各種支援施策の紹介や許認可手続の案内などの支援を実施しました。また、地方自治体と協力しつつ地域の再エネ推進体制を構築し、再エネ発電事業者や地元関係者への再エネ関連の情報提供等を実施しました。さらに、住宅用太陽光発電設備の買取期間終了に向け、制度に関する情報提供やFIT卒業電源の活用メニューを提供する事業者のポータルとなる専用サイトや、新聞・Web広告等による周知を行いました。

⑯バイオ燃料の生産システム構築のための技術開発事業【2019年度当初:27.2億円】

食糧と競合しないセルロース系バイオマス原料によるエタノールの一貫製造プロセスの確立を目指し、要素技術の組合せをパイロット規模で検証し、事業性評価を踏まえた上で、一貫製造プロセスの確立に向けたデータ取得及び事業性評価の精度向上を図るために長期安定性試験を実施しました。

また、バイオジェット燃料の2030年頃の商用化を目指し、バイオマスのガス化・液化や微細藻類の培養技術等優れた要素技術を基にした、一貫製造プロセス構築のためのパイロット規模の検証試験を行いました。

⑰分散型エネルギーインフラプロジェクト【2019年度当初:10億円の内数】

地方公共団体を核として、需要家、地域エネルギー会社及び金融機関等、地域の総力を挙げて、バイオマス、廃棄物等の地域資源を活用した地域エネルギー事業を立ち上げる地方公共団体のマスタープラン策定を支援するとともに、関係省庁と連携して総務省に事業化ワンストップ窓口を設置しマスタープランの円滑な事業化を支援しました。

⑱地域低炭素投資促進ファンド事業【2019年度当初:46.0億円】

「脱炭素社会の実現」と「地域活性化」の同時達成を目的として、一定の採算性・収益性が見込まれる地域の再エネ事業等に対して「出資」を行いました。

3.税制

(1)省エネ再エネ高度化投資促進税制<再生可能エネルギー部分>【税制】

FIT制度からの自立化や長期安定発電の促進に大きく貢献する再エネ発電設備等を取得等した場合に、その取得価額の20%を特別償却できる税制措置を講じました(2020年3月31日までの間)。

(2)再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例措置【税制】

FIT制度の認定を受けた再エネ発電設備(太陽光発電設備については、FIT制度の認定を受けていないもの)を取得した場合、固定資産税を3年間にわたって軽減する措置を講じました。2018年度税制改正において、本措置の適用期限を2020年3月31日まで、2年間延長しています。

(3)バイオ燃料製造設備に係る固定資産税の軽減措置【税制】

農林漁業由来のバイオマスを活用した国産バイオ燃料の生産拡大を図るため、「農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律(平成20年法律第45号)」(農林漁業バイオ燃料法)に基づく生産製造連携事業計画に従って新設されたバイオ燃料製造設備(エタノール、脂肪酸メチルエステル(ディーゼル燃料)、ガス、木質固形燃料の各製造設備)に係る固定資産税の課税標準額を3年間にわたり、2分の1に軽減する措置を講じました(2020年3月31日までの間)。

(4)バイオ由来燃料税制の整備及び施行【税制】

バイオ燃料の導入を加速化するため、バイオエタノール等を混和して製造した揮発油については、これまでガソリン税(揮発油税及び地方揮発油税)の課税標準(混和後の揮発油の数量)から混和されたエタノールの数量を控除する措置を講じてきており、2018年度税制改正において本措置の適用期限を5年間延長しています(2023年3月31日までの間)。また、2020年度税制改正において課税標準の特例措置の対象となるバイオエタノール等の範囲に、カーボンリサイクル技術を用いて製造されるエタノール等を加える措置を講じました(2020年4月1日から2023年3月31日までの間)。

当該措置により、バイオエタノールの混合分の税額(ガソリン1リットルについて平均約0.87円(2018年度実績))が軽減されました。また、バイオエタノールをガソリンに混合するために用いられるETBEのうち、バイオマスから製造したエタノールを原料として製造したものにかかる関税率(3.1%)及びバイオマスから製造したエタノールをそのまま輸入する場合にかかる関税率(10%)について、2020年度税制改正において引き続き暫定的に1年間無税とする措置を講じました。当該措置により、ETBEを国内製造するための輸入バイオエタノールの関税額分(ガソリン1リットルについて平均約0.002円(2018年度実績))及び輸入ETBEの関税額分(ガソリン1リットルについて平均約0.088円(2018年度実績))が軽減されました。

4.財政投融資

環境・エネルギー対策資金(非化石エネルギー関連設備)【財政投融資】

再エネ発電設備・熱利用設備を導入する際に必要となる資金を日本政策金融公庫から中小企業や個人事業主向けに低利で貸し付けることができる措置を講じました。

5.その他の取組

(1)風力・地熱発電に係る環境影響評価の国による審査

期間の短縮化及び環境影響評価対象事業の追加風力・地熱発電建設時の環境影響評価の国の審査期間については、2012年11月の「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議 中間報告」(環境省・経済産業省)において、火力発電所リプレースに係る国の審査期間の短縮に向けた取組を、風力・地熱発電の環境影響評価の審査についても適用することとされています。

この結果、2018年度においては、地方公共団体の協力を得て審査期間の短縮を図るとともに、環境調査を前倒しして他の手続と同時並行で進める手法の実証事業を行い、これをもとに事業者が参照できるガイドをとりまとめ、概ね目標のとおり実施期間の短縮を実現しました。また、実証事業の成果を一般化するため、「発電所に係る環境影響評価の手引」に前倒し手法を反映しました。質の高い環境影響評価を効率的に進めるために、環境省では、環境影響評価に活用できる地域の環境基礎情報を収録した「環境アセスメントデータベース”EADAS(イーダス)”」において、情報の拡充や更新を行い公開しました。

また、環境の保全への適正な配慮がなされることを確保するため、2020年4月から大規模な太陽電池発電所を環境影響評価法(平成9年法律第81号)の対象事業に追加する「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令(令和元年政令第53号)」が施行されました。

(2)バイオマス産業都市の構築

2012年9月に関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が共同で取りまとめたバイオマス事業化戦略において、地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出と地域循環型エネルギーシステムの構築に向けたバイオマス産業都市の構築を推進することとされ、2019年度までに90市町村をバイオマス産業都市として選定しました。

(3)FIT制度におけるバイオマス燃料の持続可能性

FIT制度では、バイオマス発電に対して、FIT認定基準の一つとして「燃料を安定的に調達することが見込まれること」を求めています。この燃料の安定調達については、調達期間中に必要量を安定して調達できることを契約書等により確認していますが、特に持続可能性の担保について懸念のある輸入の木質バイオマスについては、持続可能性を確認するため、FIT制度創設以来、林野庁の「木材・木材製品の合法性・持続可能性の証明のためのガイドライン」に示されたFSC等の森林認証及びCoC認証等により、サプライチェーンにわたる分別管理を行うことを要件としています。

一方で、輸入の農産物の収穫に伴って生じるバイオマス液体燃料(パーム油)については、FIT制度創設時には第三者認証を求めていませんでしたが、認定量の急増を受けて、持続可能性の確認をより厳格に確認する必要が生じたことから、2018年4月の新規認定より、RSPO認証などの第三者認証によって持続可能性の確認を行うこととし、より実効的な確認を行うため、認証燃料が非認証燃料と完全に分離されたかたちで輸送等されたことを証明するサプライチェーン認証(アイデンティティ・プリザーブド(IP)及びセグリゲーション(SG))を求めてきました。

こうした中、2019年4月から10月にかけて、調達価格等算定委員会からの要請を踏まえ、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会バイオマス持続可能性ワーキンググループを5回開催し、FIT制度における農産物の収穫に伴って生じるバイオマス燃料の持続可能性の確認方法について専門的・技術的な検討を行い、2019年11月に中間整理を取りまとめ、環境・社会・労働、ガバナンス等の観点について、第三者認証が満たすべき評価基準等を整理しました。この中間整理を踏まえ、2020年4月に、FIT制度の事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)を改訂しました。