第3章 再生可能エネルギーの導入加速~中長期的な自立化を目指して~

再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しない電源であり、また、資源の乏しい我が国のエネルギー自給率向上と、化石燃料輸入の削減に寄与するエネルギー源であり、その役割に大変期待されています。また、エネルギー基本計画においては、2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくこととされています。そのため、2015年度においても、系統強化、規制の合理化、低コスト化等の研究開発などを着実に進めてきました。また、2016年3月に第3回再生可能エネルギー等関係閣僚会議を開催し、再生可能エネルギーにおける政府の司令塔機能を強化するとともに、関係省庁間の連携を促進しています。

具体的な取組として、固定価格買取制度の見直しをはじめ、系統整備や系統運用ルールの整備、発電設備の高効率化・低コスト化や系統運用の高度化等に向けた技術開発、必要に応じた関連規制の合理化などに取り組み、エネルギーミックスにおいて示された2030年度における再生可能エネルギーの導入水準(22 ~ 24%)の実現に向けて進めてまいります。

<具体的な主要施策>

1.環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)【税制】

青色申告書を提出する個人及び法人が省エネや再エネの導入拡大に資する設備を取得等した場合、初年度においてその取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(中小企業者等のみ)を認める税制措置が講じられています(2015年に策定したエネルギーミックスの実現のため、平成28年度税制改正において、地熱発電、木質バイオマス発電設備等の対象設備への追加等の重点化を行った上で、適用期限を2年延長しました)。

また、風力発電設備を取得等し、その後事業の用に供した場合には、普通償却限度額との合計で取得価額まで特別償却ができる税制措置(即時償却)が講じられています(平成28年度税制改正により2016年3月31日までに取得した後、1年以内に事業の用に供したものに限られました)。

2.電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)の整備及び施行【制度】

2013年度にRPS法の義務が課せられた電気事業者は、10電力会社を始めとする計97社、その義務量の総量は38.3億kWhであり、全ての電気事業者が義務を履行しました。また、2014年度は、再生可能エネルギー特別措置法附則第12条における経過措置規定により、34.9億kWhの義務量が課されました。

3.大型蓄電システム緊急実証事業費補助金【2012年度予備費:295.9億円】

北海道及び東北地方において、電力会社の変電所に、世界最大級の大型の蓄電池を設置し、再生可能エネルギーの出力変動を緩和するための実証事業を行いました。

4.新エネルギー系統対策蓄電池システム技術開発【2015年度当初:9.0億円】

風力発電、太陽光発電の大量導入に向けて、系統対策用の蓄電池として、安全性や耐久性等を追求した蓄電システムの開発を行いました。

5.再生可能エネルギー余剰電力対策技術高度化事業【2014年度補正:65.0億円】

再生可能エネルギーの導入拡大による余剰電力対策用蓄電池として、揚水発電と同等の設置コスト(2.3万円/kWh)まで大幅に低減することを目標とした蓄電池技術の高度化を行いました。

6.戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発【2015年度当初:53.5億円の内数】

温室効果ガス削減に大きな可能性を有し、かつ従来技術の延長線上にない新たな科学的・技術的知見に基づく革新的技術となる、太陽光発電やバイオテクノロジー、蓄電デバイス等の研究開発を推進しました。さらに、現在の蓄電池を大幅に上回る性能を備える次世代蓄電池について基礎から実用化まで一貫した研究開発を推進しました。

7.新エネルギー等設備導入促進事業【2015年度当初:7.3億円】

再生可能エネルギーの普及の意義や固定価格買取制度の内容について、展示会やシンポジウムの開催、パンフレットの作成、ウェブサイト等の活用などを通じて発電事業者をはじめとする幅広い層に対する周知徹底を図るとともに、事業化に向けた地域発の再エネビジネススクールの実施、再生可能エネルギーを深く知るための子ども向けワークショップなど参加型のイベント等を通じてより深く理解し、主体的な行動につながる普及啓発を実施しました。

8.新エネルギーベンチャー技術革新事業【2015年度当初:12.0億円】

太陽光発電、風力発電、バイオマス、燃料電池・蓄電池等における中小・ベンチャー企業が有する潜在的技術シーズを発掘し、その開発及び実用化を支援しました。

9.再生可能エネルギーの接続保留への緊急対応【2014年度補正:744.0億円】

再生可能エネルギーの受入可能量の拡大方策を緊急的に講ずる必要があるため、(1)遠隔で出力制御を可能とする技術の確立、(2)蓄電池の活用、(3)原子力災害や津波の被災地における再生可能エネルギー導入支援等を措置しました。