第2章 東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故への対応とその教訓を踏まえた原子力政策のあり方
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から5年が経過しました。我々は、原子力の利用に当たって、決して「安全神話に陥ってはならない」という最大の教訓を得ましたが、今もなお、原子力の利用に対する国民の懸念は払拭できていません。また、再稼働に当たって立地自治体からも様々な要望が寄せられています。
本章では、まず、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた取組や、原子力損害賠償の取組、原発事故の被災者への支援について、この5年間での進展を確認します。
その上で、エネルギー政策を通じた復興・創生への貢献の取組、特に、未来の新エネルギー社会の実現に向けたモデルを福島で創出することを目指して策定する「福島新エネ社会構想」を紹介します。これは、原発事故を経験した福島が新エネルギー社会のモデルを世界に発信し、福島を「再エネ先駆けの地」となることを後押しし、福島における新エネ産業の集積を進める取組です。
さらに、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、原子力政策の抱える課題に真正面から向き合い、原子力利用に対して失われてしまった社会の信頼を高めていくために、政府として着実な取組を進めていかなければならない諸課題に対処する政策群(原子力社会政策)についての具体的な取組を紹介します。
また、原子力規制行政に対する信頼の確保に向けての継続的な取組についても、具体的に紹介します。