第2節 部門別エネルギー消費の動向
1.産業部門のエネルギー消費の動向
(1) 産業部門のエネルギー消費の動向
産業部門とは、製造業、農林水産業、鉱業、建設業の合計であり3、2012年度のエネルギー消費全体の42.6%を占める最大の部門でした。また、そのうちの約9割を製造業が占めました(第212-1-1)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。非エネルギー利用分については、1990年度以降は各業種の消費量の内数となっている。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
(2) 製造業のエネルギー消費の動向
第一次オイルショック前の1965年度から1973年度までの製造業のエネルギー消費については、伸び率がGDPの伸び率を上回り、年平均11.8%と、大きく伸張しました。その後、1973年の第一次オイルショック以降は大きく減少し、1973年度から1986年度までの13年間で年平均1.8%減少しました。しかし、1980年代中頃から再び増加に転じ、1973年度を若干上回る水準で推移しました。2008年度は、世界的な経済の低迷が大きく影響して、製造業のエネルギー消費は2007年度比マイナス11.1%と大幅な減少を示し、2009年度も2008年度比マイナス1.9%と引き続きマイナスとなりました。2010年度には2009年度比で7.2%増加しましたが、2011年度は東日本大震災の影響で2010年度比5.8%の減少、2012年度は回復基調の経済が下支えしたものの、2011年度比2.0%の減少となりました(第212-1-2)。1973年度と2012年度を比較すると、経済規模は2.4倍になり、製造業全体の生産も1.6倍に増加していますが、製造業のエネルギー消費は0.8倍と大きく効率化しました。このようにオイルショック以降、製造業におけるエネルギー消費が抑制された主な要因としては、省エネルギーの進展と産業構造の変化(素材産業から加工組立型産業へのシフト)が考えられます。
- (注1)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (注2)
- 1979年度以前のGDPは日本エネルギー経済研究所推計。
- (出典)
- 日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」経済産業省「鉱工業指数」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
製造業は、生産コスト低減の観点から、エネルギー効率向上に対する関心が高い業種であり、2012年度では生産一単位当たりに必要なエネルギー消費を表す「IIP(鉱工業生産指数)4当たりのエネルギー消費原単位」は1973年度に比べて43.8%縮小する等(第212-1-3)、省エネルギーに積極的に取り組みました。
- (注)
- 1. 原単位は、製造業IIP(付加価値ウェイト)一単位当たりの最終エネルギー消費量で、1973年度を100とした場合の指数である。
- 2.このグラフでは完全に評価されていないが、製造業では廃熱回収等の省エネルギー努力も行われた。
- 3.「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている5。
- (出典)
- 日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」、経済産業省「鉱工業指数」を基に作成
しかしながら、1990年代以降をみると、IIP一単位当たりのエネルギー消費原単位に若干の上昇傾向がみられます。これは、日本経済の低迷により設備稼働率が低下したこと等が影響していると考えられます。2000年代半ば以降になると、上昇傾向にあった原単位はほぼ横ばいとなっています。また、製造業のエネルギー消費は、依然としてエネルギー消費全体の5割近くを占めていることからも、引き続き省エネルギー対策が必要とされています。
次に製造業で消費されるエネルギー源をみると、1973年度の第一次オイルショックまでは石油の消費の伸びが顕著でしたが、その後は素材系産業を中心に石炭等への燃料転換が進み、石油からの代替が進展しました(第212-1-4)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。石油は原油と石油製品の合計を表す。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
さらに、第二次オイルショック以降には、都市ガスの消費も増加しています。また、電力消費量は産業構造の高度化や製造工程の自動化等により、この40年間で大幅な増加を示しました(後掲の第214-1-1、第214-2-2参照)。
(3) 製造業のエネルギー消費構造
製造業は素材系産業と非素材(加工組立型)系産業に大別できます。前者の素材系産業とは、鉄鋼、化学、窯業土石(セメント)及び紙パルプの素材物資を生産する産業を指し、エネルギーを比較的多く消費する産業です。一方、後者の非素材系産業とは、それ以外の食品、煙草、繊維、金属、機械、その他の製造業(プラスチック製造業等)を指しています。エネルギー消費の構成をみると、素材系産業である前述の4つの業種が製造業全体のエネルギー消費の8割弱を占めました(第212-1-5)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。化学業のエネルギー消費には、ナフサ等の石油化学製品製造用原料を含む。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
2.民生部門のエネルギー消費の動向
(1) 民生部門のエネルギー消費の動向
民生部門は、家庭部門と業務部門の2部門から構成され、2012年度の最終エネルギー消費全体の34.3%を占めました(第212-2-1)。
- (注)
- 構成比は端数処理(四捨五入)の関係で合計が100%とならないことがある。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
家庭部門は、自家用自動車等の運輸関係を除く家庭でのエネルギー消費6を対象とし、民生部門の41.6%を占めました。業務部門は、企業の管理部門等の事務所・ビル、ホテルや百貨店、サービス業等の第三次産業7等におけるエネルギー消費を対象としており、民生部門の58.4%を占めました(第212-2-2)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
(2) 家庭部門のエネルギー消費の動向
家庭部門のエネルギー消費は、生活の利便性・快適性を追求する国民のライフスタイルの変化、世帯数の増加等の社会構造変化の影響を受け、個人消費の伸びとともに、著しく増加しました。1973年度の家庭部門のエネルギー消費量を100とすると、2012年度には207.2となっており、第一次オイルショック当時に比べて、2倍以上のエネルギーを消費したことになりました(第212-2-3)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 内閣府「国民経済計算」、日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」、総務省「住民基本台帳」を基に作成
そのため、家庭部門における省エネルギーの推進が喫緊の課題になりました。
家庭部門のエネルギー消費量は、「世帯当たり消費量×世帯数」で表すことができます。したがって、世帯当たり消費量の増減及び世帯数の増減が、家庭部門のエネルギー消費の増減に影響を与えます。世帯当たりのエネルギー消費をみますと、家庭用機器のエネルギー消費効率が大幅に向上したことから、伸び率自体は鈍化したものの、機器の大型化・多様化等により増加傾向となりました。2012年度の世帯当たり消費量は1973年度の1.2倍となったのに加えて、世帯数が1973年度の1.7倍と増加しており、世帯当たり消費量と世帯数の増加の相乗効果により、全体として家庭部門におけるエネルギー消費量は増加したといえます。
用途別にみますと、家庭用エネルギー消費は、冷房、暖房、給湯、厨房、動力・照明他(家電機器の使用等)の5用途に分類することができます。1965年度におけるシェアは、給湯(33.8%)、暖房(30.7%)、動力・照明他(19.0%)、厨房(16.0%)、冷房(0.5%)の順でしたが、家電機器の普及・大型化・多様化や生活様式の変化等に伴い、動力・照明他用のシェアが増加しました。またエアコンの普及等により冷房用が増加し、相対的に暖房用・厨房用・給湯用が減少しました。この結果、2012年度におけるシェアは動力・照明他(37.3%)、給湯(28.0%)、暖房(24.0%)、厨房(8.3%)、冷房(2.3%)の順となりました(第212-2-4)。
- (注1)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (注2)
- 構成比は端数処理(四捨五入)の関係で合計が100%とならないことがある。
- (出典)
- 日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」、総務省「住民基本台帳」を基に作成
我が国の高度経済成長が始まったとされる1965年度頃までは家庭部門のエネルギー消費の3分の1以上を石炭が占めていましたが、その後主に灯油に代替され、1973年度には石炭はわずか6%程度になりました。この時点では、灯油、電力、ガス(都市ガス及びLPガス)がそれぞれ約3分の1のシェアでしたが、その後の新たな家電製品の普及、大型化・多機能化等によって電気のシェアは大幅に増加しました。また、オール電化住宅の普及拡大もあり、2008年度には電気のシェアは50%を超え、2010年度には51%に達しましたが、2011年3月に発生した東日本大震災以降は節電の効果もありシェアはやや減少し、2012年度の電気のシェアは50.5%となりました(第212-2-5)。
- (注)
- 構成比は端数処理(四捨五入)の関係で合計が100%とならないことがある。
- (出典)
- 日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」、総務省「住民基本台帳」を基に作成
なお、家庭において電力を多く消費しているのはエアコン等の空調機器で、冷蔵庫や洗濯機等を動かすための動力や照明器具、テレビ等の電力消費も増加しました。2012年度の調査によると家庭における世帯当たり待機時消費電力量8は、家庭の世帯当たり全消費電力の5.1%を占めました9。
(3) 業務部門のエネルギー消費の動向
業務部門は、事務所・ビル、デパート、卸小売業、飲食店、学校、ホテル・旅館、病院、劇場・娯楽場、その他サービス(福祉施設等)の9業種に大別されます。これら9業種のエネルギー消費をみると、かつては、ホテル・旅館や事務所・ビルがエネルギー消費の多くを占めていましたが、近年では、事務所・ビルが最も大きなシェアを占め、次いで卸・小売業となりました(第212-2-6)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
業務部門のエネルギー消費量は、「延床面積当たりエネルギー消費原単位×延床面積」で表すことができます。そのエネルギー消費の推移をみますと、1965年度から1973年度までは、高度経済成長を背景に年率15%増と顕著に伸びましたが、第一次オイルショックを契機とした省エネルギーの進展により、その後のエネルギー消費はほぼ横ばいで推移してきました。しかしながら、1980年代後半からは再び増加傾向が強まり、1990年度から2012年度までの22年間で年率1.6%増加しました(第212-2-7)。
- (注1)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (注2)
- 1979年度以前のGDPは日本エネルギー経済研究所推計。
- (出典)
- 内閣府「国民経済計算」、日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
業務部門のエネルギー消費を用途別にみた場合、暖房、冷房、給湯、厨房、動力・照明の5用途に分けられます。用途別の延床面積当たりエネルギー消費原単位の推移をみると、動力・照明用のエネルギー消費は、OA化等を反映して高い伸びを示しました。その結果、動力・照明用の業務部門のエネルギー消費全体に占める割合は、2012年度では39%に達しました。一方、冷房用のエネルギー消費原単位は、第一次オイルショックまでは年率15%を超える勢いで伸びていましたが、それ以降は省エネルギーの進展や、空調機器購入が一巡したこと等から、2012年度の割合は12%となりました。また、暖房用のエネルギー消費原単位は、ビルの断熱対策が進んだことや「ウォームビズ」に代表される様々な省エネルギー対策が進展したこと等から減少傾向で推移しました。この結果、2005年度から2012年度の7年間でエネルギー消費原単位は年平均4.4%減少しました(第212-2-8)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
また、業務用のエネルギー源について、電力の割合は増加傾向にあります。ガスを使って発電すると同時に、排熱を給湯や空調に利用するガスコージェネレーションシステム等の普及拡大に伴いガスも増加傾向になりました。一方、主として暖房用に利用される石油は減少傾向になりました(第212-2-9)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。ガスは天然ガス、都市ガス、LPGの合計である。
- (出典)
- 日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
業務部門における省エネルギーを実現するためには、建物の断熱強化や冷暖房効率の向上、照明等の機器の効率化を行うとともに、更なるエネルギー管理の徹底が必要であるといえます。
3.運輸部門のエネルギー消費の動向
(1) 運輸部門のエネルギー消費の動向
運輸部門は、乗用車やバス等の旅客部門と、陸運や海運、航空貨物等の貨物部門に大別されます。運輸部門は、エネルギー最終消費全体の23.1%を占めており、このうち、旅客部門のエネルギー消費量が運輸部門全体の62.6%、貨物部門が37.4%を占めました(第212-3-1)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
旅客部門のエネルギー消費量は、GDPの伸び率を上回る伸びで増加してきましたが、2001年度をピークに下降傾向に転じました。また、旅客部門のエネルギー消費量の伸びは、貨物部門を上回って推移しました(第212-3-2)。
- (注1)
- 「総合エネルギー統計」は、1990年度以降の数値について算出方法が変更されている。GDPは2005年基準。
- (注2)
- 1993年度以前のGDPは日本エネルギー経済研究所推計。
- (出典)
- 内閣府「国民経済計算」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
1965年度における運輸部門のエネルギー消費量は約800×1015J(日本の最終エネルギー消費全体の18%)であり、その構成は、旅客部門が41.5%、貨物部門が58.5%でした。1965年度から1973年度の8年間にエネルギー消費量は運輸部門全体で2.3倍(年率10.9%増)となり、2度のオイルショックを経て伸び率は鈍化したものの、1973年度から2012年度の39年間で更に1.8倍(年率1.6%増)に拡大しました。2012年度のエネルギー消費は1965年度から47年間でみると4.2倍、年率3.1%の増加となりました。このうち旅客部門は6.3倍(年率4.0%増)、貨物部門は2.7倍(年率2.1%増)と、旅客部門は貨物部門の増加を上回る勢いで増加しており、そのシェアは逆転しました。2012年度の運輸部門におけるエネルギー源別の構成比をみますと、ガソリン、軽油、LPガス、潤滑油等の石油系エネルギーが97.9%を占め、電力のシェアは2.0%になりました(第212-3-3)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出所)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
(2) 旅客部門のエネルギー消費の動向
旅客部門のエネルギー消費は1965年度から1973年度まで年平均伸び率で13.4%の伸びを示し、2.7倍に増加しましたが、1973年度以降は伸び率が2.1%程度に鈍化しました。その結果、2012年度のエネルギー消費は1965年度比6.3倍となりました。その内訳をみますと、乗用車は、保有台数の増加等により、1965年度から2012年度まで年平均4.8%増と旅客部門全体の伸び率4.0%を上回る増加を示しました。また、旅客部門全体のエネルギー消費量に占める乗用車の割合は、1965年度の63.7%から2012年度では93.6%へと上昇しました。逆に、同期間のエネルギー消費量に占める公共交通機関の割合は、バスが11.4%から2.9%へ、鉄道が18.4%から3.3%へとそれぞれ低下しました(第212-3-4)。
- (注1)
- 2012年度は、グラフに示していない輸送機関内訳誤差が存在するため、構成比の合計は100%にならない。
- (注2)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」、日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」を基に作成
旅客部門におけるエネルギー源別の構成比の変化をみますと、主として乗用車に使われるガソリンの割合が1965年度の53.0%から2012年度では79.5%に上昇した一方、主として鉄道に使われる電力の割合は1965年度の7.2%から2012年度には3.0%に低下しました(第212-3-5)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
(3) 貨物部門のエネルギー消費の動向
貨物部門のエネルギー消費量は、第二次オイルショック後の1980年度から1982年度、バブル経済崩壊後の1992年度に前年度実績を割り込むことがあったものの基本的に拡大し続け、1996年度にピークに達し、それ以降、減少に転じ、2012年度にはピーク期に比べて約27%縮小しました。貨物部門は経済情勢、価格の変動、産業構造の変化及び省エネルギー技術の普及等に影響されやすく、そのエネルギー消費量は旅客部門に比べ、伸びが穏やかですが、より早い時期に減少局面に転じ、その減少幅がより大きいのが特徴でした。貨物部門のエネルギー消費の内訳をみますと、そのほとんどが自動車で占められていました。特に、自家用トラックのエネルギー消費は大きく、後で述べる輸送量と比較すると、大量のエネルギーを消費したことが分かります。ただし、2000年以降営業用トラックと自家用トラックのエネルギー消費が共に減少しています。
船舶のエネルギー消費は、高度経済成長期を通じて増加していったものの、1980年度から減少に転じました。そして、1990年代ではほぼ横ばいか、やや増加傾向にありましたが、2002年度から再び減少傾向に転じました。航空のエネルギー消費量は、輸送能力の増大や輸送コストの低廉化等によって1995年まで急速に伸びましたが、その後、経済の停滞とともに伸び悩みました。鉄道のエネルギー消費は、1987年まで急速に縮小しましたが、その後ほぼ横ばいで推移しました(第212-3-6)。
- (注1)
- 輸送機関内訳推計誤差を除く。
- (注2)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。また、それまで1つであった自動車によるエネルギー消費量は1990年度以降、自家用トラックによるものと営業用トラックによるものの2つに区分されている。
- (注3)
- 自家用トラックとは事業者が自社の貨物を輸送する目的で保有するもの、営業用トラックとは事業者等から依頼された貨物を輸送する目的で保有するものをいう。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
近年の貨物輸送のエネルギー源は、64.6%が主として大型トラックで消費される軽油、23.7%が主として配送用の小型貨物車で消費されるガソリン、残りが主として船舶に使われる重油や航空用のジェット燃料等となっていました(第212-3-7)。
- (注)
- 「総合エネルギー統計」では、1990年度以降、数値の算出方法が変更されている。
- (出典)
- 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成
- 3
- 石炭・石油産業等のエネルギー産業は転換部門に、サービス産業は業務部門に含まれます。
- 4
- IIP(鉱工業生産指数:Indices of Industrial Production)は、鉱工業全体の生産水準の動きを示す代表的な指数であり、毎月の鉱業・製造業の生産量について、ある一定時期における生産量と付加価値額を基準に指数化したものです。
- 5
- 旧総合エネルギー統計は、政府が実施する「エネルギー生産・需給統計」を中心に販売側の統計に基づいた算出が行われていましたが、政府統計の整理合理化対策の一環として石炭・石油製品の販売統計調査が2000年度を最後に廃止されたことなどから、継続して作成することができなくなりました。このようなことから、新しい総合エネルギー統計では、石油等消費動態統計・家計調査報告や自動車輸送統計などの消費側の各種統計調査を中心とする算出方法に変更されています。
- 6
- 家庭でのエネルギー消費には冷房、暖房、給湯、厨房、動力・照明等があります。
- 7
- ここでの第三次産業は運輸関係事業、エネルギー転換事業を除きます。
- 8
- 待機消費電力とは、リモコンやマイコン等を組み込んだ家電機器が、その機器を使っていないときでもコンセントにつながっていることで消費される電力のことをいいます。
- 9
- 資源エネルギー庁省エネルギー対策課「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」によると全体の消費量4,432kWh/年のうち228kWh/年が待機電力であり、電力消費の5.1%を占めています。