第5章 低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現

1.省エネルギー対策の意義とこれまでの取組

天然資源に乏しい我が国では、エネルギーの安定供給の確保を図るため、二度の石油危機後、省エネ政策を主要な柱の1つとして位置付けてきました。特に、鉄鋼、化学等のエネルギー多消費産業では、日本型企業の特徴である品質、工程管理のノウハウを活かし、オイルショックを契機に、従来から地道に取り組んできたエネルギー管理を徹底するとともに、抜本的な省エネルギーを目指し、技術開発とその成果を活かす大型設備投資に積極的に着手してきました。一方、国は、1979年に制定したエネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)に基づき、エネルギー管理者の選任を義務化し、工場におけるエネルギー管理を後押しすることにより、産業分野の省エネルギーを推進してきました。また地球温暖化防止京都会議を機に、自動車や家電製品等の省エネルギー基準の遵守を義務づけた「トップランナー方式」の導入し、省エネルギー技術の開発と導入の加速化、機器のエネルギー消費効率改善を図ってきました。また、民生部門のエネルギー消費が増加している背景を踏まえ、事業者単位でのエネルギー管理を義務化し、業務部門に多く見られる中小規模の事業所を数多く設置する事業者を新たに義務の対象に加えるとともに、産業部門、業務部門に共通して、事業の実施を統括する役員クラスの者の中から「エネルギー管理統括者」やこれを補佐する「エネルギー管理企画推進者」の選任を義務づけることで、事業者の経営判断に基づく効果的な省エネルギーの取組を推進することになりました。

こうした官民の取組により、我が国では、GDPが約2.3倍となった過去約37年間でエネルギー効率を約4割改善するなど、省エネと経済成長の両立に成功してきました。エネルギー効率(1次エネルギー供給/GDP)は世界でも最高水準となりました(第350-1-1)。

【第350-1-1】 GDP当たりの一次エネルギー総供給の主要国比較(2010年)

【第350-1-1】 GDP当たりの一次エネルギー総供給の主要国比較(2010年)

(注)
一次エネルギー供給量(石油換算トン)/実質GDP(米ドル、2005年基準)を日本=1として換算。
(注)
一次エネルギー供給量(石油換算トン)/実質GDP(千米ドル、2005年基準)
(注)
非OECD諸国は液体以外の可燃再生エネルギーを含まない。
(出所)
IEA「Energy Balances of OECD Countries 2012 Edition」、「Energy Balances of Non-OECD Countries 2012 Edition」

2.2012(平成24)年度において省エネルギーに関して講じた施策

(1) 産業部門における対策

産業部門のエネルギー消費は、オイルショック以降の省エネルギー型設備や技術の積極的導入によって、オイルショック当時の水準からやや減少していますが、依然としてエネルギー消費全体の4割以上を占めています。

エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)等の改正案

我が国経済の発展のためには、エネルギー需給の早期安定化が不可欠です。供給体制の強化に万全を期した上で、需要サイドにおいて持続可能な省エネルギーを進めていく観点から、2013年3月に省エネ法等改正案を第183回通常国会に提出しました。

主な改正点は、建築材料等に係るトップランナー制度の導入と需要家側における電力ピーク対策の円滑化です。です。また、エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(省エネ・リサイクル支援法)を廃止します。(建築材料等へのトップランナー制度の導入の詳細は第5章2(.2)③(ア)、省エネ・リサイクル支援法廃止は第5章2.(4)⑤参照)

本改正における業務部門の対策については、電力ピーク対策を円滑化に進めるため、需要家が、従来の省エネルギー対策に加え、蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)の活用等により、電力需要ピーク時の系統電力の使用を低減する取組を行った場合に、これを評価できる体系にすることとしています。

産業部門における省エネルギー投資の一層の促進

(ア) エネルギー使用合理化事業者支援事業(34,300百万円)

工場・事業場等において、省エネルギー効果が高く、費用対効果が優れた先端的な設備等の導入を促進するため、これらを導入する事業者に対して費用の一部を補助する支援を行いました。

(イ) エネルギー使用合理化特定設備等導入促進事業費補助金1,513百万円)

省エネルギー設備の導入やトップランナー機器の設置を行う事業者が民間金融機関等から融資を受ける際に低利とするため、利子補給金を交付しました。

(ウ) 次世代型熱利用設備導入緊急対策事業(15,500百万円)

コスト面の課題により導入が進んでいなかった、300℃以下の未利用・低温廃熱の回収・有効利用設備の価格低減を加速化するため、高効率・革新的な熱利用設備の設置事業者に対する導入を支援する枠組みを新たに創設しました。

中堅・中小企業におけるエネルギーの有効利用の推進

(ア) 省エネルギー対策導入促進事業(600百万円)

省エネルギーに関する技術と資金が十分でない中堅・中小企業に対し、省エネルギー技術の導入可能性に関する診断事業等を行いました。また、地方公共団体等が参加費無料で開催する省エネ等に関する説明会やセミナー等に、省エネルギー及び節電の専門家を無料で派遣しました。これにより、中堅・中小企業における省エネルギーを促進しました。

(イ) 家庭・事業者向けエコリース促進事業

(2,000百万円の内数)(再掲 第3章第1節2.(3)②イⅲ 参照)

自主行動計画の推進・強化

産業界の中心的な取組である自主行動計画について、審議会による厳格な評価・検証を実施しました。2011年度実績に基づく2012年度の評価・検証では、福島第一原子力発電所事故に起因する原子力発電所の長期停止により、電力排出係数が全年度比で約2割程度悪化したため、CO2総量/原単位を目標とする業種においては、軒並み実績が悪化することとなりました。そのため、2011年度単年での目標達成業種は、全体としては減少しました。一方、電力排出係数を、電力事業者が目標を達成した場合に固定した際の実績に注目すると、目標達成業種は増加しており、従来からの各業種における技術革新、省エネ設備や高効率設備の導入、燃料転換、設備の運用改善などの取組が進展していることが分かり、自主行動計画で削減努力を積み重ねてきた産業界の取組は評価できるとされました。また、最終的な5ヶ年平均(2008~2012年度)での評価を見据えたこれまでの4ヶ年実績で評価した場合、未だに目標に達していない業種もあることから、これらの業種については、引き続き、目標達成を促すことが重要です。

省エネ法に基づくエネルギー管理の徹底

省エネ法に基づく第一種エネルギー管理指定工場等、第二種エネルギー管理指定工場等並びに特定事業者及び特定連鎖化事業者の本社機能を有する事務所を対象として、工場等判断基準の遵守状況を確認し、工場等及び事業者における省エネルギー活動の実態を把握するため、産業部門の約450事業所に対して現地調査を実施しました。現地調査結果や省エネ法に基づき事業者から提出された定期報告書の内容から、省エネルギーの取組が不十分であると判断された事業者に対し指導を実施する等、省エネ法の執行の強化に取り組みました。

【第350-2-1】 京都メカニズム等の償却量

【第350-2-1】 京都メカニズム等の償却量

(出所)
産業構造審議会 環境部会 地球環境小委員・中央環境審議会 地球環境部会自主行動計画フォローアップ専門委員会合同会合(2013年3月)

【第350-2-2】 京都メカニズムクレジット等の取得予定量

【第350-2-2】 京都メカニズムクレジット等の取得予定量

※今年度の資源・エネルギーWGにおいて「今後の需給見通しが不透明であることから、見通すことが出来ない」との報告があった

国際規格ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)に関する取組

エネルギーコストの上昇や環境問題への意識の高まりから、世界各国がエネルギー管理の重要性に注目しています。2011年6月、国際標準化機構(ISO)において、国際規格ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)が発行されました。ISO50001とは、各組織がエネルギー効率の継続的向上等を達成するために必要なエネルギーマネジメントの体系(EnMS)について規定したものです(第350-2-3)。規格の策定にあたっては、省エネ法に基づくエネルギー管理を行ってきた我が国の知見を積極的に反映することができたため、ISO50001は省エネ法と概ね整合性がとれた形となりました。

我が国の企業がISO50001の認証を取得するメリットとして、適切な”Plan-Do-Check-Act(”PDCA)プロセスで着実にエネルギー管理を行うことができる点や、国内外でビジネスチャンスを広げることができる点等があるため、同規格を普及・啓発するための取組を行いました。

【第350-2-3】 ISO50001の概念図

【第350-2-3】 ISO50001の概念図

産業部門の省エネルギー技術開発の推進

(ア) 戦略的省エネルギー技術革新プログラム(10,200百万円)

開発リスクの高い革新的な省エネルギー技術について、シーズ発掘から事業化まで一貫して支援を行う提案公募型研究開発事業を実施しました。2012年度においては、「省エネルギー技術戦略2011」に掲げる重要技術を軸に、インキュベーション13件、実用化31件、実証3件の計47テーマを採択しました。(第350-2-4)。

【第350-2-4】 戦略的省エネルギー技術革新プログラムのイメージ図

【第350-2-4】 戦略的省エネルギー技術革新プログラムのイメージ図

(イ) 次世代型ヒートポンプシステム研究開発(800百万円)

ヒートポンプの高効率化を達成するためには、機器単体の要素技術の開発だけでは限界があり、システム全体の効率改善が不可欠です。このため、個々の要素技術を統合した次世代型ヒートポンプシステムの開発を行い、エネルギーの高度利用と導入拡大を目指します。

2012年度においては、現状システム比1.5倍以上の効率向上を実現するヒートポンプシステムの研究開発に取り組みました。

産業部門の個別部門対策

(ア) 鉄鋼
(ⅰ) 環境調和型製鉄プロセス技術(1,615百万円)
(ⅱ) フェロコークス製造・高炉使用技術(399百万円)

我が国鉄鋼業は、排熱回収利用等の主要な省エネルギー設備を既に導入しており、製鉄プロセスにおけるエネルギー効率が世界最高水準であると同時にエネルギーの削減ポテンシャルが少ない状況です。他方で、高炉法による製鉄プロセスでは鉄鉱石を石炭コークスで還元するため、多量の二酸化炭素排出は避けられません。この二酸化炭素排出量の削減のため、①コークス製造時に発生する高温の副生ガスに含まれる水素を増幅し、コークスの一部代替に当該水素を用いて鉄鉱石を還元する技術、②二酸化炭素濃度が高い高炉ガスから二酸化炭素を分離するため、製鉄所内の未利用低温排熱を利用した新たな二酸化炭素分離・回収技術、といった技術開発を行い、これらの技術を組み合わせることによって、高炉一貫製鉄所から発生する二酸化炭素排出量の約3割の削減を目指しました(第350-2-5)。

また、近年の原料価格の高騰や鉄鋼新興国の旺盛な需要等による高品位原料炭の需給逼迫を背景として、鉄鋼業の資源対応力を強化が求められています。こうした原料に係る課題をむしろ我が国鉄鋼業の強みとするため、低品位原料炭の利用拡大を実現すると同時に炉内還元反応の高速化・低温下による省エネルギー化をも実現する技術の開発を行いました。

(イ) 窯業
(ⅰ) 革新的セメント製造プロセス基盤技術開発(156百万円)

我が国は、セメント製造における世界最高水準の省エネ技術を有しており、既存技術による省エネ対策はほぼ限界に達しています。

このため、エネルギー多消費産業の一つであるセメント産業の一層の省エネ・低炭素化を図ることを目的として、本事業を2010年度から開始しました。

具体的には、セメント製造プロセスで最もエネルギーを消費するクリンカ(セメントの中間製品)の焼成工程において、焼成温度低下等を可能とする革新的な製造プロセスの確立を目指し、それに必要となる基盤技術の研究開発に取り組みました。

(ⅱ) 革新的ガラス溶融プロセス技術開発(310百万円)

ガラス製造プロセスは、長きにわたり基本的な製造方法の革新が行われておらず、改善的な省エネ対策は限界に達しています。

このため、我が国のガラス産業の一層の省エネを目的とし、抜本的なプロセス改善としてガラス溶融工程において、プラズマ等技術を活用し、短時間で極めて効率的にガラス原料を気中で溶融する技術開発に取り組みました。

(ウ) 環境配慮型建設機械の普及

環境問題への対応

建設機械については、製品のライフサイクル全体のエネルギー消費量のうち90%程度が使用時に消費されることから、「エネルギー基本計画(2010年6月)」では、ハイブリッド建機等について、2030年において全建設機械の販売に占める割合を4割とすることと目標が掲げられました。2012年度は関係府省と連携し、ハイブリッド建機の導入に対する補助事業や、税制措置を実施しました。

【第350-2-5】 環境調和型製鉄プロセスのイメージ図

【第350-2-5】 環境調和型製鉄プロセスのイメージ図

(出所)
日本鉄鋼連盟資料をもとに、経済産業省作成

革新的低炭素技術集約産業の国内立地の推進

革新的低炭素技術集約産業の国内立地の推進(7,075百万円)

革新的な技術を活用することにより、大きな二酸化炭素削減効果が期待できる世界最先端レベルの低炭素製品に関する生産技術を確立するために必要な国内での設備投資に対する支援を行うことにより、国内での工場立地を促進し、低炭素型産業の大きな成長を図ることを目的とした支援事業を実施しました。

(2) 民生部門における対策

エネルギーを使用する機械器具の効率改善

(ⅰ) 省エネ法に基づくトップランナー方式による機器の効率改善

現在、省エネ法に基づき、自動車や家電製品といったエネルギー消費機器のうち省エネ法で指定する特定機器の製造事業者及び輸入事業者に対し、機器ごとに定めた目標年度以降に現在商品化されている製品のうち最も優れている機器の性能を勘案して定めた省エネルギー基準の遵守を義務付けることにより、エネルギー消費機器の効率改善を促した(トップランナー方式)結果、多くの機器において、基準の策定当初の見込みを上回る効率改善が達成されました。また、プリンター、複合機及びヒートポンプ給湯器を新たな特定機器として追加し、既存の電気冷蔵庫及び電気冷凍庫の基準については、業務用のものまで対象範囲を拡大しました。更に、LED電球の対象範囲・測定方法、三相誘導電動機の区分・目標年度・基準値について審議を行いました。

(ⅱ) 省エネルギー機器に関する情報提供

家電製品やOA機器等について、消費者が省エネルギー機器を選択しやすくすることにより省エネルギー機器の普及を図ること及び機器の製造事業者等に対して一層の効率改善努力を促すことを目的として、ロゴマークを用いた情報提供方法である省エネルギーラベリング制度5及び国際エネルギースタープログラム制度6の普及啓発を行うとともに、2006年10月から施行している、小売事業者が製品の省エネルギー関連情報を表示するための統一省エネルギーラベルについての普及啓発を行いました。現在の統一省エネルギーラベルの対象品目は、テレビジョン受信機、エアコンディショナー、電気冷蔵庫、電気便座、蛍光灯器具(家庭用)の五品目です。

なお、これまで一般家庭等を対象にスマートメーターの導入効果に関する実証事業を行っており、電力使用量の「見える化」や電力ピーク時間帯に高い料金を設定する等のより柔軟な料金メニューを通じた、需要家の行動変化による省エネルギー・負荷平準化効果について検証を行いました(負荷平準化機器導入効果実証事業)。

エネルギー需要の適正管理

(ア)省エネ法に基づくエネルギー管理の徹底と現地調査の実施

省エネ法に基づく第一種エネルギー管理指定工場等、第二種エネルギー管理指定工場等並びに特定事業者及び特定連鎖化事業者の本社機能を有する事務所を対象として、工場等判断基準の遵守状況を確認するため、民生業務部門の約80事業所に対して現地調査を実施しました。その調査結果や省エネ法に基づき事業者から提出された定期報告書の内容から、省エネルギーの取組が不十分であると判断された事業者に対し指導を実施する等、省エネ法の執行の強化に取り組みました。

(イ) 専門的な省エネルギーサービスを提供する事業の振興
(ⅰ) エネルギー管理システム(BEMS・HEMS)導入促進事業(平成23年度3次補正 30,001百万円)

中小ビルや一般家庭等に対して、電力需要抑制の取組を促進するため、BEMS及びHEMSの導入費用の一部を補助する事業を2011年度第3次補正予算で創設しました。BEMSについては、複数の高圧小口需要家の中小ビル等を対象に、クラウド等による集中管理システムを構築してエネルギー管理支援サービスを行う事業者(BEMSアグリゲータ)を通じてBEMS導入を支援することで、需要家側において効率的・効果的に省エネルギー・節電を行う動きを加速させ、節電対策が遅れていた中小ビル等の抜本的な節電を促す取組を行いました。HEMSについては、節電・ピークカット等を推進するため、電力需要抑制効果を高めるHEMSの導入費用の一部を補助する取組を行いました。

(ⅱ) スマートマンション導入加速化推進事業(平成24年度補正13,050百万円)

エネルギーマネジメントシステムの民生部門への普及を進めるため、マンション全体のエネルギー管理を行う事業者(MEMSアグリゲータ)を通じて導入されるMEMSの設置費用の一部を補助する事業を平成24年度補正予算で創設しました。上記(ⅰ)により支援を開始した、中小ビルを対象とするアグリゲータビジネスを、潜在的需要が大きいと考えられるマンションに拡大することで、経済性の観点から導入に対してハードルが高い一般家庭へのエネルギーマネジメントシステムの普及を進めます。

(ⅲ) HEMS活用によるCO2削減ポイント構築推進事業(94百万円)

また、家庭のエネルギー使用量を「見える化」するHEMSの普及を促進し、家庭におけるより低炭素なライフスタイルへの転換を図ることを目的とし、HEMS設置世帯のデータを利活用してCO2削減ポイント等のインセンティブを設けるモデルの検証を行いました。

(ⅳ) エネルギー使用合理化事業者支援事業(再掲 第5章2.(1)②(ア) 参照)
(ⅴ) 住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業(7,000百万円)

(後掲 第5章2.③(ウ)(ⅰ) 参照)

(ウ) 省エネ家電普及促進フォーラム・省エネあかりフォーラム

省エネ家電普及促進フォーラムにおいて、引き続き省エネ家電の普及促進に取り組みました。また、省エネ家電普及促進フォーラムの下に設立されている「省エネあかりフォーラム」において、目標として掲げている「一般的な白熱電球に関し、2012年を目途に、原則として電球形蛍光ランプ等の省エネルギー性能の優れた製品への切り替え」の実現を目指すこととし、省エネランプの普及促進に取り組みました。

住宅・建築物における対策

(ア) 省エネ法等改正案

第183回通常国会に省エネ法等改正案を提出しました。

主な改正点は、建築材料等に係るトップランナー制度の導入と需要家側における電力ピーク対策の円滑化です。です。また、エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(省エネ・リサイクル支援法)を廃止します。(電力ピーク対策の円滑化の詳細は第5章2(1)①、省エネ・リサイクル支援法廃止は第5章2.(4)⑤参照)

本改正における民生部門の対策について、これまでのトップランナー制度は、エネルギーを消費する機械器具が対象となっていましたが、今回の省エネ法等改正案では、住宅・建築物の省エネルギー性能の底上げを図るため、他の建築物や機器等のエネルギーの消費効率の向上に資する建築材料等(窓、断熱材、水回り設備等)を新たにトップランナー制度の対象に追加することとしています。

(イ) 住宅・建築物の省エネルギー基準の適合義務化に向けた検討

我が国のエネルギー消費の3割以上を占める民生部門(業務・家庭)においてより一層省エネルギー対策を進めるため、経済産業省、国土交通省、環境省、有識者や実務者等からなる、「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」を2010年6月から2012年4月にかけて開催しました。本会議において、住宅・建築物からの二酸化炭素排出削減に対する基本的考え、新築住宅・建築物に対する段階的な省エネルギー基準の適合義務化を含め、低炭素社会に向けた住まいのあり方等について審議を行い、2012年7月に住宅・建築物における省エネ・省CO2対策における今後取り組むべき施策の方向性についてとりまとめた『「低炭素社会に向けた住まいと住まい方」の推進方策について中間とりまとめ』を公表しました。

(ウ) 省エネルギー型住宅・建築物の普及促進のために活用される金融・税制・予算上の特例措置
(ⅰ) 住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業(7,000百万円)

建築物については、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)に資するような高性能設備機器やエネルギーマネジメントシステム等の要素技術を導入し、年間の一次エネルギー消費量を一定量(新築:30%以上、既築:25%以上)削減できる建築物の新築・改修等を行う建築主等へ支援を行うことで、ZEBの実現に資する要素技術の普及を促進しました。住宅については、高断熱性能、高性能設備と制御機構等を組み合わせて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を実現する建築主等へ支援を行いました。

(ⅱ) 環境・ストック活用推進事業(17,310百万円)(補正5,000百万円)

住宅・建築物の省エネ対策を促進するため、先導的な省CO2技術を導入する住宅・建築物リーディングプロジェクト中小工務店によるゼロ・エネルギー住宅の取組、住宅・建築物ストックの省エネ改修等に対して支援を行いました。

(ⅲ) エコポイントの活用による環境対応住宅普及促進事業

住宅エコポイントは、環境性能の高いエコ住宅の新築やエコリフォームに対して、多様な商品・サービスに交換可能なポイントを発行する制度で、2011年10月より東日本大震災の被災地復興支援を事業目的に加え、「復興支援・住宅エコポイント」として再開し、2012年10月末までに工事着工したものを対象に実施しました。

(ⅳ) 住宅に係る省エネルギー改修税制

既存住宅において一定の省エネルギー改修(高断熱窓への取替え等)を行った場合で、当該改修に要した費用が一定額以上のものについて、当該住宅に係る固定資産税の特例措置を講じました。

(ⅴ) 環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)(再掲 第3章第1節2.(4)②(イ)ⅱ 参照)
(ⅵ) 住宅金融支援機構の行う証券化支援事業の枠組みを活用したフラット35Sによる省エネルギー性に優れた住宅の誘導

省エネルギー性に優れた住宅に対し、住宅金融支援機構の行う証券化支援事業の枠組みを活用し、金利の引き下げを行うフラット35Sを実施しました。

(ⅶ) 公共住宅等における省エネルギー措置の促進

一定の省エネルギー水準を満たす公営住宅や都市機構住宅の供給を図るとともに、1999年省エネルギー基準を満たしている等の環境・資源問題に対応した住宅等の整備等に対し助成を行いました。

(エ) 建築物における省エネルギー・節電推進

建築物節電改修支援事業(15,000百万円)

東日本大震災の電力需給対策の一環として、民生部門の節電を推進するため、既築建築物において、一定の節電効果を有する設備等を導入する補助事業を行いました。具体的には、既存の設備の改修等によって、建物一棟の電力消費量に対して10%以上の節電効果を有する事業に補助を行いました。

(オ) 住宅性能表示制度等の効果的運用

「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく、省エネルギー性能を含む住宅の性能について消費者にわかりやすく表示する制度(住宅性能表示制度)の積極的な普及を進めました。

また住宅・建築物の居住性(室内環境)の向上と地球環境への負荷の低減等を総合的な環境性能として一体的に評価する建築環境総合性能評価システム(CASBEE)について、都市全体を対象とした評価方法や、建築物の不動産価値に重点を置いた評価方法の開発・普及を図りました。

(カ) 省エネ法に基づく住宅・建築物対策(住宅・建築物の省エネ基準の見直し)

現行の省エネ基準の建物全体の省エネ性能を客観的に比較しにくい等の課題を解決するため、2012年8月から11月にかけて、経済産業省、国土交通省による「住宅・建築物判断基準小委員会及び省エネルギー判断基準等小委員会合同会議」を開催し、国際的にも使われている一次エネルギー消費量を指標として、同一の考え方により、外皮の熱性能に加え、設備性能を含め総合的に評価できる基準に一本化する等の見直しを行いました(建築物は2013年4月、住宅は2013年10月施行)。

(キ) 低炭素住宅・建築物の認定

東日本大震災を契機とするエネルギー需給の変化や国民のエネルギー・地球温暖化に関する意識の高揚等を踏まえ、都市・交通・建築物の低炭素化・エネルギー利用の合理化などの地域における成功事例を蓄積し、その普及を図るとともに、住宅市場・地域経済の活性化を図ることを背景として、「都市の低炭素化の促進に関する法律」が2012年9月に成立しました。当該法律に規定された低炭素建築物の認定制度の開始に向けて、同年9月から11月にかけて経済産業省、国土交通省、環境省による「住宅・建築物判断基準小委員会、省エネルギー判断基準等小委員会及び低炭素建築物に関する専門委員会合同会議」を開催し、省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量が10%以上削減すること等を要件とした定量的評価項目及び法律や基本方針の主旨を踏まえて取組む低炭素化に資する措置等が一定以上講じられていることを要件とする選択的項目からなる低炭素基準の策定を行い、同年12月に当該認定制度を開始しました。

民生部門の省エネルギー技術開発の推進

(ア) 戦略的省エネルギー技術革新プログラム

(再掲 5章2.(1)⑦(ア) 参照)

(イ) 次世代型ヒートポンプシステムの研究開発

(再掲 第5章2.(1)⑦(イ)参照)

(ウ) ヒートポンプ給湯器のトップランナー基準の策定

ヒートポンプ給湯器については、急速に普及が進んでおり、これに伴いエネルギー消費量も増大しました。そこで、判断基準をとりまとめ、新たなトップランナー基準の対象機器に追加しました。

(エ) 省エネ家電、省エネIT機器等の普及(家庭・業務部門対策)

民生部門では、家電の増加やオフィスのIT化の進展等により、エネルギー消費量が増加してきているため、家電やIT機器等の省エネルギーを進めることが重要です。革新的な省エネルギー性能を持つIT機器(ルータ、ストレージ、サーバ等)の開発と早期実用化を目指した「グリーンITプロジェクト」を2008年から実施しました。さらに2012年から光・電子ハイブリッド回路技術を用いた次世代の省エネIT機器の実現に向けたデバイスの研究開発を開始しました。

また、今後大幅な省エネルギー性能の向上が見込まれる高効率次世代照明(LED照明、有機EL照明)については、2020年までにフローで100%、2030年までにストックで100%普及させることを目指し、省エネルギー化・低コスト化に向けた基盤的な研究開発、国際標準化の推進等の取組を実施しました。

(オ) 高効率ノンフロン型空調機器技術の開発(480百万円)

エアコン等の冷媒として使用されるハイドロフルオロカーボン(HFC)は地球温暖化係数(GWP)が二酸化炭素の数千倍と高いため、GWPを大幅に下げた冷媒を用いつつ、従来より省エネルギー化を図る空調システムの研究開発、冷媒の性能・安全性評価等を実施しました。

自主行動計画の推進・強化

(再掲 第5章2(.1)④ 参照)

(3) 運輸部門における対策

運輸部門のエネルギー消費は、オイルショック時に比べ大幅に増加しており、特に自家用自動車の伸びが著しく、1990年代の運輸部門におけるエネルギー需要の増加要因の約9割を占めています。このため、これまで自家用自動車に重点を置いた運輸部門における省エネルギー対策を講じてきましたが、近年の運輸部門エネルギー消費量の高止まりに対応すべく、2005年に省エネ法を改正し、一定規模以上の輸送事業者及び荷主に対する義務を新設するとともに、省エネルギー設備投資に対する支援策を拡充しました。

次世代自動車等の環境性能に優れた自動車の普及

(ア) 自動車の燃費基準

自動車燃費基準については、省エネ法に基づくトップランナー制度が導入された1999年に2010年度燃費基準を、2007年には2015年度燃費基準を策定する等、順次見直しを実施してきました。これらにより、ガソリン乗用車では2010年度に1995年度と比較して、約49%の改善が図られました。また、2006年には、世界初の重量車に対する燃費基準(2015年度基準)を策定しました。2011年度には、更なる省エネルギーの推進等の観点から、乗用車の2020年度燃費基準が取りまとめられ、2012年度に関係法令を改正しました。

(イ) 自動車重量税・自動車取得税の減免措置

2009年度に導入したエコカー減税について、地球温暖化対策の推進、自動車産業の技術的優位性の確保・向上等の観点も踏まえ、燃費基準等の切り替えを行うとともに、特に環境性能に優れた自動車に対する軽減措置を拡充した上で、3年延長しました。(自動車重量税:2009年4月から2015年4月末まで、自動車取得税: 2009年4月から2015年3月末まで)

(ウ) 自動車取得税の軽減措置

環境負荷の小さい自動車の普及を促進させ、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)等の排出量の削減に資する観点から、排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(新車を除く)に対して自動車取得税の軽減措置を講じました(2015年3月末までの措置)。

(エ) 自動車税のグリーン化特例

燃費性能などに応じて自動車税を軽減する一方、新車登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車に対しては重課を行う措置について、排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車の普及、及び更なる低公害化を進める等の観点を踏まえ、燃費基準の切り替えを行うとともに、2年延長しました。(2014年3月末まで)

(オ) クリーンエネルギー自動車の導入促進(29,200百万円)

運輸分野における二酸化炭素の排出抑制や石油依存度の低減を図るため、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車を導入する者に対し通常の自動車との価格差の2分の1以内の補助を行うとともに、充電器の購入に対する補助を行いました。

(カ) 充電インフラの整備促進(補正予算 1,005億円)

「ガス欠ならぬ『電欠』なき日本」を目指し、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電設備の設置に対する補助を拡充し、充電器の購入費に加えて一部工事費についても助成する補助制度を2013年3月から開始しました。また、充電設備を設置しようとする者の参考となる資料として、2012年12月に「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車のための充電設備設置にあたってのガイドブック」を改訂しました。

自動車交通流の改善、モーダルシフト、物流の効率化等

(ア) 自動車交通流の円滑化
(ⅰ) 交通需要マネジメントの推進

依然として厳しい道路交通渋滞を緩和し、道路交通の円滑化を図るため、バイパス・環状道路の整備や交差点の改良等の交通容量の拡大策等に加えて、パークアンドライドの推進、情報提供の充実、相乗りの促進、時差通勤・通学、フレックスタイム制の導入等により、道路利用の仕方に工夫を求め、輸送効率の向上や交通量の時間的・空間的平準化を図る交通需要マネジメント(TDM)を推進しました。あわせて、広報・啓発活動を行い、その定着化を図りました。

(ⅱ) 高度道路交通システム(ITS)の推進

最先端の情報通信技術等を活用し、人と道路と車両を一体のシステムとして構築し、渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図る高度道路交通システム(ITS)を推進するとともに、そのための基盤技術研究開発の促進を図りました。

特に、渋滞解消による交通流の円滑化や積極的な車両制御により省エネルギー・CO2排出量削減を実現するため、自動運転・隊列走行の研究開発、及び、CO2削減効果評価方法の確立を行う「エネルギーITS推進事業」を実施しました。

(ⅲ) 道路交通情報提供事業の推進

交通管制システム等で収集した道路交通情報を積極的に提供するほか、民間事業者が行う道路交通情報提供サービスの多様化・高度化を支援することにより、渋滞緩和及び環境負荷低減を図りました。

(ⅳ) 違法駐車対策の推進

都市における円滑な交通流を阻害している違法駐車を防止し排除するため、駐車規制の見直し、地域の実態に応じた取締活動ガイドラインによる取締りの推進、違法駐車抑止システム及び駐車誘導システムの運用等のハード・ソフト一体となった駐車対策を推進しました。

(ⅴ) 路上工事の縮減

電気・通信・上下水道等のライフラインをまとめて収容し、道路の掘り返しを抜本的に縮減する共同溝整備を推進するとともに、複数の占用企業者等が工事実施時期を合わせて施工する共同施工の実施等、効率的な道路工事を推進しました。また、都道府県毎の「路上工事対策行動計画」に基づき、年末年始・年度末、観光シーズン及び地域の行事等の工事抑制を実施するなど、地方公共団体や占用企業者等とともに、地域の道路利用を踏まえたきめ細やかな路上工事対策を実施しました。

(ⅵ) 交通安全施設等の整備(19,326百万円)

交通管制システム及び信号機の高度化等を推進し、交差点における発進・停止回数を減少させること等により道路交通の円滑化等を図るとともに、消費電力が電球式の約6分の1以下であるLED式信号機の整備を推進しました。

(ⅶ) 道路施設の省エネルギー化

直轄国道の道路照明灯について、新設及び既設の高圧ナトリウム灯等の更新にあたり、省エネルギー対策や環境負荷の低減に資するLED道路照明灯の整備を実施しました。

(イ) モーダルシフト、物流の効率化等

鉄道・内航海運等のエネルギー消費効率にすぐれた輸送機関の活用を進めるため、関係事業者・国土交通省等により、鉄道貨物輸送にかかる輸送力増強事業及び新規貨物の海上輸送に必要な輸送機器の導入費の一部補助制度の創設、貨物輸送における環境にやさしい鉄道・海運の利用促進を図ることを目的とした「エコレールマーク」・「エコシップマーク」の普及・促進等、鉄道や内航海運の利便性向上のための施策を推進することによりモーダルシフトを推進しました。併せて、「モーダルシフト等推進事業」において、荷主企業と物流事業者が協力して行う事業への支援を実施するとともに、「グリーン物流パートナーシップ会議」において、荷主企業と物流事業者の連携による環境負荷低減に資する優れた取組を行った事業者に対して経済産業省商務流通保安審議官表彰、国土交通省政策統括官表彰等を実施しました。

また、物流の効率化に資するよう、トラックの大型化・トレーラー化によるトラック輸送の効率化、国際物流に対応した道路ネットワークの整備、港湾空間における省エネルギー化の取組や港湾のターミナル施設の整備、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」による支援等を進めることを通じて、効率的な物流体系の構築を推進しました。

(ウ) 公共交通機関の利用促進

鉄道・バス等公共交通機関については、混雑緩和、輸送力増強、速達性の向上等を図ることが重要な課題として、鉄道については、軌道改良・曲線改良等の幹線鉄道の高速化等を行う一方、三大都市圏において、混雑緩和や速達性向上のための都市鉄道新線や複々線化等の整備を推進しました。また、貨物線の旅客線化等の既存ストックの高度利用を推進するとともに、乗継円滑化等に対する支援措置を講じることによる利用者利便の向上施策を講じました。

一方、バスについては、公共車両優先システム(PTPS)の整備、バス専用・優先レーンの設定等により、定時運行の確保を図るとともに、バスロケーションシステムの整備等に対する支援措置を講じることによる利用者利便の向上施策を講じました。また、事業所単位でのエコ通勤の取組支援として、エコ通勤優良事業所認証制度により578事業所を認証・登録(平成25年3月末現在登録数)し、マイカーから公共交通等への利用転換の促進を図りました。

(エ) エコドライブの普及促進(約532百万円の内数)

2006年6月に、関係四省庁(警察庁、経済産業省、国土交通省及び環境省)による「エコドライブ普及連絡会」において策定した、「エコドライブ普及・推進アクションプラン」を基にエコドライブに関する広報活動を行いました。特にエコドライブ推進月間である2012年11月に、新たな「エコドライブ10のすすめ」を策定し、公表するとともに、講習会等積極的な広報活動を行いました。

(オ) 省エネ法に基づく運輸分野の省エネルギー措置について

2005年に改正した省エネ法において、一定規模以上の輸送事業者及び荷主に対し省エネルギー計画の策定、エネルギー使用状況の報告を義務付ける等、運輸分野における対策を導入しました。2012年度においても、引き続き省エネ法に関する周知徹底等、事業者の省エネルギー取組の推進を行うとともに、省エネ法に基づく事業者からの定期報告書の内容から、省エネルギーの取組が不十分であると判断された事業者に対し指導を実施する等、省エネ法の執行の強化に取り組みました。

運輸部門の省エネルギー技術開発の推進

(ア) 戦略的省エネルギー技術革新プログラム

自主行動計画の推進・強化

(再掲 第5章2(1)④ 参照)

(4)部門横断的な対策

省エネルギーに関する情報提供(532百万円の内数)

省エネルギーの推進主体となる国民各層に対し、テレビ・新聞・ポスター等のメディア広報、展示会を実施し、省エネルギーに関する理解と協力を求めました。

グリーン購入・調達の推進による省エネルギー機器・設備の導入

国等における省エネルギー機器・設備をはじめとした環境物品等の率先的な調達は、その初期需要創出や市場拡大に寄与するとともに、我が国全体での当該物品等の普及に資するものとして意義があり、国及び独立行政法人等は、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)及び「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」(環境配慮契約法)を踏まえ、照明や空調設備等の物品等を調達する際には、率先して省エネルギー機器・設備を導入するとともに、環境配慮契約の推進に取り組みました。2012年度は、グリーン購入法においてプロジェクタや蛍光灯照明器具、変圧器のエネルギー消費効率に係る判断の基準等の見直しを行いました。

中小企業を含めた多様な主体による省エネ等の推進

中小企業等が行った省エネルギー等の取組を評価し、大企業等からの資金・技術等の提供を可能とする「国内クレジット制度」を通じて、中小企業のみならず、農林水産業者や家庭等も含めた幅広い分野における省エネルギー設備等の普及促進を図りました。2012年度予算事業では、国内クレジット制度を活用する中小企業等に対し、省エネルギー設備等の導入により削減される二酸化炭素(国内クレジット)の見込み量に応じた助成金を交付する事業を行いました。

また、中小企業や農林業等の地域における省エネ等の取組を評価し、市民・企業・自治体等からの資金の還流を可能とする「オフセット・クレジット(J-VER)制度」を通じて、中小企業を含めた多様な主体による省エネ等を促進しました。

平成25年度以降の両制度の在り方について、関係省庁で検討を実施し、平成25年度からは両制度を統合した新たなクレジット制度として運営することとなりました。

低炭素型の地域づくりの推進

都道府県、指定都市、中核市及び特例市(指定都市等)については、平成20年の地球温暖化対策推進法の改正により、地方公共団体実行計画において、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画を定めるものとされました。計画策定を推進するため、政府においては、土地利用・交通、地区・街区に関する都市・地域の低炭素化手法の検討を行いました。また、計画策定を推進するための研修会や説明会及び意見交換会を行いました。

更に、低炭素型の地域づくりを推進するため、チャレンジ25地域づくり事業及び地域の再生可能エネルギー等を活用した自立分散型地域づくりモデル事業、グリーンニューディール基金等により、公共交通の利便性の向上、未利用エネルギーや自然資本の活用、先進的技術の導入を計画的・集中的に実施する地域の取組を支援しました。

加えて、都市の低炭素化の促進を図り、もって都市の健全な発展に寄与するため、都市機能の集約や、それと連携した公共交通の利用促進、建築物の低炭素化等の施策を講じる「都市の低炭素化の促進に関する法律案」を、2012年2月第180回国会に提出し、同年9月に成立しました。

省エネ法等改正案

第183回通常国会に省エネ法等改正案を提出しました。

主な改正点は、建築材料等に係るトップランナー制度の導入と需要家側における電力ピーク対策の円滑化です。また、エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(省エネ・リサイクル支援法)を廃止します。(電力ピーク対策の円滑化の詳細は第5章2(1)①、建築材料等へのトップランナー制度の導入の詳細は第5章2(1)①参照)

省エネ・リサイクル支援法は、①省エネルギーの促進等、②3Rの促進、③特定フロン等の使用の合理化を推進するため、これらの設備投資、研究開発等に関する事業者の取組に対し、支援措置を講じるものです。「平成25年3月31日までに廃止するものとする。」と附則において規定されおり、改正法案により廃止します。

地球温暖化対策のための税の導入

我が国で排出される温室効果ガスの約9割は、エネルギー利用に由来する二酸化炭素(エネルギー起源CO2)となっており、今後温室効果ガスを抜本的に削減するためには、中長期的にエネルギー起源CO2の排出抑制対策を強化していくことが不可欠です。

また、原子力への依存度低減を図る中で、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの拡大など、エネルギー起源CO2排出抑制対策の更なる推進は、震災以前よりも一層重要となってきています。

このような背景を踏まえ、課税による経済的インセンティブを活用して化石燃料に由来するCO2の排出抑制を進めるとともに、その税収を活用して再生可能エネルギーや省エネ対策を始めとするエネルギー起源CO2排出抑制対策を強化するために、平成24年度税制改正において「地球温暖化対策のための税」が創設されました。

5
トップランナー方式の基準を達成している機器であることを消費者に分かり易く表示するためのJISに基づくラベリング制度です。2013年3月現在、特定機器26機器のうちテレビジョン受信機、エアコンディショナー等を始めとする18機器が対象となっています。
6
1995年10月に通商産業省(当時)と米国環境保護庁との間の意図表明文書に基づく相互承認制度により実施される、省エネ型OA機器(コンピュータ、プリンタ、ファクシミリ等)に関する表示制度です。