第2節 東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故後に講じたエネルギーに関する主な施策3

1.生産(調達)段階

(1) 再生可能エネルギーの最大限の導入

近年、新興国を中心としたエネルギー需要の急増に伴う国際的な資源獲得競争の激化や、国内外における地球温暖化対策の強化が求められる状況の中、純国産のエネルギー源であり、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの果たす役割の重要性が高まってきています。本項では、再生可能エネルギーの導入支援策の大きな柱である固定価格買取制度の開始後の状況をまとめます。

2012年度の状況

固定価格買取制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)によって発電された電気を、国が定める一定の期間にわたって、国が定める一定の価格で購入することを電気事業者に義務づける制度であり、「電気事業者による再生可能エネルギー電気に関する特別措置法」(以下「再生可能エネルギー特措法」)に基づき2012年7月1日から開始されました。これにより、再生可能エネルギーを用いる発電投資への投資回収の不確実性を低減させ、これらに対する投資を促すことで再生可能エネルギーの導入拡大の加速化を担っています。また導入拡大が加速すれば、設備の量産化が進み、現時点では他のエネルギーに比して割高な再生可能エネルギーのコストダウンが進展することも期待されます。

本制度開始を受けて、再生可能エネルギーは順調に導入が進み、2012年度においては、4月から12月末までに、117.8万kWの設備が運転を開始しました。市場でも本制度の導入を機に、例えば、発電事業者が家庭の屋根を借りて太陽光発電を行う「屋根貸しモデル」のような、様々な事業プランが展開されています。また、本制度の開始以降、これまで発電分野とは関わりの薄かった異業種も含め、多くの事業者が再生可能エネルギー市場に参入しています。

この結果、全国各地の様々な地域で、長年遊休していた工業団地等を活用し、太陽光パネルを設置するような例が出るなど、かつてない発電事業への投資が行われています。

さらに、再生可能エネルギー発電事業が中長期的に投資回収を見込める事業になったことで、メガバンクによるプロジェクトファイナンスの組成や、地域金融機関や市民ファンドを巻き込んだ地域密着型の投資案件の組成など、金融面でも新たな動きが生まれています。

一方で、固定価格買取制度では、電気事業者が再生可能エネルギー由来の電気の買取りに要した費用について、賦課金として電気料金に上乗せする形で国民の皆様にご負担いただくことになっています。2012年度においては、賦課金の単価は1キロワットアワー当たり0.22円となっていました。これに、これまで実施してきた太陽光の余剰電力買取制度の負担(全国平均で1キロワットアワー当たり0.07円)と併せて、2012年度では1キロワットアワー当たり0.29円(全国平均)のご負担をお願いすることになりました。これは、一月に7,000円程度の電気料金をお支払いいただいているご家庭(一月300kWh程度の電力使用量を想定)であれば、一月約87円の負担となります。再生可能エネルギーの導入拡大が進めば、賦課金の負担も増大していくことから、負担が過重なものとならないよう、調達価格(調達価格での買取りが継続する期間)については、再生可能エネルギーの発電コストの低下を適切に反映した見直しを行っていく必要があります。

【第122-1-1】 平成24年度新規参入者への調達価格・調達期間

【第122-1-1】 平成24年度新規参入者への調達価格・調達期間

【第122-1-2】 2012年度における再生可能エネルギー発電設備の導入状況
(12月末時点)

【第122-1-2】 2012年度における再生可能エネルギー発電設備の導入状況(12月末時点)

調達価格等算定委員会における、2013年度調達価格の検討経過と結論

再生可能エネルギー特措法においては、経済産業大臣は毎年度、当該年度の開始前に調達価格(電気事業者が買い取る際の価格)と調達期間(以下「調達価格等」)を決定することとされています。また、決定にあたり、国会の同意を得た上で任命される委員から構成される調達価格等算定委員会(以下、「委員会」と言う)の意見を尊重することとされています。2013年度に新規参入される方に適用される調達価格等の議論については、2013年1月21日から委員会において開始されました。

委員会では、本制度の適用を受けて運転開始した設備から法令に基づき義務的に提出されたコストデータに基づき、全4回にわたり議論が行われました。その上で、委員会は、「平成25年度調達価格及び調達期間に関する意見」を2013年3月11日にとりまとめ、この意見を尊重する形で、以下の内容で平成25年度調達価格が決定されました。

(ア) 太陽光発電については、システム費用(太陽光パネル、パワコン、架台、工事費を含む価格)が市場の創造等に伴い下落したことを反映し、平成24年度調達価格を引き下げ。具体的には、非住宅用(10kW以上)は、平成24年度調達価格が42円/kWhのところ、4円20銭の引下げとなり、37.8円/kWhに、住宅用(10kW未満)は、平成24年度調達価格が42円/kWhのところ、4円の引き下げとなり、38円/kWhに。

(イ) 風力発電、中小水力発電、地熱発電、バイオマス発電については、平成24年度調達価格を据え置き。

【第122-1-3】 調達価格等算定委員会委員名簿

【第122-1-3】 調達価格等算定委員会委員名簿

相対的にコストの低い風力・地熱等の導入基盤強化、導入拡大のための規制・制度改革

再生可能エネルギーの割合が高い国においては、相対的にコストの低い風力発電が再生可能エネルギーの中心であり、再生可能エネルギー導入拡大の鍵を握っているとも言えます。風力発電の導入拡大のためには、(ア)電力系統の強化、(イ)環境アセスメントの迅速化などの規制・制度改革が重要な課題です。電力系統の強化については、日本では風況が良く、大規模な風車の立地が可能な場所は北海道や東北の一部に限られている一方で、こうした適地は人口が少ないため送電網が脆弱であることから、その整備なくして大規模な風力発電の導入拡大は不可能な状況です。このため、平成25年度予算政府案では、風力発電について、地域内の送電網を整備し、実証試験を行うための予算を計上しています。また環境アセスメントの迅速化については、3〜4年程度かかると想定される手続きの期間半減を目指して、関係省庁間で具体的な方策の検討を進めています。

COLUMN

地熱発電の可能性

(1)これまでの地熱発電

地熱発電は、太陽光・風力等他の再生可能エネルギーと比べても、天候に左右されず1日24時間、365日発電が可能であるため、安定的な電源として期待されています。

しかし、高い開発コストや、地熱資源の多くが、これまで開発が規制されていた国立・国定公園内に多く賦存していること等から、我が国における地熱発電は、全国17箇所、約52万kWに留まっています。

【第122-1-4】 世界の地熱資源量

【第122-1-4】 世界の地熱資源量

(出典)
(独)産業総合技術研究所(2007)資料等

【第122-1-5】 設備利用率の比較

【第122-1-5】 設備利用率の比較

【第122-1-6】 我が国の地熱資源の賦存量

【第122-1-6】 我が国の地熱資源の賦存量

(2)高まる地熱への期待

そのような中、昨今の東日本大震災による深刻なエネルギー危機を契機として、平成24年7月に固定価格買取制度(FIT)が開始されたほか、国立・国定公園内における規制緩和がなされたこと等を受け、近年地熱発電への期待が高まっています。このような流れを受け、今回規制緩和された国立・国定公園内の地域を含め、日本全国の十数地点以上で開発が進捗又は検討されています。

【第122-1-7】 「地熱発電開発の進捗状況」

【第122-1-7】 「地熱発電開発の進捗状況」

(3)発電エネルギーの2次利用

地熱発電は、マグマによって熱せられた蒸気によって発電を行うほか、発電後の熱水(発電後は温度が下がり蒸気が熱水となる)をハウス栽培や道路融雪、室内暖房など、温度変化に応じて有効活用することができます。さらに、地熱を活用して栽培した植物や果物を販売することで観光にも貢献するなど、電力を供給するだけでなく、地域の活性化に寄与することもできると期待されています。

例えば、森発電所(北海道電力(株)、北海道森町)では、発電後の熱水を近隣のビニールハウスに無償供給し、現在では町の基幹作物の一つとなっているトマトや、キュウリの通年栽培を実施しています。

また、八丈島地熱発電所(東京電力(株)、東京都八丈島)では、発電後の熱水を近隣の温室団地へ供給し、パパイヤや観葉植物の直売を実施するなど、島の観光資源ともなっています。

上の岱地熱発電所(東北電力(株))が立地する秋田県湯沢市では、現在、新たに市内の3地点で地熱発電所の開発が進捗しています。地熱開発が盛んな背景の一つとして、従来から、地熱を利用した、ミツバの水耕栽培、農産品の乾燥工場、低温殺菌牛乳工場といった地域活性化につながる取組が進められてきたことが挙げられます。

【第122-1-8】 森発電所(北海道)の地域活性化例

【第122-1-8】 森発電所(北海道)の地域活性化例

(2) 世界最高水準の高効率火力発電(石炭・LNG)を環境に配慮しつつ導入

原子力発電の大部分が停止し、再生可能エネルギーの拡大にも時間を要する中、火力発電の経済的・安定的活用は重要な課題です。2013年2月18日に開催された第2回産業競争力会議において、茂木経済産業大臣より、「世界最高水準の高効率火力発電(石炭・LNG)を環境に配慮しつつ導入」との考えが示されました4

世界最高水準の発電効率の更なる向上

先進超々臨界圧火力発電技術(A-USC)や、石炭ガス化発電(IGCC)及び石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)、高効率ガスタービン実用化技術開発のための実証を行ってきました。平成25年度も、当初予算案に計上しています。

電源の新増設・リプレースの原則入札

経済産業省では、「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」において取りまとめられた報告書に基づき、一般電気事業者による電源調達に競争原理を導入し、卸供給事業者(IPP事業者)をはじめとする新規参入者による卸供給を拡大することによって、電力の安定供給と電気料金の一層の適正な原価の形成を促すことを目的とした、「新しい火力電源入札の運用に係る指針」を取りまとめ、2012年9月18日に公表しました。これに基づき、一般電気事業者が1,000kW以上の火力電源を自社で新増設・リプレースしようとする場合は原則入札とし、効率性・透明性を高めます。

環境アセスメントの迅速化・明確化

高効率な火力発電所を導入することにより、経済的・安定的な電力の供給を確保するとともに、環境負荷を低減することが可能です。このため、経済産業省および環境省は、環境アセスメントの迅速化等の検討を進め、リプレースについては従来3年程度かかる手続期間を最大1年強程度まで短縮し、新増設についても、リプレースで講じる措置のうち活用できるものは活用し、短縮に取り組むという方針を決定しました。現在、両省がこの方針に基づいて、審査期間短縮に向けて具体的な取り組みを進めているところです。

また、環境アセスメントにおけるCO2の取扱いの明確化等については、安倍内閣総理大臣の指示も踏まえ、環境にも配慮した高効率石炭火力の活用に向け、電気事業分野における実効性ある地球温暖化対策のあり方を示すとともに、併せて環境アセスメント手続におけるBAT5や国の目標・計画との整合性についての審査の観点を明確化しました。

(3) 資源確保・国内資源開発の推進

資源確保戦略

第15回パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合(2012年6月27日開催)において、「資源確保戦略」が報告されました。本戦略は、「資源確保指針」(2008年3月28日閣議了解)の考え方を踏まえつつ、世界的な資源確保競争の激化や、東日本大震災以降の化石燃料の調達コスト増大等、資源を巡る国内外の厳しい情勢に鑑み、現在の資源確保の現状及び今後の見通しをあらためて分析し、我が国の官民の持つリソースを最大限活かすために策定されたものです。

資源確保戦略の5本柱として、①資源獲得の重要国に対する政府一体となった働きかけ、②資源ユーザー産業の上流開発への関与の促進、③資源国に対する協力のパッケージ化、④資源権益獲得に対する資金供給の機能強化、⑤国際的なフォーラムやルールの積極活用を重点的に取り組むこととしています。なお、今後のエネルギー政策の見直し結果等に伴い、本戦略についても必要に応じて見直しが行われる予定です。

資源獲得の重要国に対する政府一体となった働きかけとして、2012年10月29日に松宮経済産業副大臣がモザンビーク共和国を訪問し、「第1回日本・モザンビーク資源分野官民政策対話」を開催しました。優良な原料炭の安定調達に向けて、日本企業が参画するレブボー・プロジェクトへの採掘権の早期付与を要請し、また、「モザンビーク石炭産業発展5ヶ年プラン」を提案しました。天然ガスについても、日本企業が参画するロブマ・プロジェクトの早期実施に向けて協力して後押ししていくことで一致しました。また、訪問した南アフリカ共和国では、シャバング鉱物資源大臣と会談を行い、日本とアフリカの資源担当の閣僚で今後、協議を行う場の創設を提案するなど、資源ポテンシャルが高いアフリカ諸国との関係を一層強化することを確認しました。

また、2013年2月3日から7日にかけて、菅原経済産業副大臣が、南アフリカ共和国ケープタウンで開催された「マイニング・インダバ(アフリカ鉱業投資会議)」」に参加しました。そこで、南アフリカ共和国を含めた6カ国の鉱物資源担当大臣と、鉱物資源分野における関係強化、新たな関係の構築に向け、会談を行い、講演を実施しました。南アフリカ・シャバング鉱物資源大臣を始めとする関係閣僚との会談では、2013年5月に経済産業省が日本で主催する「日アフリカ資源大臣会合」(本会合での成果をTICADⅤ(第5回アフリカ開発会議))にインプットし、日本とアフリカの資源外交の更なる発展図ります)、「J-SUMIT(国際資源ビジネスサミット)」への出席と、日系企業が関与する個別の資源プロジェクトについての協力の要請を行いました。

加えて、2013年2月8日から11日にかけて、茂木経済産業大臣が、サウジアラビア王国及びアラブ首長国連邦(UAE)に出張しました。サウジアラビアのアブドルアジズ石油鉱物資源副大臣との会談では、我が国への石油の安定供給や、世界の石油市場の安定化に向けたこれまでの協力関係の維持を確認しました。UAEのアブダビでは、マンスール連邦副首相、ダーヒリー最高石油評議会事務局長等の石油権益に関係する政府高官と会談し、2018年に期限を迎える海上油田権益の更新に向けた働きかけ、教育や投資促進を含む幅広い協力について意見交換を行いました。

シェールガスの生産拡大により天然ガスの国内価格が低下している米国から新たにLNGを輸入することは、LNGの安定的な確保と輸入価格の引き下げを両立するために極めて有効な方策の一つです。もっとも、米国からのLNG輸出には米国政府の許可が必要となっていることから、2013年1月に茂木経済産業大臣からマコウスキー上院議員(上院エネルギー天然資源委員会筆頭委員)に協力を要請するとともに、2013年2月の日米首脳会談においては、安倍総理からオバマ大統領に対してLNG輸出の早期承認を要請するなど、承認獲得に向けあらゆるチャネルを活用し、積極的な働きかけを行っています6

我が国企業による権益獲得を支援し、供給源の多角化をさらに進めるため、資金供給能力の機能強化の一環として、JOGMEC法を改正(2012年9月15日施行)しました。本改正により、石炭及び地熱開発業務をNEDOからJOGMECに移管するとともに、JOGMECを通じた出資や債務保証等の金融支援について産業投資資金の活用が可能となり、2012年度における予算額は1,203億円(前年度336億円)に拡大しました。加えて、燃料調達費の削減に向けた取組の一環として、LNG調達価格が通常より相当下回ると見込まれるプロジェクトに対して優先的に債務保証を行う等の支援策の強化も行います。

LNG消費国間の連携強化への取り組みとして、2012年9月19日に、経済産業省及びアジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)の主催で、LNGの生産国、消費国双方の官民が集う世界初の国際会議である「LNG産消会議」を開催し、閣僚級を含め、世界30カ国・地域から600人を超える関係者が参加しました。同会議では、日本単独ではなく、「韓国、台湾、インド等のアジアの消費国」が連携し、現在の原油価格に連動したアジアにおけるLNG 調達価格決定方式の問題点を生産国・生産者に対して主張するとともにLNGの長期需給見通しに係る理解と取引市場の透明化について議論がなされました。また、こうした議論を生かし、LNG需要が急増するインドとの共同研究など、国際的な連携強化と世界に向けた情報発信を継続しています。

【第122-1-9】国際資源ビジネスサミット(J-SUMIT)

【第122-1-9】国際資源ビジネスサミット(J-SUMIT)

【第122-1-10】 北米において検討中の主要なLNGプロジェクト

【第122-1-10】 北米において検討中の主要なLNGプロジェクト

COLUMN

シェールガスの開発動向と今後の課題については、2011年版エネルギー白書で記述しているところです7が、本年は、シェールガス産出に伴う化石燃料を巡る、その後の環境変化(シェール革命)について、総合資源エネルギー調査会総合部会での議論等をご紹介します。

シェールガスの生産拡大

シェールガスとは、頁岩(けつがん、shale)と呼ばれる固い岩石に含まれる天然ガスです。井戸に水を圧入して岩石に亀裂を入れて天然ガスを採取する技術の進歩により、生産コストが低下し、近年、商業化しました。シェールガスは天然ガスの可採埋蔵量を大幅に増加させています。

【第122-1-11】 シェールガスの開発手法(断面図)

【第122-1-11】 シェールガスの開発手法(断面図)

【第122-1-12】 世界のシェールガス可採埋蔵量

【第122-1-12】 世界のシェールガス可採埋蔵量

北米におけるシェールガスの生産拡大と世界のLNG市場への影響

2006年以降、米国・カナダでシェールガスの生産が拡大しています。2011年の米国の生産量はLNG換算で1.6億トンとなり、日本のLNG輸入量の約2倍に相当しています。シェールガスの生産拡大により、米国のLNG輸入見通しは大幅に下方修正されています。

【第122-1-13】 米国のLNG輸入見通し

【第122-1-13】 米国のLNG輸入見通し

(出典)
EIA Annual EnergyOutlook2013Early Release, 2011, 2009, 2005より作成

シェール革命が世界に与える影響について

上述のように、米国は天然ガス輸出国に転換が見込まれています(【第122-1-14】①)。

転換により、米国向のLNGが行き場を失い(同図②→①)、欧州市場に流入(同図③)し、価格低下が考えられます。ロシアは欧州からの値下要求に直面し、欧州における市場シェアも低下しています(2000年56%→2010年32%、同図④→③)。

ロシアは、輸出の9割を占める欧州に対する価格交渉力を維持・強化、アジア市場の開拓が急務となっています(同図④)。他方で、中国への天然ガス輸出(2006年交渉開始)は、累次の首脳会談でも価格面で合意に至らず、中国はトルクメニスタンからの天然ガス輸入を拡大(中国総輸入量の5割弱(LNG換算約1,000万トン)を輸入)しています(同図⑤)。

また、新資源国モザンビークは積極的に供給先を開拓し(同図⑥)、豪州は競争激化の中で新たな供給先開拓と価格交渉に直面しています(同図⑦)

【第122-1-14】 シェールガス革命が世界に与える影響

【第122-1-14】 シェールガス革命が世界に与える影響

また、天然ガス市場のみならず、シェールガス増産に伴うシェールオイル増産や、随伴LPG増産、米国内で余剰となった石炭の輸出増による石炭価格低下、シェールガス由来エチレンによる石油化学産業への影響等、波及効果は大きいと考えられています。このように、北米におけるシェールガスの生産拡大は、世界へ大きな影響を与えています。

国内資源開発の推進

我が国周辺海域に存在し、将来の国産資源として期待されるメタンハイドレート、海底熱水鉱床などの資源は、我が国にとって最も安定的な供給源となる可能性があります。このため、探査・生産技術の開発や実証などを計画的に推進することとしています。

次世代の天然ガス資源として注目されているメタンハイドレートについては、東部南海トラフ海域だけでも、約1兆1,400億m3(日本の天然ガス年間消費量(2012年)の約10年分相当)の存在が推定されています。商業化の実現に向けた技術を整備するため、平成25年1月から3月にかけ愛知県渥美半島から三重県志摩半島の沖合で、独立行政法人海洋研究開発機構所有の地球深部探査船「ちきゅう」を用いて、海底下のメタンハイドレートからガスを取り出す世界初の海洋産出試験を行い、3月12日にガスの生産を確認しました。今後、平成30年度を目途に、商業化に向けた技術の整備を実施します。また、平成30年代後半には、民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトが開始されるよう、国際情勢をにらみつつ、技術開発を進めていきます。石油・天然ガスについては、我が国周辺海域における資源ポテンシャルを把握するため、資源エネルギー庁所有の三次元物理探査船「資源」を活用して平成20年度より実施している基礎物理探査を、平成24年度も引き続き実施しました。平成25年4月から約3ヶ月にわたり、新潟県佐渡南西沖海域において、「資源」導入後初となる試掘調査を「ちきゅう」を用いて実施します。

亜鉛、鉛、金等に富む海底熱水鉱床については、沖縄海域・伊是名海穴の深部掘削の結果、海底面付近の鉱体に加えて、海底面下30mより深い深度にも相当大規模と推測される海底熱水鉱床の新鉱体が存在することを確認しました。さらに、レアアースを含む海底堆積物については、将来のレアアース資源としてのポテンシャルを検討するため、南鳥島周辺海域における賦存状況調査を実施するとともに、資源開発工学や海洋工学などの幅広い有識者からなる勉強会を開催し、今後の取り組み方針について検討を開始しました。

【第122-1-15】 日本周辺海域のBSRの分布

第122-1-15】 日本周辺海域のBSRの分布

※BSRとは、地震探査で観測される海底疑似反射面(Bottom Simulating Reflector)の略で、メタンハイドレートの存在を示す指標として用いられる。

(出所)
第16回メタンハイドレート開発実施検討会

【第122-1-16】 メタンハイドレート 海洋産出試験の様子

【第122-1-16】 メタンハイドレート 海洋産出試験の様子

(出典)
JOGMEC

2.流通段階

(1) 電力システム改革

電力システム改革専門委員会における議論

今後のあるべき電力システムの具体的な制度設計を行うため、総合資源エネルギー調査会総合部会に「電力システム改革専門委員会」を設置し、同専門委員会において、2012年2月から12回にわたり精力的な検討が進められ、2013年2月8日に「電力システム改革専門委員会報告書」が取りまとめられました。

なお、特に先行的に実施すべきとの議論があった①常時バックアップの見直し、②部分供給についての指針策定、③系統情報の公開に関するガイドライン策定については、報告書のとりまとめを待たず、2012年12月から順次実施されました。

電力システム改革専門委員会報告書

「電力システム改革専門委員会報告書」では、小売全面自由化や市場機能の活用、広域系統運用の拡大、法的分離の方式による送配電部門の一層の中立化といった改革内容が具体的に提言されました。

また、改革の工程についても年限の目途が具体的に示され、2015年を目途に広域系統運用機関の設立、2016年を目途に小売分野への参入の全面自由化、2018~2020年を目途に送配電部門の法的分離及び小売料金の全面自由化を行うこととされました。また、十分な準備を行った上で慎重に改革を進めるため、これらの各段階で検証を行いながら改革を実行することとされました。

(ア) 小売全面自由化

2016年を目途に、家庭等の小口需要も含め小売市場への参入を全面的に自由化することとされました。また、供給途絶等の問題が生じないよう、需要家保護に万全を期すことや、安定供給への支障や需要家の混乱が生じないよう、料金規制については経過措置期間を設け、一定の競争環境が整備されたところでこれを撤廃することが提言されました。

(イ) 市場機能の活用

経済合理的な電力供給体制の実現や、競争的な電力市場の実現を目指し、卸電力市場を活性化するための具体的な取組が提言されました。また、小売市場への参入の全面自由化と同時期(2016年を目途)に卸規制を撤廃すること、一般電気事業者が安定供給の観点から必要となる適正予備率を確保した上で、それ以上の電源を最大限市場に投入する運用を2013年3月から試行的に開始し、同年夏までに本格導入を目指すこととされました。

(ウ) 送配電の広域化・中立化

東日本大震災後に生じたような電力需給のひっ迫への備えの強化や広域的な系統運用を実現するための送配電網の整備を目指し、広域系統運用機関(仮称)の創設等の取組が提言されました。また、小売部門や発電部門の新規参入者が送配電網を利用する際の中立性を一層高めることで、公平・中立な競争環境を実現するため、法的分離の方式により送配電部門の一層の中立化を図ることが提言されました。また、法的分離を実施した場合、送配電部門と発電・小売部門の間に資本関係が残ることは許容されるため、情報や会計、人事などについて中立性を確保するための方策を講じることとされました。

(エ) 安定供給のための供給力確保策

小売全面自由化に伴い、一般電気事業者が供給義務を負っていたこれまでの枠組みが撤廃されるため、小売事業者に対して、その需要に見合った供給予備力の確保を義務付けるなど、新たな枠組みを構築することとされました。加えて、将来必要となる供給力を確実に確保するため、広域系統運用機関による最終的な電源入札制度の創設などが提言されました。

「電力システムに関する改革方針」の閣議決定

「電力システム改革専門委員会報告書」を踏まえ、政府においても、電力システム改革について、その目的や主な内容、今後の改革のプログラムについて検討が行われ、平成25年4月2日に「電力システムに関する改革方針」が閣議決定されました。

<「電力システムに関する改革方針」の概要>

(ア) 改革の目的

・安定供給の確保

東日本大震災以降、多様な電源の活用が不可避となる中で、送配電部門の中立化や需要側の工夫を取り込むことで、電力需給の調整能力を高めるとともに、広域的な電力融通を促進する。

・電気料金を最大限抑制する

競争の促進や、全国大で安い電源から順に使うこと(メリットオーダー)の徹底、需要家の工夫による需要抑制を通じた発電投資の適正化により、電気料金を最大限抑制する。

・需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する

需要家の電力選択のニーズに対し、多様な選択肢で応える。また、他業種・他地域からの参入、新技術を用いた発電や需要抑制策等の活用を通じてイノベーションを誘発する。

(イ) 主な改革内容

・広域系統運用の拡大

需給計画・系統計画の取りまとめ、需給ひっ迫時における電力融通の指示等を行う「広域系統運用機関(仮称)」を設立し、従来の区域(エリア)を越えた全国大での系統運用等を図る。

・小売及び発電の全面自由化

家庭部門を含めたすべての需要家が電力供給者を選択できるようにするため、電気の小売業への参入の全面自由化を行う。ただし、一般電気事業者の料金規制は、実際に競争が進展していることを確認するまでの間、経過措置として継続する。また、料金規制撤廃後も最終保障サービスや離島での安定供給確保策を措置する。さらに、発電の全面自由化や卸電力取引所における電力の取引量を増加させるための取組などを行う。

・法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保

発電事業者や小売事業者が公平に送配電網を利用できるよう、送配電部門を別会社とするが会社間で資本関係を有することは排除されない方式(法的分離)により独立性を高める。また、送配電事業については、引き続き、料金規制による投資回収保証や、系統全体での需給バランスを維持する義務を課すこと等により、経済活動の基盤となる高品質な電力供給を確保する。

(ウ)改革プログラム

十分な準備を行った上で慎重に改革を進めるため、実施を3段階に分け、各段階で課題克服のための十分な検証を行い、その結果を踏まえた必要な措置を講じつつ改革を進める。

・第1段階 広域系統運用機関の設立

2015年を目途に設立するものとし、2013年通常国会に法案を提出する。

・第2段階 小売業への参入の全面自由化

2016年を目途に実施するものとし、2014年通常国会に法案を提出する。

・第3段階 法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、小売料金の全面自由化

2018年から2020年までを目途に実施するものとし、2015年通常国会に法案を提出することを目指す。

電気事業法の一部を改正する法律案の閣議決定・通常国会への提出

「電力システムに関する改革方針」を受け、改革の第1段階である広域系統運用機関(仮称)の創設や、電力システム改革の段階的な実施に関するプログラム規定の整備を行うため、電気事業法の一部を改正する法律案の検討を行いました。同法案は、平成25年4月12日に閣議決定を行い、通常国会に提出されました。

<法律改正の内容>

(ア) 広域的運営の推進電力需給のひっ迫時に区域(エリア)を越えて広域的な電力融通の指示等を行う「広域的運営推進機関」を創設する。

経済産業大臣による供給命令の発動要件を災害等非常時以外にも拡充するとともに、卸供給事業者に対する供給命令制度等を新たに整備する。

(イ) 自己託送制度の見直し

自家発設置者が、別の場所にある自社の工場等に電気を供給する場合に、一般電気事業者に対してその送配電網を利用させる義務を課す。

(ウ) 電気の使用制限命令に係る制度の見直し

「罰則付きの命令」のみが規定されている電気の使用制限措置について、より緩やかな措置として、経済産業大臣による勧告制度を創設する。④電力システム改革の段階的な実施に関するプログラム規定の整備(附則)

「電力システムに関する改革方針」(第4節3.(3)参照)を踏まえ、電力システム改革の第2段階と第3段階について、法案提出時期と実施時期を規定する。さらに、資金調達に支障を生じないようにするための措置、安定供給確保の方策等についての留意事項等を規定する。

【第122-2-1】 発電、送配電、小売の各事業者の改革後の姿

【第122-2-1】 発電、送配電、小売の各事業者の改革後の姿

【第122-2-2】 電力システム改革の行程と電気事業法改正スケジュール

【第122-2-2】 電力システム改革の行程と電気事業法改正スケジュール

(2) 電気料金制度の厳正な査定

現行の電気料金制度の問題点と見直しに至る経緯

2011年3月の東日本大震災発生以降、電力需給のひっ迫や原子力損害賠償、燃料コスト増による電力コスト上昇懸念など、電気事業をとりまく状況は大きく変化しました。こうした中、東京電力株式会社(以下「東京電力」という)による原子力損害賠償の支援スキームの策定に際し、国民負担の最小化と電力の安定供給確保のため設置された「東京電力に関する経営・財務調査委員会」の報告書(2011年10月公表)においても、現行の電気料金制度とその運用について問題点が指摘されました。

現行の制度は、競争による経営効率化の効果を規制分野の需要家に機動的に還元するという観点から、「値下げ届出制」を採用しています。

これは、(ア)事業者間のサービス向上競争の促進、(イ)経営効率化分の自主的な内部留保による財務体質の強化を目的に、(ウ)経営効率化分の配分に対する説明責任を前提として導入されていたものですが、他方で、値下げの届出改定では、行政は事前に原価査定を行わないため、値下げ幅について、事業者による効率化によるものか、過去の届出原価の見積もりが過大であったこと等によるものなのかが明らかではないという問題がありました。

このため、原価の適正性が確保されていないのではないか、また、原価の中に電気の安定供給に必要なもの以外の費用が含まれているのではないか、といった指摘が当該報告書においてなされることとなりました。

電気料金制度見直しの内容

こうした現行制度とその運用への指摘を踏まえ、2011年には「電気料金制度・運用の見直しに関する有識者会議」が開催され、規制料金として行政による原価の適正性確保と事業者の経営効率化インセンティブをどのようにバランスさせるか、その際に、どのような費用について、どのような水準までを適正な原価と考えるか、対外的な説明責任をどのように確保するのか、といった観点から、現行の総括原価方式に基づく電気料金制度下において実施すべきものを中心に検討が行われました。公開で行われた計6回の議論とパブリックコメントを経て2012年3月に報告書がとりまとめられました。報告書で示された基本的な考え方は以下の通りです。

(ア) 値上げ認可時の査定においては原価の厳格な査定を行う一方、値下げ届出時や事業評価においては事業者による説明と行政による事後チェックを的確に行うことを徹底。

(イ) 事業に要する費用すべての回収を認めるのではなく、あるべき適正な費用のみの回収を認めることを徹底。

(ウ) 一般電気事業者が自らの供給力のみに依存する安定供給確保から、他社供給力や需要側の取組も活用した安定供給確保に転換することを促す。

<報告書の概要>

(ⅰ)原価の適正性の確保

値上げ認可時には、広告宣伝費、寄付金、団体費については原価算入を認めない。また、人件費、修繕費等についてはメルクマール等により査定。

※人件費の例:一般企業の平均値を基本に、他の公益企業の平均値とも比較

(ⅱ)新しい火力入札

火力電源を自社で新設・増設・リプレースする場合は、原則全て入札。

(ⅲ)公正かつ適正な事業報酬

正当な理由なく著しく低い稼働率となっている設備はレートベース対象資産(事業報酬の算定の基礎となる資産)の対象外。

(ⅳ)原価算定期間及び電源構成変動への対応

経営効率化を織り込む等の観点から認可時は3年を原則。また、原価算定期間内に電源構成が大きく変動した場合には、変動分のみを料金に反映。

(ⅴ)託送料金(※送配電線の利用料)の適正化

託送料金について第三者が適切性・妥当性を確認。

(ⅵ)デマンド・レスポンス料金とスマートメーターの導入

時間帯別料金の多様化や三段階料金の見直し、季節別料金の導入などの検討、スマートメーターの導入に当たっては入札を原則。

(ⅶ)事後評価

原価算定期間終了後には、原価と実績値、算定期間終了後の収支見通し、利益の使途等について評価。

以上の報告書の内容を踏まえ、一般電気事業供給約款料金算定規則、一般電気事業供給約款料金審査要領、電気料金情報公開ガイドライン等を2012年3月に改正しました。

東京電力株式会社の電気料金値上げに係る認可申請について

2012年5月11日に東京電力から経済産業大臣に対し電気事業法第19条第1項の規定に基づき、電気料金を平均10.28%引き上げる等の供給約款変更認可申請(以下「料金変更認可申請」という)が提出されました。

経済産業省においては、電気料金認可プロセスに外部専門家の知見を取り入れ、専門的かつ中立的・客観的な観点から料金査定方針等の検討を行う観点から、「総合資源エネルギー調査会総合部会電気料金審査専門委員会」(以下「委員会」という)を設置しました。(委員長:安念潤司 中央大学法科大学院教授、委員長代理:山内弘隆 一橋大学大学院商学研究科 教授)

2012年5月15日の第1回委員会以降、委員会は、東京電力から経済産業省に提出された料金変更認可申請について、個別の原価にも踏み込んだ検討を含め、計10回の審議を行い、2012年7月5日の第10回委員会において、委員会としての査定方針案が取りまとめられ、同日、経済産業大臣に提出されました。

委員会で取りまとめられた査定方針案をもって経済産業省は消費者庁と協議を行い、2012年7月13日には、経済産業省大臣と消費者担当大臣との間で、電気の安定供給や、原子力損害賠償の迅速かつ適切な実施の確保に支障を来さないことを前提に、消費者の目線や他の公的資金投入企業の事例を踏まえ、徹底的な経営合理化を図るものとするとの認識で、7月19日に協議が整いました。これを受け、経済産業省としての査定方針を策定し、7月20日に物価問題に関する関係閣僚会議の了承を得ました。

2012年7月25日に東京電力より提出された申請内容の修正が、査定方針通りであることが確認できたため、電気事業法第19条に基づき経済産業大臣が認可を行い、最終的な規制部門の電気料金値上げ幅は、平均8.46%となりました。

なお、消費者への十分な周知を図るために、東京電力の規制部門の値上げの実施時期を2012年9月1日といたしました。

関西電力株式会社及び九州電力株式会社の電気料金値上げに係る認可申請について

2012年11月26日付で、関西電力株式会社(以下、「関西電力」という。)から規制部門で11.88%の、また、2012年11月27日付で九州電力株式会社(以下、「九州電力」という。)から規制部門で8.51%、電気事業法第19条第1項の規定に基づき、料金変更認可申請が出されました。2012年11月29日の第11回委員会(再開後第1回)以降、委員会は、関西電力及び九州電力から経済産業省に提出された料金変更認可申請について審議し、2013年3月6日まで10回開催しました。審議の透明性を高める観点から、東京電力の審議と同様に委員会の審議は、議事内容、配付資料を含め全て公開形式で開催しました。加えて、全10回について、消費者団体、中小企業団体、消費者庁からオブザーバーとしての参加を得て、活発に御議論を頂きました。

また、広く一般の意見を聴取するため、第11回委員会においては、自治体、消費者団体、中小企業団体関係者を招き、意見を聴取しました。2013年1月28日には関西電力の値上げに係る公聴会が大阪にて、1月31日及び2月1日には九州電力の値上げに係る公聴会が福岡にて開催され、3日間で委員延べ13名が参加するとともに、第17回委員会においては公聴会に寄せられた意見が事務局から報告されました。また、第18回委員会においては、「国民の声」に寄せられた生の意見を公表するなど、随時の議論に反映してきました。

2013年1月10日の第14回委員会以降、委員が3人1組となって、担当分野につき査定方針の検討を行いました。委員は、事務局が関西電力及び九州電力から提出を受けた契約書のコピーを含む資料を確認し、必要に応じて両電力会社に対し資料の追加提出を要請しました。

また、2013年2月20日には大臣談話を発表し、今回の量変更認可申請が、原子力発電所の停止による火力燃料費の増大が背景となっていることを踏まえ、シェールガス生産によりガス価格が低下している米国からの輸入の実現など官民を挙げた調達コスト削減努力や燃料コストの相対的に低い火力発電の積極的活用など、燃料コストの低減に向け最大限の取組を行うことが重要であり、この観点から、関西電力及び九州電力も含め、こうした取組により期待される燃料コスト低減の効果を踏まえ厳正な査定を行うこととしました。

2013年2月28日の第19回委員会において「査定方針案のたたき台」が提出・議論され、3月6日の第21回(※)委員会で委員会としての査定方針案が取りまとめられ、同日、経済産業大臣に提出されました。

※第20回は東北電力、四国電力の申請に係る概要説明

なお、委員会は、東京電力の審査と同様に電気事業法及び同法に基づく規則、審査要領、「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議報告書」等の予め定められたルールに則って、査定方針案を中立的・客観的かつ専門的な見地から検討しました。

委員会で取りまとめられた査定方針案をもって経済産業省は消費者庁と協議を行い、2013年3月27日に協議が整いました。これを受け、経済産業省としての査定方針を策定し、2013年3月29日に物価問題に関する関係閣僚会議の了承を得ました。なお、査定方針のポイントは以下の通りです。

①火力燃料費について、原価算定期間中に価格改定されるLNGの長期契約について、25年度、26年度は電力会社中最も安価なもの(トップランナー価格)、27年度は天然ガス価格リンクを一部反映した価格を原価とする。

②人件費のうち、役員報酬は国家公務員指定職並みとする。(関電4,100万円/人、九電3,300万円/人→1,800万円)また、従業員の給与水準は、一般的な企業の平均値と、類似の公益企業の水準を平均とする。(関電664万円→627万円、九電650万円→598万円)更に、福利厚生費は、健康保険料の事業者負担割合50%を目指して削減する。自社持株奨励金は原価算入を認めない。

③資材調達における経営効率化等は、東京電力の例を勘案し、コスト削減額が原則10%に満たない場合には、未達分を原価からカットし、子会社・関係会社取引はさらに一般管理費を10%カット等とする。

4月2日に関西電力及び九州電力より提出された申請内容の修正が、査定方針通りであることが確認できたため、電気事業法第19条に基づき経済産業大臣が認可を行い、最終的な規制部門の電気料金値上げ幅は、関西電力で平均9.75%、九州電力で平均6.23%となりました。

なお、消費者への十分な周知を図るために、関西電力及び九州電力の規制部門の電気料金値上げの実施時期を2013年5月1日といたしました。

東北電力株式会社、四国電力株式会社、北海道電力株式会社の電気料金値上げに係る認可申請について

2013年2月14日付で、東北電力株式会社(以下、「東北電力」という。)、2013年2月20日付で四国電力株式会社(以下、「四国電力」という。)、2013年4月24日付で北海道電力株式会社(「以下、「北海道電力」という。」から電気事業法第19条第1項の規定に基づき、供給約款変更認可申請(以下「料金認可申請」という。)が出されました。

電力会社からの料金認可申請に対しては、総合資源エネルギー調査会総合部会電気料金審査専門委員会(以下「委員会」という。)で中立的・客観的かつ専門的な観点から、査定方針等の検討を行っているところであり、東北電力及び四国電力から経済産業省に提出された料金認可申請については、2013年3月5日の第20回委員会以降、また、北海道電力から経済産業省に提出された料金変更認可申請については、2013年4月25日の第25回委員会以降、委員会において審議を行っているところです。

(3) 石油・LPガスの供給体制の整備

国内災害対策

今回の東日本大震災においては地震や津波等により、東北・関東地方にある石油供給拠点やLPガス供給基地、多数のサービスステーション等が被災し、被災地等への石油製品やLPガスの安定供給に大きな支障を来しました。

この経験を踏まえ、大規模災害時においても被災地等へ確実に石油製品やLPガスを供給できる体制の構築の重要性が明らかになったことから、以下の対策を行いました。

(ア) 石油供給拠点

全国の製油所や各地域の拠点となる石油基地において、出荷設備の耐震・対津波対策や非常用電源・ドラム缶出荷設備の導入等を進め、災害対応能力の抜本的強化を行いました。

(イ) サービスステーション

SSが減少している中、平時から石油製品のサプライチェーンを維持・強化し、安定供給を確保するため、供給不安が生じている地域のニーズに適合した供給体制の構築、SSの災害対応能力強化に向けた設備増強や人材育成を通じた地域の中核的拠点となるSSの整備、灯油配送ローリーの導入等の取組に対して支援を実施しているところです。

(ウ) LPガス供給拠点

各地域の中核となるLPガス充てん所において、自家発電設備、LPガス自動車及び衛星通信電話等の導入を進め、災害対応能力の抜本的強化を行いました。現在も、中核充てん所の整備を全国的に進めるべく、支援を実施しているところです。

災害時の石油安定供給の確保

(ア) 石油備蓄法(石油の備蓄の確保等に関する法律)の改正

石油備蓄法は、緊急時に国・石油会社等が保有する備蓄石油を放出し、石油の安定供給を確保するための法律です。東日本大震災の教訓を踏まえ、以下の通り、石油備蓄法を改正いたしました(平成24年11月1日施行)。

(ⅰ)石油備蓄法は1970年代の石油危機の経験を踏まえて制定されたこともあり、主に海外からの石油輸入途絶・減少時に備えた法体系となっていました。

このため、東日本大震災では、製油所・油槽所や交通インフラ等が広範囲にわたって被災し、被災地域での石油供給が不足した中で、民間の基準備蓄量の引き下げを行いましたが、国家備蓄石油を放出することはできませんでした。

この反省を踏まえ、国内の災害によって石油の供給が不足する場合にも、民間の基準備蓄量引き下げの機動性を高めるとともに国家備蓄石油を放出できることとしました。

(ⅱ)発災後、石油会社による被災地への石油供給の共同オペレーション(利用可能な油槽所等の共同利用など)のスキームの詳細や実施に係る問題点の検討に時間を要しました。

この経験を踏まえ、石油会社は、全国10地域ごとに、あらかじめ石油会社間での設備の共同利用の方法などを定めた「災害時石油供給連携計画」を作成し、経済産業大臣の勧告に基づき同計画を実施することとしました。また、「災害時石油供給連携計画」が経済産業大臣に提出された後、同計画の写しを経済産業大臣から公正取引委員会に送付することとし、公正取引委員会は必要があると認めるときは、経済産業大臣に対し、意見を述べることとしました。これにより発災直後から独占禁止法上の懸念なく、「災害時石油供給連携計画」を実施することが可能になります(LPガス輸入・卸売会社についても同様に措置)。

(ⅲ)発災後、サービスステーション(SS)における在庫量の把握が困難となり、混乱が生じました。この経験を踏まえ、給油設備の規模が一定以上であることなどの要件を満たすSSを災害時における緊急車両などへの給油拠点とするため、当該SSの設備状況などを石油販売業者が届け出るよう義務付けました。

(イ) 国家石油製品備蓄の拡充

従来の国家備蓄は、前述のとおり1970年代の石油危機の経験を踏まえ、海外からの石油輸入途絶・減少に備えていたため、ほぼ全量が原油でした。しかし、東日本大震災では、原油からガソリン、灯油といった石油製品を精製する機能を有する製油所が機能停止に陥ったことなどから、仮に国家備蓄原油を放出できたとしても、被災地の石油製品供給に活用することができませんでした。

この経験を踏まえ、従来、灯油のみが対象となっていた石油製品の国家備蓄を拡充することとし、平成24年度においては、ガソリン、灯油、軽油、A重油について、我が国需要量の1日分を蔵置しました。今後は、平成25年度以降早期に、我が国需要量の4日分まで拡充する予定です。

3.消費段階

(1)省エネルギー対策

省エネ法について

我が国は、GDPが約2.3倍となった過去37年間でエネルギー効率を約4割改善しましたが、その中でエネルギーの使用の合理化に関する法律(以下、省エネ法)は、重要な役割を果たしてきました。

省エネ法は、石油危機に端を発したエネルギー危機を乗り越えるため、「熱管理法」を全面改正する形で1979年に成立しました。主に年間エネルギー使用量が大きい工場・事業場に対し、省エネ措置の取組を求め、毎年エネルギー使用実績等を国へ報告することを求めています。

また、地球温暖化防止京都会議を機に1998年の省エネ法改正で導入されたトップランナー制度は、イノベーション喚起型の新しい規制として海外でも高く評価されています。これは、エネルギー消費機器の製造・輸入事業者に対し、3~10年程度先に設定される目標年度において高い水準(トップランナー基準)を満たすことを求め、目標年度になると報告を求めてその達成状況を確認する制度です。製品の改善実績(全製品平均)は、燃費で自動車49%、消費電力量でエアコン32%改善、冷蔵庫:43%改善、テレビ:30%改善となっています。現在、対象機器は自動車、エアコン、エコキュート(電気温水機器)等26品目となっており、世帯当たり電気消費量に占める割合の6割をカバーしています。引き続き、LED電球や産業用モータ等への対象機器の拡大や、目標値の強化等を実施していきます。

背景

今後のエネルギー使用量の削減対象としては、住宅・建築物が一つの重点分野です。我が国の最終エネルギー消費は、二度の石油危機後や近年の不況時を除き、ほぼ一貫して増加しています。部門別のエネルギー消費量は、石油危機以降、住宅・建築物などの民生部門は約2.5倍と大幅に増加しているのに対し、産業部門が約0.9倍、運輸部門は約1.9倍です。従来から十分な努力により省エネを進めてきた産業部門における更なる省エネ対策に加え、エネルギー消費量の増加が著しい民生(業務・家庭)部門において、一層の省エネを進める必要があります。我が国は省エネ先進国ですが、現在5割程度である新築住宅における省エネ基準適合率の向上や、住宅ストックの断熱性能の改善等の課題があります。このような状況を踏まえつつ、断熱性能の向上等を含む住宅・建築物全体の省エネ化の推進について検討が必要です。

また、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故以降、エネルギーの使用量全体の削減だけでなく、ピーク時の削減も課題となっています。

省エネ法改正案について

上記の背景を踏まえ、政府は、民生部門の省エネ対策及び電力ピーク対策を盛り込んだ省エネ法の改正案を、2012年3月13日、第180回通常国会に提出しましたが、第181回臨時国会で継続審議となり、廃案となりました。

2013年3月5日、上記の案に加え、2013年3月末で廃止することとされているエネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(以下、省エネ・リサイクル支援法)を廃止する法律案を、第183回通常国会に提出しました。改正内容は主に以下の3点です。

1点目に、これまでエネルギーを消費する機械器具を対象としていたトップランナー制度に、それ自体はエネルギーを消費しないものの、他の建築物や機器等のエネルギーの消費効率の向上に資する機械器具等を新たな対象として追加し、住宅、建築物分野の省エネ対策を強化します。新たにトップランナー制度に追加する機械器具等としては、具体的には、窓、断熱材等の建築材料等を想定しており、企業の技術革新を促すことで、住宅・建築物の省エネ性能の底上げを図っていきます。(【第122-3-1】)

2点目に、需要家が、従来の省エネ対策に加え、蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)、自家発電、の活用等により、電力需要ピーク時の系統電力の使用を低減する取組を行った場合に、これをプラスに評価できる体系にします。具体的には、ピーク時間帯に工夫して、系統電力の使用を減らす取組(節電)をした場合に、これ以外の時間帯で系統電力の使用を減らした場合よりも、改善の度合いを大きく評価することで、省エネ法の努力目標(原単位の改善率年平均1%)を達成しやすくなるよう、努力目標の算出方法を見直します。

3点目に、省エネ・リサイクル支援法を廃止します。省エネ・リサイクル支援法は、①省エネルギーの促進等、②3Rの促進、③特定フロン等の使用の合理化を推進するため、これらの設備投資、研究開発等に関する事業者の取組に対し、支援措置を講じるものです。附則において、「平成25年3月31日までに廃止するものとする。」と規定されているため、改正法案により廃止します。

【第122-3-1】民生分野におけるエネルギー消費の現状(2010年度)

【第122-3-1】民生分野におけるエネルギー消費の現状(2010年度)

※建築材料等の省エネ性能の向上により、住宅では約6割、建築物では約4割を占める暖冷房・給湯用エネルギー消費量の削減に貢献

(出所)
(財)日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」

(2) エネルギーマネジメント

電力ピーク問題の解決のためには、供給サイドの対応とともに、需要をスマートにコントロールする「エネルギーマネジメント」8の推進が重要です。これまでの日本のエネルギー政策は、需要を所与のものとして、電力会社の発電量を積み上げる議論が中心でした。一方、特に家庭・ビルのピーク需要を技術や料金体系でコントロールできれば、ピーク時の需要が抑えられ、その分半導体製造業など安定的に電気を必要とする産業に対して安定供給が図りやすくなります。経済産業省では、豊田市や北九州市などのスマートコミュニティ4地域で、大規模なディマンドリスポンスの実験を実施しました。北九州(230世帯、50事業所に供給)の実験では、通常料金(23円/kWh)を15円/kWh、夜間料金を6円/kWhにする代わりに、夏のピーク時間帯に、翌日の需要予測に応じて、電気料金を最大150円/kWhまで変動させる料金体系で実際に電力供給した結果、2割ものピークカットが実現しました。これまでの実証実験で消費者のピーク需要を無理なく、技術やシステムでコントロールすることが可能であり、かつ、消費者にメリットがあることを実証しています。

また、効率的なエネルギーマネジメントにも資するコージェネレーションの導入促進にも取り組んでいます。具体的には、コージェネレーションの導入促進に向け、経済産業省は2012年8月に「熱電併給推進室」を設置しました。また、同年10月には、電気事業法における特定供給の許可基準を緩和し、それまでは、供給者の発電設備が需要の100%を満たすことを許可の要件としていたところ、需要の50%までは電力会社等からバックアップを受ける場合であっても許可を行うこととし、工場団地などでコージェネレーションなどの分散型電源を導入しやすい環境を整備しました。さらに、コージェネレーションの導入に必要なイニシャルコストの低減やキャッシュフロー改善のための支援を実施しています。

(3) 電力需給対策

2012年度夏季の需給対策

2012年4月末から5月初旬にわたり、2012年度夏季の需給見通しについて、エネルギー・環境会議及び電力需給に関する検討会合の下に設置された「需給検証委員会」で検討が行われました。

検証の結果、「関西電力管内で、2011年の東京電力管内で想定されたピーク電力不足よりも厳しい状況になる恐れがあること」、「九州電力、北海道電力及び四国電力管内でも電力需給のひっ迫が見込まれるとともに、全ての地域で、火力発電所の稼働が増える結果、燃料コストが増加し、2012年度には3.1兆円の国富の流出が生じると推計されており、このまま放置すれば2012年秋以降、電気料金上昇のリスクも高まること」が明らかになりました。

これを受けて2012年5月18日に合同開催されたエネルギー・環境会議/電力需給に関する検討会合において、「今夏の電力需給対策」がとりまとめられ、対策が講じられました。

東京・東北電力管内には、東日本全体としては、2012年夏季想定需要(猛暑・節電あり)の場合には最低限必要となる供給予備率(3%)は確保できる見通しであること、東北電力管内においては被災地の復興需要に配慮することが適切であることから、数値目標を伴わない節電要請が行われました。節電要請期間は2012年7月2日~9月28日の平日(同年8月13日~15日を除く)9時~20時とされました。

中部及び西日本各社の管内については、中部及び西日本における広域での節電目標を数値目標付で要請し、広く中部及び西日本の需要家の協力を募ることにより、関西電力及び九州電力の節電目標を引き下げ、一律かつ強制的な手段である電力使用制限命令を回避するという方針を踏まえ、①関西電力管内には2010 年度比▲15%以上の節電要請が行われました。②四国電力管内には2010 年度比▲7%以上の節電要請が行われました。③九州電力管内には2010 年度比▲10%以上の節電要請が行われました。④中部、北陸、中国電力管内には2010年度比▲5%以上の節電要請が行われました。①②③④いずれも節電要請期間は、2012年7月2日〜9月7日の平日(8月13日〜15日を除く)9時〜20 時とされました。

その後、2012年7月9日に大飯発電所3号機が定格熱出力一定運転となったことを踏まえ、同年7月10日から関西電力管内については2010年度比▲10%以上に低減、中部、北陸、中国電力管内については、定着した節電分相当を数値目標として設定することとし、それぞれ2010年度比▲4%以上、▲4%以上、▲3%以上に低減されました。

また、数値目標を伴う節電要請期間及び時間は変更しないこととされました。

更に、7月25日に大飯発電所4号機が定格熱出力一定運転となったことを踏まえ、7月26日から中部、北陸、中国電力管内については、数値目標(それぞれ2010年度比▲4%以上、▲4%以上、▲3%以上)を解除し、「数値目標を伴わない節電」に変更、関西電力管内については、引き続き2010年度比▲10%以上の節電要請を行うこととされましたが、生産活動に支障が生じる場合は、2010年度比▲5%以上に低減、四国電力管内については、2010年度比▲7%以上から、2010年度比▲5%以上に低減することとされました。

また、節電要請期間及び時間は変更しないこととされ引き続き、高齢者、乳幼児等の弱者、熱中症等の健康被害への配慮を行うこととされました。

2012年度夏季の結果

(ア) 全体

2010年度夏季と2012年度夏季の同一気温等の需要の平均を比較したところ、2010年度比で、北海道電力で▲8.9%、関西電力で▲11.1%、四国電力で▲8.6%、九州電力で▲9.5%となり、節電要請が行われたすべての電力管内において、需給検証委員会にて想定された定着節電量を上回る量の節電が実施されました。

加えて、供給実績の合計は需給検証委員会の想定を上回ったため、計画停電や需給ひっ迫による停電は回避することができました。

(イ) 需要

数値目標付の節電要請を行った北海道、関西、四国、九州電力について、需要減少の内訳を【第122-3-2】に示します。

基本的には大口、小口需要家、産業、業務、家庭それぞれにおいて、1割前後の需要減となりました。北海道電力管内については、家庭の需要減少が小さくなっていますが、これは冷房需要が少なく、節電余地が少なかったことが一因と考えられます。

(ウ) 供給

2012年度夏季の各電力管内の最大需要日の供給力(実績)の合計が需給検証委員会の想定を少し上回ったことの最大の要因は、需給検証委員会での検証時には計上していなかった大飯発電所3、4号機の再起動に伴う供給力の増加です。この大飯発電所3、4号機の再起動により供給力が確保されたことで、需給ひっ迫が生じるリスクは低減されました。

【第122-3-2】2012年度夏季の需要減少状況

【第122-3-2】2012年度夏季の需要減少状況

※1)
関西、四国、九州電力管内は7月2日(月)~9月7日(金)まで、北海道電力管内は7月23日(月)~9月14日(金) までが数値目標付節電期間。
※2)
7月2日から8月31日まで(土日祝日等を除く)の一昨年と今夏の同一気温等の需要の平均を比較などしたもの。

【第122-3-2】2012年度夏季の需要減少状況

※7月2日から8月31日まで(土日祝日等を除く)の一昨年と今夏の同一気温帯等の需要の平均を比較したもの。内訳はサンプルデータや契約電力等から推計。

2012年度冬季の需給対策

2012年10月に「需給検証委員会」において2012年度冬季の電力需給見通しに関する検討が行われました。

検証の結果、「いずれの電力管内でも瞬間的な需要変動に対応するために必要とされる予備率3%以上を確保できる見通しであるが、火力発電所等の計画外停止が発生するリスクがあり、予断を許さない状況であること」、「北海道電力管内については、他社からの電力融通に制約があること、寒冷地であり電力不足が国民生活等に甚大な影響を及ぼす可能性があること等の特殊性があること」が明らかになりました。

これを受けて2012年11月2日に合同開催されたエネルギー・環境会議/電力需給に関する検討会合において、「今冬の電力需給対策」がとりまとめられ、対策が講じられました。

(ア) 供給面の対策

電力会社の取組としては、需給検証委員会における検証を踏まえ、需給検証委員会開催時点で確実と見られる供給力を基本とし、今後確実に見込めるようになった供給力については、その時点で上方修正すること、発電設備の脱落等が発生しても即座にこれに対応できるよう全国レベルでの電力融通等の協力体制の維持・拡大に引き続き取り組むこと、及び、火力発電所等の計画外停止のリスクを最小化するため、設備の保守・保全の強化を図ることにより、需給バランスを確保できるような対応を行うこととされました。

(イ) 需要抑制の目標

需給検証委員会における検証結果を踏まえ、需要家に対し節電を要請することとされました。

個別の需要家に対する要請に当たっては、需要家間の公平性確保を踏まえ、2012年度夏季の節電要請と同様に2010年度の使用電力需要の実績(節電影響を含まない需要実績)を基準として要請することとされました。

これらの需要面での対策に当たっては、地方公共団体等の協力を得て、創意工夫によるきめ細かい対応を行うことにより、国民生活や経済活動への影響を最小化することを目指すこととされました。

また、需給検証委員会において、冬季の北海道においては、最大機の脱落や発電所当の過去の計画外停止の状況を考慮したリスクへの対応が必要であると指摘されたことや、冬季の北海道において、計画停電を含む停電が発生することは、北海道民の生命、安全に直結することはもちろん、実施する可能性があること自体も北海道の観光業等の経済活動に悪影響を与え得ます。これらを踏まえ、過去最大級またはそれを上回る電源脱落が発生する場合にも、計画停電を含む停電を回避するため、多重的な対策を講じ、需給対策に万全を尽くすこととしました。

これらの考え方を踏まえ、各電力会社管内の需要家に対する要請については、北海道電力管内には2010年度比▲7%以上の節電要請が行われました。節電要請期間は、2012年12月10日~2013年3月8日の平日(12月31日及び1月2日~1月4日を除く)16時~21時(1月7日~3月1日の間は8時~21時)とされました。

加えて、全国(沖縄電力管内を除く)には、2012年度冬の電力需給の見通しは厳冬となることを想定した上で、いずれも瞬間的な需要変動に対応するために必要とされる予備率3%以上を確保できる見通しであるが、発電所等の計画外停止が発生するリスクがあり、予断を許さない状況であることを踏まえ、数値目標を伴わない節電要請が行われました。節電要請期間は、2012年12月3日~平成25年3月29日の平日(12月31日及び1月2日~4日を除く)9:00~21:00(北海道電力及び九州電力管内については8:00~21:00)とされました。

また、被災地や高齢者等の弱者に対して、無理な節電を要請することがないよう、配慮を行うこととされました。

(ウ) 需給逼迫時の対応

北海道電力管内については、計画停電を含む停電を回避するため、数値目標付の節電要請に加え、北海道電力は計画停電回避緊急調整プログラムを準備し、大規模な電源脱落等による需給ひっ迫時にこれを発動することとされました。

加えて、過去最大級を上回る電源脱落の発生に備え、北海道電力は、計画停電回避緊急調整プログラムでは対応できない大規模な電源脱落時の電力需要の削減のため、緊急時ネガワット入札等の仕組みを整備することとされました。

【第122-3-3】2012年度冬季の需給見通し

【第122-3-3】2012年度冬季の需給見通し

【第122-3-4】計画停電回避緊急調整プログラム(北海道電力)

【第122-3-4】計画停電回避緊急調整プログラム(北海道電力)

3
本節では、主に2012年8月から2013年3月末頃までの、東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故後に講じたエネルギーに関する主な施策について、本白書において生産(調達)段階、流通段階、消費段階に分類し取り上げます。
4
『「多様な供給体制とスマートな消費行動を持つエネルギー最先進国」へのアクションプラン』の説明中実施。詳細は第1部第2章第3節に記述。
5
Best Available Technology(利用可能な最良の技術)
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2013年5月上旬の茂木経済産業大臣の訪米時に、米国政府に対しLNG輸出の早期承認を要請。2013年5月17日(米国時間)に米国エネルギー省が、日本へのLNG輸出が見込まれる米国フリーポートLNGプロジェクトからのLNG輸出を承認(日本の輸入量の約5%程度に相当)した旨を発表。
7
平成22年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2011)
第1部第2章第1節4.(2) 参照
8
エネルギーマネジメント:HEMS(ホーム)、BEMS(ビル)、MEMS(マンション)、CEMS(コミュニティ)、供給側の状況に応じて電力需要を変化させる「ディマンドリスポンス」