第3節 二次エネルギーの動向

1.電力

(1)消費の動向

世界の電力消費量は一貫して増加しています。これを年代別にみると、1970年代はオイルショック後に一時的な消費の低迷がありましたが、年平均5.0%と高い伸びを維持しました。その後、1980年代は3.6%、1990年代は2.7%と、徐々に伸び率が低下しましたが、2000年から2007年まで年平均3.8%と、他のエネルギーと比べると高い伸びを維持しています。

これを地域別にみると、先進諸国の多い北米・西欧地域は世界全体の伸びを下回っています。また旧ソ連・東欧地域は、ソ連崩壊後の経済の低迷も影響し、1990年代は年平均マイナス4.3%と消費量が低下し、2000年から2007年までも年平均2.2%と低い伸びにとどまっています。一方、1975年から2007年までの世界の電力消費量を増加させる大きな原因となったのは、途上国を多く抱えているアジア、中東、中南米等の地域です。特にアジア地域は、1994年以降、電力消費量で西欧地域を上回るようになり、2004年以降、北米を上回るようになりました(第223-1-1)。

【第223-1-1】世界の電力消費量の推移(地域別)

【第223-1-1】世界の電力消費量の推移(地域別)

【第223-1-1】世界の電力消費量の推移(地域別)(xls形式:291KB)

(出所)
IEA, Energy Balances of OECD Countries, Energy Statistics and Balances of non-OECD Countries, Electricity Information 2009をもとに作成

その一方で、アジア(非OECD加盟国)、アフリカ、中東、中南米は、北米(OECD加盟国)や欧州(OECD加盟国)に比べ、1人当たりの電力消費量は、依然として低い水準にあります。例えば、2007年時点でアジア(非OECD加盟国)の1人当たり電力消費量は、北米(OECD加盟国)地域の6.4%程度にすぎません(第223-1-2)。

【第223-1-2】1人当たりの電力消費量(地域別)

【第223-1-2】1人当たりの電力消費量(地域別)

【第223-1-2】1人当たりの電力消費量(地域別)(xls形式:22.5KB)

(注)
2007年。地域の定義はIEAによる。
(出所)
IEA, Energy Balance of OECD countries 2009, Energy Balance of non-OECD countries 2009をもとに作成

また、電力化率(エネルギー消費量全体に占める電力消費量の比率)は、世界全体でみると1980年の12%から2007年の19%と約7ポイント上昇しています(第223-1-3)。これは世界全体で電化製品等の普及が目覚しかったことも大きな理由です。

【第223-1-3】電力化率(地域別)

【第223-1-3】電力化率(地域別)

【第223-1-3】電力化率(地域別)(xls形式:74KB)

(注)
電力化率とは最終エネルギー消費に占める電力消費量の割合を指す。

(2)供給の動向

世界の電源設備容量は一貫して増加しており、2007年時点で44億kWです(第223-1-4)。

【第223-1-4】世界の電源設備構成と発電電力量

【第223-1-4】世界の電源設備構成と発電電力量

【第223-1-4】世界の電源設備構成と発電電力量(xls形式:248KB)

(出所)
IEA, Energy Balances of OECD Countries,Energy Balances of Non-OECD Countriesをもとに作成

しかし、年代別にみると、電源設備全体で1980年代は年平均3.2%、1990年代は年平均2.1%と、徐々に伸び率が低下しています。ただし、中国の電源設備については、近年著しい伸びを示しており、2007年3月に国家電網公司が発表した将来予測では、2006年末に6億2,200万kWであった電源設備容量が2020年には13億3,000万kWとなっています。2007年の世界の電源設備容量を電源別にみると、火力発電の比率が67.0%を占めており、主電源の役割を果たしていることが分かります。一方、1970年代のオイルショックを契機として、石油代替エネルギーとして原子力発電の開発が促進され、1980年代には原子力発電は年平均9.1%と高い伸び率を示していました。しかし、先進国での原子力開発が鈍化した結果、1990年代は伸び率が年平均1.0%にとどまっています。それでも2007年の世界の電源設備容量に占める原子力シェアは8.6%と主要な電源の1つとなっています。また、水力発電は立地が難しくなってきており、伸び率は低い水準にあります。したがって、1990年代の電源設備容量の伸びは火力発電が中心となる構造でした。各国別にみても、全般的には世界の傾向と類似しています。ただし、フランスのように、第一次オイルショックを契機に原子力発電の開発を加速し、全電源に占める原子力発電の構成比が1980年の24%から2007年の78%と7.2倍に増えているような例もあります。

世界の発電電力量も一貫して増加し、2007年時点で19.8兆kWhです(第223-1-4)。これを世界の電源設備容量と比較すると、電源設備容量が1980年代は年平均3.2%、1990年代は年平均2.1%、2000~07年は年平均3.6%の伸びにとどまっているのに対して、発電電力量が1980年代は年平均3.6%、1990年代は年平均2.7%、2000~07年は年平均3.7%と、電源設備容量を上回る伸びを維持しており、電源設備の稼働率が向上している状況が分かります。

火力発電電力量を電源別にみると、石炭火力の伸び率は、電源全体の伸び率と近く、全発電電力量に占める石炭火力の割合は1975年の37%から2007年の42%まで概ね横這いで推移しています。

石油火力は、1970年代には年平均4.6%と堅調な伸びを示していましたが、オイルショックを契機に代替エネルギーへの転換が図られた結果、1980年代は年平均マイナス2.1%、1990年代は年平均マイナス1.2%、2000~07年は年平均マイナス1.0%とマイナス成長に転じています。一方、天然ガス火力発電は、1970年代は伸び率の年平均は4.1%でしたが、1980年代年平均5.6%、1990年代年平均4.7%、2000~07年は年平均6.0%と電源全体の伸び率を上回るようになり、石油火力の代替エネルギーとみることができます。

2007年の各国の電源別発電電力量をみると、アメリカは石炭が49%を占め、原子力とガスがそれぞれ19%と21%を占めています。英国はもともと国内に石炭が豊富であり、石炭火力が主力電源の役割を担っていましたが、北海ガス田の開発や電力自由化に伴って、天然ガス発電の比率が42%となっています。フランスでは原子力の比率が78%と非常に高くなっています。他方、ドイツは石炭の比率が、イタリアはガスの比率が高くなっています。中国は経済発展とともに発電電力量も非常に伸びていますが、石炭の割合が81%と高く、環境問題が課題となっています。また韓国は、石炭と原子力の比率が高くなっています(第223-1-5)。

【第223-1-5】主要国の各電源シェアと発電電力量(2007年)

【第223-1-5】主要国の各電源シェアと発電電力量(2007年)

【第223-1-5】主要国の各電源シェアと発電電力量(2007年)(xls形式:404KB)

(出所)
IEA, Energy Balances of OECD Countries2006-2007, Energy Balances of Non-OECD Countries2006-2007をもとに作成

なお、欧州や北米では国境を越えて送電線網が整備されており、電力の輸出入が活発に行われています(第223-1-6)。

【第223-1-6】欧州の電力輸出入の状況(2007年)

【第223-1-6】欧州の電力輸出入の状況(2007年)

(出所)
IEA, Electricity Information 2009をもとに作成

2.ガス事業

都市ガスの消費量を先進諸国で比較すると2007年ではアメリカにおける消費量が多く、25,154PJ(ペタジュール)の消費量となっています。EU諸国は、英国の3,804PJ、ドイツの3,355PJ、フランスの1,790PJとなっています。我が国は、1,466PJとなっています。

インフラについては、2007年のアメリカの輸送パイプライン総延長は483千km、配給用パイプラインの総延長は、1,933千kmとなっています。欧州諸国は、英国の輸送パイプラインの総延長は7千km、配給パイプラインは132千kmとなっています。ドイツは輸送パイプラインと配給パイプラインの合計総延長は420千km(内訳は不明)となっています。フランスの輸送パイプラインの総延長は、37千km、配給パイプラインの総延長数は、193千kmとなっています。

我が国のインフラは、2009年3月末時点で電気事業者や国産天然ガス事業者等によって整備されているパイプラインの延長が約3千km、一般ガス事業者の配給パイプライン延長は241千kmとなっています。

また、LPガスについては、2008年の消費量を先進諸国間で比較すると、アメリカにおける消費量が多く、5,557万トンの消費量となっています。我が国は、アメリカに続き世界第2位の1,770万トンとなっています。EU諸国は、英国の333万トン、ドイツの287万トン、フランスの382万トンとなっています。

3.熱供給

熱供給(一般的には地域冷暖房)の始まりは19世紀に遡りますが、オイルショック後、特に欧州において飛躍的に発展しました。熱源として、化石燃料だけでなく、再生可能エネルギー、廃棄物、工場排熱などが利用できるほか、熱電併給(CHP)も適用できることから、石油依存度の低減、エネルギー自給率向上、環境面からの有効性が注目されています。

地域熱供給設備は、中国で最も大規模に普及しており、2007年までにおよそ22万MWth55が導入されています。スウェーデン、フィンランド、デンマークといった北欧諸国や、ポーランド、チェコ共和国といった東欧においても導入されています。また、韓国においても欧州諸国と同水準の熱供給が行われています。導管ネットワークの長さは、日本の710kmと比較し、はるかに大規模の供給網整備が行われています(第223-3-1)。

【第223-3-1】地域熱供給の海外事例

国名 設備容量
(MWth)
年間熱供給量
(TJ)
導管ネットワーク
(km)
中国 224,660 2,250,150 88,870
ポーランド 62,752 425,000 18,834
ドイツ 57,000 267,171 100,000
韓国 13,250 198,777 4,665
スウェーデン 29000* 169,200 17,782
チェコ共和国 36,070 144,773 6,500
フィンランド 20,390 108,360 11,000
デンマーク 17,266 102,806 27,575
フランス 17,442 80,078 3,131
リトアニア 8,263 28,678 2,458
アイスランド 2,012 24,516 6,738
オランダ 5,325 21,264 3,430
スイス 1,900 15,450 890
ノルウェー 2000* 11,313 900
日本 4,430 9,683 710
(注)
2007年の値。ただし*は2005年の値。
(出所)
District Heating and Cooling, Country by Country 2009 Survey, Euroheat & Powerより作成

地域冷暖房の主たる燃料は様々であり、例えば韓国やオランダでは天然ガスが主に用いられています(地域熱供給に占める天然ガスの割合は、韓国21.7%、オランダ92%)。また、北欧諸国では、再生可能エネルギーや廃棄物の利用比率が他国と比べ高いという特徴があり、ノルウェーでは地域熱暖房に占める廃棄物の割合は33.0%と、主たる熱源になっています。スウェーデンでは、CHPを除く直接利用による燃料は、再生可能エネルギーが29.3%、廃棄物が10%となっています。

4.石油製品

世界の石油消費は2008年8,446万バレル/日となり、北米が約3割、欧州が2割、中国を含むアジアが3割となっています。1950年代に比べ、世界の消費は3倍に拡大し、最近では中国の消費が拡大しているのが特徴的です(第223-4-1)。

【第223-4-1】地域別石油製品消費の推移

【第223-4-1】地域別石油製品消費の推移

【第223-4-1】地域別石油製品消費の推移(xls形式:54KB)

(出所)
BP, Statistical Review of World Energy 2009をもとに作成

世界の石油消費の変化を製品別にみると、ガソリンや灯油、軽油等の軽質油製品の消費が堅調に増加しているのに対して、重油の伸びが低迷しており、製品消費の軽質化が着実に進んでいるのが分かります(第223-4-2)。

【第223-4-2】世界の石油製品別消費の推移

【第223-4-2】世界の石油製品別消費の推移

【第223-4-2】世界の石油製品別消費の推移(xls形式:60KB)

(出所)
BP, Statistical Review of World Energy 2009をもとに作成
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MWthは、megawatt thermalの略であり、熱出力の単位です。