第2節 我が国における温室効果ガス削減の取組

2007年度の我が国の温室効果ガスの総排出量(速報値)は基準年比で8.7%増の13億7,100万t-CO2(基準年総排出量は12億6,100万t-CO2)となっています(第122-0-1)。京都議定書の第1約束期間において、我が国が目標とする総排出量は年間11億8,600万t-CO2であり、その差は基準年総排出量比で14.7%となっています。

これは、メタン、一酸化二窒素、代替フロン等3ガスについては削減が進んでいるものの、我が国の温室効果ガスの排出量の9割程度を占めるエネルギー起源二酸化炭素の排出量が大幅に増大した(基準年総排出量比15.0%増加)ことが主な原因です。エネルギー起源二酸化炭素の排出量が増えた要因としては、原子力発電の設備利用率の低下、オフィスビル等の床面積の増大、パソコンや家電等の保有台数の増加などが考えられます。

そこで、本節では、京都議定書目標達成計画と、エネルギー起源二酸化炭素の排出削減対策についてみていくことにします。

【第122-0-1】 我が国の温室効果ガス排出量

【第122-0-1】 我が国の温室効果ガス排出量

1.京都議定書目標達成計画

我が国は、従来、地球温暖化防止行動計画(1990年)、地球温暖化対策に関する基本方針(1999年)、地球温暖化対策推進大綱(1998年、2002年)を定めるなど、地球温暖化対策を推進してきました。

2005年の京都議定書発効を受けて、地球温暖化対策推進法に基づき、京都議定書の6%削減約束を確実に達成するために必要な措置を定めるものとして、また、2004年に行った地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの成果として、同年4月、地球温暖化対策推進大綱、地球温暖化防止行動計画及び地球温暖化対策に関する基本方針を引き継ぐ「京都議定書目標達成計画」を策定しました。

その後、2007年に進捗状況を評価したところ、それまで取り組んできた対策のみでは京都議定書で定められた我が国の削減約束達成に対して2,200~3,600万t-CO2不足することが見込まれました。このため、対策・施策の追加・強化を検討したところ、今後各主体が対策・施策に全力で取り組むことによって目標の達成が見込まれることが確認されました。こうした一連の検討を踏まえ、2008年3月に京都議定書目標達成計画の全部改定について閣議決定されています(第122-1-1)。

【第122-1-1】 目標達成のための対策と施策

【第122-1-1】 目標達成のための対策と施策

(出所)
地球温暖化対策推進本部(2008年3月)、京都議定書目標達成計画

京都議定書目標達成計画では、温室効果ガスの排出削減対策、温室効果ガスの吸収源対策及び京都メカニズムの活用により、京都議定書削減約束を達成するとしています

エネルギー起源の二酸化炭素排出量は、1990年度の水準から基準年総排出量比で+1.3~2.3%の水準(約10億7,600万~10億8,900万t-CO2)を2010年度の排出量の目安としています(第122-1-2)。

【第122-1-2】 温室効果ガスの排出抑制・吸収量の目標

【第122-1-2】 温室効果ガスの排出抑制・吸収量の目標

(出所)
2007年度(平成19年度)の温室効果ガス排出量(速報値)、環境省
(注)
排出量の目安としては、対策が想定される最大の効果を上げた場合と、想定される最小の場合を設けている。当然ながら対策効果が最大となる場合を目指すものであるが、最小の場合でも京都議定書の目標を達成できるよう目安を設けている。
(出所)
京都議定書目標達成計画(平成20年3月28日全部改定)

また、非エネルギー起源の二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素などを、基準年総排出量比で1.5%(約1億3,200万t-CO2)削減すること、代替フロン等3ガス(HFC、PFC、SF6)については、技術・市場状況等に応じて最小の社会的コストを実現しつつ最大の効果が得られるよう対策・施策を組み合わせながら実施し、基準年総排出量比で1.6%(約3,100万t-CO2)削減とすることを目安としての目標としています。

更に温室効果ガス吸収量として、我が国は基準年総排出量比の約3.8%分(1,300万t-C、4,767万t-CO2) 3 が認められており、これを確保する必要があります。

以上の国内温室効果ガス排出削減対策及び国内吸収源対策を基本として、国民各界各層が最大限努力することとなっておりますが、それでもなお京都議定書の約束達成に不足する差分については(基準年総排出量比1.6%相当)、京都メカニズムを活用していきます。

京都議定書目標達成計画において、地球温暖化対策推進本部は、個々の対策について政府が講じた施策の進捗状況等の点検を毎年2回行うこととなっています。2008年12月の京都議定書目標達成計画の進捗状況点検では、「大半の対策について実績のトレンドが概ね見込みどおりであった。また、実績のトレンドが見込みどおりでないものについても、自主行動計画においては各団体に対して取組の強化を促しているところであり、その他の対策においては対策・施策の追加・強化を行っているところである」とされました4

更に、第1約束期間の中間年度である2010年度以降、速やかに目標達成のために実効性のある追加的対策・施策を実施できるよう、2009年度には第1約束期間全体(5年間)における我が国の温室効果ガス排出量見通しを示し、本計画に定める対策・施策の進捗状況・排出状況等を総合的に評価し、必要な措置を講ずるものとしています。

2.低炭素社会づくり行動計画

2008年6月9日の福田総理(当時)のスピーチ「低炭素社会・日本をめざして」と6月16日の「地球温暖化問題に関する懇談会」の提言を受け、我が国が低炭素社会へ移行していくための具体的な道筋を示すものとして「低炭素社会づくり行動計画」を7月28日に閣議決定しました。本計画では、我が国の長期目標として2050年までに温室効果ガス排出量を現状から60~80%削減する目標を掲げています。また、「全員参加」型の公平で実効性のある次期枠組みづくりを目指し、また、2009年のしかるべき時期に我が国の国別総量目標を発表することとしました。低炭素社会を構築するための具体的な取組としては、①革新的技術開発と太陽光発電等の既存先進技術の普及、②国全体を低炭素化へ動かす仕組み、③地方・国民の取組の支援などが盛り込まれました。

3.エネルギーに関する主な取組

第122-3-1は我が国の温室効果ガス排出量について部門別、排出源別に推移を示したものです。我が国が排出する温室効果ガスの9割以上が化石燃料を燃焼する際に生じる二酸化炭素であることがわかります。

また、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出を部門別に見ると、我が国において最も多く排出している部門は転換部門を含む産業部門で、全体の約4割に達し、次いで運輸部門、業務部門、家庭部門と続きます。1990年以降、産業部門は効率的なエネルギー消費と設備投資・改修によって、二酸化炭素排出の増加を抑えてきましたが、大規模な排出を行う部門であることから、今後も排出抑制に向けた対策を講ずべき部門の1つです。

以下では、我が国におけるエネルギー起源二酸化炭素の排出抑制対策に注目し、これまでの主な取組のうち、第1章で取り上げられていない排出削減対策や省エネ対策等の取組とその進捗を見ることにします。

【第122-3-1】 日本の温室効果ガス排出量の推移(1990年から2006年)

【第122-3-1】 日本の温室効果ガス排出量の推移(1990年から2006年)

【第122-3-1】 日本の温室効果ガス排出量の推移(1990年から2006年)(xls/xlsx形式:28KB)

(出所)
GHGインベントリーオフィス
(注)
転換、産業、運輸、民生部門は化石燃料を燃焼する際に生じる二酸化炭素
(*)
電力・熱に伴う排出量はそれぞれの消費量に応じて最終需要部門に配分(間接排出)
(**)
転換、産業、運輸、民生部門で化石燃料の燃焼以外の二酸化炭素及び5ガスの合計

(1)自主行動計画の推進・強化

産業・エネルギー転換部門において、1997年に日本経済団体連合会(以下「日本経団連」という。)が率先して環境自主行動計画を策定し、2010年度のエネルギー起源二酸化炭素排出量を1990年度比±0%以下に抑制することを目標として掲げています。また、この日本経団連環境自主行動計画に加えて、業務その他部門・運輸部門を含めた各部門について、日本経団連傘下の個別業種や日本経団連に加盟していない個別業種が温室効果ガス排出削減計画を策定しており(本書ではこれら個別業種単位の計画を「自主行動計画」といいます。)、産業・エネルギー転換部門の排出量の約8割、全部門の約5割をカバーするに至っています。

2009年3月末時点で、産業部門においては50業種、業務その他部門においては37業種、運輸部門においては17業種、エネルギー転換部門においては4業種が定量目標を持つ目標を設定し、審議会等の評価・検証を受けています。

このような、事業者による自主行動計画はこれまでのところ成果を上げてきており、特に、日本経団連環境自主行動計画は産業界における対策の中心的役割を果たしています。自主的手法には、各主体がその創意工夫により優れた対策を選択できる、高い目標へ取り組む誘因があり得る、政府と実施主体双方にとって手続コストがかからないといったメリットがあり、事業者による自主行動計画ではこれらのメリットが一層活かされることが期待されます。

我が国が京都議定書の削減約束を達成していくためには、こうした自主行動計画の目標が達成されるべく、産業界がエネルギー消費原単位や二酸化炭素排出原単位の改善等の排出量を抑制する努力を進めていくことが極めて重要です。そのため、産業界の自主行動計画の目標、内容についてはその自主性にゆだねられるべきものであることを踏まえつつ、社会的要請にこたえる観点から、

  • ①計画を策定していない業種においては、新規に策定する
  • ②計画の目標が定性的である業種は、目標を定量化する
  • ③計画については、政府による厳格な評価・検証を実施する
  • ④既に現状が目標を超過している場合には、目標の引き上げを行う

とともに、日本経団連環境自主行動計画の目標が十分に達成され、また、個別業種が自らの自主的な目標達成に向けて積極的に取り組むことが奨励されます。

政府としては、こうした自主行動計画の透明性・信頼性・目標達成の蓋然性が向上するよう、自主行動計画の評価・検証制度として、関係審議会等による定期的なフォローアップの実行を進めることとしています。

(2)省エネ法

①背景と経緯

我が国は、原油をはじめとする化石エネルギーの大半を輸入に依存しており、石油ショックによる急激な原油価格の高騰によって日本経済に大きな混乱がもたらされました。

エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下、省エネルギー法)は、「熱管理法」を全面改正する形で1979年に成立し、工場におけるエネルギー消費の抑制に取り組み始めました。その後、地球温暖化問題への新たな取組について国内において議論が本格化します。このようななか、我が国の温室効果ガスの約9割がエネルギー起源の二酸化炭素であることから、その対応として1998年に省エネルギー法が改正されました。この改正では、エネルギーを消費する機器の効率を改善することを目的としたトップランナー制度が新たに導入されました。当初トップランナー制度の対象となったのは、乗用自動車、エアコン、蛍光灯など9品目でしたが、現在までに21品目に拡大しています。最近では、業務用エアコンやルーター等について、新たな基準がとりまとめられており、引き続き、対象機器の拡大や目標値の強化を実施しています

また、1998年の改正において、エネルギー管理指定工場(年間原油換算3,000k?以上のエネルギーを使用する事業場)として定められていた事業場を第1種エネルギー管理指定工場とするとともに、新たに第2種エネルギー管理指定工場(年間原油換算1,500k?以上のエネルギーを使用する事業場)を設けました。第1種エネルギー管理指定工場に対しては、これまでどおりエネルギー管理者またはエネルギー管理員の選任・届出が義務化されたほか、中長期計画の提出の義務化が加わりました。また、第2種エネルギー管理指定工場には、エネルギー管理員の選任・届出やエネルギー使用量の記録などが義務化されました。

その後、民生業務部門や運輸部門におけるエネルギー消費の増加傾向に歯止めがかからず、両部門における対策が急がれました。そこで、2002年の改正において、これまで5業種(製造業、工業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業)に限定されていたエネルギー管理指定工場の制限を解除し、エネルギーを消費する事業場への対策を促しました。また、第2種エネルギー管理指定工場に対する定期報告を義務付けました。更に、特定建築物の省エネルギー措置の届出を義務付けるなど民生業務部門の対策を強化しました。

2005年には運輸分野における省エネルギー対策の導入を行うなどの改正を行い、対象分野の拡大と強化を行いました。

②平成20年度省エネルギー法改正

更なるエネルギーの効率的な消費を促すため、2008年5月に10回目の法律改正が行われ、2009年4月から対策の強化が進められています(第122-3-2)。

場・事業場については、これまでの工場・事業場単位から企業単位のエネルギー管理が義務付けられます。また、一定の要件を満たすフランチャイズチェーンについても、チェーン全体を一事業者として捉え、本部事業者に対し、事業者単位の規制と同様の規制を導入するほか、企業全体を統括するエネルギー管理統括者等の選任を義務付けます。これにより、業務部門に多く見られる中小規模の事業場を数多く設置する事業者を新たに義務の対象に加えるとともに、産業部門を含め、事業者の経営判断に基づく効果的な省エネルギーの取組が進められるものと期待されます。工場や事業場における対策の強化は2009年度のデータを元に2010年度から開始されることになります。

住宅・建築物に係る省エネルギー対策については、大規模な住宅・建築物における省エネルギー対策の実施に係る担保措置を強化するほか、一定の中小規模の住宅・建築物に対しても届出の義務化を行います。

その他には、業種毎の省エネルギーの状況を勘案し、評価することを目的としたセクター別ベンチマークの策定を行っていきます(後掲 3.(2)参照)。更に、複数の事業者が共同して省エネルギーに取り組む共同省エネルギー事業を進めていくため、国は事業者に対して適切な配慮を行うことになりました。

【第122-3-2】 省エネルギー法により強化された対策(2008年5月)

【第122-3-2】 省エネルギー法により強化された対策(2008年5月)

(出所)
経済産業省 資源エネルギー庁資料

(3)RPS法

2002年6月に制定されたRPS法5 は、電気事業者 6 に対して、新エネルギー等から発電される電気を一定量以上利用することを義務付けています。これにより、電気事業において新エネルギー等の利用を拡大し、二酸化炭素排出量の抑制や外国からの資源依存の低下を目指すものです。

現在、2014年度までの各年度の新エネルギー等電気の利用目標量が定められています。これは、同法が施行されてから4年を経過した2006年に新たに策定されたものです。具体的な目標量は、第122-3-3の通りとしています。

【第122-3-3】 RPS導入目標量、調整基準利用量及び実績推移

【第122-3-3】 RPS導入目標量、調整基準利用量及び実績推移

(注)
調整基準利用量とは、RPS法施行後7年間(2009年度)において、各電気事業者の導入実績を踏まえた現実的な基準利用量に調整したもの
(出所)
経済産業省 資源エネルギー庁

(4)地球温暖化対策推進法

1997年、COP3において京都議定書が採択されたことを受けて、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化問題に取り組むための枠組みを定めた「地球温暖化対策の推進に関する法律」が成立しました。その後、2002年には京都議定書の締結に伴い同議定書を円滑、かつ的確に達成するために京都議定書目標達成計画の策定、計画実施の推進に必要な体制の整備などが新たに定められました。

更に、2005年の改正では、温室効果ガスを相当程度多く排出する者に対して温室効果ガス排出量の算定、及び国への報告を義務付けるとともに、国は、報告を受けたデータを集計・公表するという温室効果ガスの算定・報告・公表制度を導入しています。

2008年の改正では、京都議定書削減約束の確実な履行のため、また地球温暖化対策の一層の推進を図るために、排出量の伸び続けている業務部門・家庭部門への対策を抜本的に強化する必要性等を鑑み、措置を講じました。この改正により算定・報告・公表制度について、事業者単位・フランチャイズチェーン単位での排出量の算定・報告を行うことが義務付けられました。また、都道府県、指定都市等に対し、その区域の自然的社会的条件に応じた取組を地方公共団体実行計画に規定することや、地方公共団体実行計画協議会、指定都市等における地球温暖化防止活動推進員の委嘱や地域地球温暖化防止活動推進センターの指定に関する規定などが盛り込まれました。 更に、事業者が、事業で使用する設備の選択や使用方法及び国民が日常生活において利用する製品やサービスの製造等に関して、温室効果ガスの排出抑制等を推進するよう努め、その製品やサービスの利用に伴う温室効果ガスの排出に関する情報の提供(温室効果ガス排出量等の「見える化」)を行うよう努めることなどを規定しました。具体的に事業者が講ずべき措置の内容については、排出抑制等指針として、2008年12月12日に公表しています。

(5)グリーン電力証書

グリーン電力証書は、グリーンエネルギー価値の購入を希望する需要家が一定のプレミアムを支払うことにより、エネルギーである電気・熱とは切り離されたグリーンエネルギー価値を証書等の形で保有し、その事実を広く社会に向けて公表できるというものです(第122-3-4)。これにより、グリーンエネルギー生産設備を自ら保有することが困難な企業・自治体等の環境対策に貢献することが期待されます。また、エネルギー生産者がグリーンエネルギー価値を販売できるため、経済的なグリーンエネルギー生産設備の建設に貢献することとなり、ひいては日本におけるグリーンエネルギーの導入にもつながります。

1990年11月、日本で初めて民間によるグリーン電力証書の商品企画が発表され、これを契機として我が国でもグリーン電力プログラムが利用され始めました。利用の拡大に伴い第三者によるグリーン価値の担保へのニーズが高まったことから、2001年6月、グリーン電力に対する社会的認知度の向上や、グリーン電力価値の取引における信頼度の向上を目的とし、独立した第三者機関として、グリーン電力価値の認証を行う「グリーン電力認証機構(現在の「グリーンエネルギー認証センター」)」(任意団体)が設立されました。

【第122-3-4】 グリーン電力証書取引の仕組み

【第122-3-4】 グリーン電力証書取引の仕組み

(出所)
グリーンエネルギー認証センター事務局

グリーンエネルギー認証センターにより認定されたグリーン電力発電電力量は年々増加しており、2008(平成20)年度は、過去最高の238,113MWh となっています(第122-3-5)。また、G8環境大臣会合及びその準備会合においては、地球温暖化問題が重要な検討課題であったこともあり、開催に際して購入された電力量に相当する電力証書(約135MWh)を購入し、会合開催に伴う二酸化炭素排出量の削減に取り組みました。

また、2008年度には、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会グリーンエネルギー利用拡大小委員会において、報告書「グリーン・エネルギーの利用拡大に向けて」がとりまとめられました。併せて、グリーン電力証書の今後の普及拡大のために「グリーン電力証書ガイドライン」も策定されています。

【第122-3-5】 認証発電電力量の推移

【第122-3-5】 認証発電電力量の推移

【第122-3-5】 認証発電電力量の推移(xls/xlsx形式:36KB)

(出所)
グリーンエネルギー認証センター事務局

中長期にわたり大幅な二酸化炭素削減を行っていくために、新エネルギーの導入を更に拡大していく必要があります。このため政府は審議会7 における検討を経て、2009年4月からはグリーン熱証書の認証が開始されることとなりました。当面、認証対象となる設備は、住宅用などに取り付けられる太陽熱利用設備に限られていますが、今後は、バイオマスなども対象としグリーンエネルギーの普及拡大が期待されます。

(6)革新的なエネルギー技術の開発

2007年5月に提案された「美しい星50(クールアース50)」のなかで、「世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050年までに半減する」とする長期目標が示されました。こうした長期目標を達成するには、従来の技術だけでは難しく、革新的な技術開発とその普及が不可欠です。こうした認識から、我が国として重点的に取り組むべき技術を特定するとともに、各技術のロードマップの作成とロードマップを軸とした国際連携のあり方について検討を行い、2008年3月に「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」が取りまとめられました。

第122-3-6は今後重点的に取り組むべき21のエネルギー革新技術を部門ごとに示したものです。これらの技術は、我が国が優位に開発を進められるものであり、また、2050年の世界において大幅な二酸化炭素排出削減に貢献することが期待されます。そのためには、革新的技術開発における産学官や国際的な連携が重要です。

【第122-3-6】 重点的に取り組むべきエネルギー革新技術

【第122-3-6】 重点的に取り組むべきエネルギー革新技術

(出所)
経済産業省「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」(概要)

また、2008年5月には総合科学技術会議が「環境エネルギー技術革新計画」を策定しました。ここでは、国際的な低炭素社会の実現のために短中期と中長期の2つの期間において取り組むべき技術開発と普及に関する政策をとりまとめています。地球温暖化問題に対する具体的な対策を実施するうえで技術が重要であることから、我が国全体として技術開発と普及に取り組んでいるところです。

こうした革新的技術の開発については、2008年7月のG8北海道洞爺湖サミットでも、ロードマップの共有等国際連携の重要性や、先進国による投資拡大の必要性が確認されました。また、2009年3月には、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO技術開発機構)の協力も得つつ、経済産業省と欧州委員会研究総局との間でエネルギー技術開発に関する日EU戦略ワークショップが開催されたところです。

(7)京都メカニズムの活用

京都議定書目標達成計画では、基準年総排出量比1.6%(年間約2,018万t-CO2、5年間で約1億t-CO2)について京都メカニズムのクレジットを活用する計画となっています。クレジットの取得にあたっては、NEDO技術開発機構を活用することとしています(第122-3-7)。NEDO技術開発機構は大きく分けて2つのクレジット取得事業を通して、クレジットを調達します。まず、NEDO技術開発機構がプロジェクト参加者の一員として参画し、国連CDM理事会からクレジットを直接取得するというものです(タイプA)。もう1つは、商社等からクレジットを転売購入するというものです(タイプB)。NEDO技術開発機構が蓄積してきた京都メカニズムに関連する専門的知見、海外とのネットワーク等を活用して、クレジット取得に伴うリスクの低減を図るとともに、クレジット取得を長期的かつ安定的に行えるようにします。

【第122-3-7】 NEDO技術開発機構の事業を通じてこれまでに取得した京都クレジット

【第122-3-7】 NEDO技術開発機構の事業を通じてこれまでに取得した京都クレジット

(出所)
NEDO技術開発機構ホームページ

4.新たな取組

(1)新エネルギー導入の新たな方向性

2008年7月「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定されました。このなかで、再生可能エネルギーの中でも特に潜在的な利用可能量が多い太陽光発電の導入量を2020年に10倍、2030年には40倍にすること(その後2009年4月政府は導入目標を2020年頃までに20倍程度とする方針を明らかにしました。第1章第4節3(3)参照)、ゼロ・エミッション電源(再生可能エネルギー、原子力発電等)の割合を2020年を目途に50%以上とするなどの目標が示されました。

同年9月、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会は緊急提言として「新エネルギー政策の新たな方向性- 新エネルギーモデル国家の構築に向けて-」を発表し、新エネルギー導入促進に向けた具体的な政策提案を行いました。

このなかで、長期エネルギー需給見通し8 において示された再生可能エネルギーの最大導入ケース9 に従い、一次エネルギー国内供給に占める再生可能エネルギー導入量を2020年度において約8.2%、2030年度において約11.1%としていくことを目指すことを提言しています(第122-4-1)。

特に、太陽光発電については、低炭素社会づくり行動計画及び本提言の内容に基づいて導入拡大を図るべく、国においては、住宅用太陽光発電導入補助金の新たな開始、「ソーラー住宅普及促進懇談会」の開催・検討、関係省庁と一体となった「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」の策定、新エネルギー大量導入時のコスト負担のあり方の検討、革新的太陽光発電の技術開発の実施などに総合的に取り組んでいます。

また、本提言では、風力、バイオマス、地熱、雪氷、水力等についても最大限に取り組むことを提言しています。風力発電は、再生可能エネルギーのなかでもコストが低いものであり、2020年は現状の約5倍(陸上の設置可能量の約8割)、2030年には現状の約6倍(陸上の設置可能量のほぼ限界)を目指しており、引き続き導入支援を行っていく必要があるとしています。バイオ燃料は、2008年3月のバイオ燃料技術革新計画(バイオ燃料技術革新協議会)に基づき第2世代バイオ燃料などを多量かつ低コストで生産する新たな研究開発への取り組みを進めます。更に、我が国の再生可能エネルギーにおいて最も大きな比率を占めている水力発電について、特に中小水力を中心に積極的に推進していくこととしています。

更に、低炭素社会づくり行動計画及び本提言では、次世代自動車(ハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル車、CNG自動車等)について、2020年までに新車販売のうち2台に1台の割合で導入することを目指すほか、省エネルギー製品の普及促進に向けた対策を実施することが示されました。

【第122-4-1】 再生可能エネルギーの導入見通し(長期エネルギー需給見通し)

【第122-4-1】 再生可能エネルギーの導入見通し(長期エネルギー需給見通し)

【第122-4-1】 再生可能エネルギーの導入見通し(長期エネルギー需給見通し)(xls/xlsx形式:60KB)

(出所)
長期エネルギー需給見通し
(注)
%は、一次エネルギー国内供給に占める割合。

(2)セクター別ベンチマークによる管理

3.(2)のとおり、2008年5月の省エネルギー法改正により、特定の業種(セクター)ごとに、事業者の省エネルギーの状況を比較できる指標(ベンチマーク指標)を設定し、省エネルギーが進んでいる事業者を評価するとともに、遅れている事業者に更なる努力を促す「セクター別ベンチマーク」を2010年度から導入する予定です。本制度を導入する具体的意義として、以下の3点が挙げられます。

  • ○これまでの省エネルギーの努力の結果の相対評価の可視化による事業者の努力促進
  • ○法令上に新たな評価指標を追加することによる省エネ法の公平性確保
  • ○セクター別ベンチマーク手法の実証

まずは、鉄鋼業10 、電力供給業、セメント製造業といった主要なセクター(エネルギー多消費産業等)ごとに、ベンチマーク指標を設定することとしました。

(3)非化石エネルギー源の利用・化石エネルギー原料の有効利用に向けた立法

我が国は、2度の石油ショックの経験を踏まえ、過度な石油への依存から脱却し、官民が一体となって石油代替エネルギーの開発・導入を促進し、エネルギーの安定供給を目指すべく1980年に石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(代エネ法)を制定しました。その後、一次エネルギー供給に占める石油の割合は低下し2000年には5割を下回る水準に達しましたが、一次エネルギー供給に占める化石燃料の割合は依然として高く、エネルギー安全保障や低炭素社会への関心が高まる中、太陽光や原子力といった非化石エネルギーの利用拡大と化石燃料の有効な利用が求められています。

そうした中、総合資源エネルギー調査会では、2008年10月から政策小委員会において審議を開始し、2009年2月には、「エネルギー供給構造の高度化を目指して」と題した中間報告書を発表しました。

このような状況を踏まえ、エネルギー安定供給の確保のため、電気、石油、ガス事業者といった我が国で使用されるエネルギーの大半を供給するエネルギー供給事業者に対して、太陽光や原子力等の非化石エネルギー源を利用した発電の比率を高めることや、バイオマスの利用を拡大すること、原油や天然ガス等の化石エネルギー原料を有効に利用して燃料を製造すること等を義務づけるための法律案が、また併せて、代エネ施策を抜本的に見直し、非化石エネルギーの開発・導入の促進にシフトするための代エネ法の改正法案が、それぞれ2009年3月に閣議決定されました。

(4)国内クレジット制度を含む排出量取引の国内統合市場の試行的実施

排出量取引の国内統合市場の試行的実施(以下「試行実施」という。)は、二酸化炭素の排出削減には、二酸化炭素に取引価格を付け、市場メカニズムを活用し、技術開発や削減努力を誘導する方法を活用する必要があるとの観点に立って、低炭素社会づくり行動計画(2008年7月29日閣議決定)において、2008年10月から開始することとされたものであり、同年10月21日の地球温暖化対策推進本部決定に基づき、同日より開始されました。

試行実施に当たっては、実際に削減努力や技術開発に繋がる実効性あるルール、マネーゲームが排除される健全な実需に基づいたマーケットの構築を目指すこととされています。

試行実施は2つの仕組みにより構成されます。すなわち、企業等が自主的に削減目標を設定し、他の企業等の削減目標の超過達成分の排出枠やクレジット(国内クレジット、京都クレジット)を活用しつつ、目標達成を行う仕組み(試行排出量取引スキーム)と、同スキームで活用可能なクレジット(国内クレジット、京都クレジット)の創出、取引を行う仕組みです(第122-4-2)。

試行排出量取引スキームは、原則として事業所・個別企業・複数企業(企業グループ)単位で参加することになっています。参加企業等は、自主行動計画において定めている目標を目安として、2008~2012年度のうち全部又は一部の年度を目標年度(連続する年度に限らない)として任意に選択します。選択した設定年度の各年度ごとに排出削減目標を設定し、目標達成の確認を行います。

国内クレジット制度は、京都議定書目標達成計画(平成20年3月28日閣議決定)に規定された、大企業等が資金・技術等を提供し、中小企業等の温室効果ガスの排出削減を支援する仕組みです。本制度は、中小企業の他、農林業やサービス業など幅広い分野での排出削減を促進し、また、これまで流出していた資金の国内への回帰を促すものです。これまで、本制度の活用が期待される中小企業等を対象にした排出削減計画の無料作成支援や審査費用の支援等の措置を講じ、積極的にその活用を働きかけ、19件の排出削減事業等の発掘・申請の受付を行いました。

試行実施については、全国各地での説明会の開催等により、500を超える企業等からの参加申請がありました。試行排出量取引スキームの目標設定参加者としての申請企業等の二酸化炭素排出量の合計は、産業部門の約7割にも上りました。また、申請された目標について、2008年度の目標を中心に参加者の目標の審査・確認を行い、77の目標設定主体が目標水準に達しているとされ、目標水準が確定しました11

試行実施により得られた経験を活かして、排出量取引を本格導入する場合に必要となる条件、制度設計上の課題などを明らかにするとともに、技術とものづくりが中心の日本の産業に見合った制度のあり方を考え、国際的なルールづくりの場でのリーダーシップの発揮につなげていきます。

【第122-4-2】排出量取引の国内統合市場の試行的実施

【第122-4-2】排出量取引の国内統合市場の試行的実施

(出所)
地球温暖化対策推進本部決定資料(2008年10月21日)

(5)カーボンフットプリント等の見える化等

カーボンフットプリントとは、商品・サービスのライフサイクル全般(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)で排出される温室効果ガス排出量を二酸化炭素量に換算し、表示するものです。事業者・消費者双方に、排出量のより低い商品等の生産・購買等を促すことによって、低炭素社会の実現を目指すこととしています。

2008年6月より、有識者・事業者の参加及び関係各省のオブザーバー参加の下、「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」等を開催し、算定・表示の在り方やルールについて検討を行い、表示マークの選定、エコプロダクツ2008での試作品の展示(研究会参加企業30社が参加)などを経て、2009年3月に、「カーボンフットプリント制度の在り方(指針)」及び「商品種別算定基準(PCR)策定基準」を取りまとめました。また、ISO(国際標準化機構)等における国際標準化の議論等に積極的に貢献するため、我が国の対応方針を検討する国内委員会を設置し、2009年1月のISOマレーシア会合では、我が国の取組及び国際標準化に対する意見を主張しました。

2009年度からは、世界最大規模の市場導入試行事業を実施し、カーボンフットプリントを表示した商品等の市場流通を目指します(第122-4-3)。また、その成果を踏まえてルールの精緻化に努めるとともに、引き続きISO等における議論等にも積極的に貢献していきます。

このほかにも温室効果ガス排出量の「見える化」には様々なアプローチがあります。例えば、現在国や事業者が提供している環境家計簿では、主にエネルギーの消費量を基に算定した温室効果ガス排出量に関する情報を提供していますが、この情報に加えて、日用品の買い物や外食などに伴って間接的に排出される温室効果ガスの量に関する情報や、その削減方法に関する情報を提供するウェブサイトの開発を、有識者・事業者及び関係各省のオブザーバーが参加する『温室効果ガス「見える化」推進戦略会議』等を通じて進めており、2009年度にはモデル事業を実施した上での公開を目指しています。

また、カーボン・オフセット12 の取組の普及啓発を通じ、市民、事業者等の主体的な排出削減努力を促すとともに、温室効果ガス排出削減・吸収活動に対して資金面で貢献する機会を提供することによって、低炭素社会の実現を目指しています。

【第122-4-3】 カーボンフットプリント・統一マーク

【第122-4-3】 カーボンフットプリント・統一マーク

(出所)
経済産業省
3
気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)
4
地球温暖化対策推進本部幹事会(平成20年12月25日)
5
電気事業者による新エネルギー等の利用に関する 特別措置法
6
一般電気事業者、特定電気事業者及び特定規模電気事業者
7
総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会グリーンエネルギー利用拡大小委員会
8
総合資源エネルギー調査会需給部会、2008年5月
9
実用段階にある最先端の技術を、高コストではあるが、最大限導入すると見込んだもの
10
鉄鋼業のうち、高炉による鉄鋼業、電炉による普通鋼製造業、電炉による特殊鋼製造業について設定。
11
このほか、試行排出量取引スキームの参加類型の1つとなった環境省自主参加型国内排出量取引制度(JVETS)参加企業(計125社)については、既にJVETSの仕組において目標設定を終了しました。