日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

9.原子力

原子力発電所の稼働状況

Q原子力発電は必要ですか?

A資源の乏しい我が国で、1.安定供給の確保、2.電力コストの抑制、3.温室効果ガス排出の抑制の3点を実現するためには、原子力発電は欠かすことのできない電源です。再稼働にあたっては、安全性を最優先に、新規制基準に適合することが必要です。

日本の原子力発電所稼働状況

日本の原子力発電所稼働状況

核燃料サイクルと地層処分

日本は、原子力発電所の使用済燃料を再処理し、回収されるウランとプルトニウムを再利用しつつ、廃棄物の発生量を抑える「核燃料サイクル」を推進しています。

核燃料サイクルと地層処分 燃料集合体、金属キャスク図

再処理後に残る廃液は、ガラス原料と溶かし合わせたガラス固化体とし、地下深部に埋設することで隔離する方法で処分します(地層処分)。

燃料集合体、金属キャスク図:
日本原子力文化財団「原子力・エネルギー図面集」

核燃料サイクルの3つのメリット

  • 放射性廃棄物の量を減らす
  • 放射性廃棄物が天然ウラン並みの有害度まで低下する期間が短くなる
  • 資源の有効利用

核燃料サイクルの3つのメリット

科学的特性マップと文献調査

科学的特性マップ

地層処分の仕組みや日本の地質環境等などについて理解を深めていただくために、2017年7月に「科学的特性マップ」を公表しました。

地域の科学的特性を4つの色で色分け - こちらのQRコードで記事がご覧頂けます。

※グリーンの地域であっても、個々の地点が地層処分に必要な条件を満たすかどうかは、段階的な調査を綿密に実施し、確かめる必要があります。

文献調査の詳細はこちら - QRコードで記事がご覧頂けます。

科学的特性マップを公表以降、全国各地で対話活動を実施中。これまでの取組状況を踏まえ、全国のできるだけ多くの地域で文献調査を実施できるよう、引き続き全国での対話活動に取り組んでいます。

段階的な調査

コラム - 世界における原子力の展望

国際エネルギー機関(IEA)は、世界各国・地域の2050年ネットゼロ実現に向けて、原子力発電の新設や投資額を増やすニーズが高まると分析しています。

2050年ネットゼロシナリオにおける原子力発電容量

2050年ネットゼロシナリオにおける原子力発電容量

2050年までに世界の原子力発電の設備容量は現在(413GW)の2倍(812GW)に達します。先進国は原子炉の老朽化・廃止で2030年にかけて縮小しますが、新たに建設することで回復します。中国は原子力発電の世界的リーダーとなり、2050年までに世界の原子力発電所の3分の1を保有する国になります。

2050年ネットゼロシナリオにおける年間平均原子力投資額

2050年ネットゼロシナリオにおける年間平均原子力投資額

世界の原子力発電への投資額は、2010年代の300億ドルから2030年には1,000億ドル以上に急増します。新興市場国は2035年までの投資を必要とします。2050年にかけて投資先は徐々に先進国に移行し、先進国は既存の原子炉の寿命を延ばし新しい原子炉を建設するための投資を増やします。

出典:
IEA(2022)「Nuclear Power and Secure Energy Transitions: From Today’s Challenges to Tomorrow’s Clean Energy System(原子力発電と確実なエネルギー移行)」

もっと知りたい!エネルギー基本計画 原子力発電

原子力政策の出発点は、2011年に起こった、東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する真摯な反省です。エネルギー基本計画では、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくことが示されました。

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