日本のエネルギー 2019年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
8.福島の復興
福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策
Q福島第一原発の廃炉・汚染水対策は進んでいますか?
A廃炉・汚染水対策は世界にも前例のない困難な作業ですが、中長期ロードマップに基づき、安全かつ着実に取組を進めています。
廃炉
各号機は安定状態を維持しており、使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けたガレキ撤去や除染などを行っています。燃料デブリ(溶けて固まった燃料)の取り出しに向けては、格納容器内部の調査や取り出し装置の開発等を進めており、その結果を踏まえ、2021年内に2号機で試験的取り出しを開始し、段階的に規模を拡大していく予定です。
(各号機の現状)
これまでの調査から、燃料デブリの分布など格納容器内部の状況がわかってきました。2019年2月の2号機での調査で、燃料デブリと思われる堆積物をつまみ、持ち上げることができました。
汚染水対策
福島第一原発で発生した汚染水の量は、凍土壁等の重層的な対策により、対策開始前の1/3程度に低減しています。発生した汚染水は複数の浄化設備で処理し、可能な限り放射性物質を除去した上でタンクに貯蔵しています。周辺海域の水質も大幅に改善してきています。
タンクに貯めている水の取扱いについて

現在、タンクに貯めている水は汚染水を複数の浄化設備で処理し、放射性物質を100万分の1程度に浄化した水です。その中には、浄化設備では取り除けないトリチウムなどが含まれているため、その取扱いが課題となっています。こうした汚染水対策の基礎や最新情報についてはホームページでも解説しています。
安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策
- 対策1「ALPS処理水」とは何?「基準を超えている」のは本当?
- 対策2「トリチウム」とはいったい何?
- 対策3トリチウムと「被ばく」を考える
- 対策4放射性物質の規制基準はどうなっているの?
- 対策5ALPS処理水の貯蔵の今とこれから
- 対策6ALPS処理水の処分による放射線の影響は?
福島の復興
Q福島の復興は進んでいますか?
A双葉町は2020年3月4日、大熊町は同3月5日、富岡町は同3月10日に、一部地域の避難指示が解除されます。
これにより、「帰還困難区域」以外は、全ての地域の避難指示が解除されることとなります。
また、同3月14日には、JR常磐線が全線で営業運転を再開します。
帰還困難区域についても、特定復興再生拠点の整備に向けて取り組んでいます。また、除染やインフラ・生活環境サービスの整備を加速させるとともに、なりわい再建・新たな産業の創出や産業集積の促進を通じた、福島の地域再生に向けた取組を進めています。
福島イノベーション・コースト構想
浜通り地域などの産業を回復するため、新たな産業の創出を目指すものです。
福島新エネ社会構想
福島を未来の新エネ社会の先駆けの地とし、世界へ発信しています。
再エネの導入拡大
- 阿武隈、双葉エリアの風力発電などのための送電線増強など
水素社会実現のモデル構築
- 再エネを活用した大規模水素製造実証
(世界最大級となる1万kWの水電解装置の導入) - 水素輸送・貯蔵技術の実証
(2020年東京オリンピック・パラリンピック期間中の活用)など
スマートコミュニティの創出
- 新地町、相馬市、浪江町、楢葉町、葛尾村を始め、福島におけるスマートコミュニティの構築を支援など
福島県の食品の安全性
- 農林水産物は、出荷前に徹底したモニタリング検査等を行い、結果を公表。
- 米は2015年産米以降、基準値超過はゼロ。
- 基準値超過が確認された場合、市場に流通しないよう必要な措置が取られている。
- 出典:
- ふくしま復興のあゆみ(第26版)を基に復興庁作成