(1)供給の動向
我が国における一次エネルギー総供給に占める石油[1]の割合は、2006年度には47.1%を占めており、各種エネルギーの中で最も高くなっています。石油の一次エネルギー供給は石油ショックを契機とした石油代替政策や省エネルギー政策により減少しましたが、1980年代後半には原油価格の下落に伴って増加しました。1990年以降には、景気の低迷などにより微減しています(第213-1-1)。
【第213-1-1】 石油の一次エネルギー国内供給量の推移

資料:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」
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我が国は2006年において原油の99.6%を輸入に依存しており、輸入先も中東地域が大半を占めています。我が国は諸外国と比べて石油依存度、中東依存度ともに高くなっています。2006年の輸入先を国別に見ると、サウジアラビアが31.1%でトップにあり、以下、アラブ首長国連邦(25.4%)、イラン(11.5%)、カタール(10.2%)の順となっています(第213-1-2)。
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【第213-1-2】 原油の輸入先(2006年)
資料:経済産業省「資源・エネルギー統計年報」
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【第213-1-3】 原油の輸入量と中東依存度の推移
資料:経済産業省「資源・エネルギー統計年報」
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我が国は、2度の石油ショックの経験から原油輸入先の多角化を図り、中国やインドネシアからの原油輸入を増やし、1968年に90%前後だった中東地域からの輸入の割合を1987年には67%まで低下させました。しかし、近年我が国の中東依存度は再び上昇し、2006年で89.2%と非常に高くなっています(第213-1-3)。
これは、アジア諸国で石油需要が増え、これまで輸出していた原油を自国での需要に充てた結果、我が国への輸出が相対的に減少し、一方で、我が国を含むアジアなどの石油需要の増大に応えることのできる増産余力が中東産油国に集中していることによります。我が国の石油自給率は2006年では0.4%であり、新潟県、秋田県及び北海道に主要な油田が存在しています。
(2)需要の動向
我が国では、原油の一部は電気事業者の発電に直接利用されますが、ほとんどが原油を蒸留・精製することにより石油製品に代えて販売されています。石油製品では、輸入および輸出も行っています。2006年度に販売された石油製品は2億2,384万klとなり、ここ数年は減少傾向にあります。油種別販売構成を見ると、BC重油販売量が第一次石油危機前では5割以上であったのが、その後ガソリン、ナフサ、軽油等の需要が増加するなど、白油化が進んでいます。
(3)原油価格の推移
近年の世界的な原油価格の高騰を受けて、日本に到着する原油価格(CIF価格)も上昇し、2007年12月には年間平均で初めてキロリットル当り6万円を超えました。現在の原油価格は、第二次石油ショック時の価格に匹敵する水準になっています。一方で、日本の総輸入金額に占める石油の割合は、石油危機ショック後の一時期を除いて10〜20%の間で安定的に推移してきており、2006年度でも第二次石油ショックの半分程度の水準となっています。OECDの分析によれば、原油価格が10%上昇した場合の物価の上昇率は米国が0.23%、日本が0.08%、欧州が0.14%と想定され、日本は先進国のなかでも原油価格高騰の影響度は非常に低くなっています。石油ショック以後の石油代替政策、省エネ政策、内需主導の経済政策などの推進によって、輸入全体に占める石油の割合が低下し、石油ショック時と比べて原油価格高騰による日本経済への影響は小さくなっていると言えます。(第213-1-4)。
【第213-1-4】 原油の輸入価格と輸入全体に占める割合

資料:財務省「貿易統計」
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(1)天然ガス
@供給の動向
我が国における天然ガス利用は、1969年のLNGの導入以前においては、国産天然ガスに限られ一次エネルギー供給に占める割合は1%に過ぎませんでした。しかし、1969年のアメリカ(アラスカ)からの導入を皮切りに東南アジア、中東からの輸入が開始されました。現在、天然ガスの供給における輸入の割合は、石油と同様に極めて高い96.4%であり、全量がLNGで輸入されています(第213-2-1)。
【第213-2-1】天然ガスの国産、輸入別の供給量

資料:経済産業省「資源・エネルギー統計年報」
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なお、主に新潟県、千葉県、北海道及び秋田県などで産出されている国産天然ガス生産量は、2006年度においてLNG 換算すると245万tで、総供給量の3.6%を占めるに過ぎません。我が国に対するLNGの供給元は、インドネシア、マレーシア、オーストラリアなどのアジア・太平洋地域がその72%を占めていますが、中東依存度は24%と相対的に低く、地域的に分散しています(第213-2-2、第213-2-3)。また、世界の LNG貿易の39%を日本の輸入が占めています。
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【第213-2-2】天然ガスの輸入先(2006年度)
資料:関税協会「日本貿易月表」
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【第213-2-3】LNGの供給国別輸入量の推移
資料:関税協会「日本貿易月報」より作成
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A需要の動向
我が国の天然ガスは、発電用に6割、都市ガス用に4割が使われています。天然ガス需要は、都市部における公害対策としてLNGが導入されて以来、また、一次エネルギー多様化の一環としてその利用は増加しています。なお、都市ガスの用途別販売量としては、従来は家庭用が最大のシェアを持っていましたが、近年、工業用が急増して最大のシェアとなっています(次節の第214-2-2)。
BLNG価格の動向
我が国向けのLNG輸入価格は、1969年の輸入開始以来、原油価格に連動してきました。1970年代の第一次および第二次石油ショックで原油価格が高騰すると、LNG価格も上昇し、1980年代後半に原油価格が下落すると、LNG価格も低下しています。近年では、原油価格の高騰とともに、LNG価格も上昇基調にあります(第213-2-4)。
【第213-2-4】LNG輸入価格の推移

資料:関税協会「日本貿易月報」より作成
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(2)LPガス
@供給の動向
LPガスは、天然ガス生産からの随伴ガス、原油生産からの随伴ガス、更に石油精製過程等からの分離ガスとして生産されています。LPガスの供給は 1960年代までは、国内の石油精製の分離ガスが中心でしたが、輸入の比率が高まり、2006年度には74%が輸入されました。 我が国のLPガスの主な輸入先は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェートなどの中東諸国及びオーストラリア等で、そのうちサウジアラビアから37.5%を輸入するなど、輸入量の90.4%を中東諸国に依存しているため、安定供給の確保が課題となっています(第213-2-5)。
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【第213-2-5】LPガスの輸入先(2006年度)
資料:資源・エネルギー統計年報
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【第213-2-6】LPガスの用途別需要量の推移
資料:日本LPガス協会
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A需要の動向
LPガスの需要はこの10年ほど、漸減傾向にあります。用途別に見ると、家庭業務用需要が全体の43%を占めています。次いで工業用のシェアが大きく、都市ガス用は天然ガスへの燃料転換が進んだためシェアを縮小しています(第213-2-6)。
また、自動車用のシェアは、LPガス全体需要の9%を占めており、現在はタクシー向けが中心ですが、貨物車の拡大も期待されています。
BLPガス価格の動向
日本のLPガス輸入価格は、サウジアラビアのアラムコ社が決定する通告価格[2]に大きく左右される構造となっており、現在、不安定な状況にあります。近年の原油価格高騰とともに、2006年度のLPガス輸入価格もドル545/トンという過去最高のレベルにまで上昇しています(第213-2-7)。
【第213-2-7】LPガス輸入価格の推移

資料:関税協会「日本貿易月報」
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(1)供給の動向
現在、我が国は石炭の国内供給のほぼ全量(99%以上)を海外からの輸入に依存しています(第213-3-1)。
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【第213-3-1】国内炭・輸入炭供給量の推移 資料:2000年度までは経済産業省「エネルギー生産・需給統計年報」、 (注)輸入一般炭には無煙炭を含める
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【第213-3-2】日本の石炭輸入先(2006年度) 資料:財務省「日本貿易統計」
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我が国の国内石炭生産量は、1961年度には5,541万トンのピークを記録しましたが、以後、石油への転換の影響、さらには1980年代以降では割安な輸入炭の影響を受けて減少を続けました。なお、国内炭の2006年度の生産量は132万トンで、ほとんどが発電用で消費されています。
海外炭の輸入量は1970年度には国内炭の生産量を上回り、1988年度には1億トンを突破し、2004年度には1億8,357万トンと過去最高に達しました。2006年度は、1億7,934万トンとなっています。同年度の石炭の輸入先はオーストラリアが59.1%を占めており、インドネシアと中国からの輸入がこれに続きます(第213-3-2)。
このような中、日本企業は、探査から開発、操業の各段階において、海外炭鉱の開発に積極的に参加しています。
(2)需要の動向
我が国の石炭需要(産業別石炭販売量)の推移を見ると、1965年度の6,978万トンから1984年度には1億トンを、2000年度には1億5,000万トンを超えました。2006年度は前年度より520万トン増加し、1億8,228万トンと過去最高を記録しました。このうち鉄鋼用の石炭需要は前年度より120万トン増え6,535万トンに、鉄鋼用を除いた石炭需要は前年度より400万トン増え1億1,694万トンになっています。しかし、2006年度はこれまで堅調に増加してきた電力用の需要が、前年度より若干ですが減少しています(対前年度比178万トン減の8,222万トン)。
主な業種における石炭需要を見ると、電気業での需要が8,222万トンと最も多く、次いで鉄鋼での需要が6,535万トンで、この2つの業種で全需要の81%を占めています。
電気業における石炭消費量は、1960年代後半は2,000万トンを上回っていましたが、石炭火力発電の石油への転換が進んだことから1975年度には757万トンにまで低下しました。しかし、第2次石油危機以降は、石油代替政策の一環としての石炭火力発電所の新・増設に伴い、石炭消費量は再び増加に転じ、現在では最大の石炭需要者となっています(第213-3-3)。
【第213-3-3】石炭の用途別需要量の推移

資料:2000年度までは経済産業省「エネルギー生産・需給統計年報」、2001年度以降「石油消費動態統計年報」、
「電気調査統計年報」より日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット算定(「エネルギー・経済統計要覧2008年版」)
(注)コークスのデータは統計の変更により2000年度まで
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(3)石炭価格の動向
我が国の平均輸入石炭価格(CIF価格)は、1990年以降、原料炭は4,000〜10,000円/トンの値幅で、一般炭は3,500〜8,000円/トンの値幅で推移してきました。2004年以降、平均輸入石炭価格は世界的な石炭価格高騰の影響を受け上昇基調にありましたが、2005年6月には原料炭が1986年4月以来の10,000円/トン台(最高値2005年11月12,459円/トン)、一般炭が1991年4月以来の7,000円/トン台の値を付けました。2006年第3四半期に入り原料炭の輸入価格は値を戻していますが、一般炭は依然として7,000円/トンを上回る水準で推移しており、2007年5月以降は8,000円/トンを上回り、最高値を更新する状況が続いています(最高値2007年7月8,649円/トン)。なお、国内炭は、輸入炭との価格差が歴然とする1980年代後半から競争力を失って行きました(第213-3-4)。
【第213-3-4】国内炭・輸入炭価格(CIF)の推移

資料:輸入炭については財務省「日本貿易統計」、国内炭については資源エネルギー庁「コール・ノート2003年版」
(注)輸入炭は月次平均データ、国内原料炭は1983年度から1990年度までの年度平均データ、
国内一般炭は1983年度から2001年度までの年度平均データを示す。
国内原料炭は1991年度で生産が終了したために、1992年度以降の価格は取り決められていない。
国内一般炭の価格は、2002年度以降の公表されていない。
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(1)原子力発電の現状
原子力は、エネルギー資源に乏しい我が国にとって、技術で獲得できる事実上の国産エネルギーとして、1954年度予算に原子力予算が計上されて以降、各電気事業者による原子力発電所の建設が相次いで行われ、2007年末では、55基、4,947万kWの商業用原子力発電所が運転されています(第213-4-1、第213-4-2)。
【第213-4-1】我が国の原子力発電所
【第213-4-2】原子力発電の設備容量及び設備利用率の推移
資料:原子力安全基盤機構「原子力施設運転管理年報 平成19年度版」
1.発電所の設備容量:発電設備の能力。発電所がどのくらいの電気を作ることができるかを示す。(W、kWで表す)
2.設備利用率:発電所が、ある期間において実際に作り出した電力量と、その期間休まずフルパワーで運転したと仮定したときに得られる電力量(定格電気出力とその期間の時間との掛け算)との百分率比。
3.年間の設備利用率(%)=〔実際の年間の発電電力量(kWh)÷(定格電気出力(kW)×365日×24時間)〕×100
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現在、我が国はアメリカ、フランスに次ぎ、世界で3番目の原子力発電国となっています。2005年度の原子力発電電力量は、我が国の総発電電力量の31.0%を占めています(第213-4-3)。
この他に2007年度末に電気事業者各社から届けられた2008年度電力供給計画によると、2017年度までに運転を開始する原子力発電所は、計9基、約1,226万kWです。
なお、これまでに、日本原子力発電(株)東海発電所(1998年3月)と日本原子力研究開発機構ふげん発電所(2003年3月)の2基の原子炉の営業運転が終了しています。
我が国で主として採用されている原子炉は、軽水炉と呼ばれるものであり、軽水[3]を減速材・冷却材[4]に兼用し、燃料には、低濃縮ウランを用いるものです。軽水炉は、我が国をはじめとして、世界の原子力発電の中心となっており、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の2種類に分類されます。このうち、BWRは、原子炉の中で蒸気を発生させ、それにより、直接タービンを回す方式であり、PWRは原子炉で発生した高温加圧の水(熱湯)を蒸気発生器に送り、そこで蒸気を作ってタービンを回す方式です(第213-4-4)。
【第213-4-3】発電電力量の構成(2005年度)

資料:資源エネルギー庁「平成18年度 電源開発の概要」
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【第213-4-4】BWRとPWR

それぞれ、32基、23基が設置されています。 その他の原子炉としては、高速増殖炉(FBR)があり、FBRの原型炉として日本原子力研究開発機構の「もんじゅ」があります。
(2)核燃料サイクルの現状
核燃料サイクルは、原子力発電所から出る使用済燃料を再処理し、有用資源を回収して再び燃料として利用するものであり、供給安定性等に優れているという原子力発電の特性を一層改善するものです。
このため、我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方としており、これらのプロセスのひとつひとつに着実に取り組んでいくことを基本としています。
原子力発電の燃料となるウランは、最初、ウラン鉱石の形で鉱山から採掘されます。ウランは、様々な工程(製錬→転換→濃縮→再転換→成型加工)を経て燃料集合体に加工された後、原子炉に装荷され発電を行います。発電後には、使用済燃料を再処理することにより、有用資源であるプルトニウムとウランを回収します。このプルトニウムについては、プルサーマルと呼ばれる方式で現在の軽水炉で利用されたり、高速増殖炉等の研究開発に利用されます。
また、原子力発電に伴って生じる放射性廃棄物については、適切な処理・処分を行います。核燃料サイクルの各工程の現状について以下に示します(軽水炉でプルトニウム利用を行う場合のみ記載)。
@製錬
ウラン鉱山からウラン鉱石を採掘して、ウラン鉱石を化学処理してウラン(イエローケーキ)を取り出す工程です。我が国では、ウラン鉱石をカナダ、オーストラリアなどから調達しています。
A転換
イエローケーキを次の濃縮工程のためにガス状(UF6)にする工程であり、我が国ではこの工程を海外にある転換会社に委託しています。
B濃縮
核分裂性物質であるウラン235の濃縮度を、天然の状態の約0.7%から軽水炉による原子力発電に適した3%〜5%に高める工程で、我が国では、日本原燃(株)が濃縮事業を行っています。日本原燃(株)のウラン濃縮工場(青森県六ヶ所村)は1992年3月に年間150トンSWU[5]の規模で操業を開始し、設置許可上年間1,050トンSWUの規模になっており、最終的には年間1,500トンSWUの規模とする予定ですが、現在は年間150トンSWU未満の規模で運転しています。なお、濃縮の工程は国内需要の大半を海外の濃縮工場に委託しています。
C再転換
成型加工工程のためにUF6をパウダー状のUO2にする工程であり、我が国では、1999年9月の(株)ジェー・シー・オー(JCO)臨界事故後、三菱原子燃料(株)(茨城県東海村)のみが再転換事業を行っています。なお、国内で賄われる以外の分は、海外の再転換工場に委託しています。
D成型加工
UO2粉末を焼き固めたペレットにした後、燃料集合体に加工する工程で、我が国ではこの工程の大半を国内の成型加工工場で行っています。
E使用済燃料の中間貯蔵
使用済燃料中間貯蔵は、使用済燃料が再処理されるまでの時間的調整を図るための措置として、従来からの原子力発電所内での貯蔵に加え、原子力発電所外の施設において中間的に貯蔵するものです。我が国においては、1999年に中間貯蔵に係る法整備が行われ、2005年11月、東京電力(株)及び日本原子力発電(株)は、使用済燃料の中間貯蔵を目的とした新会社「リサイクル燃料貯蔵株式会社」を青森県むつ市に設立し、2007年3月に経済産業大臣に対し、「使用済燃料貯蔵事業許可申請書」を提出しました。同社においては、2010年までに操業を開始し、年間200〜300トン程度の使用済燃料を受け入れ、最終貯蔵量5,000トン(1棟目3,000トン)とすることを計画しています。
F再処理
我が国では原子力発電所から発生する使用済燃料を、独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所の再処理施設(旧核燃料サイクル開発機構東海再処理施設)のほか、イギリスとフランスに委託して再処理してきました。
我が国初の再処理施設である東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所では1977年9月からこれまで、使用済燃料を約1,140トン・HM[6]再処理してきました(2008年2月現在)。一方、日本原燃(株)は、青森県六ヶ所村において2008年5月の竣工に向け、我が国初の商業用再処理施設(年間再処理能力800トン・ウラン)の建設を進めており、2006年3月からアクティブ試験[7]を実施しています。2008年2月より、アクティブ試験の最後の段階である第5ステップを実施中であり、2008年3月末現在のアクティブ試験の総合試験進捗率は91%です。
GMOX燃料加工
青森県六ヶ所村に建設中の再処理施設から回収されるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)は、プルサーマル発電等に使用されるMOX燃料に加工されます。日本原燃(株)は、再処理施設と同様に青森県六ヶ所村でのMOX燃料加工施設の建設を計画しており、2005年4月に青森県及び六ヶ所村は日本原燃(株)との間で、「MOX燃料加工施設の立地への協力に関する基本協定」を締結し、同月、日本原燃(株)は経済産業大臣に対し「核燃料物質加工事業許可申請書」を提出しました。当施設の最大加工能力は130トンHM/年、2012年10月竣工予定です。
Hプルサーマル
プルサーマルとは、使用済燃料の再処理により回収されるプルトニウムを、MOX燃料に加工して軽水炉で利用する方法です。我が国では、核燃料サイクル政策の一環として、エネルギー資源の有効活用やプルトニウムの確実な利用という観点から、プルサーマルを着実に推進することとしています。我が国では電気事業連合会が、2010年度までに合計で16〜18基の軽水炉でプルサーマルの導入を目指し取り組むことを公表しています。
九州電力(株)は、平成16年5月、玄海原子力発電所3号機のプルサーマル計画について、佐賀県及び玄海町に事前了解を申し入れ、国に原子炉設置変更許可申請を行いました。平成17年9月に国から原子炉設置変更の許可を、平成18年3月には両自治体の事前了解を得て、現在、MOX燃料の加工等を行っています。
四国電力(株)は、平成16年5月、伊方発電所3号機のプルサーマル計画について、愛媛県及び伊方町に対し、原子炉設置変更許可申請の事前了解を申し入れ、同年11月に了承されました。これを受け、同社は同月、国に対し原子炉設置変更許可を申請しました。平成18年3月に国から原子炉設置変更の許可を、同年10月には両自治体の事前了解を得て、現在、MOX燃料の加工等を行っています。
中部電力(株)は、平成17年9月、浜岡原子力発電所4号機のプルサーマル計画を公表し、静岡県及び御前崎市とその周辺3市から容認を得て、平成18年3月、同社は国に対し原子炉設置変更許可を申請しました。平成19年7月に国から原子炉設置変更の許可を、平成20年2月には地元自治体の事前了解を得て、現在、MOX燃料の加工等を行っています。
関西電力(株)は、平成10年12月、高浜発電所3、4号機のプルサーマル計画について、国から原子炉設置変更の許可を、平成11年6月には、福井県及び高浜町より事前了解を得ました。平成16年8月の美浜発電所3号機の二次系配管破損事故等を受けて、実質的に計画を中断していましたが、平成20年1月に再開し、MOX燃料の加工等に向け準備を行っています。
電源開発(株)は、平成16年3月、全量MOX燃料を使用する大間原子力発電所の原子炉設置許可を青森県及び大間町の了解を得て国に申請し、平成20年4月に許可されました。
中国電力(株)は、平成17年9月、島根原子力発電所2号機のプルサーマル計画を公表し、島根県及び松江市に対し、原子炉設置変更許可申請の事前了解を申し入れ、平成18年10月に了承されました。これを受け、同社は同月、国に対し原子炉設置変更許可を申請し、現在、国の安全審査が行われています。
I放射性廃棄物の処理処分
各原子力施設の運転及び解体により発生する低レベル放射性廃棄物は、含まれる放射性物質の濃度に応じた方法で埋設処分されます。原子力発電所から発生した低レベル放射性廃棄物は、2007年3月末現在、全国の原子力発電所内の貯蔵施設で容量200リットルドラム缶に換算して約58万本分が貯蔵されています。また、日本原燃(株)は、青森県六ヶ所村において、1992年12月に低レベル放射性廃棄物埋設施設の操業を開始し、2008年3月末現在、約20万本のドラム缶を埋設処理しています。
再処理施設やMOX燃料加工施設から発生した低レベル放射性廃棄物である長半減期低発熱放射性廃棄物は、2007年12月末現在、日本原子力研究開発機構の再処理施設に容量200リットルドラム缶に換算して約8.2万本、日本原燃(株)の再処理施設内に容量200リットルドラム缶に換算して約1.6万本が保管されています。
ウラン濃縮施設やウラン燃料成型加工施設から発生したウラン廃棄物は、2007年3月末現在、民間のウラン燃料加工業者等に容量200リットルドラム缶に換算して約4.2万本、日本原子力研究開発機構に約5.1万本が保管されています。 再処理により発生するガラス固化した高レベル放射性廃棄物は、冷却のため30年〜50年間程度貯蔵した後、地下300メートルより深い地層に処分されます(第213-4-5)。
【第213-4-5】高レベル放射性廃棄物の地層処分の概要

資料:資源エネルギー庁
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イギリスとフランスへの再処理の委託に伴い発生したガラス固化体の貯蔵のため、日本原燃(株)は、1995年4月に高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設の操業を開始し、これまで1,310本を受け入れています(2008年3月末現在)。その他、国内の再処理に伴い発生したガラス固化体については、日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)に247本が保管されています(2007年12月末現在)。高レベル放射性廃棄物の発生量見込みは、2007年12月末までの原子力発電の運転により生じた使用済燃料から換算した高レベル放射性廃棄物の量にして約21,300本相当が発生しています。2021年頃には、約4万本相当の高レベル放射性廃棄物の発生が見込まれており、これらを地層処分する費用は約3兆円と見積もられています。
J原子力施設の廃止措置
原子力発電所の廃止措置について、我が国では、「安全貯蔵−解体撤去」方式を標準的な工程として採用しています。運転を終えた原子力発電所は、営業運転を終了すると国の認可を受けて廃止措置が開始されます。廃止措置では、「洗う」「待つ」「解体する」の3ステップを基本としています。燃料搬出後、まず配管内などに付着している放射性物質を除去し(系統除染:「洗う」)、その後5〜10年ほど放射能の減衰を待つため安全に貯蔵し(安全貯蔵:「待つ」)、最終的に解体します(解体撤去:「解体する」)。解体撤去が完了した跡地は、地域社会と協調をとりながら、原子力発電所用地として引き続き有効に利用することを基本的な方針としています(第213-4-6)。
1950年代に始まった我が国の原子力利用から既に40年以上が経過し、一部の原子力施設では施設の廃止や解体が行われ、所要の安全確保の実績が積み上げられてきました。一方、これらの経験を踏まえ、安全確保のための制度上の手続き面の明確化や、原子力施設の廃止や解体に伴って発生する様々な種類の廃棄物等から、放射性物質として管理する必要のあるものと、汚染のレベルが自然界の放射性物質の放射線レベルと比べても極めて低く、管理すべき放射性物質として扱う必要のないものを区分するための制度(クリアランス制度)の創設が必要とされていました。こうした状況を踏まえ、2005年5月に「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」を改正して、廃止措置及びクリアランス制度等の導入を行いました。
原子力発電所の廃止措置に伴い発生する解体廃棄物の総量は、110万kW級の軽水炉の場合、約50〜54万トンとなり、これらの廃棄物を適正に処分していくことが重要です。
「放射性物質として扱う必要のないもの」を区別した後の、放射性廃棄物として適切に処理処分する必要がある低レベル放射性廃棄物の量は、1万トン前後(総廃棄物重量の3%以下)と試算されています。この中には炉内構造物などの「放射能レベルの比較的高いもの」が200トン前後(総廃棄物処分の0.1%以下)、また、堀削した土壌中への埋設処分(浅地中トレンチ処分)が可能な「放射能レベルが極めて低いもの」が1万トン以下(1〜2%程度)含まれていると試算されています。
解体に伴い発生する低レベル放射性廃棄物は、含まれる放射能レベルに応じて安全かつ合理的に処分されます。
我が国では1998年に日本原子力発電(株)東海発電所が営業運転を停止し、廃止措置段階に入っており、試験研究炉では、日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構)の動力試験炉(JPDR)の解体撤去が、1996年3月に計画どおり完了しし、2002年10月に廃止届けが届けられました。また、研究開発段階にある発電用原子炉では、2003年に運転を終了した日本原子力研究開発機構の新型転換炉ふげん発電所の廃止措置計画の認可を2008年2月に行いました。同発電所は、原子炉廃止措置研究開発センターに改組され、廃止措置のための技術開発を進めています。
1985年に策定された標準工程に基づき廃止措置に要する費用が見積もられています。これによると、110万kW級原子力発電施設の場合、廃止措置に要する費用は、約300億円程度(1984年度価格)と想定されています。300億円という費用は、1984年頃に運転を開始した同規模の原子力発電所の建設費の約10%に当たります。
このような廃止措置に必要な費用を後世代の負担として残さないという世代間の公平性と費用確保の観点から、「原子力発電施設解体引当金制度」が1989年に整備され、現在、電気事業者による廃止措置費用の積立が続けられています。また、原子力立国計画に基づき、クリアランス制度の導入等を踏まえ、原子力発電施設解体引当金の過不足の検証が行われました。
【第213-4-6】原子力発電所廃止設置の流れ

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(1)全般
新エネルギーとは、「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)において、「新エネルギー利用等」として規定されており、(ア)石油代替エネルギーを製造、発生、利用すること等のうち、(イ)経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ(ウ)石油代替エネルギーの促進に特に寄与するもの、とされています。
また、2006年度にとりまとめられた総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会においては、新エネルギーの概念の範囲が見直され、「新エネルギー」の概念については、再生可能エネルギーのうち、その普及のために支援を必要とするものとして整理されました。従来「需要サイドの新エネルギー」と呼ばれてきた天然ガスコージェネレーションや燃料電池等については、「革新的なエネルギー高度利用技術」として、その開発や普及を促進すべきものとされました。
我が国の一次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合は、年々増加しつつありますが、2005年度で2.0%となっています。
(2)太陽光発電
太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。その導入量は、近年着実に伸びており、2006年末累積で171万kWに達しています。世界的に見ると、日本は2004年末まで最大の導入国でしたが、ドイツの導入量が急速に進みました結果、2005年以降はドイツに抜かれて世界第2位となっています。太陽電池の生産量は世界でトップの地位にあり、2006年末時点では世界の4割近くを日本企業が生産していました(第213-5-1)。しかし、ドイツや中国の生産量が急激に伸びており、日本のシェアは減少傾向にあります。
【第213-5-1】太陽光発電導入量と太陽電池生産量の国際比較(2006年末)

資料:PV News(2007年3・4月)およびIEA“Trends
in Photovoltaic Applications(2007)”
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導入が進むことと並行してコストも下がっています。コスト削減が図られたのは、企業による技術開発の成果と政府の支援策並びに電力会社の余剰電力購入[8]により、太陽光発電の国内市場が自立しつつあるためと考えられます(第213-5-2)。
一方で、太陽光発電には天候や日照条件などにより出力が不安定という課題も残されており、蓄電池との組合せ等により出力安定化が求められています(第213-5-3)。
【第213-5-2】太陽光発電の国内導入量とシステム価格の推移

資料:資源エネルギー庁調べ
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【第213-5-3】 太陽光発電の天候別発電電力量推移

資料:資源エネルギー庁調べ
(3)風力発電
風力発電は風の力で風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて電気を起こす発電方法です。近年、着実に導入が進み、その導入量は、2006年度末現在で、1,314基、出力約149万kW(NEDO調べ:設備容量10kW以上の施設で稼働中のもの)(第213-5-4)となっています。
【第213-5-4】日本における風力発電導入の推移

資料:NEDO調査データ
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地域別に見ると、風況に恵まれた北海道、東北、九州地方への設置が大半を占めています。風力発電は従来、電力会社、地方公共団体、国などが試験研究用あるいは実演広報用として設置したものがほとんどでしたが、近年、電力会社の余剰電力購入、系統連系技術要件ガイドライン[9]の整備により、発電した電力を電力会社に売ることが可能となったため、売電事業を目的として設置されたものも増えています。また、風力発電用機器の大型化、事業規模の拡大を行うことにより、設置コストや発電コストも大幅に低下させることができます(第213-5-5)。
日本の風力発電導入量は、2006年末時点で世界第13位となっていますが、世界第1位のドイツ、第2位のアメリカ、第3位のスペインの導入量とは大きな格差があります(第213-5-6)。
【第213-5-5】 出力規模別の風力発電コスト

資料:資源エネルギー庁総合エネルギー調査会新エネルギー部会報告書(2001年6月)
※電力会社が、気象条件等により出力が不安定な風力発電を導入する際の、回避可能原価(電力会社が自分の発電所で発電した場合に必要なコスト)。
(注)設置コストは、1999年度実績のうち標準的な値をとったものであり、撤去費も含む。
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【第213-5-6】風力発電導入量の国際比較

資料:“Wind Power Monthly (Windicator)”
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これは、日本の風況が欧米諸国に比べて大気の乱れが大きいことなどから、風力発電設備の利用率が低く、発電コストが相対的に高いというネックが存在することによります。また、出力の不安定な風力発電の大規模導入に伴って、それが周波数変動などの電力系統の品質を悪化させる可能性が指摘されており、出力不安定性の克服や系統の強化[10]が課題となっています。そして、これらの課題を克服するために、蓄電池を併設する風力発電施設(ウインドファーム)の設置も進められています。
(4)太陽熱利用
太陽エネルギーによる熱利用は、古くは太陽光を室内に取り入れることから始まっていますが、積極的に利用され始めたのは、太陽熱を集めて温水を作る温水器の登場からです。太陽熱利用機器はエネルギー変換効率が高く、新エネルギーの中でも設備費用が比較的安価で費用対効果の面でも有効であり、現在までの技術開発により、用途も給湯に加え暖房や冷房にまで広げた高性能なソーラーシステムが開発されました。
太陽熱利用機器の普及は、1979年の第2次石油ショックを経て、1994年度にピーク時を迎えましたが、円高や、1990年代の石油価格の低位安定、競合する他の製品の台頭などを背景に普及台数は年々スローダウンし、年度で1994年度の45%まで減少しています。
(5)バイオマスエネルギー
バイオマス(生物起源)エネルギーとは、化石資源を除く、動植物に由来する有機物で、エネルギー源として利用可能なものを指します。バイオマスは「カーボンニュートラル」な再生可能エネルギーであり、利用と同時にバイオマスを育成することによって、排出される二酸化炭素のバランスを考慮しながら利用すれば追加的な二酸化炭素は発生しません。
バイオマスエネルギー資源は、原料面から廃棄物系と植物(栽培作物)系とに分類され、利用方法には、大きく分けて直接燃焼、CH4(メタン)発酵などの生物化学的変換、ガス化や炭化などの熱化学的変換による燃料化などがあります(第213-5-7)。
【第213-5-7】バイオマス資源の分類及び主要なエネルギー利用形態

我が国において現在利用されているバイオマスエネルギーは石油換算すると5.44Mtoeであり、一次エネルギー供給量530Mtoeにしめる割合は1.0%です。バイオマスエネルギーは廃棄物の焼却によるエネルギーが主であり、その他製紙業などの過程で排出される黒液やチップ廃材、農林・畜産業の過程で排出される木くずやバガス(さとうきびの絞りかす)、家庭や事務所などから出るゴミなどを燃焼させることによって得られる電力・熱を利用するものなどがあります。特に黒液というパルプ化工程からの廃液や、チップ・製材工程からの廃材などを熱需要に活用する形態を中心に導入が進展しています。
家畜排せつ物や食品廃棄物からCH4ガスを生成する技術は確立されているものの、普及に向けては、収集・輸送やCH4発酵後の残さ処理などが課題となっています。一方、下水処理場における収集が容易な下水汚泥については、一部の大規模な下水処理場を中心として、CH4を生成し電力・熱に変換する施設や炭化等による燃料化施設の設置が行われるなど、利用が進んでいます。
また、輸送用燃料として世界的に注目されているのは、バイオエタノールやバイオディーゼル燃料等のバイオ燃料です。バイオエタノールは、サトウキビ等の糖質原料やトウモロコシ等のでん粉質原料、稲わらや木材等のセルロース系原料から製造することが可能であり、ガソリンに直接混合する方式と、添加剤(ETBE)として利用する方式の2通りがあります。バイオディーゼルは、ナタネやパームなどの植物油をメチルエステル化して、そのままもしくは軽油に混合してディーゼル車で利用されます。今後、バイオ燃料については、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表やバイオ燃料技術革新計画に基づき、各省連携の下、食料と競合しない稲わらや木材等のセルロース系原料や資源作物からエタノールを効果的に生産する技術開発を重点的に進めることとしております。
(6)未利用エネルギー
「未利用エネルギー」とは、夏は大気よりも冷たく、冬は大気よりも暖かい河川水・下水などの温度差エネルギーや、工場などの排熱といった、今まで利用されていなかったエネルギーのことを意味します。
これらの未利用エネルギーを、地域の特性に応じつつ、ヒートポンプ技術などを活用し利用するなど、高温域から低温域にわたる各段階において無駄なく組み合わせるエネルギーシステムを整備することにより、発電需要や民生用の熱需要に対応させることが近年可能となっています(第213-5-8)。
【第213-5-8】未利用エネルギーの活用概念

具体的な未利用エネルギーの種類としては、@生活排水や中・下水・下水処理水の熱、A清掃工場の排熱、B超高圧地中送電線からの排熱、C変電所の排熱、D河川水・海水・地下水の熱、E工場排熱、F地下鉄や地下街の冷暖房排熱、G雪氷熱、などがあります。
特に、雪氷熱利用については、古くから、北海道、東北地方、日本海沿岸部を中心とした降雪量の多い地域において、生活上の障害であった雪氷を夏期まで保存し、雪室や氷室として農産物などの冷蔵用に利用してきました。近年、地方自治体などが中心となった雪氷熱利用の取組が活発化しており、農作物保存用の農業用低温貯蔵施設、病院、老人介護保険施設、公共施設、集合住宅などの冷房用の冷熱源に利用されています(第213-5-9)。
また、ごみ処理場の排熱の利用や下水・河川水・運河水・工業用水・地下水の温度差エネルギー利用は、利用可能量が非常に多いことや、比較的都心域の需要に近いところにあることなどから、今後更なる有効活用が期待される未利用エネルギーで、エネルギー供給システムとして、環境政策、エネルギー政策、都市政策への貢献が期待されている地域熱供給を始めとしたエネルギーの面的利用とあわせて、さらに導入効果が発揮できるエネルギーであります。
【第213-5-9】未利用・雪氷の導入状況

資料:経済産業省調べ
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(7)クリーンエネルギー自動車
クリーンエネルギー自動車には、電池に蓄えられた電気によりモーターを回転させて走行する電気自動車、エンジンとモーターといったように複数の原動機を組み合わせて走行するハイブリッド自動車、水の電気分解の逆反応を利用し、水素と酸素を反応させて電気エネルギーを直接取り出し、モーターを作動させる燃料電池自動車、天然ガスを燃料とする天然ガス自動車等があります。
我が国において、運輸部門のエネルギー消費の大半は、ガソリンと軽油の使用を前提とする自動車によるものであり、これを消費しない、あるいは使用を抑制するクリーンエネルギー自動車の導入は環境面などへの対応の観点から非常に有効な手段です。クリーンエネルギー自動車は、その導入について価格面などにおいて様々な課題がありますが、近年、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車を中心に普及台数が拡大しています。
(8)燃料電池
燃料電池は、水素と大気中の酸素とを化学的に反応させることによって直接電気を発生させる装置です。燃料電池は、燃料となる水素が天然ガス・LPガス、石炭、石油等の化石燃料、製鉄や石油精製などのプロセスで生じる副生ガス、電力による水の電気分解など多様なエネルギー源から作ることができるとともに、発電効率が30〜60%と高く、さらにコージェネレーションシステム(熱電併給システム)として利用した場合に理論的には総合効率が80%程度と飛躍的なエネルギー効率を持つ新エネルギーです。また、窒素酸化物、硫黄酸化物を排出せず、環境特性に優れるクリーンなエネルギーでもあり、エネルギー供給構造の脆弱な我が国においては、エネルギー安定供給の確保の観点及び地球環境問題の観点から極めて有効なエネルギーシステムと考えられます。
現在、実用化されているリン酸形燃料電池は累積で227台程度導入されましたが、現在運転しているのは約40台です。
(9)コージェネレーション
コージェネレーション(Cogeneration)とは熱と電気(または動力)を同時に供給するシステムです。需要地に近いところに発電施設を設置できるため、送電ロスが少なく、また、発電に伴う冷却水、排気ガスなどの排熱を有効に回収利用できるため、エネルギーを有効利用することができます。排熱を有効に利用した場合には、エネルギーの総合効率が最大で80%に達し、省エネルギーや二酸化炭素削減に貢献できます。我が国におけるコージェネレーションの設備容量は、産業用を中心として着実に増加しています(第213-5-10)。
民生用では店舗、ホテルなど電気・熱需要の多い施設、産業用では、製薬・化学、エネルギー(ガス・石油)を中心に導入されています。
【第213-5-10】日本におけるコージェネレーション設備容量の推移

資料:日本コージェネレーションセンター「コージェネレーションシステム導入実績表 2006年度版」
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(10)廃棄物エネルギー
廃棄物エネルギーについては、燃やさざるを得ない廃棄物の排熱を発電等により有効利用したり、木質チップの製造等廃棄物から燃料を製造したりすることができ、今後も引き続き利用を推進すべきものです。新エネルギーに位置づけられたバイオマス系の廃棄物エネルギーはもちろん、化石燃料に由来する廃棄物エネルギーについても有効活用等の意義があります。
廃棄物エネルギーの利用方法としては、廃棄物発電、廃棄物熱供給、廃棄物燃料製造が挙げられ、平成17年度における我が国の廃棄物発電の施設数は一般廃棄物については315、産業廃棄物については69となっています。
(1)水力
水力発電は、高所から流れ落ちる河川等の水を利用して落差を作り、水車を回し発電するものです。利用面から流れ込み式(水路式)、調整池式、貯水池式、揚水式に分けられ、揚水式以外を特に一般水力と呼んでいます。揚水式は、夜間などに下池の水を上池に揚げ、必要時に放流して発電するため、他とは区別されています。
2006年度末現在、我が国の一般水力発電所は、既開発のものが計1,868地点、工事中のものが28地点に上ります。また、未開発地点は2,714地点(既開発・工事中の約1.5倍)であり、その出力の合計は約1,213万kW(既開発・工事中の約1/2)に上ります。しかし、未開発の水力発電所の平均出力は4,500kWであり、既開発や工事中の平均出力よりもかなり小さなものとなっています。これは、開発地点の小規模化が進み、スケールメリットが得にくくなっているからです。加えて、開発地点の奥地化も進んでいることから、発電原価が他の電源と比べて割高となり、開発の大きな阻害要因となっています。
一般水力および揚水を含む全水力発電の設備容量は2006年度末で4,737万kWに達しており、年間発電電力量は800〜1,000億kWhを推移しています(第213-6-1)。
【第213-6-1】日本の水力発電設備容量および発電電力量の推移

資料:経済産業省「電力需給の概要」「電力調査統計月報」
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(2)地熱
地熱発電は、地表から地下深部に浸透した雨水などが地熱によって加熱され、高温の熱水として貯えられている地熱貯留層から、坑井により地上に熱水・蒸気を取り出し、タービンを回し電気を起こすシステムです。我が国の地熱発電は第二次石油ショックを契機に増加しましたが、近年、リードタイムが長いこと、開発コストが高いことなどから設置が停滞しています。現在、地熱発電所は18地点、21ユニット存在し、約54万kWの発電出力を有しています(第213-6-2)。
直近では2006年4月に八丁原バイナリー発電施設(2,000kW)が運転を開始しました。ホテル事業などで自家用消費も行われています。
【第213-6-2】日本の地熱発電設備容量および発電電力量の推移

資料:(社)火力原子力発電技術協会「地熱発電の現状と動向
2005年」
資料:電気事業連合会「電気事業便覧(平成19年版)」
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[1]本項(第3 節1石油)において、石油は原油と石油製品の合計を指します。
[2] アラムコ社の通告価格:コントラクトプライス(CP)と呼ばれ、アラムコ社が、原油価格やマーケット情報を参考にしながら総合的に判断し、決定します。日本を含めた極東地域に輸入されるLP ガスについては、サウジアラビア以外の産ガス国も大多数がこのCP にリンクしています。
[3]軽水:軽水炉の減速材、冷却材などに用いられる普通の水のことを指します。これに対し、水の分子を構成する水素原子に中性子が加わったもので、重水炉に用いられるものを重水といいます。
[4]減速材・冷却材:核分裂によって新しく発生する中性子は非常に高速であり、これを高速中性子と呼び、このままでも核分裂を引き起こすことは可能ですが、この速度を遅くすると次の核分裂を引き起こしやすくなります。この速度の遅い中性子を熱中性子と呼び、高速中性子を減速し熱中性子にするものを減速材と呼びます。軽水炉では、熱中性子で核分裂連鎖反応を維持するために減速能力の高い水を減速材として用います。また、核分裂によって発生した熱を炉心から外部に取り出すものを冷却材と呼びます。軽水炉では水を冷却材として用いるので、冷却材が減速材を兼ねています。
[5] SWU:Separative Work Unit の略でウランを濃縮する際に必要となる仕事量の単位(分離作業単位) のこと
[6] トン・HM(tHM):使用済燃料の重量単位。HM(heavy metal)は、ウラン及びプルトニウムの総称で、東海再処理施設では軽水炉燃料であるウラン燃料の他、ふげん(ATR)で用いられたウラン・プルトニウム混合酸化物燃料も扱うため、このような単位を用いる。
[7]再処理施設では、水や空気等を使う「通水作動試験」、硝酸を使う「化学試験」、劣化ウランを使う「ウラン試験」、使用済燃料を使う「アクティブ試験」の順に、段階的に実際の運転で取り扱うものに近づけて試験を実施します。
[8]余剰電力購入:新エネルギー等の導入促進の観点から、各一般電気事業者が太陽光発電や風力発電等から生ずる余剰電力の購入条件を、各一般電気事業者が各社の需給状況等に応じて余剰電力の購入条件を予め設定し、これをメニューの形で示しているもの。
[9]系統連系技術要件ガイドライン:経済産業省が作成・公表(1998 年3 月改訂)している新エネルギー、コージェネレーション等の分散型電源の導入促進に資するために発電設備を商用電力系統に連系する際の技術的指標。
[10]系統の強化:電力需給状況の変化などにより、電力流通設備(送配電線、変圧器など)の容量が不足する又は構成を見直す必要が出た場合に実施される設備的対応のこと。需給状況の変化には、需要規模・消費パターンの変化、新規大規模発電所の立地などがあるが、近年特に欧米では電力自由化に伴い、想定されていた電気の流れ(潮流)と異なる国際取引が増加する傾向にあること、及び再生可能エネルギー電源(風力など)の導入促進により、設備的な対策が求められるようになってきています。
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