第1章第3節 5.新エネルギー等 (1)全般 新エネルギーとは、「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)において、「新エネルギー利用等」として規定されており、(ア)石油代替エネルギーを製造、発生、利用することと等のうち、(イ)経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ(ウ)石油代替エネルギーの促進に特に寄与するもの、とされています。 また、2006年度にとりまとめられた総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会においては、新エネルギーの概念の範囲の見直しが行われ、「新エネルギー」の概念については、再生可能エネルギーのうち、その普及のために支援を必要とするものとして整理されました。従来「需要サイドの新エネルギー」と呼ばれてきた天然ガスコージェネレーションや燃料電池等については、「革新的なエネルギー高度利用技術」として、その開発や普及を促進すべきものとされました。 (新エネルギーの歴史や範囲の見直しについては第1部第1章第2節2 (4)新エネルギーの推進参照) 我が国の一次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合は、年々増加しつつありますが、2004年度で1.9%となっています。 (2)太陽光発電 太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。その導入量は、近年着実に伸びており、2005年末累積で142万kWに達しています。世界的に見ると、日本は2004年末まで最大の導入国でしたが、ドイツの導入量が急速に進みました結果、2005年末にはわずかながらドイツに抜かれて世界第2位となっています。しかし、太陽電池の生産量は世界でトップの地位にあり、世界の5割近くを日本企業が生産しています(第213-5-1)。 ![]() Excel形式のファイルはこちら 導入が進むことと並行してコストも下がっています。コスト削減が図られたのは、企業による技術開発の成果と政府の支援策並びに電力会社の余剰電力購入※15により、太陽光発電の国内市場が自立しつつあるためと考えられます(第213-5-2)。 ![]() Excel形式のファイルはこちら 一方で、太陽光発電には天候や日照条件などにより出力が不安定という課題も残されており、蓄電池との組合せ等により出力安定化が求められています(第213-5-3)。 ※15: 余剰電力購入:新エネルギー等の導入促進の観点から、各一般電気事業者が太陽光発電や風力発電等から生ずる余剰電力の購入条件を、各一般電気事業者が各社の需給状況等に応じて余剰電力の購入条件を予め設定し、これをメニューの形で示しているもの。 (3)風力発電 風力発電は風の力で風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて電気を起こす発電方法です。近年、着実に導入が進み、その導入量は、2005年度末現在で、1,050基、出力約107.8万kW(NEDO調べ:設備容量10kW以上の施設で稼働中のもの)(第213-5-4)となっています。 ![]() Excel形式のファイルはこちら 地域別に見ると、風況に恵まれた北海道、東北、九州地方への設置が大半を占めています。 風力発電は従来、電力会社、地方公共団体、国などが試験研究用あるいは実演広報用として設置したものがほとんどでしたが、近年、電力会社の余剰電力購入、系統連系技術要件ガイドライン※16の整備により、発電した電力を電力会社に売ることが可能となったため、売電事業を目的として設置されたものも増えています。また、風力発電用機器の大型化、事業規模の拡大を行うことにより、設置コストや発電コストも大幅に低下させることができます(第213-5-5)。 ![]() 日本の風力発電導入量は、2005年末時点で世界第10位となっていますが、世界第1位のドイツ、第2位のスペイン、第3位のアメリカの導入量とは大きな格差があります(第213-5-6)。 ![]() Excel形式のファイルはこちら これは、日本の風況が欧米諸国に比べて大気の乱れが大きいことなどから、風力発電設備の利用率が低く、発電コストが相対的に高いというネックが存在することによります。また、出力の不安定な風力発電の大規模導入に伴って、それが周波数変動などの電力系統の品質を悪化させる可能性が指摘されており、出力不安定性の克服や系統の強化※17が課題となっています。 これらの課題を克服するために、蓄電池を併設する風力発電施設(ウインドファーム)も設置されています。 ※16: 系統連系技術要件ガイドライン:経済産業省が作成・公表(1998 年3 月改訂)している新エネルギー、コージェネレーション等の分散型電源の導入促進に資するために発電設備を商用電力系統に連系する際の技術的指標。 ※17: 系統の強化:電力需給状況の変化などにより、電力流通設備(送配電線、変圧器など)の容量が不足する又は構成を見直す必要が出た場合に実施される設備的対応のこと。需給状況の変化には、需要規模・消費パターンの変化、新規大規模発電所の立地などがあるが、近年特に欧米では電力自由化に伴い、想定されていた電気の流れ(潮流)と異なる国際取引が増加する傾向にあること、及び再生可能エネルギー電源(風力など)の導入促進により、設備的な対策が求められるようになってきています。 (4)太陽熱利用 太陽エネルギーによる熱利用は、古くは太陽光を室内に取り入れることから始まっていますが、積極的に利用され始めたのは太陽熱を集めて温水を作る温水器の登場からです。太陽熱利用機器はエネルギー変換効率が高く、新エネルギーの中でも設備費用が比較的安価で費用対効果の面でも有効であり、現在までの技術開発により、用途も給湯に加え暖房や冷房にまで広げた高性能なソーラーシステムが開発されました。 太陽熱利用機器の普及は、1979年の第2次石油ショックを経て、1994年度にピーク時を迎えましたが、円高や、1990年代の石油価格の低位安定、競合する他の製品の台頭などを背景に普及台数は年々スローダウンし、2005年度で1994年度の45%まで減少しています。 (5)バイオマスエネルギー バイオマス(生物起源)エネルギーとは、化石資源を除く、動植物に由来する有機物で、エネルギー源として利用可能なものを指します。バイオマスは「カーボンニュートラル※18」な再生可能エネルギーであり、利用と同時にバイオマスを育成することによって、排出される二酸化炭素のバランスを考慮しながら利用すれば追加的な二酸化炭素は発生しません。 バイオマスエネルギー資源は、原料面から廃棄物系と植物(栽培作物)系とに分類され、利用方法には、大きく分けて直接燃焼、CH4(メタン)発酵などの生物化学的変換、ガス化や炭化などの熱化学的変換による燃料化などがあります(第213-5-7)。 ![]() 我が国において現在利用されているバイオマスエネルギーは石油換算すると5.39Mtoeであり、一次エネルギー供給量533Mtoeにしめる割合は1.0%です。バイオマスエネルギーは廃棄物の焼却によるエネルギーが主であり、その他製紙業などの過程で排出される黒液やチップ廃材、農林・畜産業の過程で排出される木くずやバガス(さとうきびの絞りかす)、家庭や事務所などから出るゴミなどを燃焼させることによって得られる電力・熱を利用するものなどがあります。特に黒液というパルプ化工程からの廃液や、チップ・製材工程からの廃材などを熱需要に活用する形態を中心に導入が進展しています。 家畜排せつ物や食品廃棄物からCH4ガスを生成する技術は確立されているものの、普及に向けては、収集・輸送やCH4発酵後の残さ処理などが課題となっています。しかし、既存の収集・処理システムが確立している下水汚泥については、下水処理場の一部においてCH4ガスを生成し電力・熱に変換する施設の設置が行われています。 一方、輸送用燃料として世界的に注目されているのは、バイオエタノールやバイオディーゼル燃料等のバイオ燃料です。バイオエタノールは、サトウキビの糖質原料やトウモロコシ等のでん粉質原料、稲わらや木材等のセルロース系原料から製造することが可能であり、ガソリンに直接混合する方式と、添加剤(ETBE)として利用する方式の2通りがあります。バイオディーゼルは、ナタネやパームなどの植物油をメチルエステル化して、そのまま軽油代替燃料としてディーゼル車で利用されます。今後、バイオ燃料については、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表に基づき、各省連携の下、有効利用がなされていない稲わらや木材等のセルロース系原料や資源作物からエタノールを効果的に生産する技術開発を重点的に進めることとしております。 (6)未利用エネルギー 「未利用エネルギー」とは、夏は大気よりも冷たく、冬は大気よりも暖かい河川水・下水などの温度差エネルギーや、工場などの排熱といった、今まで利用されていなかったエネルギーのことを意味します。 これらの未利用エネルギーをヒートポンプ技術などを活用したり、地域の特性に応じて熱利用を高温域から低温域にわたる各段階において、発電用も含め、無駄なく組み合わせるエネルギーシステムを整備することにより、民生用の熱需要に対応させることが近年可能となっています(第213-5-8)。 ![]() 具体的な未利用エネルギーの種類としては〔1〕生活排水や中・下水の熱、〔2〕清掃工場の排熱、〔3〕超高圧地中送電線からの排熱、〔4〕変電所の排熱、〔5〕河川水・海水の熱、〔6〕工場排熱、〔7〕地下鉄や地下街の冷暖房排熱、〔8〕雪氷熱、などがあります。 特に雪氷熱利用については、古くから、北海道、東北地方、日本海沿岸部を中心とした降雪量の多い地域において、生活上の障害であった雪氷を夏期まで保存し、雪室や氷室として農産物などの冷蔵用に利用してきました。近年、地方自治体などが中心となった雪氷熱利用の取組が活発化しており、農作物保存用の農業用低温貯蔵施設、病院、老人介護保険施設、公共施設、集合住宅などの冷房用の冷熱源に利用されています(第213-5-9)。 ![]() Excel形式のファイルはこちら (7)クリーンエネルギー自動車 クリーンエネルギー自動車には、電池に蓄えられた電気によりモーターを回転させて走行する電気自動車、エンジンとモーターといったように複数の原動機を組み合わせて走行するハイブリッド自動車、水の電気分解の逆反応を利用し、水素と酸素を反応させて電気エネルギーを直接取り出し、モーターを作動させる燃料電池自動車、天然ガスを燃料とする天然ガス自動車、天然ガスや石炭から製造される液体燃料を使用するメタノール自動車があります(第213-5-10)。 ![]() 我が国において、運輸部門のエネルギー消費の大半は、ガソリンと軽油の使用を前提とする自動車によるものであり、これを消費しない、あるいは使用を抑制するクリーンエネルギー自動車の導入は環境面などへの対応の観点から非常に有効な手段です。クリーンエネルギー自動車は、その導入について価格面などにおいて様々な課題がありますが、近年、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車を中心に普及台数が拡大しています。 (8)燃料電池 燃料電池は、水素と大気中の酸素とを化学的に反応させることによって直接電気を発生させる装置です。燃料電池は、燃料となる水素が天然ガス・LPガス、石炭、石油等の化石燃料、製鉄や石油精製などのプロセスで生じる副生ガス、電力による水の電気分解など多様なエネルギー源から作ることができるとともに、発電効率が30〜60%と高く、さらにコージェネレーションシステム(熱電併給システム)として利用した場合に理論的には総合効率が80%程度と飛躍的なエネルギー効率を持つ新エネルギーです。また、窒素酸化物、硫黄酸化物を排出せず、環境特性に優れるクリーンなエネルギーでもあり、エネルギー供給構造の脆弱な我が国においては、エネルギー安定供給の確保の観点及び地球環境問題の観点から極めて有効なエネルギーシステムと考えられます。 現在、実用化されているリン酸形燃料電池は累積で227台程度導入されましたが、現在運転しているのは約41台です。 (9)コージェネレーション コージェネレーション(Cogeneration)とは熱と電気(または動力)を同時に供給するシステムです。需要地に近いところに発電施設を設置できるため、送電ロスが少なく、また、発電に伴う冷却水、排気ガスなどの廃熱を有効に回収利用できるため、エネルギーを有効利用することができます。排熱を有効に利用した場合には、エネルギーの総合効率が最大で80%に達し、省エネルギーや二酸化炭素削減に貢献できます。 我が国におけるコージェネレーションの設備容量は、産業用を中心として着実に増加しています(第213-5-11)。 ![]() Excel形式のファイルはこちら 民生用では店舗、ホテルなど電気・熱需要の多い施設、産業用では、製薬・化学、エネルギー(ガス・石油)を中心に導入されています。
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