平成17年度の重要事項 

○我が国のエネルギー政策

5.我が国も積極的に資源外交を展開
 エネルギー資源が乏しく、アジア地域及び世界と密接な経済関係にある我が国が今後も安定した経済活動を営むためには、アジア域内において各国と連携してエネルギー問題の解決に取り組むとともに、中東諸国やロシア等の資源供給国に対する協力や投資交流の促進など多面的な関係強化を推進し、世界全体のエネルギー市場の安定と成長により積極的に貢献することが必要です。このため、我が国は、積極的な資源外交を展開しています。

<アジア諸国への協力>
 アジア各国における急速なエネルギー需要の増大は、世界のエネルギー需給の逼迫の一因となっており、我が国ひいては世界のエネルギー市場全体に対して大きな影響を与えています。我が国は、石油ショック後の省エネルギー推進や石油備蓄構築などのノウハウを活かし、エネルギーに関する協力を積極的に進めることで、アジアのエネルギー需給の安定化に努めています。
 世界第2位のエネルギー需要国である中国とは、省エネルギー・環境分野での協力を積極的に進めるべく二階経済産業大臣と薄煕来商務部長との会談を経て「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」の開催について合意がなされ、2006年5月に東京で同フォーラムが開催される予定です。また、東シナ海資源開発問題については、2004年10月以降局長級協議を実施しており、東シナ海を協力の海とするべく、対話を通じた迅速な解決を図ることで中国側と一致しています。
 今後エネルギー需要の伸びが著しいと予想されるインドとは、2005年9月に省エネ推進協力・石油備蓄ノウハウの提供等に関する包括的共同声明に署名し、2006年3月には同協定実施に向けたエネルギー協力の進め方に関する協議を実施しました。
 2005年7月にカンボジアで開催されたASEAN+3の第2回エネルギー大臣会合では、アジア・エネルギー・パートナーシップの構築に向けたエネルギー協力(石油備蓄・天然ガス等)を引き続き推進していくことが合意されました。これを受け、省エネ・新エネ等の各種シンポジウムが開催されています。
 2005年10月には、韓国でAPECエネルギー大臣会合が開催され、原油価格の影響に対する懸念を共有し、省エネルギー対策等エネルギー市場の供給と需要への取組を通して緊急に対処することが合意されました。更に、11月に開催されたAPEC閣僚会議及び首脳会議でも同様の認識が共有されました。
 また、2005年12月にマレーシアで開催された日ASEAN首脳会議、ASEAN+3首脳会議及び東アジア首脳会議では、各国首脳の間でエネルギー分野での協力の必要性につき認識が共有されました。

<資源供給国との多面的な関係強化等>
 エネルギーの輸入依存度が高い我が国は、常日頃からエネルギー供給国との関係を強化しておくことで、エネルギー安定供給の確保に努める必要があります。
 例えば、今後、燃料多様化の手段の一つとして導入が望まれるバイオエタノールについては、その世界最大の輸出国であるブラジルとの間で、2005年5月に行われた首脳会談において、ブラジルからのバイオエタノール導入等について意見交換を行うための日・ブラジル合同のバイオマス・ワーキンググループ創設が合意され、2006年4月には二階経済産業大臣、フルラン商工開発大臣による第1回会合が行われました。
 世界有数の資源保有国であるロシアとは、2005年11月のプーチン大統領訪日の際に、麻生外務大臣、二階経済産業大臣とフリステンコ産業エネルギー大臣との間で、太平洋パイプライン・サハリンプロジェクトなど、今後日露間でエネルギー協力を進めていく上での基礎となる二つの文書に署名がなされました。また、資源エネルギー庁とガスプロム社は、ガスプロム社と日本企業の協力関係の拡大などを内容とする包括的な協力協定を締結しました。
 世界第3位の原油確認埋蔵量を有するイラクとは、2005年12月に、二階経済産業大臣とウルーム石油大臣(当時)との間で、円借款等を活用した石油・天然ガス分野の復興支援・技術者支援、日系企業の活動支援を盛込んだ共同声明に署名をしました。
 我が国最大の原油輸入相手国であるサウジアラビアとは、官民双方で関係強化を進めています。2006年4月には、スルタン皇太子が訪日し、小泉総理との間で共同声明を発表し、サウジアラビアは我が国への石油の安定供給を保証し続ける意思を表明しました。また、カタールでの国際エネルギーフォーラムの際に、二階経済産業大臣とナイミ石油鉱物資源大臣が会談し、エネルギー協力に関する協議を、資源エネルギー庁長官と石油鉱物資源副大臣との間で行うことを合意しました。さらに、1996年度から2005年度まで、我が国はキングファハド鉱物資源大学との最先端の石油精製技術に関する共同研究・実証試験事業を支援しました。また、製油所の性能向上と大規模石化設備の建設を目的とした我が国化学会社とサウジ国営石油会社との合弁会社の設立や、同国営石油会社による我が国の石油企業に対する資本参加など、民間ベースでの関係強化も着実に進んでいます。
 エネルギー消費国間の協調の場である国際エネルギー機関(IEA)や、供給国と消費国の対話の場である国際エネルギーフォーラム(IEF)を通じて、関係各国との協調による世界のエネルギー市場の安定化に向けた努力も続けています。
 2005年9月にIEAを通じて合意された石油備蓄の協調放出では、我が国への分担量を大幅に超える約1000万バレルの石油備蓄を市場に放出し、世界の石油需給安定化に我が国が積極的に貢献しました。また、2005年11月にはロシア等アジア域内の石油天然ガス生産国とアジア消費国との間で産消対話が開催され、石油・ガス価格の安定確保、資源統計の透明性向上を含む議長声明が発表されました。
 更に、2006年4月にカタールで開催された第10回国際エネルギーフォーラム(IEF)では、約60カ国のエネルギー生産国・消費国のエネルギー担当大臣が一堂に会し、世界のエネルギー安全保障の確保に向けた議論を行いました。
 石油・天然ガスばかりでなく、原子力発電の燃料に不可欠なウラン資源の安定供給確保も重要な課題でありますが、ウラン埋蔵量世界第2位のカザフスタンには、2005年11月に官民合同ミッションを派遣し、ウラン鉱山開発に係る戦略的協力関係の構築と具体的協力案件の実現の必要性について合意しました。
 2006年3月にモスクワで開催されたG8エネルギー大臣会合では、〔1〕省エネルギーの推進、〔2〕エネルギー分野での投資促進のための環境整備、〔3〕エネルギー市場の効率性向上、等の取組が重要であることが各国により合意されました。

6.民生・運輸部門を中心としたエネルギー需要への対策強化
 我が国のエネルギー需要は、石油ショック以降の約30年間、全体としては緩やかな増加傾向にあり、中でも家庭やオフィス等の民生部門、貨物輸送や旅客輸送の運輸部門においては、30年前と比較してそれぞれ約3.3倍、約2.8倍と、それぞれ大きく需要を伸ばしています。

<図7>部門別最終エネルギー消費量の推移
図7 部門別最終エネルギー消費量の推移
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 従来から政府は、エネルギー利用効率の向上を進めるため、エネルギーの使用の合理化に関する法律(「省エネ法」)による措置に加えて、エネルギー効率の高い設備の導入支援や省エネルギーに資する技術開発の支援等を行ってきました。2006年4月には、特に民生・運輸部門を中心とした各部門の省エネルギー対策を強化するため、省エネ法を改正、施行しました。具体的には、以下のような措置を講じました。

(1)工場・事業場に対する熱と電気の一体管理の義務付け
 エネルギー管理指定工場の指定について、熱と電気の区分を廃止し、熱と電気を合算した使用量が一定以上(1,500kl以上)の工場を対象とすることにしました。この結果、省エネ法上の計画策定・報告義務の対象となる工場、事業場が拡大しました。

(2)運輸分野における省エネルギー対策の導入
 一定規模以上の貨物輸送事業者、旅客輸送事業者、荷主に対し、省エネルギー計画の策定、エネルギー使用量等の報告を義務付ける制度を導入しました。

(3)住宅・建築物分野の省エネルギー対策の強化
 一定規模(床面積2,000g)以上の非住宅建築物について、新築・増改築ばかりでなく、外壁の修繕・模様替や設備の取替等の大規模修繕等を行う者に対して、所管行政庁への省エネ措置の届出を義務付けました。また、一定規模(床面積2,000g)以上の住宅についても、非住宅建築物と同様の届出を義務付けることとしました。

(4)消費者による省エネルギーの取組を促す規定の整備
 消費者による省エネルギーの取組を促すため、消費者向け電力・ガス等を供給する事業者と電気製品などを販売する小売事業者等による、分かりやすい省エネ情報(年間消費電力等)の提供が進められるよう、規定を整備しました。
 その他にも、2006年4月から液晶・プラズマテレビや、DVDレコーダーといった新たなカテゴリーの製品や、3.5t超のトラック・バス、電気炊飯器及び電子レンジなどを省エネ法上のトップランナー基準の対象に追加し、エネルギー効率の高い設備の導入に対する支援措置を拡充するなど、省エネルギー対策を大幅に強化しています。

7.核燃料サイクルを含む原子力の着実な推進
 原子力発電は、ウラン資源が政情の安定した国々に分散して存在すること、発電過程で二酸化炭素を排出しないこと、更に、核燃料のリサイクルにより一層の資源の有効利用が図られること等から、長期にわたってエネルギー安定供給と地球温暖化対策の双方に貢献する有力な手段であり、我が国は、従来から積極的にその導入を推進しています。

<図8>我が国の原子力発電比率と目標値
図8 我が国の原子力発電比率と目標値
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 また、チェルノブイリにおける事故(1986年)などの影響により、世界的に原子力発電所建設の動きは停滞していましたが、最近、エネルギー安全保障や地球温暖化問題への関心の高まりから、世界的に原子力発電の優れた特性が見直され、その導入の検討が進むなど積極的に推進する動きが見られます。
 2005年10月、原子力委員会は、昨今の原子力を巡る情勢変化を踏まえ、従来の「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(2000年11月原子力委員会決定)」を見直し、我が国の原子力政策の基本方針を示す「原子力政策大綱」を決定し、同月、政府全体としても、これを尊重する旨閣議決定しました。
 主な内容としては、〔1〕2030年以降も、総発電電力量の30〜40%という現在の水準、または、それ以上を原子力発電が担うこと、〔2〕核燃料サイクルを着実に推進すること、〔3〕高速増殖炉の2050年頃からの商業ベースでの導入を目指すこと、などが盛り込まれています。

<表2>海外における原子力を巡る動向
表2 海外における原子力を巡る動向

 核燃料サイクルについては、関係者の努力と協力により各種事業(再処理工場、MOX燃料加工工場、中間貯蔵施設の立地・建設、プルサーマルの推進、「もんじゅ」(高速増殖炉の原型炉)の運転再開に向けた改造工事等)が、具体的に進展しています。
 また、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会では、「原子力政策大綱」の方針を具体化するために、2006年夏頃のとりまとめを目指し、電力自由化の下での原子力発電の新増設の促進、原子力を支える人材や技術の厚みの維持(2030年前後の本格的建替への対応)、高速増殖炉の実用化に向けた移行シナリオ、核不拡散と原子力平和利用との両立、高レベル放射性廃棄物等の処分対策などについて検討を開始しました。

<表3>核燃料サイクルを巡る最近の動き
表3 核燃料サイクルを巡る最近の動き

8.エネルギー政策を総合的・戦略的に推進するための諸制度の整備
 国際エネルギー市場の構造変化や各国のエネルギー政策の変化など、厳しさを増しつつある世界のエネルギー情勢に対応していくためには、我が国としてもエネルギー政策を不断に見直し、エネルギー安全保障を軸とした新たなエネルギー戦略を構築する必要があります。
 2002年6月に成立したエネルギー政策基本法では、エネルギーに関する施策の基本方針を定めるエネルギー基本計画について3年ごとの見直しを行うことになっています。2006年2月から総合資源エネルギー調査会総合部会を開催し、内外のエネルギー情勢の変化に対応した我が国のエネルギー戦略の構築に向けて検討を行うとともに、エネルギー基本計画の見直しに向けた作業を進めています。
 また、エネルギー政策を総合的・戦略的に推進するための予算を確保する一方、一段と厳しさを増す国の財政を踏まえ、経済産業大臣は、2005年12月に、エネルギー特別会計に関して次のような制度改正を行うことを発表しました。

〔1〕 電源開発促進対策特別会計(電源特会)に直入されている電源開発促進税について、一般会計から繰り入れる制度とする。このことにより、原子力立地の進展等に伴って資金需要が増大するまでの間、一般会計に融通・貢献できる仕組みとする。

〔2〕 同時に、原子力立地の推進など電源開発促進税が課されている目的を踏まえ、かつ、電源立地などエネルギー政策を責任を持って遂行する観点から、将来財政需要が増大した場合には、一般会計に融通されたものも含め同税の収入を充てることにより、必要な資金が確実に確保できる制度とする。

〔3〕 エネルギー政策を総合的に推進する観点から石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油特会)と電源特会を統合する。
 政府全体でも、「小さくて効率的な政府」の実現を目指す行政改革の一環として特別会計の見直しを検討し、2005年12月に閣議決定した「行政改革の重要方針」の中で、電源開発促進対策特別会計と石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計を2007年度までに統合し、無駄の排除や区分経理による透明化等の方針を明示するとともに、2006年3月に「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」を国会に提出しました。

 ○我が国のエネルギー政策


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