第4節 エネルギー源の石油依存低減
1.石油ショックを契機としたエネルギー源の多様化の動き 1979年の第二次石油ショックの発生は、石油代替エネルギーの導入の促進に、エネルギー政策のより大きな重点が置かれる契機ともなりました。この施策の重点のシフトは、原油価格が大幅に高騰したため、石油代替エネルギー、新エネルギーの導入が急がれるとともにこれらエネルギーに大きな経済性が生まれたことも一因となっています。 このような状況を背景に、石油代替エネルギーへの転換と新エネルギー開発を加速させるため、1980年に「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」(いわゆる「代エネ法」)が制定されました。これに基づき政府は、同年「石油代替エネルギーの供給目標」を閣議決定しました。また、大型の石油代替エネルギー技術開発を総合的に推進するために、1980年10月に新エネルギー総合開発機構(NEDO)の設立等を行いました。 これらの施策の結果もあり、1973年には、77%であった石油依存度は、2001年度には49.4%まで下がっており、エネルギー源の多様化が進んだことが分かります。特に、エネルギー源の多様化は、発電分野で著しく、発電電力量で見ると、1973年には、71.4%であった石油火力の割合は、2004年度には、わずか8.2%まで低下し、その代わりに、原子力や天然ガスの割合が大幅に増加しています(第124-1-1)。しかしながら、運輸部門においては、未だにガソリン等石油系燃料がその9割を占めており、運輸部門におけるエネルギー源の多様化があまり進まなかったことが分かります。
【第124-1-1】発電電力量の推移(一般電気事業用)
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我が国としては、今後とも、一つのエネルギー源に依存することなく、供給支障リスクの小さいエネルギーを中心に、エネルギー源の多様化を図っていくことが必要です。特に、その一環として、エネルギー自給率向上の観点を踏まえ、準国産エネルギーである原子力やその多くが国産エネルギーである新エネルギー等の開発、導入及び利用を着実に推進していく必要があります。 なお、電力の場合は、瞬時瞬時に需要が変化するため、その需要に対応するため、各発電方式の技術的特性(出力の変更能力)、経済性をも考慮したエネルギーのベストミックスが必要です。需要のピーク時は、需要の変動が激しく、かつ、1日のうちの数時間であることから、「ピーク供給力」としては、数分で出力を大幅に変更できる揚水式又は調整式水力発電、燃料費の高い石油火力発電が用いられます。1日又は年間を通じて常に必要とされる需要のベース部分は、「ベース供給力」として、資本費は高いが、燃料費が安い原子力発電、比較的燃料費が安い石炭火力発電、燃料費が不要な流れ込み水力発電がその経済性を発揮します。 両者の中間的役割である「ミドル供給力」としては、LNG火力発電が適しています(第124-1-2)。
【第124-1-2】各電源の使われ方のイメージ(一般電気事業用)
更に、近年、天然ガス等によるコージェネレーションなどの分散型エネルギー供給システムが、登場しています。エネルギー供給面では、引き続き原子力を始めとする大規模集中型のエネルギー供給システムが重要な役割を果たすとともに、今後は、大規模集中型と分散型の適切な組合せによるエネルギー供給システムの最適化を志向することが重要になることも考えられます。 以下、原子力(第3節参照)、新エネルギー等各エネルギーに関する国のこれまでの政策、最近の施策等を紹介します。 2.新エネルギー (1)エネルギー政策上の位置付け 新エネルギーは、「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)において、「新エネルギー利用等」として、 ○石油代替エネルギーを製造、発生、利用すること等のうち ○経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ、 ○石油代替エネルギーの促進に特に寄与するもの と規定されており、積極的にその導入促進を図るべき政策的支援対象に位置付けられています(第124-2-1)。
【第124-2-1】新エネルギーの分類
新エネルギーは、エネルギー自給率の向上や地球温暖化対策に資するほか、分散型エネルギーシステムとしてのメリットも期待できる貴重なエネルギーです。また、燃料電池を始めとして、大きな技術的ポテンシャルを有する分野であり、その積極的な技術開発を進めることは経済活性化にも資するものです。更に、風力発電や太陽光発電等は、国民一人一人がエネルギー供給に参加する機会を与えるものであり、非営利組織の活動等を通じて、地域の創意工夫を活かすことができるものでもあります。他方、現時点では、出力の不安定性や高コスト等の課題を抱えていることも事実であり、これらの課題の克服には、更なる技術開発等の進展が必要です。 したがって、当面は補完的なエネルギーとして位置付けつつも、安全の確保に留意しつつ、コスト低減や系統安定化、性能向上等のための技術開発等について、産学官等関係者が協力して戦略的に取り組むことにより、長期的にはエネルギー源の一翼を担うことを目指し、施策を推進することとしています。 とりわけ、燃料電池については、自動車用を始めとして広範な分野における応用が期待される戦略技術です。燃料電池で用いられる水素は、製鉄等の過程で副生水素として得られるものもありますが、他のエネルギー資源から改質・転換して製造することが必要であることから、燃料電池自体の技術開発と並んで、水素の製造、貯蔵及び輸送を含め、利用プロセス全体を通じた効率を向上させるための技術開発、実証研究及び規制の再点検含む総合戦略を強力に推進することとしています。 (2)これまでの政策の変遷 我が国の新エネルギー政策は、省エネルギー政策とともに石油ショックを契機としてスタートしています。1970年代の2度の石油ショックにより、我が国の経済は大きな影響を受け、石油代替エネルギーとしての新エネルギーの重要性が認識されることとなりました。 まず、法制度については、第二次石油ショック後の1980年に、エネルギーの安定的かつ適切な供給確保の観点から、石油代替エネルギーの開発・導入の法的枠組みとして「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律」(代エネ法)を制定しました。代エネ法は、「石油代替エネルギー供給目標」を閣議決定として策定・公表することや独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じた各種の措置の実施について定めています。 その後の国内外のエネルギーをめぐる経済的・社会的環境の変化に伴い、石油代替エネルギーのうち、経済性における制約から普及が十分でなく、石油代替エネルギー供給目標の達成のために促進を図ることが特に必要な新エネルギーの普及促進を目的として、1997年に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)が制定されました。新エネルギー法は、国や地方公共団体、事業者、国民等の各主体の役割を明確化する基本方針の策定や新エネルギー利用等を行う事業者に対する金融上の支援措置等を定めたものです。 新エネルギー関連技術開発については、1973年に通商産業省工業技術院(当時:現独立行政法人産業技術総合研究所)において「サンシャイン計画」がスタートしました。この計画は、将来的にエネルギー需要の相当部分をまかないうるクリーンなエネルギーの供給を目標として、太陽、地熱、石炭、水素エネルギーの4つの石油代替エネルギー技術について重点的に研究開発を進めるものでした。 また、1980年に設立された新エネルギー総合開発機構(現:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)において石炭液化技術開発、大規模深部地熱開発のための探査・掘削技術開発、太陽光発電技術開発等が重点プロジェクトとして推進されました。 1993年、「サンシャイン計画」は、1978年に発足した省エネルギー関連技術開発に関する計画である「ムーンライト計画」と統合され、「ニューサンシャイン計画」として再スタートすることとなりました。「ニューサンシャイン計画」は、従来独立して推進されていた新エネルギー、省エネルギー及び地球環境の3分野に関する技術開発を総合的に推進するものでありましたが、2001年の中央省庁再編に伴い、「ニューサンシャイン計画」の研究開発テーマは、以後「研究開発プログラム方式」によって実施されることとなりました。この「研究開発プログラム方式」においては、産業界、学会等の意見を国(経済産業省)が研究開発のプログラムに反映させ、これに基づいて研究開発を行うものであり、その成果について厳しくチェック&レビューを行うものです。 (3)最近の取組 〔1〕新エネルギー導入目標 2005年3月に総合資源エネルギー調査会需給部会において「2030年のエネルギー需給展望」を取りまとめ、この中で、2010年度における供給サイドの新エネルギー導入見通しは、当時の地球温暖化対策推進大綱に掲げる施策の政策効果が最大限発揮できるよう、その着実な実施と熱分野を中心とする追加対策を行った場合(追加対策ケース)には、原油換算で1,910万kl(一次エネルギー総供給に占める割合は3%程度)と設定しました(第124-2-2、第124-2-3)。
【第124-2-2】供給サイドの新エネルギー導入目標
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【第124-2-3】需要サイドの新エネルギー導入目標
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また、2005年4月には、京都議定書目標達成計画において、それぞれ同様の目標が設定されたところであり、今後は地球温暖化問題への対応の観点からも新エネルギー導入を一層強力に推進していく必要があります。 今後の新エネルギー対策は、エネルギー環境に関する政策及びエネルギー市場の自由化にも留意しつつ、導入段階、技術開発・実証段階等の各段階や環境整備等についての対策を総合的に組み合わせて推進していくことが重要です。 〔2〕導入段階における支援 (ア)バイオマス、雪氷のエネルギーの新エネルギー法への位置付け サトウキビ等のバイオマス(再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)については、国際的にそのエネルギー利用を推進する取組が活発化してきている中で、我が国においても、これまでの取組に加え、先進的な利用の取組が見られます。このようなバイオマスのエネルギー利用については、以前は新エネルギーとして明確に位置付けられておらず、国等による支援策が明示的に設定されていない状況にありました。現時点では、収集・輸送のためのコストが高い等、主に経済性の面での課題が普及への制約になっているものの、環境への負荷が低く、一定の潜在的な導入量が見込まれることから、積極的に導入促進を図るため、2002年1月に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」(新エネルギー法施行令)を改定し、新エネルギー法上の新エネルギー利用等として位置付けました。 また、雪氷のエネルギー利用については、北海道、東北地方、日本海沿岸部を中心とした降雪量の多い地域において、近年、地方自治体が中心となり、雪氷を農産物の冷温貯蔵や公共施設等の冷房用冷熱源として利用する取組が活発化しつつあります。こうした雪氷のエネルギー利用については、現時点では、経済性の面での課題が普及に向けた制約になっているものの、一定の石油代替エネルギー効果を有することから、バイオマスと同様に新エネルギー法上の新エネルギー利用等として位置付け、積極的に導入促進を図ることとしました。 (イ)地方公共団体、事業者等に対する導入補助の推進 これまでも先進的な新エネルギー設備を導入する地方公共団体や事業者に対し、設備導入に際して費用の一部を助成しています。今後も、特に先進性の高い設備の導入や地方公共団体等が中心となって実施する普及啓発効果の高い取組等モデル的な事業に重点を置いて支援を行うこととしています。 (ウ)太陽光発電、太陽熱利用等に対する導入補助の推進 初期コストが高い住宅用太陽光発電システム等については、導入者の負担軽減を図ることにより、その導入を促進し、さらに量産化を通じてコスト低減による市場自立化を早期に実現することを目的として、2005年度まで集中的な補助を実施しました。今後は、住宅分野に比べ普及が進んでいない公共分野など非住宅分野への導入普及を進めていきます。また、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が実施している太陽光発電フィールドテスト事業では、実負荷での運転データの収集・解析等を行い、実用性等の検証を実施しています。 また、太陽熱利用については、現在、住宅用太陽熱高度利用システムの導入者に対して費用の一部を補助しています。 (エ)グリーン購入・調達の推進による新エネルギー利用機器・設備の導入 公共部門等における新エネルギー機器・設備の率先的な導入は、その初期需要創出や市場拡大に寄与するとともに、地域における普及啓発に資するものとして意義があります。このため、国及び独立行政法人等は、2001年4月に施行された「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)を踏まえ、庁舎や公共施設における太陽光発電システムや太陽熱利用機器システムの設置、一般公用車への低公害車の導入等、物品等を調達する際には、率先的に新エネルギー機器・設備を導入しています。 〔3〕技術開発・実証段階における支援 新エネルギーの導入・普及には、コスト低減や性能向上のための技術開発が必要であり、産学官の適切な役割分担の下に、これを効果的に推進することとします。また、一定レベルまでの確立された新技術は、性能や経済性の把握、信頼性向上のための実証試験が不可欠である一方、直接には収益を生まないため、実証試験を加速化することで社会的利益の増大が期待できる場合には、国が積極的にこれを支援することとします。 今後、一層の技術開発が期待される新エネルギーとしては、燃料電池、太陽光発電、バイオマスエネルギー等が挙げられますが、このうち燃料電池については、1999年12月に産学官から構成される「燃料電池実用化戦略研究会」を経済産業省資源エネルギー庁において開催し、国内外の企業、関係団体等による報告とこれを踏まえた議論、検討が行われ、2001年1月に報告書を取りまとめました。この報告において、産学官が技術開発戦略を共有し、適切な役割分担を行いながら、有機的・体系的に技術開発に取り組むことの重要性が指摘されました。また、2001年8月には、中長期的な観点に立ち、技術開発を含んだ包括的な戦略(「固体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用技術開発戦略」)を同研究会で策定しました。 更に、燃料電池の開発・普及施策の拡充・強化により燃料電池自動車及び定置用燃料電池の速やかな実用化・普及を推進し、二酸化炭素の排出抑制と新しい技術に立脚した経済活性化に資することを目的として、経済産業省、国土交通省、環境省の5副大臣をメンバーとする「燃料電池プロジェクトチーム」を設置しました。2002年5月、プロジェクトチームは、我が国における燃料電池の実用化・普及を加速化させるため、今後拡充・強化すべき施策を提言した報告書を取りまとめました。 太陽光発電については、1999年12月に新たに設置された総合資源エネルギー調査会「新エネルギー部会」において、一層のコスト低減を可能とする薄膜シリコン太陽電池や化合物系太陽電池の研究開発やリサイクル・リユース処理技術等の開発の重要性と、局地的に高密度な系統連系を行う場合の配電系統への影響評価の必要性等が指摘され、これを受け2001年度からは「ニューサンシャイン計画」までの成果を踏まえつつ「選択と集中」による開発の効率化を図り新たに、家庭用電気料金並の発電コストを実現する技術の早期確立や、新発想の要素技術開発、大量導入に必要な共通基盤技術の開発等に取り組んでいるほか、集中連系時における出力抑制や系統への影響等に関する汎用的な対策技術の確立を目的とする実証研究や、新技術太陽電池の実規模設置によるフィールドテストを進めています。 〔4〕環境整備 (ア)電力系統連系対策の検討等 発電分野の新エネルギー、特に風力発電については、風況に応じて出力が変動するとともに、風況条件の良い地点は送電線の送電能力が小さい遠隔地にある場合も少なくないことから、その大規模な導入を図るためには風力発電の系統連系に伴う課題を解決していくことが必要です。そこで、2003年度より風力発電の系統安定化技術に係る実証実験を実施するとともに、風力発電の導入拡大のために必要な系統連系対策を検討するため、2004年4月に総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会のもとに風力発電系統連系対策小委員会を設置しました。同委員会は、2005年6月に周波数変動対策及び送電容量等に係る対策とその優先順位を整理した中間報告書を取りまとめ、これに基づいて電力会社、風力発電事業者と共に取組を進めています。その他、太陽光発電やガスコージェネレーション、燃料電池についても、系統連系を行う場合には、配電系統等に影響を及ぼす可能性が指摘されており、今後、その影響の評価等について、検討することとしています。 (イ)燃料電池の実用化に向けた包括的な規制の再点検の道筋の取りまとめ 2002年10月、小泉内閣総理大臣の指示(2002年4月)を踏まえ、内閣官房に設置された「燃料電池実用化に関する関係省庁連絡会議」において、安全性の確保を前提とした、燃料電池の初期段階の普及を睨んだ包括的な規制の再点検の道筋を取りまとめました(6法律28項目)。関係団体、規制所管省庁等と具体的な検討をした結果、2005年3月末までに燃料電池の初期段階での導入を想定した規制の再点検が終了しました。 (ウ)普及啓発等 新エネルギーの導入を促進するためには、国民一人一人が主要な担い手として期待されることから、今後、国民意識の一層の喚起や新エネルギーに関する認識を醸成することが必要です。このため、国は各種の広報活動等を通じて、新エネルギー導入の意義や経済性、技術面における課題等、その現状について広く国民に情報提供を行います。また、新エネルギーについては、地方自治体や地域住民等が、地域活性化や街づくり、廃棄物の有効利用等の観点から、草の根レベルで取り組むことが期待される分野であり、地域住民に対する普及啓発や学校における教育を通じて、広く意識の向上を図ります。 〔5〕「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」の施行 2001年6月に総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会報告書「今後の新エネルギー対策のあり方について」が取りまとめられ、その報告書の中で、2010年度における新エネルギーの導入目標を原油換算で1,910万klに設定するとともに、特に発電分野において、新たな市場拡大措置が必要であるとの提言がなされました。これを踏まえ、2002年6月、電気事業者に一定量以上の新エネルギー等を利用して得られる電気の利用を義務付ける「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)が公布され、2003年4月に全面施行されました。 RPS法は、電力の小売を行う事業者(一般電気事業者、特定電気事業者、特定規模電気事業者)に対し、その販売する電力量に応じて、新エネルギー等電気(新エネルギー等により発電された電気)を一定割合利用することを義務付ける法律です。各電気事業者の毎年度の利用義務量は、経済産業大臣が4年毎に8年先まで定める「電気事業者による新エネルギー等電気の利用の目標」をベースに決定され、利用義務量の全国合計値は2004年度で36.0億kWh(全国の販売電力量に対する比率で約0.46%)、2010年度で122.0億kWh(全国の販売電力量に対する比率で1.35%)となります。2004年度においては、全ての電気事業者が義務履行を行いました。 RPS法の対象となり得るエネルギー源は、〔1〕風力、〔2〕太陽光、〔3〕地熱(熱水を著しく減少させないもの)、〔4〕中小水力(水路式で1,000kW以下)、〔5〕バイオマスの5種類であり、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。 また、RPS法では、電気事業者は、〔1〕自ら新エネルギー等電気を発電する、〔2〕他の発電事業者から新エネルギー等電気を購入する、〔3〕他の発電事業者等から「新エネルギー等電気相当量」を購入する、のうちから最も有利な方法を選択して義務を履行することができることになっています。なお、「新エネルギー等電気相当量」とは、新エネルギー等電気の量に応じて、事業者間で取引することのできる量で、いわば新エネルギーの「価値」に相当するものです。この取引により、市場機能を活かしつつ、新エネルギーの導入が困難な地域においても義務の履行が可能となります(第124-2-4)。
【第124-2-4】RPS法の概要
〔6〕その他 (ア)中央官庁庁舎における太陽光発電設備の率先導入 エネルギーの安定的な供給の確保や地球環境問題への対応に資する新エネルギー技術の導入を促進するためには、国が率先して新エネルギー設備を導入することにより普及啓発を図ることが重要です。このため、新エネルギーの率先導入及び環境に配慮した官庁施設整備の一環として中央官庁庁舎において太陽光発電設備の整備を実施しています(首相官邸を含め15施設、総出力500kW以上)。 (イ)環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進 近年の地球規模の環境問題に対し、学校施設についても環境への負荷の低減に対応した施設づくりが求められていることから、文部科学省、農林水産省、環境省及び経済産業省が協力して、エコスクールのモデル的整備を推進しており、その整備の際に新エネルギーを導入する場合には、費用の一部を補助することとしています。 (ウ)低公害車等の導入促進 2001年5月、小泉内閣総理大臣より「原則としてすべての一般公用車について、2002年度以降3年を目途に低公害車に切り替える」よう指示がなされました。国においては、この内閣総理大臣の指示に基づき低公害車の導入促進対策を着実に実施するとともに、低公害車の開発、普及に関する措置を実施するための総合的、包括的なアクションプラン(低公害車開発普及アクションプラン)を2001年7月に経済産業省、国土交通省及び環境省において策定しました。 内閣総理大臣の指示(2002年4月)を受けて、2002年12月には世界に先駆けて試験的に販売された燃料電池自動車を経済産業省を含め政府全体で5台率先導入し、あわせて水素供給設備を経済産業省内に導入しました。2005年12月現在、政府全体で8台導入しています。※4
※4:燃料電池自動車の導入に向けて、経済性・耐久性向上を含む技術開発が進められている(現時点でのリース価格は1ヶ月当たり約100万円)。
(エ)家庭用燃料電池の導入 2002年2月、第154回国会における内閣総理大臣施政方針演説で、「燃料電池は、水素をエネルギーとして利用する時代の扉を開く鍵です。自動車の動力や家庭の電源として、3年以内の実用化を目指します。」と言及されました。総理の施政方針演説から3年を迎えた2005年4月には、総理新公邸竣工に合わせ、家庭用燃料電池の商用第一号機が世界に先駆けて導入されました。
(オ)バイオマス・ニッポン総合戦略の策定 バイオマスをエネルギーや製品として総合的に利活用し、持続可能な社会の実現に向けた基本的戦略として78の具体的行動計画を盛り込んだ「バイオマス・ニッポン総合戦略(2002年12月閣議決定)」を取りまとめました。 この中で、エネルギーについては、様々なバイオマスを効率的にエネルギーへ転換する技術の開発・実用化の支援や、技術・システム等の面で先導的なエネルギー支援施設等の立ち上がりへの支援等が掲げられています(第124-2-5)。また、2006年3月には、「バイオマス・ニッポン総合戦略」の見直しがなされ、国産バイオマス輸送用燃料の利用促進、農作物非食用部や林地残材といった未利用バイオマスの活用等によるバイオマスタウン構築の加速化などが、新たな戦略のポイントとして掲げられました。
【第124-2-5】バイオマス・ニッポン実現に向けて
(カ)民間のグリーン電力に関する取組の支援 グリーン電力証書(発電された新エネルギー等の、新エネルギーとしての価値を証書の形で売買することにより、新エネルギーに金銭的プレミアムを付けるもの)や、グリーン電力基金(電力料金に上乗せする形で行う新エネルギーへの寄付)といった、消費者が新エネルギーに対して経済的支援をしていくという取組が活発になっています。政府としてもこれらの取組について積極的に情報提供や広報をしていくこととしています。 3.ガス体エネルギー (1)エネルギー政策上の位置付け 天然ガスは、中東以外のアジア、オーストラリア等の地域にも広く分散して賦存するとともに、他の化石燃料に比べ相対的に環境負荷が少ないクリーンなエネルギーであり、安定供給の確保及び環境保全の両面から重要なエネルギーです(第124-3-1)。このため、石油、石炭、原子力等の他のエネルギー源とのバランスを踏まえつつ、天然ガスシフトの加速化を推進しています。
【第124-3-1】二酸化炭素排出量等の比較
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また、LPガスも、PM(粒子状物質)の排出がない等、環境負荷が相対的に小さく、天然ガスとともにクリーンなエネルギーです。また、2004年に発生した新潟県中越地震のような災害時におけるエネルギーの安定供給の確保に資する等、国民生活に密着した分散型エネルギーの一つです。このため、LPガスを都市ガスとともにガス体エネルギーとして一体的にとらえるとともに、事業者の競争環境の整備等を通じ、より一層のガス利用者の利益の増進を図ることとしています。 (2)最近の取組 〔1〕メタンハイドレートの開発 新たな国産エネルギー資源として期待されるメタンハイドレートについては、国が主体となって中長期的視点で技術開発等を推進していくことが重要です(第124-3-2)。
【第124-3-2】日本近海のメタンハイドレート分布
このため、現在、2016年度までに商業的産出のための技術を整備することを目標に、資源量評価に関する研究、生産手法開発に関する研究、環境影響評価に関する研究等を実施しています。 〔2〕サハリン・プロジェクト サハリンは、大規模な石油・天然ガスの埋蔵量が確認されており、我が国に地理的に極めて近く、供給源の多角化にも有効です。そのため、国はプロジェクトに参加する我が国の企業に対する支援等を行ってきました。現在、サハリンI、サハリンIIという2つのプロジェクトが我が国企業の参加の下で進捗しており、生産される石油・天然ガスが経済性のある形で我が国に供給されることになれば、エネルギー安定供給上、大きな意義があります(プロジェクトの詳細は、第5節参照)。
〔3〕GTL、DMEの開発 GTL(ガス・トゥ・リキッドの略)は、天然ガス等を原料として、単品ではなく軽油・灯油・ナフサ等の連産品として製造されます。常温では液体の合成炭化水素です。特徴としては、物性が軽油と類似してセタン価が高く、既存の軽油インフラでの利用可能性があるため、軽油代替のディーゼル自動車用燃料として使用可能なこと、また、硫黄分や芳香族分を含まないため燃焼させても硫黄酸化物(SOx)の発生がなく窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出量も低減できること等が挙げられます(第124-3-5)。
【第124-3-5】GTLの合成方法
一方、DME(ジ・メチル・エーテルの略)は天然ガス、石炭等を原料として製造されるエーテルであり、常温で気体であるが、容易に(6気圧以上または−25度C以下)液化するものです。現在は主としてスプレー噴射剤として使用されています。特徴としては、物性がLPガスと類似しており既存のLPガスインフラでの利用可能性があるため、発電用、工業用、家庭用のLPガス代替としての用途が想定されていること、セタン価が高いためディーゼル用燃料としての可能性も有していること、また、硫黄分を含まないため燃焼させても硫黄酸化物(SOx)や粒子状物質(PM)が発生せず、窒素酸化物(NOx)の発生も低く抑えられること、等が挙げられます(第124-3-6)。
【第124-3-6】DMEの合成方法
天然ガスは気体のため液体燃料に比べて輸送・貯蔵が難しく、現在の天然ガス開発プロジェクトは、LNG化かパイプライン輸送に適合するプロジェクトのみに限られています。こうした中、天然ガスから液体燃料を製造する新たな利用技術であるGTLやDMEは、これまで開発の対象とならなかった未開発ガス田に対する新たな開発手法として、我が国のエネルギーの安定供給に資するものと期待されています(第124-3-7)。
【第124-3-7】世界の主要なGTLプロジェクト(単位:千B/D)
〔4〕産ガス国との関係強化 石油・天然ガス分野のみならず幅広い分野において、産油・産ガス国との共同技術研究、研修生の受入れ・我が国石油開発会社等の要人派遣等の人的交流、産油・産ガス国への直接投資促進に係るフィージビリティ・スタディ等の事業を、引き続き積極的に実施しています。 〔5〕LPガス 我が国のLPガス需要の約77%が海外からの輸入で賄われており、更にそのうち約84%を中東に依存していることから、LPガスの安定供給のためのLPガス供給(輸入)ソースの多角化を図るためにこれまで様々な調査を実施してきています。 具体的には、世界の新しいLPガスソースの開発等供給多様化調査として、アラスカ、カナダ、インドネシア、オーストラリア等において、我が国へのLPガス輸出可能性等を調査し、安定供給に資する方策の検討を行ってきました。また、主要産ガス国や消費国等のLPガス関係諸国との協調と対話の促進を図るため、毎年LPガス国際セミナーを開催しています。 4.石炭のクリーン利用 (1)エネルギー政策上の位置付け 石炭は、可採埋蔵量が約160年以上あり、世界各国に幅広く分布する等、他の化石燃料に比べ供給安定性が高く、経済性にも優れていることから、今後も重要なエネルギーです(第124-4-1)。
【第124-4-1】豊富な石炭資源量と石油・ガスと大きく異なる地域分布
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他方、他の化石燃料に比し、燃焼過程における単位発熱量当たり二酸化炭素の排出量が大きいこと等、環境面での制約要因が多いという課題を抱えています。このため、クリーン・コール・テクノロジーの開発・普及によりこれらの課題の克服に努めるとともに、必要に応じ二酸化炭素の排出量の少ない他のエネルギーへの転換を進めることが必要です。 (2)これまでの政策の変遷 我が国の石炭政策は、大きく、〔1〕国内石炭鉱業の構造調整を中心とする国内政策としての石炭政策、〔2〕海外炭の安定供給確保と環境調和的な石炭利用の促進を柱とするエネルギー環境政策としての石炭政策、の2つに分けられます。 国内石炭政策については、1962年10月石炭鉱業審議会答申以降、構造的不況に陥った国内石炭産業の合理化・構造調整を進めるとともに、産炭地域における地域経済への影響を是正する産炭振興対策、鉱害対策等が進められてきました。その後、1999年8月、石炭鉱業審議会答申を受け、2001年度末における石炭関係諸法の廃止及び廃止に伴う所要の経過措置の整備等を内容とする「石炭鉱業の構造調整の完了等に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下、整備法)」が2000年3月に成立し、同法の施行に伴い、石炭関係諸法は2001年度末をもって廃止され、第一次の石炭鉱業審議会答申以降、全9次、約40年にわたる国内石炭政策は終了を迎えました(第124-4-2)。
【第124-4-2】石炭政策の推移
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(3)最近の取組 〔1〕新しい石炭政策の展開 近年、地球環境問題に対する関心の高まりを背景に、石炭のより一層の環境調和的な利用の拡大が求められています。このために、我が国では、環境調和的な石炭利用技術であるクリーン・コール・テクノロジー(CCT)の開発を進めるとともに、アジア等への普及を推進しています。 (ア)クリーン・コール・テクノロジーの開発 石炭の高効率利用、石炭灰の有効利用、石炭の利用拡大等のために、石炭ガス化技術、二酸化炭素炭層固定化技術、石炭灰の有効利用技術等の開発・実証に努めています。 (イ)クリーン・コール・テクノロジーの普及 アジアでは十分な環境対策が講じられないまま石炭利用が拡大していることから、我が国の優れたCCTをアジア等に移転するために、研修生の受け入れ、セミナーの開催を実施しています。 また、2003年後半以降、近年例を見ないほど石炭価格が高騰しており、今後中国等アジア諸国の石炭需要が増加する中で、石炭の安定供給確保のための取組が必要とされています(第124-4-3)。我が国としては、産炭国との関係を強化するとともに、海外における石炭資源開発等を推進します。
【第124-4-3】新しい石炭政策のアクション・プログラム
(ウ)産炭国との関係強化 産炭国との関係強化のために、アジア産炭国との政策対話を実施するととともに、我が国の優れた石炭生産・保安技術を中国、インドネシア、ベトナムへ移転する『炭鉱技術海外移転5ヵ年事業』を実施しています。 (エ)海外における石炭資源開発の推進 海外炭の安定供給確保のため、産炭国と共同で地質調査を実施するとともに、産炭国におけるインフラ等に関する調査を実施しています。 このような取組を進めるために、2004年6月、クリーン・コール・サイクル(C3)イニシアティブを策定し、具体的なアクションプランを示しました。
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