2.エネルギー需給構造の国際比較
(1)主要国のエネルギーフロー それぞれの国の地理的条件、産業構造、気候などの違いにより、エネルギー需給構造は、大きく異なります。以下、主要国のエネルギーフローを比較することにより、それぞれの国のエネルギー需給構造の特徴について見てみます(IEAによる数値に基づくため、日本のエネルギーフローについては、総合エネルギー統計に基づくものと数値が異なることに留意。)(第221-2-1)。
【第221-2-1】主要各国のエネルギーバランス表(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、中国)(2002年)
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (2)エネルギー供給構成などの国際比較 日本の一次エネルギー供給の構成を世界各国と比較してみると、日本は他の先進国と比べ石油の比率が高く、天然ガスの比率が低いことが特徴です。 アメリカ、ドイツ、中国では、国内の石炭が豊富なため、その比率が高くなっています。特に中国は、一次エネルギーの約6割を石炭で賄っています。カナダでは水資源が豊富なため水力の比率が高く、国内のエネルギー資源が少ないフランスでは、原子力の比率が高いのが特徴です。また、イギリスは北海に油田やガス田が存在するため石油と天然ガスの比率が高くなっています。 なお、一次エネルギー供給全体の大きさで見るとアメリカは群を抜いており、世界全体の約22%を占めています。アメリカと比較すると、日本はその約1/5、イギリスは約1/10にすぎません。 次に一人当たりの一次エネルギー供給の違いを見てみます。 2002年現在、世界の総人口は約62億人、年間の一次エネルギー供給量は、約93億TOEですが、これを一人当たりにすると約1.51TOEの計算になります。先進地域の中でもエネルギー供給が多いアメリカは国民一人当たりで約8TOE(2001年)、日本は同4.1TOEとなっています。日本は、先進地域の中でも一人当たりの一次エネルギー供給の少ないグループに属しています。 先進地域の経済は成熟化を迎え、産業構造がエネルギー多消費産業を中心としたものから、電子通信機器・サービス業などのエネルギー消費が相対的に少ない業種を中心としたものへ変化をしてきました。そのため一次エネルギー供給はGDPと同じ勢いではいでは伸びず、GDP弾性値は0.47程度となっています(先進国の多くはGDP弾性値が小さくなっている一方、それ以外の国の多くは弾性値が1を超えています)。 他方、開発途上地域の一人当たりの一次エネルギー供給は、まだまだ先進地域の水準を大きく下回っているため今後の経済成長につれて開発途上地域の一次エネルギー供給の割合が増え続けることは自明です(第221-2-2)。特に中国とインドというエネルギー消費大国を抱えたアジア地域の動向は、今後の一次エネルギー供給の動静を占う上でのカギとなります。
【第221-2-2】主要国GDP、一人当たり一次エネルギー供給の推移
![]() (3)最終エネルギー消費構成の国際比較 最終的に利用されたエネルギー、つまり一次エネルギー供給から発電ロスや送電ロスなどを差し引いたものを「最終エネルギー消費」と言います。 主要国と日本の最終エネルギー消費の構成を比較すると、最終エネルギー消費に占める産業部門の割合は、日本は他の先進地域に比べて高いのが特徴です。これは、他産業に比べてエネルギー消費量の多い鉄鋼業や窯業・土石業などの素材系物資の一人当たり生産量水準が他の先進諸国に比べて高いこと、温暖な気候などから民生部門の需要が産業部門に比較して相対的に小さいことによります。しかし、近年は、日本の最終エネルギー消費構成は業務・家庭の民生部門や運輸部門における最終エネルギー消費の増大によって産業以外の部門の占めるシェアが増加し、欧米型に近づきつつあります。 また、開発途上地域では産業部門の比率が高いのが特徴であり、中国のエネルギーの産業部門の比率も高くなっています。また、中国では依然として運輸部門に石炭が使用されていることが分かります。 次に一人当たりの最終エネルギー消費を部門別に見ると、どの部門においてもアメリカは突出しています。アメリカは自動車社会であるため、特に運輸部門での一人当たりの最終エネルギー消費量が他国に比べ大きくなっています。また民生部門においても、所得水準及び生活水準の高さを反映して、アメリカの一人当たり最終エネルギー消費水準は高くなっています。 一人当たり最終エネルギー消費全体で見た場合、イギリス、ドイツ、フランスのヨーロッパ3国と日本は、近い水準にあります。 他方、中国、インドは、いずれの部門とも一人当たり最終エネルギー消費量は、小さめですが、今後は経済発展に伴う自動車の普及、生活水準の向上などにより一人当たり最終エネルギー消費の増大が見込まれます(第221-2-3)。
【第221-2-3】一人当たり最終エネルギー消費(2002年)
![]() (4)エネルギーロスの国際比較 前述のように供給された一次エネルギーが最終消費されるまでの間に発電ロスや送配電ロスなどのロスが発生します。このロスが少ないほど効率が高い構造となっていると一般に言えます。国による電力政策の違い、国土の広さの違いなどもあり比較は難しいですが、総発電量のうち実際に最終消費されないロス分の割合は、OECD諸国が7%、非OECD諸国が20%となっています。イギリスにおける同割合は11%、日本は5%となっています。 また、エネルギー転換部門における投入エネルギー量と、実際に最終消費される電力消費量の割合はOECD諸国が36%、非OECD諸国が29%となっています。なお、ドイツにおける同割合は32%、日本は38%となっています。 以上に示すとおり、先進国の中でも、日本は効率的で、無駄が少ないエネルギー供給構造となっていることが分かります。
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