( )内のページ番号は、別途掲載している『日本のエネルギー2008(PDF版)』のページ番号に対応しています。 合わせてご参照下さい。
(P.17-P.18)
 我が国におけるエネルギー政策の基本的な方針を定めたのが、2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法です。この法律では、「安定供給の確保」、「環境への適合」及びこれらを十分に考慮した上での「市場原理の活用」というエネルギー政策の基本的な方針が示されました。
 政府は、同法に基づき2003年10月に初めて「エネルギー基本計画」を策定し、2007年3月にこれを改定しました。
 最近の世界におけるエネルギーをめぐる情勢変化を踏まえて、経済産業省では、2006年5月に、エネルギー安全保障を軸とし、2030年に向けて特に重要な施策プログラムを盛り込んだ「新・国家エネルギー戦略」を策定しました。
 同戦略では、我が国のエネルギー安全保障の確立、エネルギー問題と環境問題の一体的解決、アジアや世界のエネルギー問題克服への貢献を目標とし、数値目標を設定しています。
(P.19-P.20)
 2度の石油ショックを契機に、政府としては、省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)の制定を始め、トップランナー基準による技術開発の促進、表示制度による省エネ製品の促進、技術開発や導入促進のための財政措置など、省エネルギー対策を徹底的に進めてきました。こうした政府による取組や民間による絶え間ない省エネ努力の結果、日本は過去約30年間でエネルギー消費効率を約37%改善し、世界でも最も効率的にエネルギーを使用している国となっています。
 ただし、最終エネルギー消費は、全体的に増加傾向にあり、特に業務・家庭部門を含む民生部門のエネルギー消費の伸びが大きくなっているため、これらの部門を中心に省エネルギーに一層取り組んでいくことが大切です。
 政府は省エネルギー対策を一層推進するため、2006年5月に、「新・国家エネルギー戦略」を策定し、そこで「省エネルギーフロントランナー計画」を打ち出しました。この計画において、今後、2030年までに更に少なくとも30%のエネルギー消費効率を改善するという目標を掲げています(図-22)。
 省エネルギーを進めることで、京都議定書の目標の達成や中長期的な温室効果ガス排出削減を始めとした地球温暖化問題への対応、アジア等を中心とするエネルギー需要の拡大や原油価格の高騰を踏まえたエネルギーの安定供給、ひいては国民経済の発展を確保することが重要な課題です。
 省エネルギーは、エネルギー安定供給と環境対応の両面に資する効果的な手段です。業務部門、家庭部門のエネルギー需要の増加を踏まえ、家庭部門においては省エネコンテストの活用等を通じた省エネ実践を進めるとともに、省エネ家電普及促進フォーラムを通じた省エネ機器の選択の促進、業務部門においても、学校、病院、一般飲食店等において、省エネルギー対策を徹底していくとともに、事業者や国民一人一人の意識が高まっていくことが期待されます。
(P.21-P.22)
 産業部門では、石油ショック以降、省エネルギー設備や技術の積極的導入に取り組んできました。特に製造業は、2004年度には、エネルギー消費原単位を1973年度に比べて約4割減少させるなど、世界の中でも最高水準のエネルギー利用効率を達成しています(図-23)。この背景には、省エネ法上、一定規模以上の工場や事業場に対してエネルギー管理を義務づけて、エネルギー原単位の改善を求めてきたことや、経団連など産業界が地球温暖化問題や循環型経済社会の構築に向けて自主行動計画などを作成し、自主的に省エネルギーに取り組んできていることなどがあります。今後は、中小規模の事業者における省エネルギーの取組を進めるとともに、複数の事業者の連携による取組も進めていく必要があります。
 民生部門(業務部門+家庭部門)ではエネルギー消費が増加していますが、省エネ法のトップランナー基準による家電製品やOA機器などのエネルギー消費効率の向上や住宅・建築物の断熱化推進などによる省エネルギー性能の向上に取り組んでいます。家電機器については特に効率化が進んでおり、エアコンの年間消費電力量は1995年度のものと比べ約40%の省エネルギーとなっていますし、冷蔵庫の年間消費電力量は、1992年度のものと比べ約78%の省エネルギーとなっています(図-24)。
 こうした省エネ性能の高い製品を普及するため、2007年10月には、経済産業省と環境省の協力の下、家電メーカー、小売り事業者及び消費者団体など関係者が連携して、省エネ家電普及促進フォーラムが設立され、省エネ家電普及促進ウィークなどのキャンペーンを実施しています。また、IT技術を活用したビル用エネルギーマネジメントシステム(BEMS)の普及や工場及び事務所などの省エネルギー化の包括的なサービスを提供するESCO(Energy Service Company)事業等を支援しています。今後は、こうした取組を引き続き進めるとともに規制と支援の両面から更なる省エネルギー対策の強化を図ることが重要です。
 運輸部門ではエネルギー消費が高止まりしています。特に自家用乗用車のエネルギー消費量が多くを占めており、また、1990年代の運輸部門のエネルギー需要増加分の約9割を占めています。このため、トップランナー基準による自動車の燃費の改善、ハイブリッド自動車の普及促進、新車新規登録から一定年数以上を経過した環境負荷の大きい自動車に対しては税率を重課する措置、都市部における路上駐停車対策の推進、トラック輸送から鉄道や内航海運等のエネルギー消費効率の優れた輸送機関の活用の推進、公共交通機関の利用促進、エコドライブの普及促進等の措置を推進しています(図-25)。また、2007年度から運輸事業者や荷主にも省エネ法によるエネルギー管理の義務づけが行われています。今後もこうした取組を引き続き進めることが必要です。
(P.23-P.24)
 石油ショック以降、原子力等非石油系に電源構成をシフトし、現在、日本では総発電電力量の約3分の1が原子力発電によって供給されています(図-26)。
 日本は2005年2月に京都議定書が発効したことを受け、同年4月に「京都議定書目標達成計画」を策定しました。原子力は発電過程において二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであることから(図-27)、同計画に基づき省エネルギー対策とともに、開発・導入が積極的に進められています。
 例えば、平均的な火力発電所が、135万kW級の原子力発電所1基に置き換わることにより、1990年における日本の二酸化炭素排出量の0.5%を削減できます。
 米国においては1973年の石油ショックの影響による経済の後退と電力需要の伸びの急激な減少を契機として原子力発電所の建設は停滞し、また、1979年の米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故等を契機に、米国に加えその他の国々においても、原子力発電所の建設が停滞した状況がこれまで続いていました。
 しかしながら、近年になって、新増設が停滞していた米国、イギリス、フィンランド等でも、地球温暖化対策やエネルギー安定供給等の観点から、原子力発電所の新増設に向けた動きが見られるようになっており、原子力を見直す動き(「原子力ルネサンス」)が世界的に進展しています。
 世界的な原子力低迷の時代においても着実な原子炉建設を続けてきた日本は、その経験から原子炉製造技術や原子力発電所建設についての高い能力を獲得し、世界の主要な原子力産業グループの中心的な立場を占めています。世界の安全で経済的な原子力発電拡大に向けたリーダーシップ発揮が求められています。
(P.25)
 ウラン資源を安定的に確保するためには、多様な国の鉱山権益を取得し、自主開発をしていくことが重要です。このため、資源エネルギー庁では、我が国民間企業のウラン鉱山開発への参画を促進・支援する取組を行っています。具体的には、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じた我が国民間事業者の海外探鉱事業への支援制度の強化を図っています。
 また、資源国に対する資源外交の展開などを図っており、2007年4月には、カザフスタンとの資源外交を展開し、この際の合意で、我が国のウラン総需要量の3〜4割に当たる権益を確保しました。(従来は1%程度)(図−28)
 世界の濃縮設備はRosatom「ロスアトム」(露)、USEC「ユーゼック」(米)、AREVA「アレヴァ」(仏)、URENCO「ウレンコ」(英・蘭・独)等の企業で9割超を担っており、また、ウラン資源価格の上昇により、濃縮の過程でできるだけ少ない量のウランから多くの燃えるウラン235をしぼりだすため、濃縮役務の需要が高まっています。このため、濃縮の需要拡大への対応も、ウラン資源確保と併せて重要な課題です。我が国は、国際的に比肩し得る経済性と性能の実現を目指して濃縮のための遠心分離機の技術開発を行っています。2020年度頃には我が国の需要(約5,900tSWU/年)の約4分の1に当たる施設規模(1,500tSWU/年)を有する国内濃縮工場の設備を目標にしています。また、濃縮技術を有する国や濃縮事業者との関係強化も重要な問題であり、政府レベルでも情報交換を積極的に行っています。(図−29)

 注)tSWU:ウランの濃縮に必要な仕事量を表す単位(100万kWの原子力発電所1基が1年間に必要とする燃料の濃縮に必要な仕事量は約120tSWU)
(P.26-P.28)
 原子力発電所で使用したウラン燃料(使用済燃料)には、まだ使えるプルトニウムやウランといった有用な物質が残っています。これらの有用物質を再処理といわれる化学的な処理により、分離回収し、再利用することによって限りあるウラン資源を有効利用することができます。このようにウラン燃料などの核燃料をリサイクルする一連の流れを核燃料サイクルといい(図-30)、供給安定性などに優れる原子力発電の特長を一層向上させるものです。
 使用済燃料を再処理し、既存の原子力発電所(軽水炉)で利用(プルサーマル)することにより、直接処分した場合に比べて、1〜2割のウラン資源の節約効果があります。
 更に、高速増殖炉(※)を用いた核燃料サイクルが実用化されれば、より一層のウラン資源の有効利用を図ることができます。

(※)高速増殖炉は、発電しながら消費した以上の核燃料を生成することができる原子炉であり、ウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることができます(図-31)。
 プルサーマルとは、軽水炉でMOX(ウランとプルトニウムの混合化合物)燃料を利用することをいいます。プルサーマルは、貴重なエネルギー資源を有効活用するための取組であり、エネルギー資源の大部分を輸入に依存する日本にとって大きな意義があります。
 現在、運転中の原子力発電所でもプルトニウムは発電に貢献しています(図-32)。これは運転中にウラン238から生まれたプルトニウムの一部が核分裂するためです。現在、軽水炉でプルトニウムの核分裂により発生するエネルギーは全体の約1/3に達しています。世界では1960年代からプルサーマルが開始され、MOX燃料集合体にして約6,020体、57基(2007年12月末現在)の原子炉で実績があり、その安全性は十分に確認されています。
 また、日本の新型転換炉「ふげん」で約24年にわたり770体以上、敦賀原子力発電所1号機で2体、美浜発電所1号機で4体のMOX燃料利用実績があります。
 原子力発電や核燃料サイクルなどの原子力の推進に伴って発生する放射性廃棄物の安全で確実な処分は極めて重要な課題です。
 放射性廃棄物は、高レベル放射性廃棄物と低レベル放射性廃棄物に大別されます。更に、低レベル放射性廃棄物は、放射性物質の種類や濃度、発生場所によって様々な種類に分類され、管理されます(図-33左)。
 放射性廃棄物の処理・処分に当たっては、これらの分類に応じて安全かつ合理的に行うことが重要であり、放射能レベルに応じた深度や障壁(バリア)を選び、浅地中処分、余裕深度処分、地層処分に分けて処分が行われます(図-33右)。
 高レベル放射性廃棄物の地層処分は、地下深くの安定した地層(天然バリア)に、複数の人工障壁(人工バリア)を組み合わせることにより、放射性物質を閉じ込め、人間の生活環境への影響を十分小さくします(図-34)。
 現在、低レベル放射性廃棄物の一部については、既に浅地中処分が行われています。また、高レベル放射性廃棄物等の地層処分が必要な廃棄物については、全国の市町村を対象に処分候補地を公募しています。
(P.29-P.30)
 日本の一次エネルギー供給に占める石油の割合は約5割ですが、特に自動車などの運輸部門は、ほぼ100%を石油に依存しており、エネルギーの安定供給を確保する上で最も脆弱性が高くなっています。このため、新・国家エネルギー戦略においても、運輸部門における石油依存度を2030年に80%まで低減させることを目標としており(図-35)、運輸エネルギーの次世代化が将来に向けての課題となっています。
 現実には、利便性・効率ともに優れ、既に燃料供給インフラも整っている石油に依存せざるを得ない中、まずは燃費の改善に向けた取組を引き続き進めるとともに、バイオマス由来燃料やGTL(ガス・トゥ・リキッド)などの新燃料を既存の石油系燃料に混合することにより運輸部門の燃料を多様化していくことが必要です。また、中長期的には、燃料電池自動車、電気自動車などの次世代を担う自動車の実用化・普及により、運輸部門の燃料を電力、水素等に多様化していくことも必要となります。
 2030年に石油依存度80%という戦略目標に向け、自動車業界、石油業界とも協力しながら、取組を進めているところです。
(1)バッテリー:技術開発や充電スタンドの整備を進め、2030年には電気自動車の本格普及を目指します。
(2)水素・燃料電池:研究開発を進め、実証試験を実施し、2030年までにガソリン車並みの低価格を目指します。
(3)クリーンディーゼル:産学官の連携によりイメージを改善し、ディーゼルの導入に向けた検討を行い、研究開発も進め、2009年以降、日本でのクリーンディーゼル自動車の本格導入を目指します。
(4)バイオ燃料:産学官の連携により技術開発を加速し、品質確保のための法制度を整備、2015年に国産次世代バイオ燃料が100円/リットルを目指し、更に技術革新を進めることで、40円/リットルを目指します。
(5)世界一やさしいクルマ社会構想:自動運転や交通制御のための技術開発を進め、2030年までに都市部の平均走行速度を2倍とすることを目指します。
(P.31-P.34)
 「新エネルギー」とは、自然のプロセス由来で絶えず補給される太陽、風力、バイオマス、地熱、水力などから生成される「再生可能エネルギー」のうち、その普及のために支援を必要とするものを指します(図-36)。
 新エネルギーは、エネルギー自給率の向上や地球温暖化防止対策に資するほか、分散型エネルギーシステムとしてのメリットも期待できる貴重なエネルギーです。また、太陽電池を始めとして、大きな技術的ポテンシャルを有する分野であり、その積極的な技術開発を進めることは、経済活性化にも資するものです。更に、風力発電や太陽光発電等は、国民一人一人がエネルギー供給に参加する機会を与えられるものであり、非営利組織の活動などを通じて、地域の創意工夫を生かすことができるものでもあります。
 一方で、設備1基当たりの投資額が高く、かつ利用率が低いなど他のエネルギーと比較してコストが高く、また、太陽、風力などは自然条件に左右され出力が不安定であり、設置できる地点も限られています(表-3)。
 このため、当面は、補完的なエネルギーとして位置付けつつ、課題克服のための技術開発や導入・普及のための取組を進めています。
 現在では、一次エネルギー供給に占める新エネルギーの割合(水力・地熱を除く)は約2.0%にとどまっていますが、2010年度には3%程度にまで向上させる目標を設定しています(表-4)。このため、新エネルギーを導入する自治体、事業者、NPO(民間非営利組織)等に対する支援を積極的に行っています。また、中長期的な観点で新エネルギーが更に普及するよう、更なる技術開発にも積極的に取り組んでいきます。
 太陽光発電の導入量は、2006年末において171万kWとなっています(図-37)。
 30年以上にわたる技術開発や設置補助等の国の支援により、1kWh当たりの発電コストは低下してきていますが、約46円/kWhと家庭用電気料金の約2倍とまだ高いのが現状です。
 世界的に見ると、日本は2004年末まで最大の導入国でしたが、ドイツの導入量が急速に進んだ結果、2005年末には、ドイツに抜かれて世界第2位となっています。しかし、太陽電池の生産量は、世界でトップの地位にあり、世界の4割近くを日本企業が生産しています。(図-38、表-5)。
 導入が進むことと並行してコストも下がっています。コスト削減が図られたのは、官民共同による技術開発の成果と政府の導入支援策並びに電力会社の余剰電力購入(※)により、太陽光電池の国内市場が自立しつつあるためと考えられます。
 一方、太陽光発電には、天候や日照条件などにより出力が不安定という課題も残されており、蓄電池との組合せ等による出力安定化が求められています。

※余剰電力購入:新エネルギーなどの導入促進の観点から、各一般電気事業者が太陽光発電や風力発電等から生ずる余剰電力の購入条件を各社の需給状況等に応じて予め設定し、これをメニューの形で示しているもの。
 風力発電も、2006年度末において149.1万kWと、5年前の約5倍に増えています。技術開発や大規模化によるコスト低減から事業採算性が認められ、北海道や東北を中心に大規模なウインドファームの建設が進んでいます(図-39、図-41)。
 世界的に見ると、日本の風力発電導入量は、2006年末時点で世界で第13位になっていますが、世界第1位のドイツ、第2位のスペイン、第3位のアメリカの導入量とは、大きな差があります。これは、日本の風況が欧米諸国に比べて平坦部が少ないことなど地形的な問題から、風力発電の設置に適した地域が少ないためです(図-40)。
 他方、出力の不安定な風力発電の大規模導入に伴って、それが周波数等の電力系統の品質を悪化させる可能性が指摘されてきており、今後一層の導入を図るためには、風力発電の出力を安定化させ電力系統への影響を緩和する、蓄電池の導入などの方策が示されています。
(P.35-P.36)
■水力発電
 水力発電は、戦後のエネルギー不足を背景とした電力の安定供給を図ることを目的に、国が主導するエネルギー政策の一環として、その開発が進められてきました。黒部ダム(黒部川第4発電所:1961年発電開始、最大出力33.5万kW)に代表されるように、大規模なダムの開発が各地で行われ、高度経済成長を迎えた日本の電力供給の改善に中心的な役割を果たしてきました。
 現在では、水力発電は日本の発電設備容量の約20%を占め、火力、原子力とともに我が国の電力供給において、主要な電源の一つとして活用されています(図-42)。

■地熱発電
 一方、地熱発電は、火山帯に位置する我が国の国土を最大限活用し得る発電方法として、戦後早い段階からその可能性が注目され研究開発が進められてきました。その背景には、大部分を海外から輸入する化石燃料に依存する我が国のエネルギー事情の中で、純国産エネルギー開発が強く求められてきた経緯がありました。
 1966年には、日本で初めて東北地方で実運用が開始され、現在では、日本において18箇所で発電されており、その総発電設備容量は53万kW以上となっています。しかしながら、総発電電力量に占める地熱発電の割合は1%程度にすぎず、更なる導入促進が課題となっています(図-43、図-45)。
 水力発電は、ダムなどの落差を活用して水を落下させ、その際のエネルギーを用いて発電する方式であり、地熱発電は、地下深部にある高温のマグマにより熱せられた水蒸気を、地下に掘削した坑井を用いて取り出し発電する方式です。そのため、これらの発電過程における二酸化炭素の排出はなく、クリーンなエネルギーであり、太陽光や風力などと同様に繰り返し利用することができる純国産の再生可能エネルギーとしても注目されています。
 更に、水力発電は、夜間の余剰電力を活用してダムに汲み上げた水を、昼間に放水することによって発電する揚水発電があり、負荷平準化に貢献し、電力需要のピークに対応するなど、電力の安定供給に資する電源としても活躍しています(図-44)。
 こうした特徴を有する水力・地熱発電は、急峻な地形や火山帯に位置するといった日本の地理的な特性をいかした発電方式であり、我が国のエネルギー政策の基本方針である「安定供給の確保」及び「環境への適合」に合致した重要なエネルギー源です。
 また、水力・地熱発電の一部は、2003年に全面施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(通称:RPS法)において対象電源になり、2006年1月に答申された総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会中間報告においても、新たな新エネルギーの一つとして整理し、位置付けられることとなりました。これら政策的な整理が行われたことにより、補助制度等の関連施策についても、更なる開発の推進に向けた支援の見直し及び強化を図っています。
(P.37-P.38)
 日本の一次エネルギー供給に占める石油依存度は第一次石油ショック以降低下し、現在は50%弱となっています。
 しかし、石油はさまざまな分野で使用されて、日本の経済社会を支えており、今や私たちの社会生活に欠かせない存在となっています。すなわち、石油は、自動車や船舶などの燃料として利用されているほか、家庭での暖房、工場などのボイラー用燃料、火力発電所の発電用燃料、そして石油化学製品の原料用などにも利用されています。また、特に、農林水産業や建設業、運輸部門では、ほぼ全てのエネルギーを石油に依存しています。石油は他のエネルギーと比べても多種多様な分野で利用されており、現在の日本にとって、極めて利便性に優れているといえます(図-3参照)。
 日本は、2度の石油ショックを経て、省エネルギーとエネルギー源の多様化を進めてきましたが、今もなお、石油はエネルギー総供給の約5割を担う重要なエネルギー資源です。
 日本では、石油ショック以降、中東地域など特定の国・地域に頼り過ぎないよう、輸入元の多様化を図った結果、1度は中東への依存度が低下しました。しかし、中国やインドネシアなどの非中東産油国において国内消費が増加し、これら地域からの輸入が減少した結果、1990年以降、中東依存度が再び上昇傾向にあります(図-46、図-47)。
 中東地域への高い依存度は今後も続くことが見込まれるため、産油国との交流を政府だけでなく民間レベルでも引き続き着実に実施していくとともに、エネルギー分野での高度精製技術等の共同研究開発や技術協力等を積極的に推進していくことが重要です。
 また、原油の安定的な供給を図るため、自らが探鉱や開発を行う自主開発原油を今後も確保するため、2030年までに石油自主開発比率を引取量ベースで現在の18.9%から40%程度とすることを目標としています。
 不測の事態により石油の輸入が突然ストップした場合に備えて、石油の備蓄を政府と民間企業の両方で行っています。2007年末現在で、合計8,864万kL、182日分(2006年度末、合計8,902万kL、174日分)が備蓄されています(図-48)。
 こうした石油備蓄は、石油ショック時以降の有事の際に有効に機能してきました。例えば、1990年8月の湾岸危機、2005年8月の米国へのハリケーン襲来の際に民間備蓄義務量を下げることで市場に石油を放出しています。
Excel形式のファイルはこちら(図-48)
(P.39-P.40)
 LPガスは、酸性雨の原因となるSOx(硫黄酸化物)の排出がほとんどないことと併せて、地球温暖化の原因といわれているCO2(二酸化炭素)の排出量も比較的少ないクリーンなエネルギー資源の一つです。
 LPガスは、日本全国総世帯数の約半数に当たる約2,600万世帯の家庭で使われているほか、工業を中心とした産業、タクシーをはじめとするLPガス自動車、化学原料や電力など幅広い分野で使用されています。
 LPガスは、天然ガス田や油田から産出されるとともに、原油を精製する過程でも出てきます(図-49)。
 日本のLPガスは約4分の3を海外から輸入し、残りは国内に輸入された原油を精製する際に生産されています。その輸入元はサウジアラビアが全体の約37%、中東全体で約91%を占めていることから、石油同様、中東依存の低減が課題です(図-50、図-51)。LPガスは天然ガス田からも産出されることから、天然ガス田の開発に伴い、生産の増加、中東以外の供給地多様化が期待されています。
 日本のLPガスは大半を輸入に依存し、かつその輸入元は中東に偏在していることから、安定供給確保のため、現在輸入業者に対して法律で義務づけられている民間備蓄(年間輸入量の50日分)に加え、国家備蓄体制も150万トン(約40日分)の達成を目標に本格的に推進しています。
 国家備蓄基地の建設は全国5地点(石川県七尾(ななお)市、長崎県松浦市、茨城県神栖(かみす)市、愛媛県今治市、岡山県倉敷市で実施されており、このうち地上3基地(七尾基地、福島基地(松浦市)、神栖基地)は、稼動を開始しています。
(P.41-P.42)
 天然ガスは、埋蔵量が豊富で現在、世界各地に広く存在しているため(図-52)、石油ショック以降、石油に代わるエネルギーとして積極的にその導入が進められ、第一次石油ショック当時では、日本のエネルギー供給に占める割合は2%にすぎませんでしたが、現在では14%を占めています。また、石油、石炭などの他の化石燃料に比べ燃焼時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素や、酸性雨の原因となる窒素酸化物の排出量が少なく、硫黄酸化物については全く排出しないため、その普及拡大が期待されています(図-53)。
 天然ガス供給の約96%は海外からの輸入に依存しています。天然ガスの輸入元は中東地域が25%で、現時点では石油と異なり分散化が図られています(図-54)。ヨーロッパやアメリカでは、天然ガスを気体のままパイプラインで輸送していますが、日本はガス田から遠く離れているため、天然ガスを輸入する場合は、天然ガスをマイナス162度まで冷やして液体(液化天然ガス:LNG)にすることにより体積を600分の1にし、断熱材で覆われたタンクを搭載する特殊なタンカーで日本まで運び、日本の受け入れ基地で再び気体に戻してからパイプラインで発電所や家庭に運びます。
 今後、天然ガスの利用を拡大する方法としては、火力発電所の燃料を石油や石炭から天然ガスに転換すること、都市ガスの原料を石油から天然ガスに転換すること、天然ガス自動車を普及すること(※)のほか、更に新しい利用方法として、天然ガスを改質して、液体燃料にする方法も検討されています。
 それは、GTL(ガス・トゥ・リキッド)やDME(ジ・メチル・エーテル)といわれる新燃料で、輸送用燃料や産業用燃料として利用されることが期待されています。
 なお、その実現のためには、天然ガスを供給するための国内のパイプラインを着実に整備していくことも必要です。

 ※天然ガス自動車:31,462台/スタンド:324箇所(2007年3月末現在)(出所:日本ガス協会)
(P.43-P.44)
 産業革命以来、石炭は長い間主要なエネルギー源として利用され、日本でも、昭和初期にはエネルギーの4分の3を石炭でまかなっていました。しかし、第二次大戦後、中東の大油田が発見され、1960年代には主役の座を石油にゆずり渡すことになりました。
 1970年代には2度の石油ショックを契機に、石炭が見直されることになりました。その理由は、第1に可採埋蔵量が豊富であること、第2に中東に多くを依存する石油と異なり世界に広く分布し、オーストラリア、インドネシアなど比較的政情の安定している国から輸入されていること(図-55、図-56)、第3に石油に比べて熱量当たりの単価が安く経済的に有利であることが挙げられます。現在では、石炭は日本のエネルギーの約2割をまかなっています。また、石炭は諸外国でも広く利用されており、中国では一次エネルギーの約7割が石炭です。
 日本でも石炭はかつて盛んに採掘されていました。1960年代までは国内炭の生産が海外炭の輸入を上回っていましたが、次第に安価な海外炭の輸入量が増え、国内の炭鉱も次々と閉山し、現在ではほぼ全量を輸入に頼っています(図-57)。
 石炭は他の化石燃料に比べ、燃焼過程における単位熱量当たり二酸化炭素等の排出量が大きいこと等、環境面での制約要因が多いため、環境への適合を図る観点から課題を抱えています。
 現在、日本を含めた先進各国では、石炭をガス化して高効率に燃焼するなど、石炭利用に伴う環境負荷を低減する技術(クリーン・コール・テクノロジー)の開発や国際協力が進められています。このようにクリーン・コール・テクノロジーが導入されることにより、石炭がよりクリーンなエネルギーとして幅広く利用されることが期待されています。
(P.45-P.46)
 日本のエネルギー資源の安定供給の確保を図る上で、資源国との総合的な関係強化を図ることが重要です。このため、日本としても、資源国のニーズに的確に対応する形で、資源エネルギー分野にとどまらない広範な協力を行うこととしています。具体的には、科学技術分野の研究開発、教育、医療、人的交流、投資交流などを通じて、資源国との戦略的な関係の構築・強化を図っていきます。また、顔の見える関係を構築するため、首相や閣僚によるトップ外交を積極的に行うことや、ODA(政府開発援助)やEPA(経済連携協定)など経済協力の戦略的な活用を図っていくことも重要です。
 中国、インドをはじめとするアジア諸国はエネルギー需要を急増させつつある地域であり、アジア諸国のエネルギー問題に取り組むことは、世界のエネルギー市場の安定的な成長にとっても不可欠です。アジア全体でのエネルギー安全保障の確立や環境問題の解決に貢献するため、優れたエネルギー・環境技術を有する日本として、省エネルギー技術や石炭のクリーン利用技術の普及などのアジア・エネルギー環境協力を推進していきます。
 また、特に中国・インドについては閣僚級のエネルギー対話を開催し関係を強化していきます。
■ 5カ国エネルギー大臣会合
 2006年12月に、北京において世界のエネルギー消費の半分を占める日、中、韓、米、印5カ国のエネルギー大臣が初めて一堂に会し、5カ国エネルギー大臣会合が開催されました。省エネルギーの推進、戦略備蓄等緊急時対応の強化、エネルギー源の多様化などで意見が一致し、共同声明がまとめられました。また、我が国の提唱で会合の定例化に合意し、第2回目の会合を2008年6月日本主催で開催の予定となっています。

■ 日中省エネルギー協力
 1990年代から中国の製鉄所やセメント工場などに日本の省エネ設備を導入して省エネ効果の実証を行う協力を進めてきました。最近では、2006年5月及び2007年9月に日中の閣僚をはじめとする官民の関係者が参加して「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催し、省エネ対策のあり方について意見交換を行いました。このフォーラムを受けて日中間の省エネ協力が活発化しており、例えば、中国の省エネ政策を担う政府関係者を対象にした研修を行うとともに、工場などでの省エネ対策を促進するため、日中政府間で省エネビジネスのモデルとなるようなプロジェクトを指定するなどの協力を進めています。

■ 東アジアサミット「東アジアのエネルギー安全保障に関する宣言」(「セブ宣言」)
 2007年1月、フィリピン・セブ島において開催された第2回東アジアサミットにおいて、我が国から日本のエネルギー協力イニシアティブ(省エネルギーの推進、バイオマスエネルギーの推進、石炭のクリーン利用等)を発表し、各国から歓迎の意が表されて議長声明が盛り込まれました。更に、省エネ目標や行動計画の策定等の具体的な行動を盛り込んだ「東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言」が採択されました。
 また、シンガポールの提唱により2007年8月には第1回東アジアサミットエネルギー大臣会合が開催され、2009年までのセブ宣言を踏まえ、具体的な取組(省エネ目標設定、バイオ燃料のベンチマーク設定、エネルギー市場統合等)について合意しました。更に、2007年11月シンガポールにおいて開催された第3回東アジアサミットにおいて、「気候変動・エネルギー及び環境に関するシンガポール宣言」を採択し、先のエネルギー大臣会合の取組が首脳間でも合意されました。

■ 気候変動、エネルギー安全保障及びクリーン開発に関するシドニーAPEC首脳宣言
 2007年9月、シドニーにおいて開催されたAPEC首脳会議に安倍総理(当時)が出席し、「美しい星50」の紹介を行い、その考え方を反映した「気候変動、エネルギー安全保障及びクリーン開発に関するシドニー宣言」が採択されました。
 2007年6月、ダーウィンにおいて開催されたAPECエネルギー大臣会合での合意を踏まえ、省エネ目標・行動計画の進捗状況のピアレビューが盛り込まれるとともに、2030年までにエネルギー効率を25%以上(2005年比)向上させるとの目標に合意しました。
(P.47-P.49)
 エネルギー技術開発は、実用化まで長期の時間と大規模投資を伴う一方、将来の不確実性が大きいことから、民間企業が持続的な取組を行うことは必ずしも容易ではなく、政府研究開発投資の役割が大きい分野であります。
 しかしながら、各国の官民のエネルギー研究開発投資は、2度にわたる石油ショックを受け増加したものの、その後の原油価格の安定に伴い、1980年をピークに停滞しています(図-58)。
 国別の投資額では、日米欧が世界を牽引しており、エネルギー安全保障に加え、気候変動問題への対応というグローバルな課題に直面する中、エネルギー分野における長期的・継続的な取組を世界が協調して推進することが不可欠となっています(図-59)。
 「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」では、エネルギー分野における革新的技術開発を加速・推進するため、発電・送電、運輸、産業、民生等の分野で、我が国が世界をリードできる技術として、CO2を大幅に削減できる21の技術を選定し、これらの技術について、長期にわたる技術開発を着実に進めていくためのマイルストーンとして、各技術の開発に向けたロードマップを作成しています。
 エネルギー革新技術の例としては、高効率石炭火力発電、二酸化炭素回収・貯留や革新的太陽光発電があります。高効率石炭火力発電は、石炭をガス化して高効率の火力発電を実現し、更に、発生したCO2を効率的に分離・回収して、地中に貯留する技術(CCS)により、CO2排出をゼロにします(図-60)。
 また、革新的太陽光発電は、量子ドットのような新構造や有機材料のような新材料等を活用した高効率・低コストな太陽電池技術や薄膜シリコン等の活用により自由に折り曲げることができ、場所を選ばずに設置可能な太陽電池技術です(図-61)。この他、様々な分野でCO2の大幅削減に資する技術が創造されることが期待されます。
(P.50)
 各地域の小学校、中学校、高等学校等の教師及び教育委員会関係者等とエネルギー教育の研究実践のための組織作り、今後のエネルギー教育推進のための実践的な研究や取組を推進するために2007年度までに、地域拠点大学33校及び地域先行拠点大学10校を選定し、エネルギー教育の推進のための研究及び組織化を実施しています。
 地域拠点大学等との連携を図りながら、エネルギー教育について特色ある先進的な取組を行う学校を「エネルギー教育実践校」として選定し、各種の実践研究を行うとともに、実践校での成果を全国の学校へ周知することにより、エネルギー教育の組織的な取組及び質的向上、多様化を図っています。2007年度までに、小学校149校、中学校94校、高等学校101校で実践しています。
 エネルギーについての知識・経験を有し、学校や地域において情報発信を行う方々に講習会を受講していただいた上で、「エネルギー・コミュニケーター」として登録し、学校の授業での外部講師を始め、各種社会教育機関やNPO等が実施するイベントや学習会での講師・パネリスト等として活躍していただくための事業を実施しています。2007年度は約700件に派遣しました。
 小学校、中学校、高等学校の教師及び大学の教育学部等教育養成課程の学生等を対象とした研修会、最新のエネルギー情勢やエネルギー・環境問題事業等に関する専門家の講演、教育実践事例発表、カリキュラム・教材開発に関するワークショップ等を開催するとともに、小学校、中学校、高等学校の授業で使用する副教材を作成し各学校へ配布しています。
目次へ戻る


利用規約法的事項プライバシーポリシー