放射線廃棄物図書館

用語集

                            

 

アクチニド
アクチノイドのうち、原子番号89のアクチニウム(Ac)を除く、原子番号90から103 までの14元素Th、Pa、U、Np、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、No、Lr の総称である。アクチニウムに類似しているという意味でこのようにいわれる。

アクチニド元素の例 半減期
アメリシウム-241  241Am
アメリシウム-243  243Am
プルトニウム-240  240Pu
プルトニウム-239  239Pu
ネプチニウム-237  237Np
433年
7380年
6560年
24100年
214万年
α核種
放射性の中でもα線を放射する放射性核種。
      *α線:「放射線」参照。
安全評価
処分システムが安全上受け入れられるものか否かを判断するため、人間とその生活環境への影響を解析した結果を基に、適切な安全指標及びその基準値と比較評価すること。
埋戻し
放射性廃棄物を定置後、処分のために掘削したピットや縦坑等を、充填材、ずりなどの物質を用いて埋めることによって廃棄物の隔離性を高めることをいう。例えば、高レベル放射性廃棄物処分場においては廃棄物パッケージを地下数百〜1000mに定置した後、坑道、通気縦坑、通路等の空間は適当な材料で充填される。この作業が埋め戻しであり、その材料を埋め戻し材という。
オーバーパック
ガラス固化体を包み込み、ガラス固化体に地下水が接触することを抑止し,地圧等の外圧からガラス固化体を保護する容器。地層処分における人工バリアの構成要素の一つ。
核種
原子の種類を原子核の構造で区別した場合、それぞれの種類のことを核種と呼ぶ。
核分裂生成物
ウラン235 などが核分裂するとまったく別の物質ができるが、これらを核分裂生成物という。

核分裂生成物の例半減期
ストロンチウム-90  90Sr
セシウム-137  137Cs
テクネチウム-99  99Tc
ジルコニウム-93  93Zr
28.5年
30.0年
21.3万年
150万年
緩衝材
オーバーパックと地層の間に充填し、地下水の浸入と放射性物質の溶出・移行を抑制するもの。さらに地層の変位を物理的に緩衝したり,地下水の水質を化学的に緩衝する働きをもつ。地層処分における人工バリアの構成要素の一つ。
ガラス固化体
再処理の過程において使用済燃料から分離される高レベル放射性廃液を、高温で加熱することにより水分を蒸発させるとともにガラス化し、キャニスターと呼ばれるステンレス製の堅牢な容器に閉じ込めた物理的・化学的に安定な廃棄物形態。高レベル放射性廃棄物と同義に用いられることもある。放射性物質を化学的に安定な形態に保持し、地下水に対する耐浸出性に優れることが特徴。地層処分における人工バリアの構成要素の一つ。
γ核種
放射線の中でもγ線を放射する放射性核種。
      *γ線:「放射線」参照。
キャニスタ
放射性廃棄物、特に使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物を収納する容器をいう。わが国では、使用済核燃料は再処理されるので、キャニスタは高レベル放射性廃棄物の容器をいうことが多い。
亀裂性媒体
地層中の地下水(および地下水中に含まれる物質)の移動を解析する上での岩体の分類の1つ。岩体中に発達した亀裂を包含し、亀裂を主要な移行経路として地下水等の動きを取扱うことができる岩体。例:カコウ岩等の結晶質岩
結晶質岩
地層処分研究における地層の分類のひとつ。性能の解析の観点から最も重要な特徴は、地下水の移動に対して亀裂性媒体として扱われること。また処分技術の観点からは、土木工学の領域で用いられる「硬岩」に近い意味で用いられる。例:カコウ岩
高レベル放射性廃棄物
再処理の過程において使用済燃料から分離される高レベル放射性廃液、またはそれをガラス固化したもの。その成分として核分裂生成物とアクチニド核種を含む。
浅地中ピット処分
廃棄物を浅地中処分する形態の一つで、地表を掘削したのち、コンクリート製の箱を設置してその中に廃棄物を定置し、モルタルなどで充填する処分方法。
 
再処理
原子力発電で生じた使用済燃料から再利用できるウランとプルトニウムを分離・回収すること。具体的な工程は、使用済燃料をせん断して硝酸に溶かした後、化学的に処理してウランとプルトニウムを回収する。回収後に残された廃液をガラスと混ぜて固化したものがガラス固化体。
シュラウド
沸騰水型軽水炉において、燃料集合体全体を包んでいる円筒形の金属隔壁で、炉心を下から上に流れる水の水量を確保するもの
使用済燃料
原子炉を運転すると、核分裂するウラン235が減少するので、一定期間(1年前後)ごとに原子炉を停止して新しい燃料に取りかえなければならない。通常、原子炉内の燃料は1回に1/3〜1/4くらい取りかえるが、このようにして取り出された燃料を使用済燃料という。
処分技術
人工バリアならびに処分施設の設計・製作・施工に係わる技術。材料工学,機械工学,土木工学などの分野に関連する。
処分施設(地層処分)
ガラス固化体を地層処分するための施設。処分するガラス固化体を搬入・検査しオーバーパックに封入するための地上施設,地下深部へ搬送するためのアクセス坑道,地下施設の建設,操業及び閉鎖を行う際に使用される主要坑道と連絡坑道,オーバーパックに封入された放射性廃棄物を埋設する処分坑道などで構成される地下施設からなる。
人工バリア
埋設された廃棄物から生活環境への放射性廃棄物の漏出の防止及び低減を期待して設けられる人工構築物。地層処分の場合、ガラス固化体、オーバーパック及び緩衝材からなる。多重バリアシステムの構成要素のひとつ。
浅地中トレンチ処分
コンクリートピットなどの人工バリアを設けず、素掘りの溝状などの空間に廃棄物を定置して埋設する処分方法。
接近シナリオ
処分システムやその環境の将来像を記述したシナリオのうち、処分された放射性廃棄物と人間が接近することにより、放射線による影響を引き起こすと考えるシナリオをいう。
セメント固化
廃棄物を容器に固型化する方法として、セメントを固型化材料として用いる方法。
浅地中処分
低レベル放射性廃棄物の処分のうち、地表付近(数十m程度まで)で行われる処分のこと。国際原子力機関(IAEA)の定義によれば、地下数mの浅地中トレンチ処分、浅地中ピット処分、地下数十mの岩洞への処分を含む処分概念である。これに対して、地層処分は、地下数百mへの処分概念について用いられている。
堆積岩
地層処分研究における地層の分類のひとつ。性能の解析の観点から最も重要な特徴は,一般的に地下水の移動に対して多孔質媒体として扱われること。また処分技術の観点からは,土木工学の領域で用いられる「軟岩」に近い意味で用いられる。例:砂岩
多孔質媒体
地層中の地下水(および地下水中に含まれる物質)の移動を解析する上での岩体の分類の1つ。移動の方向に対して、連続する微細な空隙が空間的に均一に存在することを仮定して、その中の物質の移動を取り扱うことができる岩体。例:(亀裂が発達していない)砂岩,泥岩等の堆積岩
多重バリアシステム
処分された放射性廃棄物中の放射性物質が、地下水によって人間環境に運ばれることを抑制するための仕組み。人工的に設けられる多層の安全防護系である人工バリアと地層である天然バリアよりなる。
地下水シナリオ
処分システムやその環境の将来を記述したシナリオのうち、処分された放射性廃棄物中の放射性物質が地下水によって人間環境に運ばれ,放射線による影響を引き起こすと考えるシナリオをいう。
地質環境
地層を構成する岩石やそこに存在する地下水などの要素の総称。人工バリアが置かれる環境を指す。
地質年代表(Harland et al.,1989による)
年代(百万年前)
新世代第四紀 完新世0.01
更新世1.64
第三紀新第三紀 鮮新世5.2
中新世23.3
古第三紀漸新世 35.4
始新世56.5
暁新世65.0
中世代 白亜紀  145.6
ジュラ紀  208.0
三畳紀  245.0
古世代 二畳紀  290.0
石炭紀  362.5
デボン紀  408.5
シルル紀  439.0
オルドビス紀  510.0
カンブリア紀  570
先カンブリア紀  
地層
地層処分において考慮される一定の広がりと深さをもった地層及び岩体。地質学では堆積岩などの成層構造をなした岩体に限定して「地層」と呼ぶが、成因や構成要素を限定しない点で地質学における定義とは異なり、一般の「岩体」を含む意味で用いられる。
地層処分
高レベル放射性廃棄物の最終処分としてガラス固化体を地下数百メートルより深い地層中に隔離する方法をいう。処分後のいかなる時点においても人間とその生活環境が高レベル放射性廃棄物中の放射性物質による影響を受けないようにすることを目的とする。
地層処分システム
適切な地質環境条件の下に多重バリアシステムを構築することにより、将来のいかなる時点においても、人間とその生活圏が、直接間接を問わず、処分された高レベル放射性廃棄物による影響を受けないようにするために働く仕組み。
チャンネルボックス
沸騰水型の原子炉に使用される燃料集合体に取り付けられ、水の流路を形成する四角い筒状の覆いのこと
超ウラン元素
原子番号が、ウラン(92)よりも大きい元素のこと。TRU(Trans Uranium)元素ともいう。ネプツニウム(Np)、プルトニウム(Pu)、アメリシウム(Am)、キュリウム(Cm)などがある。天然には存在せず、原子炉や加速器の利用により人工的に作られたもので、半減期が数万年以上と長いものがある。
天然バリア
処分された廃棄物と人間の生活環境との間にある地層などを指し、天然のものではあるが、廃棄物が人間の生活環境に影響を及ぼさないようにする障壁としての役割も期待される。多重バリア構成要素のひとつ。
ニアフィールド
人工バリア及び人工バリアが設置されることによって、影響を受けると考えられる周辺範囲の地層のこと。
半減期
放射性核種の量が、壊変によって最初の量の半分になるまでの時間をいい、その期間は核種によってことなる。
ファーフィールド
人工バリアの設置の影響を受けない領域の地層。ニアフィールドの外側から地表にかけての広い領域。
β核種
放射線の中でもβ線を放射する放射性核種。
      *β線:「放射線」参照。
Bq(ベクレル)
放射性の強さを表す単位。1Bqは、放射性核種が崩壊する数が1秒につき1個であるときの量。
ベントナイト
凝灰岩やガラス質流紋岩などが長年にわたる化学的な変質作用を受けて生成された、柔らかく可塑性をもち、モンモリロナイトを主成分とした粘土であり、弱アルカリ性を示す。ベントナイトの性質はそのイオン交換特性に大きな特長がある。また、水分を含むと体積が10倍以上にも膨らむ性質を有している。
放射性核種
核種のうち、放射能を有するもの。原子力発電にともない発生する放射性廃棄物に含まれる主な放射性核種は下記の通り。

核種半減期
燃料ウラン
  U-235
  U-238

7億年
45億年
超ウラン元素 ネプツニウム
  Np-237
プルトニウム
  Pu-239
アメリシウム
  Am-241
  Am-243
キュリウム
  Cm-243
  Cm-244
  Cm-245

214万年

24,000年

432年
7,370年

29年
18年
8,500年
核分裂生成物 セレン
  Se-79
ストロンチウム
  Sr-90
ジルコニウム
  Zr-93
テクネチウム
  Tc-99
パラジウム
  Pd-107
スズ
  Sn-126
ヨウ素
  I-129
セシウム
  Cs-135
  Cs-137

65,000年

29年

153万年

21万年

650万年

10万年

1,570万年

230万年
30年
放射化生成物 炭素
  C-14
コバルト
  Co-60
ニッケル
  Ni-63

5,730年

5年

100年
放射化
高いエネルギーを持った中性子等の粒子が物質に当たると、その物質が放射能を持つようになる場合がある。これを放射化という。
放射線
不安定な原子核が自然に壊れて別の原子核になるときに放出される高速の粒子または波長のごく短い電磁波。主にα線、β線、γ線、中性子線等からなる。放射線が人体に与える影響や物を透過する能力は、その種類とエネルギーによって異なる。それぞれの放射線を放出する核種をα核種、β核種、γ核種と呼ぶ。
   放射線の特性を活用し、非破壊検査、がんの治療、血液検査、滅菌処理、トレーサー利用などで、放射線や放射性物質が利用されている。一方、放射線は受けた放射線量に応じてがんなどの発生確率が増えるなど、人体への影響を考慮する必要があるので、原子力の利用にあたっては、一般公衆及び放射線業務従事者に対する放射線被ばく管理が重要である。
α線:
   原子核から放出されるヘリウム原子核(陽子2個、中性子2個からなる)。α線は、空気中を数cm程度しか飛ばないため、衣服の表面でα線が吸収され、外部からの放射線の被ばく(外部被ばく)による影響はほとんどない。しかし、α核種の場合、呼吸や食物により体内に放射性物質を摂取し、放射性物質が肺や骨などの組織に沈着などして人体の細胞や組織への影響を及ぼすこと(内部被ばく)による被ばくの寄与が大きい。このため、主にα線を放射するウランや超ウラン核種については、内部被ばくを避けることが重要である。

β線:
   原子核から放出される高速の電子。物を透過する能力はα線とγ線の中間であり、人体は、外部被ばく、内部被ばくの両方の影響を受ける。β線を放出する核種の場合、放出するβ線のエネルギーが低い14Cや3Hなどは、外部被ばくよりも内部被ばくによる影響を避けることが重要となる。エネルギーの高いβ線を放出する90Srなどは内部被ばくに加え外部被ばくを避けることも必要となる。

γ線:
   原子核からα線やβ線が出たあとに残ったエネルギーが電磁波(光の仲間)の形で出てくるもの。物を透過する能力が高く、この放射線を止めるには鉛板や分厚いコンクリート壁を必要とする。外部被ばく、内部被ばくによる人体内への影響があるため、両者を避けることが重要である。

中性子線:
   原子核から放出される中性子の流れ。電荷を持たない中性子はものを透過しやすく、物質中で原子核をはじき飛ばしたり原子核と反応したりすることにより、人体の細胞や組織へ影響を及ぼす可能性がある。中性子線を止めるには、水素原子を多く含む水やプラスチックなどを用いる必要がある。
炉内構造物
原子炉圧力容器内の炉心を構成する部材の総称。燃料、制御棒などを直接に支持または拘束する構造物。