再生可能エネルギー導入事例

11.09.08 神戸市東灘処理場の取り組み

企業や自治体の再生可能エネルギー拡大の取り組み

11.09.08

神戸市東灘処理場の取り組み

下水汚泥から生まれたバイオガスが、ガス管を通してご家庭に。
東灘処理場

アーモンドの並木がつづく水辺の遊歩道がある東灘処理場は、住民憩いの場。アーモンドの花が満開の季節には地域の方々とのイベントなども開催されているそうです。
そんな周辺地域にも親しまれる東灘処理場の再生エネルギーへの取り組みは、日本初の快挙を実現していました。

■循環型モデルの下水処理場

神戸市の東灘区に位置する「東灘処理場」は、神戸市内の3つの行政区を管理する処理場です。汚水と雨水を別々に集める分流式(一部は合流式)で、下水や下水汚泥を処理・再利用。循環型社会の重要な一端を担っています。
浄化処理された汚水は海や水リサイクルセンターへ、汚泥は濃縮槽・消化タンク・脱水機を経て脱水ケーキ(汚泥を脱水した固形物質)として六甲アイランドの東部スラッジセンターへ。さらに脱水ケーキはスラッジセンターで焼却され、焼却灰は歩道のインターロッキングブロックや車道舗装のアスファルトフィラーに生まれ変わって活用されます。

■汚泥から発生する消化ガスの活用

東灘処理場で特に注目されるのが、バイオガス精製です。汚泥処理の過程で発生する消化ガスの有効活用をめざした取り組みです。
汚泥から発生する、メタンを主成分とする消化ガス(バイオガス)は有効活用が期待される再生可能エネルギーです。これまでも、処理場内で発生したバイオガスは、給湯やボイラの燃料など処理場内のエネルギー源として活用されてきました。

バイオガスを発生させる卵型汚泥消化タンク

バイオガスを発生させる卵型汚泥消化タンク

バイオガス精製図解

バイオガス精製図解

■「こうべバイオガス」の誕生

しかし、カロリーが低く不純物を含んだバイオガスは場内利用に限られていました。そこで神戸市、神鋼環境ソリューション、独立行政法人 土木研究所によってバイオガスの利用用途の拡大が検討され、取り組まれたのが、第一段のバイオガスの精製です。
9気圧まで加圧されたバイオガスを吸収塔の下から吹き上げ、高圧水と対向流で接触させることで、二酸化炭素、硫化水素、シロキサンなどの不純物が水に溶け出して除去できます。
こうしてできたメタン98%のバイオガスは「こうべバイオガス」という名称で、平成20年4月から販売されています。

バイオガス精製設備

バイオガス精製設備

■第一段は天然ガス自動車への供給

「こうべバイオガス」は天然ガス自動車の燃料として、市バスや運送トラックなどに販売され活用されています。東灘処理場に隣接するバイオガスステーションには、市バスや運送トラックがガスを注入に訪れます。バイオガスの契約台数は約140余台。このガスステーションには1日平均で約35台が利用に訪れているそうです。「こうべバイオガス」の開発は消化ガスの有効利用と同時に、車による二酸化炭素排出量削減の一端も担っています。

完全無人のこうべバイオガスステーション

完全無人のこうべバイオガスステーション

■第二段は大阪ガスへの供給

天然ガス自動車への供給を経て、東灘処理場でさらに消化ガス100%有効利用をめざして取り組んだのは、都市ガスとして直接ガス導管に注入することで、神戸市、神鋼環境ソリューション、大阪ガスの三者で検討を進めました。
こうべバイオガスはメタンガス98%の高品質ガスですが、都市ガスとは成分や熱量が異なるため、都市ガスとの同等の水準にまで高度精製、さらに大阪ガスと同じ匂いをプラス。きびしい都市ガス基準をクリアして、平成21年10月から、大阪ガス導管への注入を開始しました。都市ガスの製造所を通すことなく直接供給するのは、日本初の試みです。これによるCO2 削減量は年間で約1,200t にも及ぶそうです。

都市ガス化設備

都市ガス化設備

大阪ガス導管注入

大阪ガス導管注入

■東灘地区は循環型コミュニケーション地域

東灘処理場は神戸市のクリーンセンターに近いため、両者を結ぶ地下トンネル内の電力ケーブルを通じ、ごみ焼却熱で発電された余剰電力を安く購入しています。また、六甲アイランドにある東部スラッジセンターとも海底トンネルで結ばれ、安い電気と処理水を送っています。さらに、天然ガス燃料のバスを有する神戸市バス車庫も処理場上部にあり、近接したバイオガスステーションで給ガスしています。
処理場内から地域へ、さらに神戸市全体へと広がる循環型社会のモデルがここにはありました。

■将来は神戸スイーツも都市ガスに!?

神戸市の目標は、汚泥から発生する消化ガスの100%有効活用だそうです。第一段の自動車燃料への活用では65%程度の利用率にとどまっていましたが、都市ガス導管注入によって100%の有効活用が達成できるようになりました。バイオガスの有効活用にはこれからもさらなる取り組みが期待されています。それと同時に、さまざまな廃棄物からのバイオガスを取り出す構想も。たくさんの洋菓子が全国的に有名な神戸なだけに、洋菓子の廃棄物からバイオガスをというアイデアも伺いました。スイーツや間伐材から都市ガス、という実証事業が東灘処理場で始まりますので、近い将来には実現するかもしれません。

大阪ガス株式会社
こうべバイオガス:プレスリリース

 

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