第1節 各部門における省エネルギーの取組

1.業務・家庭部門における省エネルギーの取組

我が国の業務・家庭部門は、産業部門に比べてエネルギー消費原単位の改善が進んでいない状況にあり、またエネルギーコストが家計支出全体に占める割合が少ないことからも、省エネルギー対策が進みにくいと考えられます。こうした状況に対して、トップランナー制度により機器の高効率化を一層進めるとともに、住宅や建築物の省エネ性能の向上、特に家庭のエネルギー消費量の1/4程度を占める空調の効果的な利用に資する、住宅・建築物の外皮(壁・窓等)の高断熱化が重要といえます。さらに、住宅の高断熱化は省エネのみならず、高血圧症等の健康改善や、ヒートショックリスク低減といった効果も期待されており、こうした間接的便益(NEB:Non-Energy Benefit)の視点も重要となっています。

【第321-1-1】住宅からの熱損失の割合

住宅からの熱損失の割合

東京地域の標準的住宅の例

<具体的な主要施策>

(1)省エネ法に基づくトップランナー制度による機器の効率改善【制度】

省エネ法に基づくトップランナー制度とは、自動車や家電製品といったエネルギーを消費する機器を指定し、その時点で最も優れている機器の性能や技術開発の将来の見通し等を勘案して省エネルギー基準を定め、製造事業者及び輸入事業者に対し、目標年度以降に当該基準を満たすことを求める制度です。同制度を通じて機器の効率改善を促した結果、多くの機器において、基準の策定当初の見込みを上回る効率改善が達成されています。

2016年3月にはトップランナー制度における電気冷蔵庫及び電気冷凍庫の新たな基準等を策定しました。加えて、2015年には、ショーケースのトップランナー機器への追加について、「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会業務用冷蔵庫及びショーケース等判断基準ワーキンググループ」において審議を行いました。

(2)省エネルギー機器に関する情報提供

家電製品やOA機器等について、消費者が省エネルギー機器を選択しやすくすることにより省エネルギー機器の普及を図ること及び機器の製造事業者等に対して一層の効率改善努力を促すことを目的として、省エネルギーラベリング制度1及び国際エネルギースタープログラム制度2の普及啓発を行いました。

また、小売事業者が製品の省エネルギー関連情報を表示するための統一省エネルギーラベルについての普及啓発を行いました。現在の統一省エネルギーラベルの対象品目は、テレビジョン受信機、エアコンディショナー、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気便座、蛍光灯器具(家庭用)の6品目です。

(3)スマートマンション導入加速化推進事業【2012年度補正:130.5億円】

エネルギーマネジメントシステムの民生部門への普及を進めるため、マンション全体のエネルギー管理支援サービスを行う事業者(MEMS(マンション・エネルギー・マネジメント・システム)アグリゲータ)を通じて、MEMSの設置費用の一部を補助する事業を実施しました。

(4) 大規模HEMS情報基盤整備事【2015年度当初:24.2億円】

家庭部門において、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)から得られるデータを活用した効果・経済性の高い新しいエネルギーマネジメントを実現するため、2014年度は、1万4千世帯にHEMSを導入し、これをクラウド管理する情報基盤のシステムを構築しました。

2015年度は当該情報基盤を用いてエネルギーマネジメントを実施する中で、データ処理やセキュリティ等の課題抽出、対処を通じた当該システムの標準化を進めるとともに、消費者の実際の声を反映したプライバシー上の対応策を検討し、消費者が安心できる電力利用データの利活用環境を整備しました。

(5) スマートライフジャパン推進フォーラムと連携した情報提供事業

一般消費者からも省エネルギーに対する理解と協力を得るため、省エネルギーに関する情報提供事業として、省エネ機器や創エネ・蓄エネ機器を活用し、エネルギーを無理なく効率的に賢く利用する「スマートライフ」の実現のために立ち上げられた民間団体「スマートライフジャパン推進フォーラム」と連携し、夏季・冬季の省エネ・節電キャンペーンを実施しました。

具体的には、特設ウェブサイトの開設、新聞広告・テレビCMによる宣伝、節電・省エネを促すアプリのアイデアコンテスト(アイデアソン)開催、事業者との協力による、省エネに賛同する一般消費者への省エネ家電等プレゼントキャンペーンの実施等です。これら省エネ・節電キャンペーンには、夏季は民間企業等55社、一般消費者約2.3万人、冬季は民間企業等55社、一般消費者約3.5万人が参加しました。

(6) ZEB・ZEHの実現・普及に向けたロードマップの策定

ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)とは、室内外の環境品質を低下させることなく、自然エネルギーの利用や高い断熱性能と高効率設備による可能な限りの省エネルギー化と再生可能エネルギーの導入により、年間での一次エネルギー消費量が正味でゼロ又は概ねゼロとなる建築物、住宅のことであり、業務・家庭部門におけるエネルギー需給の抜本的改善に資するものです。

エネルギー基本計画において、「建築物については、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現することを目指す。また、住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」とする政策目標が設定されました。これを受けて、2020年の目標に向けたZEB・ZEHの実現・普及の道筋を示すべく、2015年度にロードマップ検討委員会を開催して、ZEB・ZEHの定義や評価方法、普及方策等を議論し、パブリックコメントを経て取りまとめを行いました。

(7)住宅・建築物の省エネルギー基準の適合義務化

エネルギー基本計画において、規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、2020年までに新築住宅・建築物の段階的な省エネ基準適合義務化を行うとしています。2015年7月には住宅以外の一定規模以上の建築物のエネルギー消費性能基準への適合義務の創設、エネルギー消費性能向上計画の認定制度の創設等の措置を講ずる「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)が公布されました。その後、エネルギー消費性能基準等の整備について、「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会建築物エネルギー消費性能基準等ワーキンググループ」(国土交通省との合同会議)において、審議を行いました。なお、認定制度等の誘導措置については2016年4月施行であり、適合義務等の規制措置については2017年4月に施行を予定しています。

(8)住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業【2014年度補正:150.0億円、2015年度当初:7.6億円】

建築物については、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向け、年間の一次エネルギー消費量を一定以上削減できる省エネルギー建築物に対し、その構成要素となる高性能設備機器や高性能建材等の導入支援を行いました。住宅については、高断熱性能、高性能設備と制御機構等を組み合わせて、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を実現する建築主等へ支援を行いました。また、既存住宅等の改修に対し、一定の省エネルギー性能を満たす高性能な断熱材や窓等の導入支援を行いました。

(9) 住宅省エネリノベーション促進事業【2015年度補正:100.0億円】

住宅の省エネ化を図るリノベーションを促進するため、一定の高い省エネルギー性能を満たす断熱材や窓等を活用した断熱改修を支援するとともに、戸建住宅においては、この断熱改修と同時に行う高性能な家庭用設備(給湯設備等)の導入支援を行いました。

(10)低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援事業のうち省CO2型福祉施設等モデル支援事業【2015年度当初:73.0億円の内数】

公共性が高い社会システムの省エネ・省CO2化対策の一つとして、病院又は福祉関係施設へガスコージェネレーション設備の導入を促進しました。

(11)環境・ストック活用推進事業【2015年度当初:60.8億円】

住宅・建築物の省エネ対策を促進するため、先導的な省CO2技術を導入する住宅・建築物リーディングプロジェクト、中小工務店によるゼロ・エネルギー住宅の取組、住宅・建築物ストックの省エネ改修及び既存住宅の長寿命化等に対して支援を行いました。

(12)住宅に係る省エネルギー改修税制【税制】

既存住宅において一定の省エネルギー改修(高断熱窓への取替え等)を行った場合で、当該改修に要した費用が一定額以上のものについて、所得税の控除及び固定資産税の特例措置が講じられています。

(13)優良住宅整備促進事業【2015年度当初:254.3億円の内数】

住宅金融支援機構が行う証券化支援事業の枠組みを活用し、省エネルギー性に優れた住宅を取得する際の金利の引下げを行うフラット35Sを実施しました。

(14)住宅性能表示制度等の効果的運用【制度】

住宅の性能について消費者等の選択を支援するため、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、省エネルギー性能を含む住宅の性能を分かりやすく表示する「住宅性能表示制度」の普及に加え、建築物を室内等の環境品質・性能の向上と省エネルギー等の環境負荷の低減という両面から総合的に評価し、分かりやすく表示するシステムであるCASBEE(建築環境総合性能評価システム)の開発及びその普及を推進しました。

また、建築物省エネ法における誘導措置(2016年4月施行)として、省エネ性能の優れた建築物の認定制度や、表示制度が位置付けられ、法36条に基づく省エネ基準適合認定マークや、法7条に基づく省エネ性能表示のガイドラインに従った「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:Building-HousingEnergy -efficiency Labeling System)」の普及促進を図っています。

(15)低炭素住宅・建築物の認定【制度】

「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づき、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に定められている省エネルギー基準より高い省エネルギー性能を有し、低炭素化に資する措置等が一定以上講じられている低炭素認定建築物の普及促進を図りました。

(16)低炭素ライフスタイル構築に向けた診断促進事業【2015年度当初:1.1億円】

各家庭で省エネ・省CO2化を促進するためには、ライフスタイルに応じた具体的なアドバイスが効果的であることが分かりました。

そこで、さらなる低炭素ライフスタイルへの転換を促進し、家庭部門からのCO2削減を実現することを目的に、「家庭エコ診断制度」を実施し、民間企業や地域主体のネットワークを活用して、家庭における着実な省エネを推進しました。

(17)超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発【2015年度当初:25.0億円】

今後情報処理量が急増すると予想されるサーバ等のIT機器の消費電力を大幅に削減するため、電気を光に変換する小型チップを開発し、光回路と電子回路を組み合わせて、IT機器の省電力、高速、小型化が可能となる光エレクトロニクス技術開発を行いました。

(18)革新的低消費電力型インタラクティブディスプレイプロジェクト【2015年度当初:5.3億円】

有機EL材料を用いたフレキシブルかつ超低消費電力化が可能なシートディスプレイの技術開発を行いました。

(19)クリーンデバイス多用途実装戦略事業【 2015年度当初:17.6億円】

大きな省エネポテンシャルを有する革新的デバイスを多様な用途に活用すべく、標準化・共通化、信頼性・安全性担保の方針策定等の基盤整備を開始しました。これにより民間活力を引き出し、革新的デバイスを実装した新たな製品・サービスを創出することで省エネを促進しています。

(20)高効率ノンフロン型空調機器技術の開発【2015年度当初:2.5億円】

業務用エアコン等の冷媒として使用されるハイドロフルオロカーボン(HFC)は地球温暖化係数(GWP)が二酸化炭素の数千倍と高いため、GWPを大幅に下げた冷媒を用いつつ、従来より省エネルギー化を図る空調システムの研究開発、冷媒の性能・安全性評価等を実施しました。

(21)HEMS等に係る標準化に関する取組【制度】

民生部門のエネルギーマネジメント等を普及拡大していくためには、発電所から家電機器までが一つのネットワークで繋がり、相互に通信可能な環境が整うことが必要です。そのため、産学官の検討の場である「スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会」において、HEMSを中心とした家庭内機器の通信規格である「ECHONET Lite」の普及拡大に向けた取組等を推進しています。

2015年度は、HEMSと重点機器との相互接続性強化のための第三者認証の実施に向けた認証スキームの構築を行うとともに、「ECHONET Lite」対応製品の国際展開を見据えた国際標準化の取組を進め、9月にミドルウェア部分についても国際標準化を完了しました。また、2014年度に引き続き行われた大規模HEMS情報基盤整備事業と連携し、HEMSから得られる電力利用データの利活用を推進するため、当該基盤の標準化及びプライバシー上の対応策の検討を実施しました。

さらに、太陽光発電の出力制御システムとHEMSとの連携のあり方について検討を進めるとともに、IoT(Internet of Things)技術を活用したより効率的なエネルギー活用の実現に向けて、アグリゲータが需要家側のエネルギーリソース(太陽光発電施設、蓄電池、電気自動車、エネファーム、ネガワット等)を最適遠隔制御する「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス」のユースケースとして、蓄電池の群制御に対応した通信規格のあり方について検討を開始しました。

2.運輸部門における多様な省エネルギー対策の推進

運輸部門の最終エネルギー消費量は、2001年をピークに、近年減少傾向にあるものの、依然最終エネルギー消費量全体の2割以上を占めています。特に自動車に係るエネルギーの消費量がその大部分を占めているため、その省エネルギー化が重要であると同時に、鉄道や船舶などその他の輸送手段においても更なる省エネが重要です。自動車については、燃費改善等の自動車単体での対策を進めるとともに、自動車の走行を効率化する省エネルギーに資する環状道路等幹線道路ネットワークの強化や高度道路交通システム(ITS)の推進など、交通流対策等を含めた総合的取組を進めています。

<具体的な主要施策>

(1)自動車の燃費基準【規制】

自動車燃費基準については、省エネ法に基づくトップランナー制度が導入された1999年に2010年度燃費基準を、2007年に2015年度燃費基準を策定する等、順次見直しを実施してきました。これらにより、ガソリン乗用車では2010年度に1995年度と比較して、約49%の改善が図られました。また、2006年には、世界初の重量車に対する燃費基準(2015年度基準)を策定しました。2013年には、更なる省エネルギーの推進等の観点から、乗用車の2020年度燃費基準を策定しました。加えて、2015年には、小型貨物自動車の2022年度燃費基準を策定し、併せて乗用車等の燃費基準に国際調和燃費・排出ガス試験法(WLTP)を導入することが「『総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会自動車判断基準ワーキンググループ』『交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会自動車燃費基準小委員会』合同会議」において取りまとめられました。これに基づき、今後、関連法令の改正を行う予定となっています。

(2)自動車重量税・自動車取得税の減免措置【税制】

2009年度に導入したエコカー減税について、地球温暖化対策の推進、自動車産業の技術的優位性の確保・向上等の観点も踏まえ、2020年度燃費基準への移行を進めるとともに、2015年度燃費基準による従来の減税対象車の一部を引き続き減税対象とし、延長しました(自動車重量税:2015年4月から2017年4月末まで、自動車取得税:2015年4月から2017年3月末まで)。

(3)軽自動車税の減免措置【税制】

排出ガス性能及び燃費性能が優れた環境負荷の小さい軽自動車(四輪)に対して、軽自動車税の軽減措置(グリーン化特例)が新たに創設されました。(2015年4月から2016年3月末まで)。

(4)クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金【2014年度補正:100.0億円、2015年度当初:200.0億円】

運輸分野における二酸化炭素の排出抑制や石油依存度の低減を図るため、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、クリーンディーゼル自動車、燃料電池自動車等を導入する者に対し従来車との価格差からランニングコスト差による回収分を差し引いた金額の一定割合の補助を行いました。

(5)中小トラック運送業者における低炭素化推進事業【2015年当初:29.6億円】

投資余力の少ない中小事業者が燃費性能の低い長期経年車を使用し続けている状況に鑑み、中小事業者のCO2排出削減対策として、燃費性能の高い環境対応車両への代替を促進するため、先進環境対応型ディーゼルトラックの導入に対する補助を行いました。

(6) クリーンディーゼルエンジン技術の高度化に関する研究開発【2015年度当初:5.0億円】

自動車の燃費向上及び排気ガス低減に向け、自動車産業のみならず、自動車産業以外の産業や大学等における研究成果を活用したクリーンディーゼルエンジン技術の高度化に関する研究開発に対して、補助を行いました。

(7)交通需要マネジメントの推進

依然として厳しい道路交通渋滞を緩和し、道路交通の円滑化を図るため、バイパス・環状道路の整備や交差点の改良等の交通容量の拡大策等に加えて、既存ネットワークの最適利用を図るなど道路を賢く使う取組として、パークアンドライドの推進、情報提供の充実、相乗りの促進、時差通勤・通学、フレックスタイム制の導入等により、道路利用に工夫を求め、輸送効率の向上や交通量の時間的・空間的平準化を図る交通需要マネジメント(TDM)を推進しました。

(8)高度道路交通システム(ITS)の推進

渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図る高度道路交通システム(ITS)を推進するとともに、そのための基盤技術研究開発の促進を図りました。

(9) グリーン自動車技術調査研究事業【2015年度当初:1.5億円】

隊列自動走行をはじめとする自動走行システム等について、具体的なアプリケーション等を設定した上で、社会受容性や事業可能性を調査し、実用化に向けたプロセスを整理しました。また、自動走行システム等に関する海外の研究開発や標準化等の環境整備の状況を調査し、実用化に向けた国際協調を検討するとともに、我が国がこの分野で世界をリードするに当たって必要な戦略の検討に活用しました。

(10)道路交通情報提供事業の推進

交通管制システム等で収集した道路交通情報を積極的に提供するほか、民間事業者が行う道路交通情報提供サービスの多様化・高度化を支援することにより、渋滞緩和及び環境負荷低減を図りました。

(11)違法駐車対策の推進【規制】【制度】

都市における円滑な交通流を阻害している違法駐車を防止し排除するため、駐車規制の見直し、地域の実態に応じた取締り活動ガイドラインによる取締りの推進、違法駐車抑止システム及び駐車誘導システムの運用等のハード・ソフト一体となった駐車対策を推進しました。

(12)路上工事の縮減

電気・通信・上下水道等のライフラインをまとめて収容し、道路の掘り返しを抜本的に縮減する共同溝整備を推進するとともに、複数の占用企業者等が工事実施時期を合わせて施工する共同施工の実施等、効率的な道路工事を推進しました。また、年末年始・年度末、観光シーズン及び地域の行事等の工事抑制を実施するなど、地方公共団体や占用企業者等とともに、地域の道路利用を踏まえたきめ細やかな路上工事対策を実施しました。

(13)交通安全施設等の整備【2015年度当初:181.7億円】

交通管制システムの高度化及び信号機の改良等を推進し、交差点における発進・停止回数を減少させること等により道路交通の円滑化等を図るとともに、消費電力が電球式の約6分の1以下であるLED式信号機の整備を推進しました。

(14)道路施設の省エネルギー化

道路照明灯の新設及び既設の高圧ナトリウム灯等の更新に当たり、省エネルギー対策や環境負荷の低減に資するLED道路照明灯の整備を実施しました。

(15)モーダルシフト、物流の効率化等

鉄道・内航海運等のエネルギー消費効率が優れた輸送機関の活用を進めるため、関係事業者・国土交通省等により、幹線輸送の低炭素化に資するモーダルシフトに必要な設備導入経費の一部補助、貨物輸送における環境にやさしい鉄道・海運の利用促進を図ることを目的とした「エコレールマーク」・「エコシップマーク」の普及・促進等、鉄道や内航海運の利便性向上のための施策を推進することによりモーダルシフトを推進しました。併せて、「モーダルシフト等推進事業」において、荷主企業と物流事業者が協力して行う事業への支援を実施するとともに、「グリーン物流パートナーシップ会議」において、荷主企業、物流事業者等の関係者の連携による、物流分野における環境負荷の低減、物流の生産性向上等持続可能な物流体系の構築に資する優れた取組を行った事業者に対して国土交通大臣表彰、国土交通省物流審議官表彰、経済産業大臣表彰、経済産業省商務流通保安審議官表彰等を授与しました。

また、物流の効率化に資するよう、トラックの大型化・トレーラー化によるトラック輸送の効率化、国際物流に対応した道路ネットワークの整備、港湾における省エネルギー化の取組や港湾のターミナル施設の整備、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」による支援等を進めることを通じて、効率的な物流体系の構築を推進しました。

(16)低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援基金のうち、物流の低炭素化促進事業【2015年度当初:73.0億円の内数】

地域の低炭素化に貢献する物流システムを構築するため、共同輸配送の実現に要する設備導入経費や、物流設備の省エネ化・物流業務の効率化の一体的実施に必要な設備導入経費、大型CNGトラック購入費やCNG充填施設の整備費、モーダルシフトに必要な設備導入経費の一部補助を行い、地域内輸送、幹線輸送、物流拠点の各段階におけるCO2抑制に資する効果的な対策を総合的に支援しました。

(17)エネルギー起源CO2排出削減技術評価・検証事業のうち、物流の低炭素化促進事業【2015年度当初:40億円の内数】

物流の低炭素化を効果的・効率的に促進するため、輸出入コンテナ貨物の鉄道輸送促進に向け、トンネルの高さの制約を受けずに、背高海上コンテナの鉄道輸送を可能とする低床貨車の開発を行うとともに、異業種共同配送の促進に向けたマッチングの仕組みの検討を行いました。

(18)次世代物流システム構築事業費補助金【 2015年度当初:3.2億円】

従前の施策だけでは十分に省エネ対策を図ることができない運輸分野について、荷主と連携して行う環境負荷低減及び物流効率化のための先行事業を行いました。

(19)鉄道分野の更なる環境性能向上に資する取組

鉄道分野における更なる省エネ・省電力化・低炭素化の取組を推進するため、節電、省エネ効果が期待される次世代ハイブリッド車両等の技術開発を推進するとともに、「エコレールラインプロジェクト」等により、エネルギー効率の良い車両の導入、鉄道駅や運転司令所等に対する再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入等、省電力化、低炭素化について計画的に取り組む鉄道事業者を支援しました。

(20)鉄道技術開発費補助事業【 2015年度当初:5.7億円】

節電、省エネ効果が期待される次世代ハイブリッド車両の開発といった鉄道分野の安全対策、環境対策等に係る技術開発に要する費用の一部を補助しました。

(21)エネルギー起源CO2排出削減技術評価・検証事業のうちエコレールラインプロジェクト事業【2015年度当初:40.0億円の内数】

地下鉄を中心に採用されている交通システムであるリニアメトロの更なる省エネ化のための技術の効果検証を行いました。

(22)低炭素価値向上に向けた社会システム構築支援事業のうちエコレールラインプロジェクト事業【2015年度当初:73.0億円の内数】

駅や運転司令所等の施設に対する再生可能エネルギー発電施設等の導入、車両等の設備の省エネ化を推進する鉄・軌道事業者等に対し、補助を行いました。

(23)公共交通機関の利用促進

鉄道・バス等公共交通機関については、混雑緩和、輸送力増強、速達性の向上等を図ることが重要な課題として、鉄道については、三大都市圏において、混雑緩和や速達性向上のための都市鉄道新線や複々線化等の整備を推進しました。また、貨物線の旅客線化等の既存ストックの高度利用を推進するとともに、乗継円滑化等に対する支援措置を講じることによる利用者利便の向上施策を講じました。

一方、バスについては、公共車両優先システム(PTPS)の整備、バス専用・優先レーンの設定等により、定時運行の確保を図るとともに、バスロケーションシステムの整備等に対する支援措置を講じることによる利用者利便の向上施策を講じました。また、事業所単位でのエコ通勤の取組支援として、エコ通勤優良事業所認証制度により644事業所を認証・登録(2016年3月末現在登録数)し、マイカーから公共交通等への利用転換の促進を図りました。

(24)エコドライブの普及・推進

警察庁、経済産業省、国土交通省及び環境省で構成する「エコドライブ普及連絡会」において、行楽シーズンであり自動車に乗る機会が多くなる11月を「エコドライブ推進月間」とし、シンポジウムの開催や全国各地でのイベント等を連携して推進し、積極的な広報を行いました。併せて、当該連絡会が策定した「エコドライブ10のすすめ」の普及・推進に努めました。

(25)省エネルギー型ロジスティクス等推進事業費補助金【2015年度当初:51.1億円】

荷主・運輸部門の省エネを推進するため、トラック運送事業者等によるエコドライブの効果を実証する事業やタクシー事業者による最適配車システムの実証事業、海運事業者等による革新的な省エネルギー型海上輸送システムの実証事業等に係る費用の一部を補助しました。また、自動車の省エネ性能の維持を図るため、整備事業者によるスキャンツールの購入費用の一部を補助しました。

(26)省エネ法に基づく運輸分野の省エネルギー措置について【規制】

2005年に改正した省エネ法において、一定規模以上の輸送事業者及び荷主に対し省エネルギー計画の策定、エネルギー使用状況の報告を義務付ける等、運輸分野における対策を導入しました。2015年度においても、引き続き省エネ法に関する周知徹底等、事業者の省エネルギー取組の推進を行うとともに、省エネ法に基づく事業者からの定期報告書の内容から、省エネルギーの取組が不十分であると判断された事業者に対して、エネルギー管理の徹底を図るべく、省エネ法に基づく指導を実施する等の措置を行いました。

(27)革新的新構造材料等技術開発【 2015年度当初:42.6億円】

軽量化による燃費改善が見込まれる自動車等の輸送機器への適用を軸に、部素材・製品メーカー、大学等が連携し、強度、加工性等の複数の機能を同時に向上する炭素繊維複合材料、革新鋼板、マグネシウム合金等非鉄軽金属材料等の高性能材料の開発、それらの異種材料の接合技術の開発等を実施しました。

(28)革新型蓄電池先端科学基礎研究事業【 2015年度当初:31.0億円】

2030年に500Wh/kgの蓄電池開発を見通すことができる革新型蓄電池の実用化に向けた、基礎的研究や先端解析技術を駆使した反応メカニズムの解明を行いました。

(29)リチウムイオン電池応用・実用化先端技術開発【2015年度当初:25.0億円】

電気自動車等に搭載するリチウムイオン電池の性能を限界まで追求する技術開発を行うとともに、安全性・寿命等に関する試験方法の開発を行いました。

3.産業部門等における省エネルギーの加速

産業部門の最終エネルギー消費量は、1970年代の石油危機以降、省エネルギー設備の積極的導入によって、石油危機以降2割近く減少しているが、依然として全体の4割以上を占めていることから、今後もより一層の省エネルギーを進めていく必要があります。

そのため、省エネルギー設備投資や、製造プロセスの改善等を含む省エネルギー改修に対する支援など多様な施策を用意することで、企業自ら最善の省エネルギー対策を進めていく環境を整備しています。

さらに、業種横断的に、大幅な省エネルギーを実現する革新的な技術の開発を促進しています。加えて、スマートなエネルギー使用の取組を促すため、FEMS(工場のエネルギー管理システム)やBEMS(ビルのエネルギー管理システム)などのエネルギーマネジメントシステム設備の導入を促すとともに、エネルギーマネジメントの手順を定めたISO50001の認証取得を促進し、省エネルギー対策の情報提供等を実施しています。

<具体的な主要施策>

(1)省エネ法に基づくエネルギー管理の徹底【制度】

省エネ法に基づき指定された特定事業者等から提出された定期報告書並びに省エネ法に基づく第一種エネルギー管理指定工場等、第二種エネルギー管理指定工場等及び特定事業者等の本社機能を有する事務所を対象とした現地調査により、工場等判断基準の遵守状況等を確認しました。確認の結果、省エネルギーの取組が不十分であると判断された事業者に対して、エネルギー管理の徹底を図るべく、省エネ法に基づく指導を実施する等の措置を行いました。

これまで、現地調査は努力目標1%削減未達の事業者からランダムに抽出して実施していたところ、これを定期報告の評価の結果として省エネ取組が停滞している事業者を効果的に抽出するために、2015年度には省エネ法の定期報告を提出する全ての事業者をS・A・B・Cの4段階へクラス分けを行い、事業者クラス分け評価制度を創設しました。Bクラスへ位置付けられた、省エネの取組が停滞している事業者をより重点的に調査することで、事業者の省エネ取組を促していきます。

また、事業者の未利用熱購入を省エネ取組として評価する未利用熱活用制度を創設し、定期報告のエネルギー消費原単位の算出にあたって、購入した未利用熱分のエネルギーを差し引くこととしました。さらに、産業部門の業種を対象としていたベンチマーク制度を業務部門へと拡大し、2015年度はコンビニエンスストア業界にベンチマーク制度を導入しました。

(2) 地域工場・中小企業等省エネルギー設備導入促進事業【2014年度補正:929.5億円】

エネルギーコストの高止まりに苦しむ地域の工場・事務所・店舗等における、最新モデルの省エネルギー機器等の導入費用や既存設備の更新・改修費用の一部を補助する支援を行いました。また、地域の中小企業等における省エネや節電等のニーズに応えるべく、地域ごとにきめ細かな省エネ相談を実施する省エネ相談地域プラットフォームを構築しました。

(3)エネルギー使用合理化等事業者支援事業【2015年度当初:410.0億円】

工場・事業場等において、省エネルギー効果や電力ピーク対策効果が高く、費用対効果が優れた先端的な設備等の導入を促進するため、これらを導入する事業者に対して費用の一部を補助する支援を行いました。また、同様に複数工場間で一体となって省エネを行う事業者に対しても支援を行いました。

(4) 中小企業等の省エネ・生産性革命投資促進事業【2015年度補正:442.0億円】

導入する設備ごとの省エネ効果等で簡易に申請が行える補助制度を創設しました。高効率の省エネ設備への更新等を重点的に支援することで、中小企業等の事業の生産性や省エネ性能を向上させ、競争力の強化につなげます。

(5)低炭素社会実行計画の推進・強化【制度】

2013年度以降の産業界の地球温暖化対策の中心的な取組である「低炭素社会実行計画」の2014年度実績について、審議会による厳格な評価・検証を実施するとともに、一部の省庁において、審議会開催前の事前質問プロセスの活用や開示情報の増強などの改善を行いました。さらに、各産業の計画や実績データ等の情報を集約したポータルサイト(日英両語)を通じ、国内外への情報発信を強化しました。また、2015年6月に、国際エネルギー機関(IEA)本部において国際ワークショップ「産業/ビジネスにおける炭素削減にかかる補完的手段:価格付けや規制以外の自主的取組・その他アプローチ」が開催されました。同ワークショップでは、カーボンプライシングや規制的手法以外の自主的取組等について、欧米やアジアからの官民多様な立場の専門家や参加者により議論が行われ、経験や分析等の情報が共有されました。その中で、日本の産業界からは、プレッジ&レビュー方式の自主的取組が地球温暖化対策として重要な政策手法である、との紹介がなされました。さらに、2020年以降の我が国の約束草案の決定に先立って、2015年4月に経団連が2030年を目標年限とする低炭素社会実行計画(フェーズⅡ)を発表し、政府としても各業界の計画策定を慫慂してきました。2016年3月末までに94業種が2030年を目標年限とする計画を策定し、2012年度の国内エネルギー起源CO2排出量に占める割合は、産業部門・エネルギー転換部門の8割、日本全体の5割に達しています。

(6) 戦略的省エネルギー技術革新プログラム【2015年度当初:75.0億円】

開発リスクの高い革新的な省エネルギー技術について、シーズ発掘から事業化まで一貫して支援を行う提案公募型研究開発事業を実施しました。2015年度においては、「省エネルギー技術戦略2011」に掲げる重要技術を軸に、インキュベーション6件、実用化28件、実証4件の計38件を新規採択しました。

【第321-3-1】戦略的省エネルギー技術革新プログラムのイメージ図

戦略的省エネルギー技術革新プログラムのイメージ図

(7) 次世代パワーエレクトロニクス技術開発プロジェクト【2015年度当初:25.0億円】

電力損失の低減を図る技術であるパワーエレクトロニクスについて、パワー半導体の新材料として高性能化が期待されるSiC(炭化ケイ素)を応用した次世代機器等の開発を実施しました。また、従来から用いているSi(ケイ素)パワー半導体に革新的な手法を用いて現状の性能限界を突破するための開発を実施しました。

(8) グリーン購入・調達及び環境配慮契約の推進【制度】

国等における省エネルギー機器・設備を始めとした環境物品等の率先的な調達は、その初期需要創出や市場拡大に寄与するとともに、我が国全体での当該物品等の普及に資するものとして意義があり、国及び独立行政法人等は、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)及び「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」(環境配慮契約法)を踏まえ、照明や空調設備等の物品等を調達する際には、率先して省エネルギー機器・設備を導入するとともに、電力の供給を受ける契約等において環境配慮契約の推進に取り組みました。また、2015年度は、グリーン購入法においてガスヒートポンプ式冷暖房機、LED道路照明等の特定調達品目に係る判断の基準等の見直しを行いました。

(9) グリーン貢献量認証制度等基盤整備事業【2015年度当初:5.8億円】

J-クレジット制度の運営及び同制度を活用する中小企業等に対し、申請書の作成支援等を実施するとともに、同制度におけるクレジット需要を開拓するため、各種制度との連携を図りつつ、クレジット活用推進事業を行いました。

(10)エネルギー使用合理化特定設備等導入促進事業費補助金【2015年度当初:26.1億円】

省エネルギー設備の導入や一部のトップランナー機器の設置を行う事業者が民間金融機関等から融資を受ける際に低利とするため、利子補給金を交付しました。

(11)省エネルギー対策導入促進事業【2015年度当初:5.5億円】

省エネルギーに関する人材、技術及び資金が十分でない中堅・中小企業に対し、省エネルギー技術の導入可能性に関する診断事業等を行いました。また、地方公共団体等が参加費無料で開催する省エネ等に関する説明会やセミナー等に、省エネルギー及び節電の専門家を無料で派遣しました。さらに、診断事例については専用ホームページ(shindan-net.jp)の掲載及び各種イベントにおけるパネルや動画等を用いた紹介等、積極的な情報提供を行いました。これにより、中堅・中小企業における省エネルギーを促進しました。

(12)環境調和型製鉄プロセス技術開発【2015年度当初:47.8億円】

我が国の鉄鋼業は、排熱回収利用等の主要な省エネルギー設備を既に導入しており、製鉄プロセスにおけるエネルギー効率が世界最高水準であると同時にエネルギーの削減ポテンシャルが少ない状況です。他方で、高炉法による製鉄プロセスでは鉄鉱石を石炭コークスで還元するため、多量の二酸化炭素排出は避けられません。二酸化炭素排出量の約3割を削減することを目指して、①コークス製造時に発生する高温の副生ガスに含まれる水素を増幅し、コークスの一部代替に当該水素を用いて鉄鉱石を還元する技術、②二酸化炭素濃度が高い高炉ガスから二酸化炭素を分離するため、製鉄所内の未利用低温排熱を利用した新たな二酸化炭素分離・回収技術の開発等を行いました(第321-3-2)。

【第321-3-2】環境調和型製鉄プロセスのイメージ図

環境調和型製鉄プロセスのイメージ図

4.部門横断的な省エネルギーの取組

各部門における徹底した省エネルギーだけでなく、部門横断的に省エネルギーを促していくことも重要です。事業者や消費者など、各主体に対し、積極的な省エネルギーを促しました。

<具体的な主要施策>

(1)省エネルギー設備導入等促進広報事業【2015年度当初:3.3億円の内数】

省エネルギーの推進主体となる国民各層に対し、省エネに関する情報を提供したり、夏季及び冬季を中心に、積極的な省エネを促すため、各種メディアを活用したきめ細かなキャンペーンなどを実施しました。

(2)低炭素型の地域づくりの推進

都道府県、指定都市、中核市(施行時特例市含む)については、2008年の地球温暖化対策推進法の改正により、地方公共団体実行計画において、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画を定めることになりました。計画策定を推進するため、政府においては、土地利用・交通、地区・街区に関する都市・地域の低炭素化手法の検討を行うとともに、計画策定を推進するための研修会や説明会を行いました。また、2014年に引き続き、先導的「低炭素・循環・自然共生」地域創出事業(グリーンプラン・パートナーシップ事業)により、更なる計画策定の推進と計画に位置付けられた事業の実施支援による計画の内容充実を図ることとしました。

さらに、都市の低炭素化の促進を図り、もって都市の健全な発展に寄与するため、都市機能の集約や、それと連携した公共交通の利用促進、建築物の低炭素化等の施策を講じる「都市の低炭素化の促進に関する法律」が2012年12月に施行され、同法に基づく市町村による低炭素まちづくり計画の作成や各種の事業、取組に対して、財政措置等を通じ、低炭素まちづくりの実現に向けた総合的な支援を行いました。

加えて、低炭素型の地域づくりを推進するため、先進技術の地域での適用に関する技術実証や、エコレールラインプロジェクト事業等による公共交通の低炭素化、未利用エネルギーや自然資本の活用、先進的技術の導入を計画的・集中的に実施する地域の取組を支援しました。

(3 )地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例(地球温暖化対策のための税)

我が国で排出される温室効果ガスの約9割は、エネルギー利用に由来する二酸化炭素(エネルギー起源CO2)となっており、今後温室効果ガスを抜本的に削減するためには、中長期的にエネルギー起源CO2の排出抑制対策を強化していくことが不可欠です。

このため、2012年10月から施行されている地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例の税収を活用して、省エネルギー対策、再生可能エネルギー普及、化石燃料のクリーン化・効率化などのエネルギー起源CO2排出抑制の諸施策を着実に実施していきます。

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トップランナー制度の基準を達成している機器であることを消費者に分かりやすく表示するためのJISに基づくラベリング制度です。2015年3月現在、特定エネルギー消費機器28機器のうちテレビジョン受信機、エアコンディショナー等を始めとする21機器が対象となっています。
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1995年10月に通商産業省(当時)と米国環境保護庁との間で交わされた合意文書に基づき実施される、省エネ型OA機器(コンピュータ、プリンタ、ファクシミリ等)に関する表示制度です。