第4節 二次エネルギーの動向

1.電力

(1) 消費の動向

電力消費全体は、オイルショックの1973年度以降、着実に増加し、1973年度から2007年度の間に2.6倍に拡大しました29(第214-1-1)。ただし、2008年度から、世界的金融危機の影響で生産が低迷し、企業向けを中心に電力消費が減少に転じました。2010年度は前年度より3.8%の増加とやや回復しました。しかしながら、東京電力福島第一原発事故を発端に、電力需給がひっ迫する中で電力使用制限令や節電目標が設定されたこともあり、2011年度は前年度より5.1%、2012年度は1.0%の減少となりました。このうち、1973年度から2012年度の間に電灯の使用電力量は3.9倍に増大し、鉱工業の使用電力量の増加は1.4倍にとどまったため、電灯と業務用電力等を含む民生用需要が約7割を占めるに至りました。

【第214-1-1】電灯電力使用電力量の推移

【第214-1-1】電灯電力使用電力量の推移

【第214-1-1】電灯電力使用電力量の推移(xls/xlsx形式:47KB)

(注)
電気事業用計、電力には特定規模需要、特定供給、自家消費を含む。
(出典)
電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集」を基に作成

電力消費の増加は、長期的にみても民生用消費によって牽引されてきました。これは、家庭部門では生活水準の向上等により、エアコンや電気カーペット等冷暖房用途の機器の普及が急速に伸びていること等によるものです。業務部門の電力消費の増加は、事務所ビルの増加や、経済の情報化・サービス化の進展を反映したオフィスビルにおけるOA機器の急速な普及等によるものです。電力化率は、1970年度には12.7%でしたが、2012年度では23.0%に達しました。

また、自家発電、自家消費電力(以下「自家発」という。)はエネルギー消費におけるコスト削減の観点から増加し続け、2004年度時点で約1,310億kWhとピークに達しました。その後、燃料コストの上昇により、自家消費電力は年々減少を続け、2009年度に約1,047億kWhまで下がりましたが、2012年度は窯業土石を中心に自家発需要が増加し、1,152億kWhとなり、大口需要(産業用)全体の自家発比率は30%となりました。自家発の比率を業種別にみますと、製造業で最も自家発の比率が高かったのは、石油・石炭製品製造で76%、以下、紙・パルプ65%、鉄鋼52%、化学50%、繊維47%、窯業・土石24%と続きました。

電気の使われ方には季節や昼夜間で大きな差があります。特に近年では、冷房等による「夏季需要」の割合が高いため、電気の使われ方の差が大きくなりました(第214-1-2、第214-1-3)。

【第214-1-2】夏季1日の電気使用量の推移(年間最大電力を記録した日)(10電力30計)

【第214-1-2】夏季1日の電気使用量の推移(年間最大電力を記録した日)

【第214-1-2】夏季1日の電気使用量の推移(年間最大電力を記録した日)(ppt形式:216KB)

(注)
1975年度は9電力計。
(出典)
電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集」を基に作成

【第214-1-3】1年間の電気使用量の推移(10電力計)

【第214-1-3】1年間の電気使用量の推移(10電力計)

【第214-1-3】1年間の電気使用量の推移(10電力計)(xls/xlsx形式:49KB)

(注)
1975、1985年度は9電力計。
(出典)
電気事業連合会調べ

電気は貯蔵しておくことができないため、需要のピークに見合った発電設備が必要となります。したがって、このように需要の格差が拡大するほど利用効率等が悪化し、電力供給コストを上昇させることになります。また、電力の負荷平準化対策は、電力需要の急激な増加に伴う電力供給上のリスクを軽減し、電力供給システムの安定化、信頼性向上にも寄与することになります。発電設備の利用効率を表す年負荷率(年間の最大電力に対する年間の平均電力の比率)をみますと、1970年代には、概ね60%を上回る水準で推移していましたが、1980年代以降は、猛暑・冷夏により変動しているものの、50%台にその水準が低下しました。ここ数年、負荷平準化対策により、我が国の年負荷率は改善されつつあり、60%台まで改善しています。とりわけ、夏季の最大需用電力の減少幅が需要電力量の減少幅を大きく上回った2009年度は、66.7%と高い値でした。2010年度には62.5%まで下がりましたが、2011年度には67.8%と再び高い値を記録しました(第214-1-4)。

【第214-1-4】先進各国の年負荷率比較(2011年)

【第214-1-4】先進各国の年負荷率比較(2011年)

(出典)
海外電力調査会「海外電気事業統計2013年版」、電気事業連合会「電気事業便覧平成25年版」を基に作成

(2) 供給の動向

発電設備容量の推移をみると、1963年度に初めて火力発電設備出力が水力発電設備出力を上回り、いわゆる「火主水従」の発電形態に移行しました。その後の電源開発は、石炭火力から石油火力への転換により、大容量・高効率の石油火力発電所を中心に進められました。

しかし、1973年度の第一次オイルショックを契機として、原子力発電、石炭火力発電、LNG火力発電等の石油代替電源の開発が積極的に進められ、電源の多様化が図られてきました。この結果、2012年度末の発電設備容量(10電力計(受電を含む))の電源構成は、原子力18.7%(4,615万kW)、LNG火力27.1%(6,696万kW)、石炭火力15.7%(3,880万kW)、石油等火力18.8%(4,634万kW)、水力19.2%(4,747万kW)となりました(第214-1-5)。

【第214-1-5】発電設備容量の推移(一般電気事業用)

【第214-1-5】発電設備容量の推移(一般電気事業用)

【第214-1-5】発電設備容量の推移(一般電気事業用)(xls/xlsx形式:76KB)

(注)
1971年度までは9電力会社計。
(出典)
資源エネルギー庁「電源開発の概要」、「電力供給計画の概要」を基に作成

また、発電電力量(一般電気事業用)でみた場合、2012年度の発電電力量のシェアは、原子力1.7%、石炭火力27.6%、LNG火力42.5%、石油等火力18.3%、水力8.4%となりました。

我が国の原子力開発は、1955年に原子力基本法が制定されて以来、既に50年以上が経過しました。1966年には初の商業用原子力発電所である日本原子力発電(株)東海発電所(16.6万kW)が営業運転を開始し、2010年度には発電量が2,882億kWhとなりました。しかしながら、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故後、検査等で停止中の原子力発電所が徐々に増加し、2012年度の発電量は159億kWhとなりました。

石炭は確認可採埋蔵量が豊富で、比較的政情が安定している国々に広く存在しているため供給安定性に優れ、石油・LNG等より相対的に安価なことから、第一次オイルショック以降、安定供給の観点から石炭火力発電の導入が図られてきており、2012年度の石炭火力の発電電力量(10電力計(受電を含む))は、2,593億kWh、1973年度との比較では約15倍の水準となりました。

LNGは、1969年にアラスカから購入が開始されて以来、安定的かつクリーンなエネルギーとしての特性を生かし、環境規制の厳しい都市圏での大気汚染防止対策上、極めて有効な発電用燃料として導入されてきました。二度のオイルショックを経て、石油代替エネルギーの重要な柱となり、その導入が促進されてきました。2011年度以降は原発代替としての利用が進み、2012年度のLNG火力の発電電力量は3,997億kWh、1973年度との比較では約45倍の水準となりました31

火力発電所の熱効率は年々上昇して、1951年の9電力発足当時の約19%(9電力平均)から現在は約42%(10電力平均)となっており、最新鋭の1,500℃級コンバインドサイクル発電では約53%(HHV32)の熱効率を達成しました。

石油による発電は第一次オイルショック以降、1980年代前半は、石油代替エネルギーの開発・導入等により減少基調で推移しました。1984年以降、一時的に増加傾向に転じましたが、原子力の新規運転開始・高稼働等により、ベースミドル電源からピーク対応電源へと移行しており、その発電電力量は著しく減少しました。2012年度の石油等の火力発電電力量は、1,718億kWh、1973年との比較では、約6割の水準となりました。2011年度以降、原子力発電所の稼働率の低下等を補うため、短期的に石油火力の発電量が上昇しています。

水力は、戦前から開発が始まり、大規模な水力発電所はほぼ開発されており、発電電力量は、横ばいの状態が続き、2012年度の水力の発電電力量は787億kWh、1973年度に比べ、1.2倍の水準となりました(第214-1-6)。

【第214-1-6】発電電力量の推移(一般電気事業用)

【第214-1-6】発電電力量の推移(一般電気事業用)

【第214-1-6】発電電力量の推移(一般電気事業用)(xls/xlsx形式:82KB)

(注)
1971年度までは9電力会社計。
(出典)
資源エネルギー庁「電源開発の概要」、「電力供給計画の概要」を基に作成

(3) 価格の動向

電気料金は、オイルショック後には当時石油火力が主流だったこともあり急上昇しましたが、その後は低下傾向となりました。1994年度から2007年度の間において、単純比較では約2割低下しました。2008年度では、上半期までの歴史的な原油価格の高騰や、原子力稼働率の低下による、火力発電比率の増加なども相まって、電気料金が比較的大きい幅で上昇しました。2009年度では原油などの燃料の価格が落ち着きを取り戻し、電気料金が2007年度水準に回復しましたが、2011年度以降は火力発電所の稼働増、燃料価格高騰により、再び電気料金が上昇しました(第214-1-7)。

(注)
電灯料金は、主に一般家庭部門における電気料金の平均単価で、電力料金は、自由化対象需要分を含み、主に工場、オフィス等に対する電気料金の平均単価。平均単価の算定方法は、電灯料収入、電力料収入をそれぞれ電灯、電力の販売電力量(kWh)で除したもの。
(出典)
電力需要実績(確報)、各電力会社決算資料を基に作成

事業者の効率化努力の及ばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし、1996年1月に燃料費調整制度が導入されました。この制度は、原油・LNG・石炭の円建て輸入価格に基づき平均燃料価格を算出し、基準平均燃料価格からの変動分を基に、料金改定時で電気料金を自動的に調整する仕組みとなっています。2009年5月に、燃料価格の変動をより迅速に電気料金に反映させるために、制度が見直され、料金反映までの期間を1か月短縮し最短である2か月とした上で、3か月分の平均燃料価格を毎月反映する仕組みになりました。

2.ガス

(1) 全体

我が国のガス供給の主な形態には、ガス事業法で規制されている〔1〕一般ガス事業(いわゆる「都市ガス」と呼ばれています)及び〔2〕簡易ガス事業、〔3〕ガス導管事業者、〔4〕大口ガス事業者、及び〔5〕「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」で規制されている液化石油ガス販売事業(以下「LPガス販売事業」という。)等の形態が存在します(第214-2-1)。

【第214-2-1】ガス事業の主な形態(2012年時点)

【第214-2-1】ガス事業の主な形態(2012年時点)

(2) 一般ガス事業

消費の動向

一般ガス事業における消費は、これまで家庭用・工業用・商業用消費のいずれも着実に増加してきました。その構成の推移をみると、かつて、消費の中心であった家庭用消費のシェアは、1990年代以降、5割を下回る一方、工業用・商業用消費のシェアが急速に増大し、工業用消費のシェアは2007年には5割を上回りました(第214-2-2)。

【第214-2-2】用途別都市ガス販売量の推移

【第214-2-2】用途別都市ガス販売量の推移

【第214-2-2】用途別都市ガス販売量の推移(xls/xlsx形式:83KB)

(出典)
日本ガス協会「ガス事業便覧」等を基に作成

また、近年の販売量の推移をみても、2002年度から2012年度までの10年間で家庭用都市ガス販売量がほぼ横ばいである一方で、工業用、商業用・その他用はそれぞれ1.7倍、1.1倍に拡大しており、その傾向が現れました。

消費増加の要因をみると、都市ガス需要家件数の約9割を占める家庭用では、供給区域の拡大とともに需要家件数も伸び、消費の増加につながりました。一方、工業用では、LNGを導入した大手ガス事業者における産業用の大規模・高負荷需要(季節間の使用量変動が少ない等)を顕在化させる料金制度の導入等により、1980年以降、大規模需要家への天然ガス導入が急速に進んだことに加えて、近年のガス利用設備に係る技術革新の進展や地球環境問題への対応の要請等により、1件当たりの消費量が急激に伸びたことが大幅な消費の増加につながりました。

供給の動向

一般ガス事業における原料は、その主体を石炭系ガスから石油系ガスに、石油系ガスから天然ガスへと変遷を遂げてきました。天然ガスは、一部の国産天然ガスを除き、その大部分が大手一般ガス事業者を中心としたLNG輸入プロジェクト(海外の産出先との長期契約)により調達されてきました。原料に占める天然ガスの割合は年々高まってきており、1980年代に入って50%を超え、2012年度には、約96%を占めるに至りました(第214-2-3)。

【第214-2-3】原料別都市ガス生産・購入量の推移

【第214-2-3】原料別都市ガス生産・購入量の推移

【第214-2-3】原料別都市ガス生産・購入量の推移(xls/xlsx形式:90KB)

(出典)
日本ガス協会「ガス事業便覧」等を基に作成

このように天然ガスの導入は、大手一般ガス事業者を中心に拡大しました。2014年1月時点で現在209事業者中208事業者が天然ガスを中心とした高カロリー化を実施しました。

また、一般ガス事業者の供給ガスの調達方法としては、大手事業者等では上記のように海外からLNGを調達していますが、石油系のガスを主な原料としている事業者では石油元売りからLPガスを調達しています。他の一般ガス事業者や国産天然ガス事業者等から卸供給を受ける場合もあります。

一方、ガス供給インフラであるパイプライン網については、我が国の場合、これまで消費地近傍に建設したLNG基地等のガス製造施設を起点としたパイプライン網となっており、一部の地域において、国産天然ガス事業者による長距離輸送導管や大規模消費地における大手一般ガス事業者の輸送導管はある程度発達していますが、基本的には、消費地ごとに独立したパイプライン網となっています。

価格の動向

都市ガスの小売価格は、オイルショック後に急上昇しましたが、1983年度以降、低下傾向にありました。規制料金である都市ガス小口料金部門においても、1995年の制度改正後、大手事業者を中心として数度の料金改定が実施され、価格が引き下げられました。また、都市ガスの平均販売単価(m3当たりの販売価格)は、1995年から2004年度まで、LNG輸入価格の上昇傾向等を受けて原料費が上昇しているものの、労務費等のコスト削減努力や大口需要家の増加等を背景に低下傾向をたどりました。その後、2005年以降、LNG輸入価格大幅の上昇の影響を吸収できず、都市ガス価格が上昇傾向に転じました。2009年には、世界的な景気後退によるLNG輸入価格の下降があり、都市ガス価格も減少傾向に転じましたが、2010年度以降は再びLNG輸入価格が上昇し、都市ガス価格もやや上昇しました(第214-2-4)。

【第214-2-4】都市ガス価格及びLNG価格の推移

【第214-2-4】都市ガス価格及びLNG価格の推移

【第214-2-4】都市ガス価格及びLNG価格の推移(xls/xlsx形式:52KB)

(出典)
日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧」を基に作成

ガス料金を国際比較すると、小売自由化後は内外価格差が縮小していましたが、近年のシェールガスの生産増加により北米との価格差が拡大しており、我が国のガス料金は欧米先進国と比べ、家庭用、産業用ともに約1.4~4.6倍程度となりました。これは、天然ガスの輸送形態が複雑なこと(LNGで輸入後、再気化)、需要家1件当たりの使用規模が欧米の3分の1から7分の1と小さいこと、及び導管埋設の施工環境(特に市街地における工事帯延長の確保の問題、他埋設物との輻輳による導管の浅層埋設の困難等)が厳しいこと等の理由によります。

(3) 簡易ガス事業

簡易ガス事業における消費は、1970年の制度創設以来、家庭用を中心とした消費が着実に増加してきましたが、近年は大手事業者への売却などにより減少傾向にあります。簡易ガス事業は、LPガスバルクによる供給設備やLPガスボンベを集中する等簡易なガス発生設備によるガス供給であるという特性から、その用途として家庭用が約94%を占め、残りが商業用等の用途となりました。また、簡易ガスの料金はオイルショック後に急上昇し(1986年426円/m3)、1987年に低下して以降(1987年372円/m3)、2004年までほぼ横ばいで推移してきましたが(2004年382円/m3)、2005年以降上昇してきました(2013年3月末現在476円/m3)(第214-2-5)。簡易ガス事業は、2013年12月末現在、事業者数で1,452事業者であり、その供給地点群数は7,567地点群(計約186万地点)に上りました。2013年の年間生産量(販売量)は、167,122,526m3で、調定数メーター当たりの全国平均販売量(m3/月)は、11.57m3でした。

【第214-2-5】簡易ガス全国平均価格の推移

【第214-2-5】簡易ガス全国平均価格の推移

【第214-2-5】簡易ガス全国平均価格の推移(xls/xlsx形式:40KB)

(出典)
日本ガス協会「ガス事業便覧」を基に作成

(4) ガス導管事業・大口ガス事業

2003年のガス事業法改正により、一般ガス事業者以外で一定規模以上の導管を維持・運用してガス供給(大口供給・卸供給・託送供給)を行う電気事業者あるいは国産天然ガス事業者等が「ガス導管事業者」として位置付けられ、新たに託送等の役割を担うこととなりました。また、ガス導管事業者のように一定規模以上の導管を維持及び運用していない主体で大口供給を行っている事業者を「大口ガス事業者」といいます。

ガス導管事業者は、2014年4月1日現在、事業者数で24事業者であり、ガス導管事業者及び大口ガス事業者による大口供給は、35事業者298件(許可、届出ベース)となりました。

(5) LPガス販売事業

需給の動向

LPガスは全国世帯の過半数で使用されているほか、大部分のタクシー等の自動車用、工業用、化学原料用、都市ガス、電力用等幅広い用途に使われる等、国民生活に密着したエネルギーです。

LPガスは、プロパンガスとブタンガスの2種類があり、プロパンガスは主として家庭用・業務用、ブタンガスは主として産業用、自動車用に使用されてきました。

価格の動向

家庭用LPガスの料金は、電気・都市ガスの規制料金とは異なり、販売事業者がそれぞれの料金計算方法によって料金を設定する方式になっていますが、近年の輸入価格上昇に伴い上昇傾向となりました。

家庭用LPガス価格の構成をみると小売段階での配送費、人件費、保安費等が約6割を占めているため、小売価格低減のためには、各流通段階、とりわけ小売段階での合理化・効率化努力が求められました。

3.熱供給

熱供給事業とは、一般的には地域冷暖房等と呼ばれ、一定地域の建物群に対し、蒸気・温水・冷水等の熱媒を熱源プラントから導管を通じて供給する事業です(第214-3-1)。

【第214-3-1】熱供給事業の概要

【第214-3-1】熱供給事業の概要

(出典)
日本熱供給事業協会ホームページ

熱供給事業は、それぞれの施設・建物が個別に冷温水発生機などの熱源設備を設置する自己熱源方式とは異なり、供給地区内に設置された熱源プラントで熱供給を集約して行う効果により省エネルギー、環境負荷の低減といった効果が得られます。さらに、都市エネルギー供給システムとして複数の施設・建物への効率的なエネルギー供給、施設・建物間でのエネルギー融通、未利用エネルギーの活用等、エネルギーの面的利用は地域における大きな省CO2効果があるとして期待されています。そのほか、各建築物内に熱源設備や屋上へ冷却塔を設置する必要がなくなるため、震災時等の二次災害防止や屋上ヘリポートの設置を行うことができます。さらに、熱源プラントの蓄熱槽や受水槽の水を火災や震災発生時に利用できるなど災害に強いまちづくりに資する事業です。

熱供給事業は「熱供給事業法」に基づき、21GJ/h以上の加熱能力をもって一般の需要に応じて熱供給を行う事業を指し、我が国の熱供給事業は2013年3月末現在で、事業許可区域数は141区域(81事業者)となりました(第214-3-2)。

【第214-3-2】熱供給事業の年度別許可推移

【第214-3-2】熱供給事業の年度別許可推移

【第214-3-2】熱供給事業の年度別許可推移(xls/xlsx形式:38KB)

(出典)
日本熱供給事業協会「熱供給事業便覧」を基に作成

2012年度の販売熱量(約2,250万GJ)を熱媒体別にみると、冷熱需要が大半を占め(57%)、以下、温熱(40%)、給湯・直接蒸気(3%)となりました。使用燃料は、都市ガスが大半を占め(70%)、以下、電力(17%)、排熱利用(8%)等がありました。近年、海水、河川水、下水、清掃工場排熱等の「未利用エネルギー」を利用する形態やコージェネレーションシステムの活用等の形態も出てきました。現在、未利用エネルギー活用36地点、コージェネレーションシステム活用26地点、蓄熱槽活用80地点(2013年3月末現在)となりました。

4.石油製品

(1) 消費の動向

我が国の石油製品消費の推移をみると、第一次オイルショックまでは急激な右肩上がりで伸びてきましたが、二度にわたるオイルショックにより原油価格が高騰し、燃料油販売量は減少に転じました。その後、1986年以降は、原油価格が下落したことと円高方向で為替の変動が続いたことによって石油価格が安定的に推移したため、堅調な消費の伸びを見せましたが、1990年代半ば以降はほぼ横ばい、2003年度以降は2009年度までは前年比で減少、2010年度以降は再び前年比で増加の状況となりました。

油種別構成を概観すると、自動車の保有台数が伸びたことによりガソリン・軽油の販売量が相対的に増加したこと、石油化学産業の消費の伸びに応じてナフサの販売量が増加したこと、ジェット燃料の消費が増えたこと等から、いわゆる白油化33が進んできました。

B重油及びC重油の販売量の比率は、オイルショック前では50%以上でしたが、1980年代以降、製造業部門の省エネルギー化による需要減少や石炭、天然ガス等石油以外の燃料への転換、電力部門における石油火力の縮小等により販売量は減少し、石油製品全体に占める割合は、2010年度で9%となりました。震災以降は、原子力発電所稼働率低下による石油火力の稼働率上昇の結果、2012年度は14%まで再び上昇しました(第214-4-1)。

【第214-4-1】燃料油の油種別販売量の内訳

【第214-4-1】燃料油の油種別販売量の内訳

【第214-4-1】燃料油の油種別販売量の内訳(xls/xlsx形式:52KB)

(注)
2002年1月よりB重油はC重油に含まれる。
(出典)
経済産業省「資源・エネルギー統計年報」を基に作成

石油製品の用途は自動車等運輸関係が多く、次いで化学原料となりました。家庭・業務用のシェアは第3位となり、鉱工業は近年減少傾向にありましたが、2011年度は増加しました(第214-4-2)。

【第214-4-2】石油製品の用途別消費量

【第214-4-2】石油製品の用途別消費量

【第214-4-2】石油製品の用途別消費量(xls/xlsx形式:132KB)

(出典)
石油連盟「今日の石油産業データ集」を基に作成

(2) 価格の動向

特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)34廃止の検討が開始された1994年初頭以降、日本の石油価格はガソリンを中心に大幅に下落しました。しかし、2003年後半以降は、中国の石油消費・輸入が拡大する等世界の需要が拡大したこと、これに対する原油供給が伸び悩んだこと、イラクやイラン等一部の産油国の情勢混乱による原油供給に対する不安が存在することや、こうした将来的な需給懸念や世界的な過剰流動性を背景に資金が原油先物市場に流出入していることなどから世界的に原油価格が乱高下してきました。2008年7月には、ニューヨーク市場の原油(WTI)が一時史上最高値であるバレル147ドルを記録しましたが、その後、アメリカ発の金融危機による悪影響の世界的な実体経済への波及等を背景に原油価格は大きく下落しました。その後、中東情勢の不安定化や世界的な原油需要の回復により、再び上昇しました。このような状況から日本の原油輸入価格も大きく乱高下しており、それに伴って石油製品価格も大きく変動してきました(第214-4-3)。

【第214-4-3】原油輸入価格と石油製品小売価格

【第214-4-3】原油輸入価格と石油製品小売価格

【第214-4-3】原油輸入価格と石油製品小売価格(xls/xlsx形式:108KB)

(出典)
日本エネルギー経済研究所石油情報センター、日本関税協会「日本貿易月表」を基に作成
29
我が国の電力需要は、現行制度において、〔1〕電灯(一般家庭等向け)、〔2〕低圧電力(商店や小規模工場等向け)、〔3〕その他電力(〔1〕~〔2〕のカテゴリーに入らない契約電力50kW未満のもの)、〔4〕特定規模需要(全ての高圧需要家(原則50kW以上))、〔5〕自家発電等に分けられます。
30
北海道電力(株)、東北電力(株)、東京電力(株)、中部電力(株)、北陸電力(株)、関西電力(株)、中国電力(株)、四国電力(株)、九州電力(株)、沖縄電力(株)。
31
2009年8月にエネルギー供給構造高度化法が施行されました。この法律は、電気やガス、石油事業者といったエネルギー供給事業者に対して、太陽光、風力等の再生可能エネルギー源、原子力等の非化石エネルギー源の利用や化石エネルギー原料の有効な利用を促進するために必要な措置を講じることを目的としています。
32
HHVとは高位発熱量(Higher Heating Value)の略
33
燃料油は白油と黒油に大別されます。白油とは、ガソリン、灯油、軽油等、無色透明あるいはそれに近い色相のものをいい、黒油とは、重油等、黒い色相のものをいいます。
34
1986年1月に10年間の時限立法として施行された法律で、ガソリン、灯油、軽油の3つの石油製品を特定石油製品と定め、これらの供給の安定性を維持する目的から、輸入は、緊急時に製品を国内で生産する能力、備蓄能力、品質維持能力の三要件を持つ者に限られ、実質的には石油精製業者に限定されていました。特石法は1996年3月に廃止となり、石油の備蓄、品質の確保等の条件は残ったものの、製品輸入は自由化されることになりました。