第2節 水素エネルギー社会の実現

1.水素エネルギー社会の構築

水素エネルギーは、化石燃料だけでなく再生可能エネルギーからも製造可能なことから、エネルギーセキュリティーの向上に資するとともに、利用段階で二酸化炭素を排出しない低炭素型のエネルギー媒体であり、今後、民生・産業部門の分散型電源システムや輸送用途の有力なエネルギー源の一つとして一層の活用が期待されるため、中長期的視点から、水素エネルギーを有効活用する社会システムの構築を目指します。

2.2012(平成24)年度において水素エネルギー社会の構築に向けた長期的な取組に関して講じた施策

(1) 燃料電池自動車の普及拡大に向けた取組

燃料電池自動車は2015年からの市場投入に向け国際的に開発競争が行われています。このため、燃料電池自動車の市場投入に向けた環境整備として、2015年までに4大都市圏(首都圏、中部、関西、北部九州)を中心として100ヶ所の水素供給設備の整備を目指します。

(2) 家庭用燃料電池の普及拡大に向けた取組

民生用燃料電池導入支援補助金(9,000百万円)7

2009 年度から世界に先駆けて本格販売が開始された家庭用燃料電池システム(エネファーム)の早期の自立的な市場の確立を目指し、導入初期段階における市場を創出するため、設置者に対し、導入費用の一部を補助しました。

(3) 燃料電池/水素エネルギー利用技術開発等8

(ア)固体高分子形燃料電池実用化推進技術開発事業(3,500百万円)

自動車用及び定置用として利用される固体高分子形燃料電池(PEFC)の実用化推進と更なる普及拡大に向けて、電解質膜や電極触媒を中心とした性能向上・低コスト化に資する基礎的技術開発及び実用化技術開発を行いました。

(イ)固体酸化物形燃料電池システム要素技術開発事業(618百万円)

固体酸化物形燃料電池(SOFC)について、耐久性・信頼性向上のためのセルスタック(発電部位)の劣化機構解析を行うとともに、実用性向上のための技術開発を行いました。

(ウ)固体酸化物形燃料電池システムを用いた産業用発電プラント研究開発事業(900百万円)

火力発電システムの大幅な効率向上を目指し、既存のガスタービン複合発電システムに固体酸化物形燃料電池(SOFC)を組み合わせたトリプルコンバインドサイクル発電システムの実用化のための要素技術の開発を行いました。

(エ)水素製造・輸送・貯蔵システム等技術開発(1,500百万円)

水素供給設備に必要な機器やシステム等の技術開発を行うとともに、2015年の燃料電池自動車の市場投入に向けた規制見直しに必要なデータ取得、国際標準への提案等を行いました。

(オ)水素先端科学基礎研究事業(800百万円)

水素供給設備の設計に必要となる高温・高圧下状態における水素の物性データを測定し、インフラ整備に用いる材料について水素脆化、水素トライボロジー等に関する研究を行うとともに、水素貯蔵材料に関する開発を行いました。

(カ)地域水素供給インフラ技術・社会実証(3,006百万円)

2015年の燃料電池自動車市場投入に向けて水素ステーションを国内3箇所商用実証として整備するとともに、実使用条件に近い状態で燃料電池自動車への水素充填を実施し、機器やシステムの稼働に係る実証試験を行いました。

(キ)高効率水素製造等技術開発(852百万円) 再掲 第2章2節3(4)① 参照)
(ク)新エネルギーベンチャー技術革新事業(1,600 百万円)

太陽光発電、風力発電、バイオマス、燃料電池・蓄電池等における中小・ベンチャー企業が有する潜在的技術シーズを発掘し、その開発及び実用化を支援しました。

(4) 高圧ガス保安法等の規制への対応9

ハード、ソフト両面の環境整備及び関係行政機関による連携

新エネルギーを一層普及させるため、ハード面では、クリーンエネルギー自動車の燃料等を供給するための設備や2015年の燃料電池自動車の市場投入に向けた水素供給設備の整備のための技術実証等を行い、ソフト面では、住宅用太陽光発電システムに係る価格動向や施行品質向上に関する調査等を行いました。また、バイオマスについては、「バイオマス活用推進基本計画」を踏まえ、関係省庁と連携しながら、バイオマス資源を高効率にエネルギー転換する技術開発や実証試験等を行い、バイオマスの利活用を推進しました。また、2012年2月に関係府省合同で「バイオマス事業化戦略検討チーム」を設置し、バイオマス利用技術の評価と事業化に向けた戦略の検討を行いました。更に、風力発電の導入については、風力発電設置の際の土地の使用に関する諸手続に時間を要するという問題があるため、関係省庁において、各種規制緩和の議論を行いました。加えて、2015年の燃料電池自動車・水素供給設備の市場投入に向けて、2010年6月18日に閣議決定された「規制・制度改革に係る対処方針」に基づき、 2010年12月に「規制の再点検に係る工程表」を公表しており、これに則って民間団体等が行うデータの取得や有識者による検討等を支援し、規制の再点検を進めました。これにより、水素供給設備において、より高圧(70MPa)の水素を市街地で充塡するための省令等の改正が2012年11月に行われました。