第2節 原子力発電

1.原子力政策の変遷

我が国の原子力開発は、1954年の保守3党による原子力予算の計上で幕を開けました。当時、我が国の原子力の開発状況は先進国に比べ著しく立ち遅れていました。そこで、できる限り速やかに原子力開発利用を推進する必要が指摘され、1955年、自主・民主・公開の三原則に従いその利用を平和目的に限ることを謳った「原子力基本法」が制定されました。

原子力開発の行政機構としては、1956年に「原子力基本法」に基づき、国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営を図るため原子力委員会が発足するとともに、総理府に原子力局が設置され、推進体制が整備されました。また、原子力委員会により、安全の確保、平和利用の堅持等の原子力に係る基本的考え方、我が国の原子力研究開発利用の基本方針や推進方策等を示した「原子力開発利用長期基本計画(当時)」が策定(以降約5年毎に改定)されました。以上のような経過を経て、我が国最初の商業用原子力発電所(日本原子力発電(株)東海発電所)が1965年5月に臨界を記録し、翌1966年に営業運転を開始しました。

第一次オイルショックにより電力危機への不安が増大したこと等を背景として、1974年、政府は、いわゆる電源三法(電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法2、発電用施設周辺地域整備法)により、発電用施設周辺地域の整備や安全対策をはじめとする発電施設の設置円滑化のために必要な交付金や補助金を交付する制度を創設し、電源立地を促進するための基盤を整備しました。翌1975年には、原子力発電の安全性に関する調査・実証実験等の委託費及び、原子力発電施設の耐震信頼性実証実験や原子力広報研修施設整備費等の補助金が新設されました。

更に、第二次オイルショックを経て、新エネルギーの開発・導入とともに原子力開発の推進が図られました。

2000年5月には、原子力発電を推進するに当たり、適切な対策が不可欠である高レベル放射性廃棄物の処分を計画的かつ確実に実施するため、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」が成立しました。これにより、高レベル放射性廃棄物の処分実施主体の設立、処分費用の確保方策、3段階の処分地選定プロセス等が定められました。

2001年1月の中央省庁再編時には、安全性の確保をより確実なものとするため、エネルギー利用に関する原子力安全規制と、電力・ガス・鉱山等に関する産業保安を一元的に担う原子力安全・保安院が発足しました3

2005年10月には、今後10年程度の間の我が国の原子力政策の基本的考え方等を示す「原子力政策大綱(「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」から改称)」が原子力委員会により策定され、2010年12月より改定の検討を開始しましたが、2011年3月に福島第一原発事故が発生したことを踏まえ、検討を一時中断し、同年9月に再開しました。また、東京電力㈱福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、2011年6月より、エネルギー・環境会議において原子力政策を含む今後のエネルギー政策について検討を開始しました。

2.資源確保・安定供給強化への総合的取組

(1)国民との相互理解を深めるための取組と立地地域との共生への取組

原子力政策を進めるに当たっては、安全確保を大前提として、原子力の意義・役割等について国民との相互理解を深めるとともに、立地地域との共生を図ることが重要です。

具体的には、地元住民との直接対話による「顔の見える」取組の強化、より少数の住民を対象としたきめの細かい取組、地道に信頼関係を積み上げた上での責任者による国の考え方と方針の表明、地域振興の継続的な取組、国の検査への立地地域の参加等を通じて、国と立地地域との信頼関係を強化してきました。

原子力発電に係るシンポジウム等における不適切な関与について、「原子力発電に係るシンポジウム等についての第三者調査委員会」の報告を受けて、資源エネルギー庁と原子力安全・保安院は、2011年10月に行動規範を策定するとともに、11月には外部有識者から構成されるアドバイザリーボードを開催し、行動規範への助言、広聴・広報のあり方の検討等を行いました。

原子力発電に関する広聴・広報活動

東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故を受けて、立地地域等に対して、風評被害対策や放射線の知識普及に関する事業を実施しました。

具体的には、被災地域産品の販路拡大事業を実施しており、また自治体等主催の講演会へ放射線等の専門家の派遣等を行いました。

核燃料サイクル施設に関する広聴・広報活動

核燃料サイクルの必要性や安全性等に関する国民的な信頼と相互理解の向上を図るための広聴・広報活動を実施しました。

具体的な取組として、2011年度は、立地地域の住民が多く訪れる場所や各種イベントを活用した立地・隣接市町村広報を実施しました。

高レベル放射性廃棄物の処分事業については、処分事業の必要性等に関する国民全般への広聴・広報活動として、NPO と連携したワークショップの開催等の取り組みを実施しました。

地域担当官事務所による広聴・広報活動

原子力発電や核燃料サイクルを進めるに当たっては、安全の確保を大前提に原子力に対する国民との相互理解を図ることが肝要であることから、青森県、福島県、新潟県、福井県に地域担当官事務所を設置して、地域のニーズに沿った、一方通行ではない双方向のコミュニケーションを図る等の広聴・広報活動を行いました。

原子力教育に関する取組

全国の都道府県が学習指導要領の趣旨に沿って主体的に実施する原子力を含めたエネルギーに関する教育の取組(副教材の作成・購入、指導方法の工夫改善のための検討、教員の研修、施設見学会、講師派遣等)に必要な経費を交付する「原子力・エネルギーに関する教育支援事業交付金」を運用しました(2010年度交付件数:35都道府県)。また、児童生徒が原子力についての知識を学び、自ら考え、判断する力を育むための環境の整備として、教育職員を対象とした原子力・放射線に関するセミナーの開催や学習用機器(簡易放射線測定器「はかるくん」)の貸出し、小中高等学校を対象とした出前授業等の開催を行うとともに、原子力に関する副読本の改訂(東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故を踏まえて見直し中)、パンフレットやインターネットを活用した原子力やエネルギーに関する教育の取組に資する情報を分かりやすく提供するなど、原子力やエネルギーに関する教育の推進のための環境整備を進めました。

電源立地地域との共生

電源立地地域対策交付金については、2003年度より、主な交付金を統合するとともに、交付金の使途を従来の公共用施設の整備に加え、地場産業振興、福祉サービス提供事業、人材育成等のソフト事業へも拡充する制度改正を行いました。

また、2010年6月に閣議決定されたエネルギー基本計画に基づき、電源立地地域対策交付金制度の更なる改善等を図るため、2011年4月に、単価の改訂や発電電力量に傾斜した算定方法にする等の見直しを行いました。

エネルギー全般に関する知識の普及

(後掲 第10章第1節2.(1) 参照)

エネルギー教育の推進

(後掲 第10章第1節2.(5) 参照)

(2)原子力発電に関する取組

2010年6月には、「原子力政策大綱」の基本方針を実現するため、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会において「原子力発電推進行動計画」が取りまとめられました。また、同月、エネルギー政策基本法に基づき「エネルギー基本計画」の第二次改定が閣議決定され、原子力発電を基幹電源として位置付け、安全の確保を大前提として、国民との相互理解を図りつつ、積極的に推進することとされましたが、東京電力㈱福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、現行のエネルギー基本計画をゼロベースで見直し、新たなエネルギーミックスとその実現のための方策を含む新しい計画についての議論に2011年6月から着手しています。

2010年11月には、原子力委員会が原子力政策大綱の改定の検討開始を決定し、「新大綱策定会議」を同年12月より開催し、エネルギー政策、地球温暖化対策における原子力発電のあり方や、原子力発電の長期的な供給目標達成のための課題、取組等について整理を行いました。

(3)次世代軽水炉等の技術開発

2008年度から、高い安全性と経済性等を有し、世界標準を獲得できる次世代軽水炉の技術開発を進めてきました。2011年度には、東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、既設原子力発電所の安全対策高度化に資する技術として、次世代軽水炉開発に係る要素技術のうち、シビアアクシデント対策や免震システムの開発等の技術開発のみ実施しました。

(4)核燃料サイクルとサイクル関連産業

使用済燃料の再処理

使用済燃料の再処理は、原子力発電所で使い終わった使用済燃料から、まだ燃料として使うことのできるウランと新たに生成されたプルトニウムを取り出すことをいいます。青森県六ヶ所村に建設中の日本原燃㈱再処理事業所再処理施設(年間最大処理能力:800トン)では、2006年3月から実際の使用済燃料を用いた最終試験であるアクティブ試験を実施してきました。

2008年2月より、アクティブ試験の最後の段階である第5ステップを実施し、分離建屋の酸回収設備及び高レベル廃液処理設備における試験は終了、高レベル廃液ガラス固化建屋の高レベル廃液ガラス固化設備、低レベル廃液処理建屋の低レベル廃液処理設備、再処理施設全体における試験を継続してきました。

ウラン濃縮

ウラン濃縮は、核分裂性物質であるウラン235の濃縮度を、天然の状態の約0.7%から軽水炉による原子力発電に適した3%~5%に高めることをいい、我が国では、日本原燃㈱が青森県六ヶ所村のウラン濃縮施設において遠心分離法という濃縮技術を採用しました。同社は、1992年3月から年間150トンSWU の規模で操業を開始し、1998年には年間1,050トンSWU 規模で操業を行っていましたが、新型遠心分離機への置き換え工事のため操業を停止しました。同社は、2002年度から2009年度にかけて新型遠心分離機の開発を行い、現在使用の遠心分離機を順次新型遠心分離機に置き換えており、2012年3月に年間37.5トンSWU 規模で操業を再開しました。

MOX燃料加工

MOX 燃料加工は、再処理工場で回収されたプルトニウムをウランと混ぜて、プルサーマルに使用される混合酸化物(MOX)燃料に加工することをいいます。我が国では、日本原燃㈱が青森県六ヶ所村においてMOX 燃料加工工場を2016年3月に竣工すべく2010年10月に工事着工しました。

使用済燃料の中間貯蔵

使用済燃料の中間貯蔵とは、使用済燃料が再処理されるまでの間の時間的調整を図るための措置として中間的に貯蔵・管理することをいいます。リサイクル燃料貯蔵(株)では、むつ市に中間貯蔵施設を2010年8月から着工しました。

なお、2011年3月11日の東日本大震災の影響により、同施設の貯蔵建屋工事を休止していましたが、2012年1月より工事を再開しました。また、これに伴い、事業の開始予定時期を2012年7月から2013年10月に変更しました。

プルサーマル

プルサーマルは、海外では1960年代から実施され、既に約6,300体以上のMOX燃料の使用実績があります。また、国内は日本原子力発電(株)の敦賀発電所1号機(BWR)や関西電力(株)の美浜発電所1号機(PWR)で少数体のMOX燃料を用いた実証試験において、燃料の健全性が確認されました。

我が国におけるプルサーマルは、1961年にまとめられた「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」において、プルトニウムの軽水炉での利用に関する方針が示されました。その後プルサーマル実現に向けた取組が進められましたが、1995年12月に高速増殖原型炉「もんじゅ」二次系ナトリウム漏えい事故が起こり、福井、福島、新潟の三県の知事から、原子力政策に対する国民的合意形成及び核燃料サイクルの全体像の明確化を求める提言がなされました。原子力委員会は、これに応える形で、1997年1月に「当面の核燃料サイクルの具体的な施策について」を決定し、同年2月には「当面の核燃料サイクルの推進について」が閣議了解されました。この中で、「現時点で最も確実なプルトニウムの利用方法であるプルサーマルを早急に開始することが必要である。」との位置付けがなされ、これを踏まえ橋本総理大臣(当時)から、福島県、新潟県及び福井県の三県の知事に対し、閣議了解の説明及び協力要請が行われました。

九州電力(株)玄海原子力発電所3号機は、2009年12月に我が国初となるプルサーマルによる営業運転を開始しました。

また、2010年3月には四国電力㈱伊方発電所3号機、2010年10月には東京電力㈱福島第一原子力発電所3号機、2011年1月には関西電力㈱高浜発電所3号機が営業運転を開始しました。

プルトニウム利用の透明性向上

我が国は、1994年、プルトニウム利用の透明性向上のため、世界に先駆けて原子力白書等を通じ施設の区分ごとに存在するプルトニウム量の公表を始めました。2001年以降は、「我が国のプルトニウム管理状況」として、内閣府が毎年公表しました。また、1997年からは国際プルトニウム指針に基づき、国際原子力機関(IAEA)を通じて、我が国のプルトニウム保有量を公表しました。さらに、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」(2003年8月、原子力委員会決定)を受け、更なるプルトニウム利用の透明性の向上を目的として、電気事業者等は2006年より、「プルトニウム利用計画」を公表しており、原子力委員会がその利用目的の妥当性の確認を行ってきました。

(5)高速増殖炉サイクル

高速増殖炉(FBR:Fast Breeder Reactor)は、発電しながら消費した燃料以上の燃料を生産すること(増殖)によりウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることができ、更に使用済燃料に含まれるマイナーアクチニドを燃料として再利用すること等によって高レベル放射性廃棄物の発生量を削減する可能性を有します。こうした特性から、これまで、「原子力政策大綱」や「エネルギー基本計画」等を踏まえて、その実用化に向けた研究開発に取り組んできました。他方、東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故後は、これまで実施してきた高速増殖炉の実用化のための研究開発は凍結しています。他方、国際協力の観点から、我が国が参加している国際的な枠組(第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF))の下で実施されている「ナトリウム冷却高速炉に関する安全設計クライテリアの構築と国際共有」に向けた取組に限り実施しました。

(6)原子力発電と核不拡散の両立に向けた国際的な枠組に係る取組作りへの積極的関与

原子力を巡る国際的動向

(再掲 第2部第2章第2節2.(1) 参照)

原子力発電と核不拡散の両立に向けた国際的な枠組に係る取組

原子力発電を核不拡散と両立していくためには、核不拡散体制の維持が安全確保とともに極めて重要であり、これまで核兵器不拡散条約(NPT)や、それに基づく国際原子力機関(IAEA)による包括的保障措置協定及び追加議定書、包括的核実験禁止条約(CTBT)等、種々の国際的枠組みが創設されてきました。我が国は、厳格な輸出管理、保障措置等を講じていくことにより、原子力発電と核不拡散との両立に向けた取組を世界に示してきました。

特に、保障措置については、従来から、IAEA と締結した保障措置協定に基づき厳格な適用を確保しているほか、より効果的・効率的に実施するための保障措置技術の開発を進めてきました。1999年12月には、IAEA 保障措置の強化のための追加議定書を締結し、拡大申告の提出や補完的アクセスの実施等、その着実な実施を図ってきました。その結果、「すべての核物質が平和的活動の中に留まっている」との結論をIAEAより毎年得てきました。この結論により、査察を無通告で実施すること等によりIAEAの査察の効率化が期待される「統合保障措置」の導入が2004年より開始され、更にその効果及び効率を一層進化させるため、同一サイト内の複数の施設を対象とした「サイト統合保障措置手法」が、2008年8月より導入されました。なお、2011年3月の東日本大震災の影響により、一部の原子力施設においては、保障措置活動が制限されていましたが、施設等の復旧後、2011年8月までの間に福島第一原子力発電所及び第二原子力発電所を除くすべての施設において、厳格なフォローアップ活動が実施され、通常の保障措置活動の実施が可能となりました。その後、第二原子力発電所については2011年5月以降、第一原子力発電所については2011年10月以降、実施可能な限りの保障措置活動が行われれています。

また、国際的核不拡散体制に貢献するため、アジアの国々を対象にした保障措置に関するトレーニングコースをIAEAと連携して実施しました。

(7)国際展開

(後掲 第8章第1節6. 参照)

(8)ウラン燃料の安定供給に向けた取組の強化

ウラン探鉱開発事業

カナダ、オーストラリア、カザフスタン、アフリカ等において、我が国企業による海外のウラン鉱山の権益獲得等のウラン資源安定供給確保の取組が進められました。ウラン燃料の安定供給確保に資するウランの自主開発輸入の比率を高めるためには、我が国企業によるウラン鉱山開発プロジェクトへの参画に際して、資源外交の強化、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構によるウラン探鉱事業へのリスクマネー供給、NEXIやJBIC 等の公的金融支援等が実施されました。

ウラン輸送

我が国の原子力発電の安定運転に不可欠なウラン燃料の調達に関する輸送リスクを軽減するため、経済性・安全性の観点から新たな輸送経路の確立等に向けた事業可能性調査を実施しました。

(9)放射性廃棄物対策

2005年10月に策定された原子力政策大綱では、放射性廃棄物については、「発生者責任の原則」、「放射性廃棄物最小化の原則」、「合理的な処理・処分の原則」、「国民との相互理解に基づく実施の原則」の四つの原則のもと、安全に処理・処分することが重要であるとしました。

これらの原則に沿って、我が国では、発生する放射性廃棄物を適切に区分し(第332-2-1)、各種の放射性廃棄物の処理・処分に関する方針の決定や安全規制等の整備を進めてきました。また、放射性廃棄物の合理的な処理・処分の実施に向けた効果的な技術の研究開発を推進するとともに、広聴・広報活動による国民との相互理解促進活動にも取り組んできました。

【第332-2-1】放射性廃棄物の種類と概要

【第332-2-1】放射性廃棄物の種類と概要

(出所)
「原子力・エネルギー」図面集2010

低レベル放射性廃棄物の処理・処分

(ア)原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物

原子力発電所で発生した低レベル放射性廃棄物は、2011年3月末現在、全国の原子力発電所内の貯蔵施設で容量200ℓドラム缶に換算して約50万本分(東京電力㈱福島原子力発電所内の貯蔵量は、東日本大震災の影響のため、現在事業者において評価中であり、含まない)の貯蔵となりました。これら低レベル放射性廃棄物の一部は、青森県六ヶ所村の日本原燃㈱低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて埋設処分が行われてきました。

(イ)ウラン濃縮施設やウラン燃料成型加工施設から発生する放射性廃棄物(ウラン廃棄物)

民間のウラン燃料加工施設、ウラン濃縮施設から発生したウラン廃棄物については、各事業所において安全に保管されました。

(ウ)再処理施設やMOX燃料加工施設から発生する放射性廃棄物(長半減期低発熱放射性廃棄物:TRU廃棄物)

TRU廃棄物は、再処理施設やMOX燃料加工施設等の操業や解体に伴い発生します。これらの中には、半減期(最初にあった放射性核種の量が半分になるまでの時間)の長い核種が一定量以上含まれるため、高レベル放射性廃棄物と同様に、わたしたちの生活環境から長期間にわたり隔離するため、深い地層へ処分(地層処分)することが必要なものがあります。地層処分が必要なTRU廃棄物については、2007年6月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が改正され、最終処分の対象廃棄物に地層処分が必要なTRU廃棄物等が追加されました。また、この法律に基づき原子力発電環境整備機構(NUMO)がこの廃棄物の処分に関する取組を進めてきました。

一方、研究機関や大学における原子力分野の研究開発や医療分野等での放射性同位元素の利用等に伴って発生する低レベル放射性廃棄物(研究施設等廃棄物)の処分については、研究施設等廃棄物の発生量が最も多く、技術的知見を有する日本原子力研究開発機構を、これらの廃棄物の埋設処分の実施主体として明確に位置づけるため、2008年6月に独立行政法人日本原子力研究開発機構法が改正されました。これを受けて、同年12月に文部科学省及び経済産業省が「埋設処分業務の実施に関する基本方針」を策定しました。そして、この基本方針に沿って、2009年11月に日本原子力研究開発機構が「埋設処分業務の実施に関する計画」を策定しました。

高レベル放射性廃棄物4の地層処分事業

高レベル放射性廃棄物は、低レベル放射性廃棄物に比べてその発生量自体は少ないですが、長期間にわたって放射能を有する核種を比較的多く含むため、この放射能が生活環境に影響を及ぼさないよう長期間にわたって生活環境から隔離する必要があります。そのため、高レベル放射性廃棄物は、ガラスと混ぜて高温で溶かし、「キャニスタ」と呼ばれるステンレス製の容器に注入したあと、冷やして固めます(ガラス固化体)。このガラス固化体は熱を発生するため、30~50年間程度一時貯蔵して冷却し、最終的に地下300mより深い安定した地層中に処分することとしてきました。

高レベル放射性廃棄物の処分については、これを計画的かつ確実に実施するため、2000年5月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(2007年6月改正)が制定されました。これにより、処分実施主体の設立、処分費用の確保、三段階の処分地選定プロセス等が定められました。また、同年9月、同法に基づき閣議決定された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」(2008年3月改定)では、平成40年代後半を目途として地層処分を開始するとされてきました。

同法に基づき設立されたNUMOにより、高レベル放射性廃棄物の処分に向けた取組が進められてきました。NUMOは、高レベル放射性廃棄物の処分施設の設置可能性を調査する区域について、2002年12月から、全国の市町村を対象に公募を行いました。

これまで、関心を有する地域は現れているものの、最初の調査である文献調査を開始するには至っていません。これを踏まえ、2007年11月には、総合資源エネルギー調査会原子力部会放射性廃棄物小委員会において、処分事業を推進するための取組の強化策がとりまとめられました。

この強化策の中では、(ア)処分事業の必要性等に関する国民全般の広報の拡充、処分の安全性や処分地選定手続き、地域振興等に関する地域広報の充実、(イ)国が前面に立った取組として、NUMOの公募による方法に加え、地域の意向を尊重した国による文献調査実施への申入れを追加、(ウ)都道府県を含めた広域的な地域振興構想の提示、(エ)国民理解に資する研究開発及び国際的連携の推進等が示されてきました。国においては、本強化策を踏まえ、以下の取組等を実施しました。

(ⅰ)広聴・広報活動

高レベル放射性廃棄物等の処分事業は、国民全般からの信頼と理解・協力を得ることが極めて重要であるため、広聴・広報活動を実施し、地層処分事業の必要性等を国民一人一人に考えてもらい処分地選定につなげていく必要があります。

2011年度においては、東京電力㈱福島第一原子力発電所事故後の状況等を踏まえ、広聴活動に重点を置いたワークショップの開催、地層処分模型展示車の運用、インターネット上で自由な議論や情報の共有ができる場を引き続き設ける等、処分事業の必要性等に関する国民全般への広聴・広報活動を実施しました。

(ⅱ)研究開発

研究開発については、(独)日本原子力研究開発機構が中心となって整備している深地層研究施設等での地層処分に係る基盤研究開発の着実な推進を行ってきました。この基盤研究開発を計画的かつ効率的に進め、その成果を処分事業や安全規制へ効果的に反映するため、資源エネルギー庁、(独)日本原子力研究開発機構等が中心に取りまとめた「地層処分基盤研究開発に関する全体計画(2010年3月改定)」に基づき、国や関係機関が一層の連携・協力を図りつつ研究開発を進めました。

NUMO では、地層処分事業を推進するために設立からの技術成果を取りまとめた報告書「地層処分事業の安全確保(2010年度版)」を2011年9月に公開しました。また、東日本大震災を踏まえ、地層処分事業の安全確保に関する追加検討を進めました。

3.2011(平成23)年度において原子力等に係る安全確保に関して講じた施策

(1)2011年東京電力㈱福島第一原子力発電所事故に係る取り組み

東京電力㈱福島第一原子力発電所事故の状況

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震時、東京電力㈱福島第一原子力発電所では、1号機が定格電気出力一定運転中、2号機及び3号機は定格熱出力一定運転中であり、4号機、5号機及び6号機は定期検査中でした。地震により、運転中であった原子炉は全て緊急停止しましたが、その後、地震と津波による被害のため、6号機を除いて全交流電源喪失となりました。続いて、1号機から3号機において非常用炉心冷却装置による注水が不能となり、原子炉圧力容器への注水ができない事態が一定時間継続しました。このため、各号機の炉心が露出し、炉心溶融に至ったものと推定されています。更に、燃料被覆管のジルコニウムと水蒸気との反応により水素が発生し、1号機及び3号機では、原子炉圧力容器や原子炉格納容器からの漏えい等により放出された水素が原因と思われる爆発が原子炉建屋上部で発生しました。定期検査のために炉心燃料が全て使用済燃料プールに移動されていた4号機においても原子炉建屋で水素が原因とみられる爆発があり、2号機では原子炉格納容器のサプレッションチェンバー室付近と推定される場所で水素爆発と思われる衝撃音が確認されています。また、1号機、2号機及び3号機では、原子炉格納容器圧力が上昇し、原子炉格納容器が圧力上昇により破損することを防ぐために原子炉格納容器ベント操作が行われました。これらによって環境に大量の放射性物質が放出され、国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)のレベル7と暫定評価(4月12日)される深刻な事故となりました。

その他の原子力施設の状況

東京電力㈱福島第二原子力発電所においては、定格熱出力一定運転中であった1号機から4号機は地震により全て緊急停止しました。地震により外部電源が1回線による受電となり、津波の襲来により、1号機、2号機及び4号機の残留熱除去系等が被害を受けました。しかし、機能を有していた配電盤からの仮設ケーブルを接続すること等により交流電源を確保し、海水系ポンプの復旧等により残留熱除去系を運転し、3月14日には1号機及び2号機が、15日には4号機が冷温停止状態となりました。なお、3号機については残留熱除去系が機能喪失には至らず12日に冷温停止となりました。

東北電力㈱東通原子力発電所では、1号機が定期検査中であり、地震により外部電源が喪失しましたが、非常用ディーゼル発電機により給電が行われました。東北電力㈱女川原子力発電所では、1号機と3号機が定格熱出力一定運転中、2号機が原子炉起動操作中であり、地震により3基とも緊急停止しました。地震により外部電源が1回線による受電となり、非常用ディーゼル発電機による給電が行われました。津波の襲来により、2号機及び3号機の海水系ポンプ等が被害を受けましたが、原子炉隔離時冷却系等により原子炉への給水を行い、3月12日には全ての原子炉が冷温停止となりました。また、日本原子力発電㈱東海第二発電所は定格熱出力一定運転中であり、地震により緊急停止しました。外部電源は全て喪失しましたが、非常用ディーゼル発電機が起動し、3月15日に原子炉は冷温停止となりました。

日本原燃㈱六ヶ所再処理工場では、地震により再処理工場の外部電源が喪失しましたが、非常用電源による給電が行われ、震災による大きな影響はありませんでした。

原子力施設の安全確保に向けた取り組み

(ア)事故の収束に向けた取り組み

東北地方太平洋沖地震とそれが引き起こした津波により、東京電力㈱福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所において、原子力緊急事態が発生したことを受け、同日、政府は、原子力緊急事態宣言を発出するとともに、原子力災害対策本部を設置しました。

また、3月15日には、東京電力㈱福島第一原子力発電所事故に対し、政府と東京電力㈱が、一体的に対応するため福島原子力発電所事故対策統合本部を設置しました(5月9日、原子力災害対策本部の下、政府・東京電力統合対策室と改組)。

4月17日には、事故の収束を計画的に進めるため、「福島第一原子力発電所・事故収束に向けた道筋」(以下、「道筋」という)が取りまとめられました。この道筋では、「原子炉及び使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立し、放射性物質の放出を抑制することで、避難されている方々のご帰宅の実現及び国民が安心して生活できるよう全力で取り組むこと」を基本的考え方とし、道筋公表後3カ月程度までの目標としてステップ1(放射線量が着実に減少傾向となっていること)、ステップ1完了後3~6カ月程度までの目標としてステップ2(放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられていること)がそれぞれ設定されました。

その後、7月19日の原子力災害対策本部において、モニタリングポスト等が示す放射線量が減少傾向であること、また放射性物質の放出量が事故当初と比較して十分に減少していることから、ステップ1の完了とステップ2への移行を確認しました。

また、12月16日の原子力災害対策本部において、原子炉が冷温停止状態に達し、不測の事態が発生した場合も敷地境界における被ばく線量が十分低い状態を維持できていることから、ステップ2が完了したことを確認しました。

ステップ2完了後の廃炉に向けた取組については、12月16日の原子力災害対策本部において、経済産業大臣及び原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣を議長とする政府・東京電力中長期対策会議を設置し、政府と東京電力㈱が一体となって廃炉に向けた取組を実施することとしました。12月21日に第1回政府・東京電力中長期対策会議を開催し、「東京電力㈱福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」を決定しました。当該ロードマップにおいては、廃止措置終了までの期間において、今後実施する主要な現場作業、研究開発等のスケジュールを策定しました。

福島第二原子力発電所については、3月15日までに全号機が冷温停止しました。その後、継続的な応急復旧が行われ、冷温停止を維持するための安全対策が講じられていることが確認されたことから、12月26日に内閣総理大臣が同発電所に係る原子力緊急事態解除宣言を行いました。

(イ)全国の原子力施設の安全性・安心を高める取り組み

原子力安全・保安院では、東京電力㈱福島第一原子力発電所事故等を踏まえ、他の原子力発電所について安全確保対策を講じるよう、各事業者に対して指示を行いました。具体的には、2011年3月30日に、全交流電源喪失に至ったとしても、炉心損傷等の深刻事態を回避し、冷温停止状態に繋げるため、緊急時の電源確保等の緊急安全対策を指示しました。4月15日には、外部電源の信頼性の向上を図るため、複数ルート回線の確保、開閉所の耐震性確保等を指示しました。6月7日には、万一シビアアクシデントが発生した場合でも迅速に対応するため、事故時の通信・管理機能確保、放射線防護体制の強化を指示しました。これらの指示に基づく実施状況については、現場確認を実施する等、評価・確認を行いました。

核燃料サイクル施設に関しては、2011年5月1日に再処理施設を対象に緊急安全対策(電源車、浸水対策、緊急時の手順書整備、訓練の実施等、短期対策)を指示しました。また、2011年6月7日には、再処理施設の外部電源の信頼性向上のための指示を、6月15日には原子炉施設におけるシビアアクシデントへの対応を踏まえ、再処理施設において設計時の想定を超える事象が発生した場合でも迅速に対応をするための体制強化等の指示を行いました。

また、原子力発電所の更なる安全性の向上と、安全性についての国民・住民の方々の安心・信頼の確保のため、2011年7月11日に公表された「我が国原子力発電所の安全性の確認について」に基づき、原子力安全・保安院において評価手法・評価実施計画を作成し、原子力安全委員会の確認を得た上で、事業者に対して総合的安全評価(いわゆるストレステスト)の実施を指示しました。ストレステストにおいては、緊急安全対策等の実施を前提に、設計上の想定を超える地震や津波に対して、現時点で原子力発電所がどの程度の安全裕度を有するかを確認しています。

核燃料サイクル施設については、海外の状況等も踏まえ2011年11月25日に原子力安全・保安院が、加工事業者、貯蔵事業者、再処理事業者、廃棄物管理事業者、廃棄物埋設事業者に対して、総合的評価の実施を指示しました。

事故原因の究明、教訓の抽出及び共有

事故の原因等の調査については、原子力安全と原子力防災を中心に事故の評価や得られた教訓を取りまとめ、2011年6月、9月の2回、IAEA に対して日本政府としての報告を提出しました。また、2011年5月から6月にかけて各国の専門家及びIAEA の専門家で構成された調査団を受け入れ、事実関係の調査を行い、その時点における教訓等を国際社会と共有しました。

更に、事故から得られる技術的な知見を可能な限り抽出するため、原子力安全・保安院は、2011年10月から「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する意見聴取会」を外部の専門家の参加を得て全面公開の下、8回開催し、パブリックコメントを経た上で2012年3月に報告書をとりまとめました。その中で、今回の教訓を踏まえ、今後の規制に反映すべきと考えられる事項として「30の対策」を取りまとめました。「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する意見聴取会」に加え、東京電力㈱福島第一原発等で観測された地震・津波等の影響については、原子力安全・保安院は2011年9月から、専門家の参加を得て「地震・津波に関する意見聴取会」、「建築物・構造に関する意見聴取会」をそれぞれ11回、8回開催し2012年2月に中間とりまとめを行いました。また、東京電力㈱福島第一原発事故における経年劣化の影響について検証するため、専門家の参加を得て「高経年化技術評価に関する意見聴取会」を6回開催し、2012年2月に取りまとめを行いました。これらの検討結果については、それぞれ原子力安全委員会に報告するとともに、「30の対策」に反映させています。

原子力災害に備えた対応機能の強化

東京電力㈱福島第一原子力発電所事故時の対応においては、①意思決定を行う官邸の情報不足、②情報の入手・伝達ルートの機能不全、③官邸と原子力安全・保安院の広報の二元化による混乱、④オフサイトセンターの機能不全、⑤膨大な原子力被災者に対する当初の支援対応体制の整備不足等が課題となりました。

これらの課題に対して、政府としては、① PAZ の考え方を踏まえ、直ちに避難指示を行う等、可能な限り新たな考え方を取り入れた対応を行えるようにするとともに、原子力災害対策本部の事務機能を強化して情報収集の迅速化を図る等、対応方針を迅速に決定し実施する体制の構築、②発電所・事業者本店等におけるTV 会議システムを整備する等官邸の意思決定を支える情報収集機能の改善、③原子力災害対策本部事務局の広報担当は閣僚の会見に同席して専門的説明を補佐する等情報発信の一元化、④オンサイト対応については、電力会社本店等に政府と事業者との連絡拠点の確保等を行い、オフサイト対応については、オフサイトセンターにおける通信途絶に備えたモバイルネットワークの配備、放射線防護対策としての防護服やマスクの充実等を図る等、オフサイトとオンサイトの拠点を分担した上で各機能の向上、⑤避難後の住民支援について被災者支援チームが特化して対応する等事後対策の充実等、原子力緊急事態が発生した場合における対応の改善を進めています。

原子力安全規制に関する広聴・広報活動の強化

(ア)「原子力発電に係るシンポジウム等についての第三者調査委員会」の提言を受けた再発防止に向けた取り組み

2011年9月「原子力発電に係るシンポジウム等についての第三者調査委員会」から提出された最終報告書では、原子力発電に係るシンポジウム等において、国が電力会社に対して不適切な働きかけを行ったことが認定され、これを受けて原子力安全・保安院では「シンポジウム等の運営に係る行動規範」を策定するとともに、外部の有識者によるアドバイザリー・ボードを開催しました。今回のような事態を二度と起こさないためにも、引き続き、再発防止に全力で取り組んでまいります。

(イ)東京電力㈱福島第一原子力発電所事故を踏まえた今後の広聴・広報のあり方の検討

東京電力㈱福島第一原子力発電所事故に係る広報については、正確性を重視することにより今後の事態進展の可能性や見通し等不確かさを含む情報の提供の遅れや説明のわかりやすさ等が課題となりました。

原子力安全・保安院では、こうした課題を踏まえて、情報の受け手である国民やメディア関係者からの意見を聴くとともに、外部有識者の意見も聴き、今後の広聴・広報のあり方についての検討を進めています。

4.原子力発電利用における国際的協力

地球環境問題への対応とエネルギー安全保障の観点から原子力発電を導入、拡大させようという国々が原子力発電計画を進めていく上では、安全や核不拡散、核セキュリティを確保するための法体系や規制体系の整備、それらに携わる人材の育成等多くの基盤整備が必要となります。我が国は原子力発電を長期にわたり継続的に利用してきた先進的な国として、二国間での協力と併せて、多国間の枠組みにおいても新規導入国の基盤整備支援に取り組んできました。

また、世界的な原子力発電の拡大と核不拡散の両立のため、IFNEC(国際原子力エネルギー協力フレームワーク)や核燃料供給についての国際的な管理構想等国際的な枠組み作りの動きに対し、我が国は、原子力平和利用の模範国として、これまでの経験や技術を最大限に活かし、積極的な協力・貢献を行いました。

(1)IAEAでの協力

原子力安全への取組

IAEAが行うアジア地域を対象とした原子力安全の維持・向上に関する各種協力プロジェクト、耐震安全性に関する活動及び放射性廃棄物の処分方法、安全確保等に関する調査研究事業に拠出を行うことにより、国際的な原子力安全活動に協力・貢献しました。また、新潟県柏崎刈羽地域で行われた耐震安全性に関するIAEA国際ワークショップをホストし、新潟県中越沖地震が柏崎刈羽原子力発電所に与えた影響等から得られた教訓を国際的に共有しました。

原子力発電の理解促進への取組

国際原子力機関に資金を拠出し、同機関の枠組みの下、加盟国のオピニオンリーダーを対象とした広報セミナーや原子力広報担当者を対象としたワークショップを開催しました。

原子力発電導入のための基盤整備支援への取組

国際原子力機関への拠出を通じ、原子力発電導入を検討している国へIAEA及び国際的な専門家グループによるレビューミッション派遣等の支援を行い、その評価を通じて当該国の制度整備等が確実になされ、核不拡散、原子力安全等への対応がなされることに協力、貢献しました。

核不拡散への取組

IAEAが行う核不拡散抵抗性・保障措置に関する検討、安全性の調査・評価の事業等に拠出を行い、ワークショップ等を開催しました。

(2)経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)での協力

原子力発電及び核燃料サイクルの技術的・経済的課題、放射性廃棄物、原子力発電の安全確保に関する技術基盤、産業基盤についての調査検討事業に拠出を行うことにより、国際的な原子力発電、核燃料サイクルに関する安全評価や核燃料サイクル、放射性廃棄物等に関する活動に協力、貢献しました。また、OECD/NEAが行うGIF技術事務局事業、放射線による障害の防止に関する事業等に拠出を行い、調査・評価検討等を行いました。

(3)原子力発電拡大と核不拡散を両立するための枠組構築への協力

核燃料供給保証

2010年12月のIAEA理事会において、IAEAが低濃縮ウランを備蓄・管理し、自前で製造できない途上国などが国際情勢の影響などで市場から購入できない場合に、その要請に応じて市場価格で提供する核燃料バンクの設立が決議されました。米欧などが約1億5千万ドルの運営資金の拠出を約束しました。

国際原子力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC)

2006年に、米国ブッシュ前政権は、これまでの使用済み燃料の直接処分一辺倒の方針を転換して、放射性廃棄物を減量し、核拡散抵抗性に優れた先進的再処理技術開発を促進するとともに、取り出されたプルトニウム等を燃やすための高速炉の開発を推進することを目指し、GNEP構想を発表しました。2010年6月の第6回運営グループ会合において、GNEPは、IFNEC(The International Framework for Nuclear Energy Cooperation)に枠組みを変更されました。

2011年4月には核燃料サービスWG、基盤整備WG及び両WG の合同WG がフランスで開催されたほか、10月、11月にも基盤整備WG、核燃料サービスWGがそれぞれオーストリア、ブルガリアで開催されました。また、9月にはポーランドで執行委員会が開催され、これらの会合へ日本政府からも出席し、積極的に議論に貢献しました。

(4)先進的原子力技術に関する国際協力

安全性、信頼性、核拡散抵抗性に優れた次世代の原子力システムの開発に向け、アメリカの提唱により、2001年に「第四世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF:Generation IV International Forum)」が発足し、我が国も発足時よりメンバー国として参加してきました。2005年2月に日本、カナダ、フランス、英国、アメリカの間で、ナトリウム冷却高速炉(SFR)や超臨界圧水冷却炉(SCWR)を含む六つの炉型を対象として、研究開発協力を行うための枠組みを構築する国際約束が締結され、炉型ごとの研究開発協力についての検討を進めました。

我が国は、これまでに四つの炉型について、具体的な協力のあり方を定めるシステム取決めを締結し、各システム下の個別の研究開発のあり方を定めるプロジェクト取決めを順次策定し研究開発協力を実施してきました。SFR についてはタスクフォースが組織され、国際的に共通の安全設計クライテリアをとりまとめるための検討が進められています。

また、SFRについては、(独)日本原子力研究開発機構、フランス原子力庁(CEA)及び米国エネルギー省(DOE)が、研究開発協力の取組を強化するため、2008年1月31日に実証炉/プロトタイプ炉の協力覚書を作成し、各国の開発計画に沿って、SFRの実用化に向けた取組を相互に調和させるための検討を実施しました。また、同年8月には、覚書に基づく協力の実施を延長し、2010年10月には今後の協力をより一層強化するため覚書を改正しました。

(5)海外の原子力安全規制に関する情報収集・調査等の実施

我が国の原子力安全規制の有効性の維持・向上を図るために、国際原子力機関(IAEA)等多国間の枠組み及び二国間の枠組みを活用し、海外の原子力安全に関する情報収集・調査研究等を行いました。また、原子力の安全に関する条約について、2011年4月に開催された締約国による検討会合に出席し、国別報告書について相互レビューを行いました。使用済燃料及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約についても、2012年5月に開催される締約国による検討会合へ向け、同条約に基づく義務を履行するために取った我が国の措置に関する報告書を作成し、2011年10月に本条約の事務局であるIAEA に提出しました。

2
2007年4月1日に「電源開発促進対策特別会計法」は廃止され、同様の業務は「特別会計に関する法律」に引き継がれました。
3
2011年8月15日に「原子力安全規制に関する組織等の改革の基本方針」が閣議決定され、原子力安全行政に対する信頼回復とその機能向上を図るため、「規制と利用の分離」の観点から、原子力安全・保安院の原子力安全規制部門を経済産業省から分離し、環境省にその外局として、原子力安全庁(仮称)を設置することとされました。
4
高レベル放射性廃棄物とは、再処理施設で使用済燃料からウランやプルトニウムを分離・回収した後に残る、放射能レベルの高い廃液またはそれをガラスと混ぜて固めたガラス固化体のことをいいます。