第1節 電力システム改革関連

1.対応の方向

電力システム改革に関する論点整理を目的として、2011年11月に「電力システム改革に関するタスクフォース」を経済産業省内に立ち上げ、同年12月末に「電力システム改革に関するタスクフォース論点整理」をとりまとめました。また、同月、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会において「新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた論点整理」がとりまとめられました。これらを踏まえ、今後のあるべき電力システムの具体的な制度設計を行うため、2012年2月に総合資源エネルギー調査会総合部会に「電力システム改革専門委員会」を設置しました。本専門委員会において、8回にわたり精力的な検討を進め、同年7月13日に「電力システム改革の基本方針」がとりまとめられました。本基本方針では、小売全面自由化、卸電力市場の活性化、送配電部門の広域性・中立性の確保等が改革の基本方針として提言されています。

2.電力システム改革専門委員会の発足に至る背景、委員会の構成、経過、今後の動き

委員会は、畑村洋太郎委員長(東京大学名誉教授、工学院大学教授)以下、内閣総理大臣により指名された10人のメンバーで構成されました。更に専門的、技術的事項について助言を得るため、委員長の指名により2名の技術顧問が置かれました。また、調査・検証を補佐する事務局には、事務局長以下の各府省庁出身者のほか、社会技術論、原子炉過酷事故解析、避難行動等の分野の専門家8名を配置し、専門家をチーム長として、三つの調査・検証チーム(社会システム等検証チーム、事故原因等調査チーム、被害拡大防止対策等検証チーム)が設置されました。

(1)背景

2011年12月にとりまとめた「電力システム改革に関するタスクフォース論点整理」においては、「低廉で安定的な電力供給」を実現する「より競争的で開かれた電力市場」を構築することを基本理念とし、「新たな需要抑制策」、「需要家の選択」、「供給の多様化」、「競争の促進と市場の広域化」、「安定性と効率性の両立」について10の論点をまとめました。
 また、同月にとりまとめられた「新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた論点整理」においては、「大規模集中電源に大きく依存した現行の電力システムの限界が明らかになったことを踏まえ、今後は、需要家への多様な選択肢の提供と、多様な供給力(再生可能エネルギー、コジェネ、自家発電等)の最大活用によって、リスク分散と効率性を確保する次世代システムを実現していく必要があるとしています。また、こうしたシステムを盤石にするためにも、送配電ネットワークの強化・広域化や送電部門の中立性の確保が重要な課題である」等の基本的方向性が示されました。
 この基本的方向に沿って今後のあるべき電力システムの具体的な制度設計を行うことが喫緊の課題であることから、将来のエネルギーミックスのあり方と併せ、これを支える電力システムについて専門的な検討を行うため、総合資源エネルギー調査会総合部会の下に「電力システム改革専門委員会」を設置しました。

(2)委員会の構成

電力システム改革専門委員会の委員は、学識経験者や消費者代表者等を含む11名から構成されています。
 一般電気事業者や特定規模電気事業者(新電力)はオブザーバーとして参加しました。

委員会名簿

委員会名簿

(3)経過

第1回(2012年2月2日)
議題: 電力システム改革に関するタスクフォース「論点整理」について
第2回(2012年3月6日)
議題:需要サイドの取組について
 ・
 東京都、富士フイルム株式会社、一般電気事業者(中部電力株式会社、関西電力株式会社)、新電力(株式会社エネット)からプレゼンテーション
第3回(2012年4月3日)
議題:供給の多様性について
 ・
 株式会社日本製紙グループ本社、東京ガス株式会社、JX日鉱日石エネルギー株式会社、一般電気事業者(中部電力株式会社、関西電力株式会社)、新電力(株式会社エネット)からプレゼンテーション
第4回(2012年4月25日)
議題:競争の促進と広域化について
 ・
 フランス送電会社(RTE)、公正取引委員会、一般電気事業者(中部電力株式会社、関西電力株式会社)、新電力(株式会社エネット)からプレゼンテーション
第5回(2012年5月18日)
議題: 総合的な検討(1) 小売全面自由化、送配電部門の広域化・中立化
第6回(2012年5月31日)
議題: 総合的な検討(2) 送配電部門の広域化・中立化、卸電力市場の活性化等
第7回(2012年6月21日)
議題: 総合的な検討(3) 送配電部門の広域化・中立化、卸電力市場の活性化等
第8回(2012年7月13日)
議題: 総合的な検討(4) 電力システム改革の基本方針案

(4)電力システム改革の基本方針

需要サイド(小売分野)の改革

ア)小売全面自由化(地域独占の撤廃)
  ・ 一般電気事業者による地域独占を撤廃し、小売全面自由化を実施。
  ・  ただし、「自由化」によって、供給の空白地帯が生じないよう、最終保障サービス等「自由化の代償措置」には周到な設計を行う(年内を目処に詳細設計)。

イ)料金規制の撤廃(総括原価方式の撤廃)
  ・  競争の進展に応じて、一般電気事業者の供給義務や料金規制を撤廃。

供給サイド(発電分野)の改革

ア)発電の全面自由化(卸規制の撤廃)
  ・ 卸規制(発電事業者から一般電気事業者への長期・大量の電力供給に供給義務や料金規制を課している)を撤廃する。
  ・ ただし、卸規制の撤廃が需給に混乱を与えないよう、移行期間における十分な配慮を行う。
 イ)卸電力市場の活性化   ・ 特定の供給区域の枠を超えて、全国大で効率的な電源の有効活用を実現するため、卸電力市場で既存の事業者の電源が活発に取引される方策を講じる。
  ・ 具体的には、少なくとも供給予備力を超える電源は卸市場に投入するとの考え方を前提とし、取引ルールを設計する。

送配電部門の改革(中立性・公平性の徹底)

ア)送配電部門の「広域性」の確保
  ・ これまでの「供給区域ごとに需給を管理する」仕組みを改め、より広域的・全国的に供給力を有効活用するため、広域系統運用機関を設立する。
 イ)送配電部門の「中立性」の確保
  ・ ①機能分離型、または、②法的分離型の方式により、各供給区域の送配電部門の中立性を確保。
  ※機能分離型…エリアの系統計画・系統運用の機能を、一般電気事業者の送配電部門から分離し、広域系統運用機関に移管する方式
  ※法的分離型…エリアの系統計画・系統運用の機能から送配電設備を所有し開発・保守する業務までを含む送配電部門全体を別法人とする方式
  ・ いずれの方式であっても、中立性確保のための人事・予算等に係る行為規制や、送配電部門と発電・小売部門との情報の取扱、契約の取扱の公平性の確保が不可欠である。こうした規制の内容や、様々な技術的論点を精査しながら年内を目処に詳細設計を行う。
 ウ)地域間連系線等の強化
  ・ 50Hz と60Hz の周波数変換設備と東西連系線の容量を増強(120万kW → 210万kW → 300万kW)。
  ・ 北海道本州間連系線の増強(60万kW→90万kW)を早期に実現。風力発電の導入状況等を踏まえて、更なる増強を検討。
  ・ 風力発電の重点整備地区について、政策的支援も含め、送配電網整備の具体的方法を検討。

【第141-2-1】新しい送配電部門のイメージ像

【第141-2-1】新しい送配電部門のイメージ像

詳細設計へ向けて

・改革実行の際には、世界で最も高い信頼性を有する我が国の技術と人材の蓄積、やる気を尊重する。
  ・以上の基本方針の下、制度改革を着実に実行。本制度改革は、新たなシステムへの投資と大きな事業体制の変革を伴うものであり、綿密な詳細設計と十分な時間をかけた手順・工程表が必要。
  ・年内を目処に、各課題について更に検討を進める。

(5)今後の動き

電力システム改革専門委員会において取りまとめられた「電力システム改革の基本方針」を踏まえ、制度改革を着実に実行することとしています。詳細な制度設計については、年内を目途に検討を進めることとしています。